サムエル記第一(11)「契約の箱の返還(1)」1サム6:1~12

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命題:真の知恵は、出来事の背後にある神の御手を認めることから始まる。この箇所を3区分して学ぶと、それが分かる。

サムエル記第一(11)

「契約の箱の返還(1)」

1サム6:1~12

1.文脈の確認

Ⅰ.王政に向けた準備(1~9章)

   A.サムエルの誕生と幼少期(1章)

   B.ハンナの賛歌(2:1~10)

   C.シロでの霊的状況(2:11~36)

   D.サムエルの召し(3章)

   E.契約の箱(4~7章)

    1.奪われた契約の箱(4章)

    2.契約の箱の力(5章)

    3.契約の箱の返還(6章)

      (1)神の裁きを終わらせる計画(6:1~12)

      (2)契約の箱のベテ・シェメシュへの帰還(6:13~18)

      (3)契約の箱のキルヤテ・エアリムへの移動(6:19~7:1)

2.注目すべき点

(1)契約の箱がペリシテ人によって略奪された。

(2)イスラエルは「神の栄光が去った」と理解した。

(3)契約の箱は、ペリシテの地で力を発揮する。

(4)ペリシテ人たちは、契約の箱を返還する。

命題:真の知恵は、出来事の背後にある神の御手を認めることから始まる。

この箇所を3区分して学ぶと、それが分かる。

Ⅰ.ペリシテ人たちの問い(1~2節)

1.1節

1Sa 6:1 【主】の箱は七か月間ペリシテ人の地にあった。

(1)この七か月間で、ペリシテ人は【主】を恐れることを学んだ。

  ①ペリシテ人の主神であるダゴンが辱めを受けた。

  ②人々は腫物で打たれ、苦しんだ。

  ③領主たちは、【主】を恐れることを学び始めた。

2.2節

1Sa 6:2
ペリシテ人は祭司たちと占い師たちを呼び寄せて言った。「【主】の箱をどうしたらよいでしょうか。どのようにして、それを元の場所に送り返せるか、教えてください。」

(1)領主たちは、祭司たちと占い師たちを呼び寄せた。

  ①返還の方法を間違えると、より深刻な事態に陥ると考えた。

  ②彼らは、正しい返還の方法について尋ねた。

(2)祭司たちと占い師たちの役割

  ①祭司たちの役割は、儀式的に正しい運搬方法を助言することである。

  ②占い師たちの役割は、返還する日時を助言することである。

Ⅱ.祭司たちと占い師たちの答え(3~9節)

1.3節

1Sa 6:3
彼らは答えた。「イスラエルの神の箱を送り返すのなら、何もつけないで送り返してはなりません。神に対して償いをしなければなりません。そうすれば、あなたがたは癒やされるでしょう。また、なぜ、神の手があなたがたから去らないかが分かるでしょう。」

(1)祭司たちと占い師たちの助言

  ①償いのものをつけて送る。

  ②レビ5:15の原則と相通じるものがある。

Lev 5:15
「人が信頼を裏切ることをしたとき、すなわち、【主】の聖なるものに関して気づかずに罪に陥ってしまった場合、羊の群れから傷のない雄羊、それも、聖所のシェケルで数シェケルの償いの銀に相当すると評価される雄羊一匹を、代償のささげ物として【主】のもとに連れて行く。

  ③もし癒しが起こるなら、裁きはイスラエルの神からのものであることが分かる。

2.4~5節

1Sa 6:4
人々は言った。「私たちが送るべき償いのものは何ですか。」彼らは言った。「ペリシテ人の領主の数に合わせて、五つの金の腫物、つまり五つの金のねずみです。彼ら全員、つまりあなたがたの領主たちに、同じわざわいが下ったのですから。

1Sa 6:5
あなたがたの腫物の像、つまり、この地を破滅させようとしているねずみの像を造り、それらをイスラエルの神に貢ぎとして献げなさい。もしかしたら神は、あなたがたと、あなたがたの神々、そしてあなたがたの地の上にのしかかっている、その手を軽くされるかもしれません。

(1)送るべき償いのものは何にすべきか。

  ①異教徒の習慣では、苦難の原因になっていたものを偶像神に献げていた。

  ②ここでは、5つの金の腫物と5つの金のねずみが提案された。

  ③ペリシテの領主5人が苦しめられた。

  ④苦しみの原因は、腫物とねずみである。

  ⑤それゆえ5つの金の腫物と5つの金のねずみである。

(2)彼らは、神の怒りが取り除かれる可能性に賭けた。

  ①「その手を軽くされるかもしれません」とは、裁きが止むという意味である。

3.6節

1Sa 6:6
なぜ、あなたがたは、エジプト人とファラオが心を硬くしたように、心を硬くするのですか。神が彼らに対して力を働かせたときに、彼らはイスラエルを去らせ、イスラエルは出て行ったではありませんか。

(1)ペリシテ人たちは出エジプトの出来事を記憶していた。

  ①1サム4:8

1Sa 4:8
ああ、困ったことだ。だれがこの力ある神々の手から、われわれを救い出してくれるだろうか。これは、荒野で、ありとあらゆる災害をもってエジプトを打った神々だ。

(2)祭司たちと占い師たちは、知恵ある判断を下すように提案している。

  ①エジプトに10の災害が下ったのは、民とファラオが心を硬くしたからである。

  ②最後には、エジプト人はイスラエルを去らせることになった。

  ③自分たちは、エジプト人と同じ失敗を繰り返すべきではない。

  ④この段階で、契約の箱をイスラエルに返還すべきである。

4.7~8節

1Sa 6:7
今、一台の新しい車を用意し、くびきを付けたことのない、乳を飲ませている雌牛を二頭取り、雌牛を車につなぎ、その子牛は引き離して小屋に戻しなさい。

1Sa 6:8
また、【主】の箱を取って車に載せなさい。償いとして返す金の品物を鞍袋に入れて、そのそばに置きなさい。そして、それが行くがままに、去らせなければなりません。

(1)一台の新しい車を用意する。

  ①これは【主】への敬意の表明である。

(2)くびきを付けたことのない、乳を飲ませている雌牛二頭

  ①これも【主】への敬意の表明である。

  ②地の耕作に用いた牛は、聖なるささげ物にはならない。

  ③契約の箱を車に載せる。

  ④償いとして返す金の品物を鞍袋に入れて、そのそばに置く

(3)子牛は引き離して小屋に戻す。

  ①雌牛が自然の摂理に反して行動するなら、疫病は超自然的なものであることが

判明する。

5.9節

1Sa 6:9
注意して見ていなさい。その箱がその国境への道をベテ・シェメシュに上って行くなら、私たちにこの大きなわざわいを起こしたのはあの神です。もし行かないなら、神の手が私たちを打ったのではなく、私たちに偶然起こったことだと分かります。」

(1)この節では、契約の箱が神ご自身であるかのように語られている。

  ①国境を超えた先にあるのがベテ・シェメシュである。

(2)ベテ・シェメシュ

  ①「太陽の家」という意味である。カナン人時代、偶像礼拝の町であった。

  ②ペリシテの地から最短距離にあるユダの町である。

(3)牛車が直接ベテ・シェメシュに向かうかどうか。

  ①もし直接向かうなら、ペリシテの地にわざわいを起こしたのは【主】である。

  ②もし行かないなら、わざわいは偶然起こったことである。

Ⅲ.契約の箱の返還(10~12節)

1.10~11節

1Sa 6:10 人々はそのようにした。彼らは乳を飲ませている雌牛を二頭取り、それを車につないだ。子牛は小屋に閉じ込めた。

1Sa 6:11 そして【主】の箱を車に載せ、また金のねずみ、すなわち腫物の像を入れた鞍袋を載せた。

(1)人々は、祭司たちと占い師たちの助言どおりに実行した。

  ①乳を飲ませている雌牛を二頭取って、車につないだ。

  ②子牛は小屋に閉じ込めた。

  ③契約の箱を車に載せた。

  ④金のねずみと腫物の像を入れた鞍袋をそのそばに置いた。

2.12節

1Sa 6:12
雌牛は、ベテ・シェメシュへの道、一本の大路をまっすぐに進んだ。鳴きながら進み続け、右にも左にもそれなかった。ペリシテ人の領主たちは、ベテ・シェメシュの国境まで、その後について行った。

(1)雌牛は、エクロンからベテ・シェメシュまで一直線に進んだ。

  ①「鳴きながら」は、雌牛の上に大きな力がのしかかっていたことを示している。

  ②雌牛は、自然の摂理に反して行動している。

(2)ペリシテ人の領主たちは、ベテ・シェメシュの国境までその後について行った。

  ①通常は、人は牛車の前に立って導く。

  ②ここでは牛車の後ろに立って、牛の思いどおりに進むようにしている。

結論:今日の信者への適用

1.神の御手を認める謙遜な心を持とう

(1)ペリシテ人たち

  ①異教徒であった。

  ②自分たちに起こった出来事を単なる偶然として片づけなかった。

  ③「これはイスラエルの神の御手ではないか」と真剣に考えた。

(2)イスラエルの民

  ①神の民であった。

  ②契約の箱をお守りのように扱った。

  ③神ご自身を見失っていた。

(3)私たちも、人生の出来事を偶然や運のせいにしてはならない。

  ①「主はこの出来事を通して何を語っておられるのか」と問いかける必要がある。

  ②知恵の第一歩は、神の御手を認めることである。

    *順境の中では感謝を学ぶ。

    *試練の中では訓練を学ぶ。

    *失敗の中では悔い改めを学ぶ。

2.心を頑なにしてはならない

(1)祭司たちはペリシテ人に向かって、助言した。

  「なぜ、あなたがたは、エジプト人とファラオが心を硬くしたように、心を硬くする

のですか」(6節)

(2)神は繰り返し警告を与えられる。

(3)しかし、人は自分の考えに固執すると、その声を聞かなくなる。

  ①聖書のことばによる警告

  ②良心の痛み

  ③周囲からの忠告

  ④試練を通した神の訓練

(4)神の声を無視し続けるなら、霊的成長は止まる。

「今日、もし御声を聞くなら、心を頑なにしてはならない」(ヘブ3:15)

3.神はご自身の目的を必ず成し遂げられる

(1)雌牛が、子牛を残したまま一直線にベテ・シェメシュへ向かった。

  ①これは、神の主権を示す奇跡である。

(2)人間の目には不可能に見えても、神が導かれるなら、その計画は必ず実現する。

  ①神は契約の箱を守られた。

  ②神はイスラエルを見捨てておられなかった。

  ③神はご自身の栄光を回復された。

(3)学ぶべき教訓

「人は心に自分の道を思い巡らす。しかし、その人の歩みを確かなものにするのは【主】

である」(箴16:9)

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