私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ヨハネの福音書(40)「裏切りを予告するイエス」ヨハ13:21~30
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イエスの最後まで愛し続ける愛について学ぶ。
ヨハネの福音書(40)
「裏切りを予告するイエス」
ヨハ13:21~30
1.文脈の確認
(1)前書き(1:1~18)
(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)
(3)イエスの私的奉仕(13:1~17:26)
①最後の晩餐(13:1~30)
*弟子たちの足を洗うイエス(13:1~20)
*裏切りを予告するイエス(13:21~30)
2.注目すべき点
(1)これは、十字架の死に至る前夜の出来事である。
(2)主イエスは、弟子たちの足を洗われた。
(3)主イエスは、ユダの裏切りを知っておられた。
(4)それでもなお、彼を愛し続けられた。
(5)夜の闇の中でも、神の計画は静かに進んでいた。
3.アウトライン
(1) 裏切りを予告するイエス(21節)
(2)当惑する弟子たち(22~25節)
(3)ユダに語りかけるイエス(26~29節)
(4)その場を去るユダ(30節)
4.結論:今日の信者への適用
イエスの最後まで愛し続ける愛について学ぶ。
Ⅰ.裏切りを予告するイエス(21節)
1.21節
Joh 13:21
イエスは、これらのことを話されたとき、心が騒いだ。そして証しされた。「まことに、まことに、あなたがたに言います。あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ります。」
(1) 「これらのことを話されたとき」
①自分が選んだ者たちの一人は裏切り者である。
②弟子の裏切りの話をしたとき、イエスは「心が騒いだ」。
(2)ヨハネの福音書は、イエスが「神の子」であることを強調している。
①イエスは、神である。
②イエスは、ユダの裏切りを予知しておられた。
③それでも、人としてのイエスの心は、大きく動揺した。
④これは、イエスの完全な人間性の証しである。
(3) 「あなたがたのうちの一人が、わたしを裏切ります」
①これは、ユダの裏切りの3度目の予告である。
②これは、イエスがユダに与えた最後の悔い改めの機会である。
③神の主権と人間の責任が交差する重大な場面である。
④ユダは、それに応答しなかった。
⑤この予告は、他の弟子たちを守るためのものでもあった。
Ⅱ.当惑する弟子たち(22~25節)
1.22節
Joh 13:22
弟子たちは、だれのことを言われたのか分からず当惑し、互いに顔を見合わせていた。
(1)弟子たちは当惑した。
①ユダが裏切り者だとは誰も考えなかった。
②ユダは巧妙に、自分の本音を隠していた。
(2)弟子たちがイエスのことばを理解できなかった3つの理由
①ユダは、目立つ行動をしていなかった。
*3年間、イエスに従い、しかも会計係として信頼されていた。
②弟子たちは、霊的に鈍感であった。
*裏切りということばの重みが、直ちには心に届かなかった。
③ユダの偽善は、底なしの深さであった。
*「弟子らしさ」を保ちながら、内面ではイエスを売ろうと計画していた。
2.23~24節
Joh 13:23
弟子の一人がイエスの胸のところで横になっていた。イエスが愛しておられた弟子である。
Joh 13:24
そこで、シモン・ペテロは彼に、だれのことを言われたのか尋ねるように合図した。
(1)イエスと弟子たちの位置関係
①「イエスが愛しておられた弟子」とは、ヨハネのことである。
*これは、主との関係性におけるアイデンティティの強調である。
②右端からヨハネ、イエス、ユダ、…最後にペテロ。
③ヨハネが1番目の上席、ユダが2番目の上席に着いていた。
*イエスの胸のところで横になっているように見える。
(2)ペテロは、イエスに聞くようにと、ヨハネに合図を送った。
①イエスとヨハネの間に親密な師弟関係がある。
②位置関係から言うと、ヨハネは個人的な質問をすることができた。
(3)裏切り者の特定は、いわば密室で行われている。
①一連のやりとりが、他の弟子たちにはあまり気づかれない形で進んでいる。
②これは、ユダへの最終的な猶予の瞬間である。
3.25節
Joh 13:25
その弟子はイエスの胸元に寄りかかったまま、イエスに言った。「主よ、それはだれのことですか。」
(1)食事中の会話であっても、非常に親密かつ私的なものである。
①他の弟子たちには聞こえなかった可能性が高いと考えられる。
②イエスの心に寄り添う者にこそ、深い真理が明かされる。
③イエスは、非常に個人的かつ象徴的な方法で応じる。
Ⅲ.ユダに語りかけるイエス(26~29節)
1.26~27節
Joh 13:26
イエスは答えられた。「わたしがパン切れを浸して与える者が、その人です。」それからイエスはパン切れを浸して取り、イスカリオテのシモンの子ユダに与えられた。
Joh 13:27
ユダがパン切れを受け取ると、そのとき、サタンが彼に入った。すると、イエスは彼に言われた。「あなたがしようとしていることを、すぐしなさい。」
(1)テーブルの上に用意された食事(出エジプトを記念する食物)
①子羊のロースト
②種なしパン(マッツァ)
③カルパス(野菜。パセリやレタス)
④ハロセット(リンゴ、ナッツ、蜂蜜、シナモン、レモンジュース、ワイン)
⑤マロール(苦菜。西洋わさび)
(2)主人は、マッツアでハロセットを挟んで、客全員に配る。
①ハロセットには、苦菜の苦さを和らげる目的があった。
②「パン切れを浸して与える」というのは、親しみと敬意を表す行動の一つ。
(3)ヨハネの質問に対して、イエスも密かに答えたことであろう。
① 「わたしがパン切れを浸して与える者が、その人です」
②イエスは、友情のしるしとしてユダにハロセットを与えた。
③ユダには、悔い改めの機会が与えられた。
(4) 「そのとき、サタンが彼に入った」
①これは、聖書の中で最も恐ろしいことばである。
②これは、字義どおりに解釈すべきである。
③ユダは、完全にサタンの手先となった。
④ヨハ13:2では、「サタンが心に思いを入れていた」となっている。
(5) 「あなたがしようとしていることを、すぐしなさい」
①「あなたがしようとしていることを、もっと早くしなさい」の意。
②すべての状況を支配しているのは、サタンではなくイエスである。
③ユダヤ人の指導者たちは、イエスの逮捕を過越の祭り以降に予定していた。
④しかし、神の子羊イエスは、過越の祭りの間に死ぬ必要があった。
⑤食事の席で、激しい霊的戦いが戦われていた。
2.28~29節
Joh 13:28
席に着いていた者で、なぜイエスがユダにそう言われたのか、分かった者はだれもいなかった。
Joh 13:29
ある者たちは、ユダが金入れを持っていたので、「祭りのために必要な物を買いなさい」とか、貧しい人々に何か施しをするようにとか、イエスが言われたのだと思っていた。
(1)ヨハネによる回顧
①弟子たちは、ユダが裏切り者であることに気づいていなかった。
②ヨハネ自身も、気付いていなかった。
③ユダの偽善の完成が見られる。最後まで「弟子らしさ」を演じきった。
④弟子たちは、メシアの受難という概念を理解していなかった。
(2)「あなたがしようとしていること」ということばを誤解した。
①祭りのために必要な物を買う。
②貧しい人々への慈善を行う。
Ⅳ.その場を去るユダ(30節)
1.30節
Joh 13:30 ユダはパン切れを受けると、すぐに出て行った。時は夜であった。
(1)ユダは、すぐに出て行った。
①神の恵みの交わりの場から完全に離脱した。
②彼の心の状態を反映する象徴的行為である。
(2) 「時は夜であった」
①ヨハネの福音書では、このことばに特別な意味がある。
②霊的闇への没入を象徴している。
③「光と闇」の対比が重要なテーマとなっている(ヨハ1:4~5、3:19、8:12)。
④「夜」はまさにサタンの活動の時間であり、神からの断絶を象徴している。
結論:今日の信者への適用
1.信仰共同体の中に存在する偽善に備えよう。
(1)ユダは、最後まで「弟子の姿」を演じきった。
(2)彼の心は、徐々にイエスから離れ、ついにはサタンに明け渡された。
(3)今日の教会の中にも、忠実に見えても、内面では主から離れている人が存在する。
(4)絶えず偽善に備えると同時に、自らを吟味する必要がある。
2.主イエスの赦しの愛を受け入れよう。
(1)イエスは、最初からユダの裏切りを知っておられた。
(2)それでもなお、彼にパンを与えるという「愛と尊敬のしるし」を示された。
(3)ユダは、イエスの愛を拒否した。
(4)悔い改めと信仰によって主に立ち返る道は常に開かれている。
(5)悔い改めの猶予には限りがあることを覚えよう。
3.主イエスとの親密な交わりを大切にしよう。
(1)「愛された弟子」ヨハネは、イエスの胸に寄りかかっていた。
(2)彼は、裏切り者の正体を最も早く知った弟子であった。
(3)私たちも、主の御声を聞くために、日々主との親密な交わりを深める必要がある。
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