60分でわかる旧約聖書(2)「出エジプト記」

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出エジプト記を通して、究極的な解放について学ぶ。
(大阪月例会の収録分が音声不良だった
ために、東京で再収録したものです。)

60分でわかる旧約聖書(2)「出エジプト記」

 

1.はじめに

(1)創世記に続いて出エジプト記を取り上げる。

①旧約聖書の最初の五書は、本来は「ひとつの書」として書かれたものであ

る。

②著者はモーセである。

*モーセ自身が体験したこと

*神からの啓示

*残された記録

*イエスは、モーセが書いたと認めている(ヨハ5:45~47)。

③執筆の目的

*カナンの地に入国する前のイスラエル人のために書いた。

*彼らは、イスラエルの歴史や出エジプトの歴史を知らない世代である。

*何のためにカナンの地で生きるのかを知らなければならない。

 

(2)出エジプト記について

①創世記とつながっている。

②モーセは、出エジプト記の中で、以下のことを教えようとした。

*出エジプトの出来事の経緯

*神と交わした契約の内容

*幕屋と祭儀が与えられている理由

③出エジプト記には、キリストの型がたくさん隠されている。

 

2.アウトライン

(1)エジプトで苦しむイスラエル(1:1~12:36)

(2)エジプトからシナイ山に移動するイスラエル(12:37~18:27)

(3)シナイ山で神と契約を結ぶイスラエル(19:1~40:38)

 

3.結論

(1)キリストの型

(2)3つの脱出

 

出エジプト記を通して、究極的な解放について学ぶ。

Ⅰ.エジプトで苦しむイスラエル(111236

1.解放者モーセ(1:1~4:31)

(1)エジプトは、人類史上最初の反ユダヤ主義の国になった。

①過酷な労働

②男児殺害命令

③ナイル川で溺死させよという命令

 

(2)モーセの生涯

①誕生から40歳まで

*エジプトの王女に拾われ、王宮で帝王学を学んだ。

*自力で解放者になれると思った時期。

②40歳から80歳まで

*ミデヤンの荒野で羊飼いとしての体験を積んだ。

*自分の無力さを学んだ時期。

③80歳から120歳まで

*解放者として用いられる時期。

 

(3)出エジプトの出来事は、アブラハム契約に基づくものである。

「神はその嘆きを聞き、アブラハム、イサク、ヤコブとの契約を思い起こされた」

(出2:24)

「神は仰せられた。『ここに近づいてはいけない。あなたの足のくつを脱げ。あ

なたの立っている場所は、聖なる地である。』また仰せられた。『わたしは、あ

なたの父の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である。』モーセは神

を仰ぎ見ることを恐れて、顔を隠した」(出3:5~6)

①イスラエルの民には、全人類を祝福するという使命が与えられている。

②エジプトを脱出してカナンの地に入るのは、その使命のためである。

③ヨセフは、この日が来ることを予知していた。

 

2.パロと対決するモーセ(5:1~7:7)

(1)モーセはパロに「民を去らせよ」と要求した。

①その結果、事態は悪化した。

②民は、モーセとアロンに抗議した。

 

(2)モーセは【主】に窮状を訴えた。

①【主】は、やがて分かるようになると答えた。

②アロンが、モーセの代弁者として任命された。

 

3.偶像を裁く【主】の力(7:8~12:36)

(1)モーセは、再度パロと対決する。

①10の災害が下るが、これはすべてエジプトの偶像を裁くものである。

 

(2)第10の裁きが最も重要なものである。

①パロの初子から、奴隷の初子、そして家畜の初子に至るまで、みな死んだ。

②パロはエジプトの最高神であり、その初子は王位継承者である。

 

(3)イスラエルの民は安全に守られた。

①子羊の血を2本の門柱とかもいに塗った。

②裁きの天使は、この血を見て、その家を過ぎ越した。

 

(4)この時、過越の祭りが制度化された。

①メシアの贖いの死を予表する祭りである。

 

Ⅱ.エジプトからシナイ山に移動するイスラエル(12371827

1.エジプトを脱出するイスラエル(12:37~13:22)

(1)徒歩の壮年男子だけで約60万人いた。

①アブラハム契約の子孫の約束が成就しつつある。

②イスラエルの民は、430年間エジプトに滞在した。

 

(2)【主】は、予定外のコースに民を導いた。

①近道であるペリシテ人の国の道には導かなかった。

*民が、戦いを恐れてエジプトに引き返すことのないように。

②葦の海に沿う荒野の道に回らせた。

③雲の柱、火の柱が民の前を進んだ(シャカイナグローリー)。

 

2.葦の海を渡るイスラエル(14:1~15:21)

(1)イスラエルの民は、この奇跡を体験する必要があった。

①この奇跡は、モーセのリーダーシップを証明するものでもある。

②エジプトの軍勢は、溺死した。

*これは、アブラハム契約の付帯条項の成就である。

 

(2)イスラエルの民は、大いなる解放のゆえに、【主】の御名をたたえた。

①この解放劇によって、イスラエル国家が誕生した。

 

3.シナイ山まで旅をするイスラエル(15:22~18:27)

(1)民の不平と神の備え

①水に対する不平

②食物に対する不平

*うずらとマナの供給

③岩から出た水(レフィディム)

 

(2)アマレクとの戦い

①悪魔との戦いの型

 

(3)舅のイテロの助言

①モーセは、千人の長、百人の長、50人の長、10人の長を立てた。

②権限移譲により、モーセの負担が軽減された。

 

Ⅲ.シナイ山で神と契約を結ぶイスラエル(1914038

1.シナイ契約(19:1~24:18)

「あなたがたは、わたしがエジプトにしたこと、また、あなたがたを鷲の翼に載せわ

たしのもとに連れて来たことを見た。今、もしあなたがたが、まことにわたしの声に

聞き従い、わたしの契約を守るなら、あなたがたはすべての国々の民の中にあって、

わたしの宝となる。全世界はわたしのものであるから。あなたがたはわたしにとって

祭司の王国、聖なる国民となる」(出19:4~6)

(1)祭司の王国として機能するために必要なこと

①神の義なる律法

*十戒を含む613の律法(モーセの律法)

*律法は、イスラエルの民に生きる道を示す。

*と同時に、自らの罪を示す。

②礼拝の場

*幕屋

③祭司と祭儀法

*罪からの清めを得るための方法

 

(2)シナイ契約は条件付き契約であり、その契約条項がモーセの律法である。

①モーセの律法は、律法による救いを教えたものではない。

②救いの方法は、信仰と恵みである。

*当時の人々の信仰表現は、モーセの律法への従順である。

 

2.幕屋のデザイン(25:1~31:18)

(1)幕屋は、人が神に近づく方法を細かく規定している。

①至聖所には、シャカイナグローリーがあった。

②全人類→イスラエルの民→レビ族→アロンの家系→大祭司

 

(2)幕屋全体がキリストの型である。

 

3.金の子牛事件(32:1~35)

(1)モーセが40日間山頂にいる間に、民は偶像を作っていた。

①アロンにも責任がある。

 

(2)シナイ契約は条件付き契約なので、契約は破棄された。

 

4.契約の再締結(33:1~34:35)

(1)モーセの執りなしの祈りの結果、再締結となった。

 

5.幕屋建設と神の栄光(35:1~40:38)

(1)示されていた幕屋のデザインに従って、幕屋が建設された。

①至聖所の中に、シャカイナグローリーが輝いた。

②民が【主】が示した条件に合ったので、【主】は民の間に隣在された。

 

結論

1.キリストの型

1)神の預言者モーセは、キリストの型である。

①ただし、民を約束の地に導いたのはモーセではなく、ヨシュアであった。

 

2)マナは、キリストの型である。

①いのちのパン

 

3)打たれた岩は、キリストの型である。

①打たれたキリストによって、信者に聖霊が注がれた。

 

4)過越の祭りは、キリストによる贖いの型である。

①小羊の血は、キリストの血の型である。

 

5)幕屋は、キリストの型である。

①私たちは、キリストを通して父なる神に近づく。

②キリストの内にシャカイナグローリーが宿っている。

 

23つの脱出

はじめに:出エジプト記は、ギリシア語の七十人訳では「エクソドス」である。

①その意味は、「脱出」「出発」である。

②この書は、イスラエルの民がエジプトを脱出した記録である。

③「エクソドス」という言葉から、3つの脱出について考えてみる。

 

1)歴史的事実としての、脱出がある。

①神の力によるエジプトからの解放劇

 

2)十字架の上で為されたキリストの贖いの業

「栄光のうちに現れて、イエスがエルサレムで遂げようとしておられるご最期に

ついていっしょに話していたのである」(ルカ931

①「ご最期」と訳された言葉は、エクソドスである。

②キリストの死は、私たちに罪からの解放をもたらすものとなった。

 

3)信者の死

「私が地上の幕屋にいる間は、これらのことを思い起こさせることによって、あ

なたがたを奮い立たせることを、私のなすべきことと思っています。それは、私

たちの主イエス・キリストも、私にはっきりお示しになったとおり、私がこの幕

屋を脱ぎ捨てるのが間近に迫っているのを知っているからです。また、私の去っ

た後に、あなたがたがいつでもこれらのことを思い起こせるよう、私は努めたい

のです」(2ペテ11315

①ペテロの晩年の言葉である。

②「去った」と訳されている言葉が、エクソドスである。

③信者にとっては、死は「脱出」であり「旅立ち」であり、「解放」である。

④不信者の死は、その対極にある。

 

4)出エジプト記を学ぶことは、

①神が偉大な力をもって歴史に介入されたこと、

②キリストの死によって信じる者は罪から解放されたこと、

③やがて自分に訪れる肉体の死が地上のあらゆる束縛からの解放であること、

を確認する作業である。

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