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使徒の働き(9)―ペテロのメッセージ(2)―
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ペテロのメッセージのポイントⅡ、「イエスは、メシアである」について学ぶ。
「ペテロのメッセージ(2)」
使徒2:22~32
1.はじめに
(1)ペテロの第1回目のメッセージを学んでいる。
①このメッセージは、使徒の働きの土台となるものである。
②このメッセージは、それ以降のメッセージの枠組を規定するものである。
③このメッセージのゴールは、「イエスは主でありメシアである」というもの。
(2)ペテロのメッセージのアウトライン
①この出来事は、預言の成就である(15~21節)。
②イエスは、メシアである(22~32節)。
③昇天したメシアであるイエスは、聖霊を注がれた(33~36節)。
④適用(37~40節)
(3)前回のメッセージの内容
①この出来事は、ヨエルの預言の成就である。
②今はすでに「終わりの日」に入っている。
③「しかし、主の名を呼ぶ者は、みな救われる」(21節)
④では、主とは誰か。それが今回のメッセージの内容である。
(4)今回のアウトライン
②イエスは、メシアである(22~32節)。
*御業による証明(22~23節)
*復活による証明(24~32節)
結論:
(1)イエスを十字架に付けた責任は、だれにあるか。
ペテロのメッセージのポイントⅡ、「イエスは、メシアである」について学ぶ。
Ⅰ.御業による証明(22節)
1.22節
Act 2:22 イスラエルの人たち。このことばを聞いてください。神はナザレ人イエスによって、あなたがたの間で力あるわざと不思議としるしを行われました。それらのことによって、神はあなたがたに、この方のあかしをされたのです。これは、あなたがた自身がご承知のことです。
(1)ペテロがいう「主」とは、イエスのことである。
①ナザレ人イエスの噂は、国中に響いていた。
*ペテロは、「これは、あなたがた自身がご承知のことです」と言っている。
②その内容は、イエスの公生涯そのものである。
(2)イエスは、彼らの間で奇跡を行われた。
①「力あるわざと不思議としるし」
②これによって、神はイエスがキリスト(メシア、油注がれた者)であることを
ユダヤ人に対してあかしされた。
1Co 1:22 ユダヤ人はしるしを要求し、ギリシヤ人は知恵を追求します。
(3)ペテロの言葉を聞いた聴衆は、イエスとモーセの関連性を思い出したはずである。
①申34:10~12
Deu 34:10 モーセのような預言者は、もう再びイスラエルには起こらなかった。彼を【主】は、顔と顔とを合わせて選び出された。
Deu 34:11 それは【主】が彼をエジプトの地に遣わし、パロとそのすべての家臣たち、およびその全土に対して、あらゆるしるしと不思議を行わせるためであり、
Deu 34:12 また、モーセが、イスラエルのすべての人々の目の前で、力強い権威と、恐るべき威力とをことごとくふるうためであった。
②使3:22~23(2回目のメッセージ)では、その関連性がさらに明らかになる。
2.23節
Act 2:23 あなたがたは、神の定めた計画と神の予知とによって引き渡されたこの方を、不法な者の手によって十字架につけて殺しました。
(1)イエスの十字架の死
①それは、神の計画と予知によるものである。
*イエスの死は、神の計画が成就するために不可欠な要素である。
*イエスの死は、神が計画したことである。
②人間にも責任がある。
*ユダヤ人たちは、イエスをローマ人に渡した。
・指導者の罪は、民全体の罪である。
*さらに、十字架刑を執行したローマ人たちにも責任がある。
・「不法な者」とは、「律法を持たない者」という意味である。
(2)ペテロは、このテーマをそれ以上展開しないで、話題をイエスの復活に移す。
Ⅱ.復活による証明(23~31節)
1.24節
Act 2:24 しかし神は、この方を死の苦しみから解き放って、よみがえらせました。この方が死につながれていることなど、ありえないからです。
(1)イエスの苦しみは、神の力によって取り去られた。
①この方は、死者の中から復活された。
②神があかしされたキリストが、死につながれていることなど、あり得ない。
2.25~28節
Act 2:25 ダビデはこの方について、こう言っています。/『私はいつも、自分の目の前に主を見ていた。/主は、私が動かされないように、/私の右におられるからである。
Act 2:26 それゆえ、私の心は楽しみ、/私の舌は大いに喜んだ。/さらに私の肉体も望みの中に安らう。
Act 2:27 あなたは私のたましいをハデスに捨てて置かず、/あなたの聖者が朽ち果てるのを/お許しにならないからである。
Act 2:28 あなたは、私にいのちの道を知らせ、/御顔を示して、私を喜びで満たしてくださる。』
(1)ペテロは、再び旧約聖書を引用する。
①詩16:8~11の引用
②これは、メシア的詩篇(メシア預言)である。
③約1000年前にダビデが作った。
*苦難の日に作られたものであろう。
④最後の部分でダビデは、神が自分の肉と魂を支えてくださると告白している。
(2)ダビデはこの詩篇を第一人称(私)で書いている。
①最後の部分は、ダビデ自身のことを預言したものではない。
②ダビデは、いわばメシアの代理人として第一人称で語っているのである。
③これは、預言がそのまま成就したという引用法である。
*前回学んだ4つの引用法の第1番目のものである。
3.29節
Act 2:29 兄弟たち。父祖ダビデについては、私はあなたがたに、確信をもって言うことができます。彼は死んで葬られ、 その墓は今日まで私たちのところにあります。
(1)ダビデは、死んで葬られた。
1Ki 2:10 こうして、ダビデは彼の先祖たちとともに眠り、ダビデの町に葬られた。
①ダビデの町とは、エルサレムの南東の地域を指す。
(2)「その墓は今日まで私たちのところにあります」
①その墓がどこにあったかは、現時点では特定されていない。
②「ダビデの墓」として知られている場所は、元の墓から2キロ前後離れている。
③ダビデは墓に葬られているので、「私」というのは、ダビデ自身のことではない。
4.30~31節
Act 2:30 彼は預言者でしたから、神が彼の子孫のひとりを彼の王位に着かせると誓って言われたことを知っていたのです。
Act 2:31 それで後のことを予見して、キリストの復活について、『彼はハデスに捨てて置かれず、その肉体は朽ち果てない』と語ったのです。
(1)ダビデは預言者として、預言したのである。
①彼は、ダビデ契約を理解し、その成就を信じていた。
(2)ダビデ契約の内容
2Sa 7:12 あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちとともに眠るとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。
2Sa 7:13 彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしはその王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。
①「ダビデの子孫のひとり」が、永遠の王座に着く。
②そのためには、その者は朽ちる体ではなく、復活の体を持つ必要がある。
(3)ダビデは、ダビデ契約に基づいて「ダビデの子」の復活を預言した。
①「彼はハデスに捨てて置かれず、その肉体は朽ち果てない」
②「ハデス」とは、死者の魂が留まる場所である。
5.32節
Act 2:32 神はこのイエスをよみがえらせました。私たちはみな、そのことの証人です。
(1)使徒たちは全員、イエスの復活の目撃者である。
Act 1:22 すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした者の中から、だれかひとりが、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」
①イエスの復活を証言するために、彼らは命を賭ける。
結論:イエスを十字架につけた責任は、だれにあるか。
Act 2:23 あなたがたは、神の定めた計画と神の予知とによって引き渡されたこの方を、不法な者の手によって十字架につけて殺しました。
1.それは、神の計画と予知によるものである。
(1)イエスの死は、神の計画が成就するために不可欠な要素である。
(2)イエスの死は、神が計画したことである。
(3)ペテロは、この神学的確信を持っていた。
1Pe 1:2 父なる神の予知に従い、御霊の聖めによって、イエス・キリストに従うように、またその血の注ぎかけを受けるように選ばれた人々へ。どうか、恵みと平安が、あなたがたの上にますます豊かにされますように。
1Pe 1:20 キリストは、世の始まる前から知られていましたが、この終わりの時に、あなたがたのために、現れてくださいました。
2.しかし、イエスをローマ人渡したユダヤ人にも責任はある。
(1)ペテロは、ユダヤ人の罪を責めた。
①使2:36、3:15、4:10、5:30、10:39
(2)ステパノもユダヤ人の罪を責めた。
Act 7:52 あなたがたの父祖たちが迫害しなかった預言者がだれかあったでしょうか。彼らは、正しい方が来られることを前もって宣べた人たちを殺したが、今はあなたがたが、この正しい方を裏切る者、殺す者となりました。
(3)パウロもユダヤ人の罪を責めた。
Act 13:28 そして、死罪に当たる何の理由も見いだせなかったのに、イエスを殺すことをピラトに強要したのです。
(4)一連の叱責は、旧約聖書の預言者たちのメッセージと似ている。
①罪を指摘するのは、民を悔い改めに導き、救いを得させるためである。
(5)この罪の指摘は、メシアを拒否したユダヤ人の世代に向けられたものである。
(6)一連の聖句を基に、ユダヤ人を「キリスト殺し」と呼ぶのは間違っている。
(7)教会史の中に見られる反ユダヤ主義は、大きな罪である。
3.さらに、十字架刑を執行したローマ人たちにも責任がある。
(1)「不法な者」とは、「律法を持たない者」という意味である。
4.究極的には、人類全体に責任がある。
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