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60分でわかる旧約聖書(26)エゼキエル書
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エゼキエル書の内容について学ぶ。
60 分でわかる旧約聖書( 26 )「エゼキエル書」
1.はじめに
(1)預言者たちの中でのエゼキエルの位置づけ
①預言書を書いた預言者(the writing prophet)
*王国が南北に分裂して以降に登場した(前930年頃)。
②同世代の人たちに、神のことばを伝えた。「預言者」である。
③将来起こることを預言した。「予言者」である。
④エゼキエル書は、大預言書である。
⑤エゼキエルは、捕囚期の預言者である。
(2)エゼキエル書の特徴
①エゼキエルという名前の意味
*「神は励ます」、「神によって励まされた」など。
②エゼキエル書は、「最も難解な預言書」として知られている。
*しかし、無視するなら、旧約で最も霊的な部分を見逃したことになる。
③この書の預言は、時系列に沿って配置されている。
*例外は、エゼ29:1から始まる預言と、29:17から始まる預言だけ。
*この例外は、エゼ29~32章(エジプトに対する預言)がテーマ別に並
んでいるために起こっているものである。
(3)時代背景
①第1回バビロン捕囚(前605年)
*エホヤキムの治世の第3年(ダニ1:1)
*この時、ダニエルがバビロンに連行された。
②第2回バビロン捕囚(前597年)
*エホヤキンの治世(彼の治世はわずか3ヶ月)
*この時、エゼキエルがバビロンに連行された。
③第3回バビロン捕囚(前586年)
*エルサレムが陥落し、神殿が破壊された。
④エゼキエルは、前593年から預言者としての活動を開始した。
*エホヤキンが捕囚となって5年目である(エゼ1:2~3)。
*活動は、前571年まで続いた(エゼ29:17)。
*30歳から52歳までの約22年間の活動であった。
⑤活動開始時点では、まだエルサレムは陥落していなかった。
*エゼキエルは、エルサレムと神殿の崩壊を預言した。
*捕囚民たちは、依然としてエルサレム帰還の希望を持っていた。
2.アウトライン
( 1)エゼキエルの経歴
(2)エゼキエル書の特長
(3)エゼキエル書のアウトライン
(4)エゼキエル書の文学手法
(5)エゼキエルと他の預言者の対比
エゼキエル書の内容について学ぶ。
Ⅰ.エゼキエルの経歴
1.詩137:1~2
Psa 137:1 バビロンの川のほとり、/そこで、私たちはすわり、/シオンを思い出して泣いた。
Psa 137:2 その柳の木々に/私たちは立琴を掛けた。
(1)捕囚民たちは、歌を歌うこともなく、シオンを思い出して泣いた。
①捕囚民たちの心の状態がよく表現されている。
2.エゼ1:1
Eze 1:1 第三十年の第四の月の五日、私がケバル川のほとりで、捕囚の民とともにいたとき、天が開け、私は神々しい幻を見た。
(1)捕囚民たちが嘆いている時に、エゼキエルは神々しい幻を見た。
①罪を糾弾すると同時に、苦難の時には希望を語るのが預言者の使命である。
②彼は、エルサレム陥落までは、民の罪を糾弾する。
③エルサレム陥落以降は、回復の希望を語る。
④「第三十年」は、エゼキエルが預言者として召された時の年齢である。
3.エゼ1:3
Eze 1:3 カルデヤ人の地のケバル川のほとりで、ブジの子、祭司エゼキエルにはっきりと【主】のことばがあり、【主】の御手が彼の上にあった。
(1)ゲバル川のほとり
①灌漑用水路として造られた川である。
②そこにテル・アビブという町があり、捕囚民たちは、そこに住まわされた。
③エゼキエルの奉仕は、テル・アビブに住む捕囚民に対するものであった。
(2)エゼキエルは、ブジの子で、祭司であった。
①30歳から祭司の働きが始まるが、エゼキエルは預言者の奉仕を始めた。
②旧約聖書には、3人の祭司-預言者が登場する。
*エレミヤ、ゼカリヤ、エゼキエル
③祭司であったことがメッセージの内容に影響している。
*エルサレムの神殿に対する強い関心
*【主】の栄光の強調
*エルサレムにいる祭司たちの行動への関心
*将来の神殿の預言
Ⅱ.エゼキエル書の特長
1.神の栄光の強調
(1)エゼ1:28
Eze 1:28 その方の回りにある輝きのさまは、雨の日の雲の間にある虹のようであり、それは【主】の栄光のように見えた。私はこれを見て、ひれ伏した。そのとき、私は語る者の声を聞いた。
①預言者として召される前に見た神の栄光
(2)エゼ3:12
Eze 3:12 それから、霊が私を引き上げた。そのとき、私は、うしろのほうで、「御住まいの【主】の栄光はほむべきかな」という大きなとどろきの音を聞いた。
①捕囚民のところに行く前に見た神の栄光
(3)エゼ11:22~23
Eze 11:22 ケルビムが翼を広げると、輪もそれといっしょに動き出し、イスラエルの神の栄光がその上のほうにあった。
Eze 11:23 【主】の栄光はその町の真ん中から上って、町の東にある山の上にとどまった。
①【主】の栄光が神殿を去り、オリーブ山の上にとどまった。
②これ以降、主イエスが神殿に入られるまで、神の栄光は去ったままになった。
(4)エゼ43:4~5
Eze 43:4 【主】の栄光が東向きの門を通って宮に入って来た。
Eze 43:5 霊は私を引き上げ、私を内庭に連れて行った。なんと、【主】の栄光は神殿に満ちていた。
①千年王国の神殿に【主】の栄光が戻って来る。
2.神の性質の強調
(1)エゼ20:9
Eze 20:9 しかし、わたしはわたしの名のために、彼らが住んでいる諸国の民の目の前で、わたしの名を汚そうとはしなかった。わたしは諸国の民の目の前で彼らをエジプトの地から連れ出す、と知らせていたからだ。
①神がイスラエルの民をエジプトから連れ出したのは、ご自身の栄誉のため
であった。
②神は、契約を守るお方である。
③「わたしの名を汚そうとはしなかった」という表現は、15回出てくる。
(2)エゼ6:7
Eze 6:7 刺し殺された者があなたがたのうちに横たわるとき、あなたがたは、わたしが【主】であることを知ろう。
①人々の罪が裁かれるとき、民は【主】がそれを為したことを知るようになる。
②「わたしが【主】であることを知ろう」という表現は、60回以上出てくる。
Ⅲ . エゼキエル書のアウトライン
1.預言者としての召命(1~3章)
2.ユダに対する裁きの宣言(4~24章)
(1)不従順な民(4~7章)
(2)去って行くシャカイナグローリー(8~11章)
(3)空しい希望と霊的腐敗の歴史(12~24章)
3.異邦人諸国に対する裁きの宣言(25~32章)
4.神の民の回復(33~48章)
(1)祖国帰還(33~36章)
(2)新しい命の約束と統一化の預言(37章)
(3)敵からの守り(38~39章)
(4)【主】を礼拝する民(40~48章)
Ⅳ.エゼキエル書の文学手法
はじめに
(1)頑なな民に神のことばを伝えるための手法
(2)民の応答を引き出すために、ドラマチックな手法を採用した。
1.ことわざ(格言)
(1)エゼ12:22~23
Eze 12:22 「人の子よ。あなたがたがイスラエルの地について、『日は延ばされ、すべての幻は消えうせる』と言っているあのことわざは、どういうことなのか。
Eze 12:23 それゆえ、神である主はこう仰せられると言え。『わたしは、あのことわざをやめさせる。それで、彼らはイスラエルでは、もうくり返してそれを言わなくなる。かえって、その日は近づき、すべての幻は実現する』と彼らに告げよ。
①人々は、預言者の預言は成就しないと言っていた。
*日々は過ぎ去るが、預言は成就していない。
*預言者の幻は、消えてなくなる。
②【主】は、そのことわざは無効になると言われる。
(2)その他の聖句
①エゼ16:44、18:2~3
2.幻
(1)エゼ37:9~10
Eze 37:9 主はわたしに言われた。「霊に預言せよ。人の子よ、預言して霊に言いなさい。主なる神はこう言われる。霊よ、四方から吹き来れ。霊よ、これらの殺されたものの上に吹きつけよ。そうすれば彼らは生き返る。」
Eze 37:10 わたしは命じられたように預言した。すると、霊が彼らの中に入り、彼らは生き返って自分の足で立った。彼らは非常に大きな集団となった。
①枯れ骨の谷の幻
②イスラエル再生の預言
③イエスを信じるユダヤ人たちが約束の地に帰還したときに、この預言は成
就する。
(2)その他の聖句
①1~3章(【主】の栄光)
②8~11章(神殿での偶像礼拝)
③40~48章(千年王国の神殿)
3.たとえ話
(1)エゼ17:1~24(二羽の鷲とぶどうの木)
①謎解きを必要とするたとえ話である。
②ぶどうの木は、ゼデキヤである。
③ネブカデネザル(最初の鷲)か、エジプト(次の鷲)か。
(2)エゼ24:1~14(火の上の鍋)
①バビロン軍によるエルサレムの崩壊
②鍋はエルサレム、肉はユダヤ人たち、火は神の裁き。
③鍋は空にされ、火で清められるが、さびは落ちなかった。
4.象徴的行為
(1)エゼ12:4~6
Eze 12:4 あなたは、白昼彼らの目の前で、自分の荷物を、捕囚の荷物として持ち出しなさい。また、夕方彼らの目の前で捕囚の民が出て行くように、出て行きなさい。
Eze 12:5 彼らの目の前で、壁に穴をうがち、そこから荷物を運び出しなさい。
Eze 12:6 彼らの目の前で、荷物を肩に担ぎ、暗闇の中で運び出しなさい。顔を覆ってこの土地を見ないようにしなさい。わたしはあなたを、イスラエルの家に対するしるしとする。」
①エルサレムの崩壊を信じない民に対するメッセージである。
(2)その他の聖句
①エゼ4~5章
②エゼ24:15~27
Ⅴ.エゼキエルと他の預言者の対比
1.エゼキエル、エレミヤ、ダニエルは、同時代の預言者たちである。
(1)エレミヤ
①エゼキエルよりも年上。すでに老年になっていた。
②エレミヤは、残れる者たちとともに約束の地に留まった。
③その後、エジプトに連行された。
④彼の最後の奉仕は、エジプトに住むユダヤ人たちのためのものであった。
(2)ダニエル
①ダニエルは、バビロンにある王宮に連行された。
②そこで高い地位に就き、重要な預言を語った。
③テル・アビブを訪問したことはないが、ユダヤ人たちを擁護した。
(3)エゼキエル
①彼は、ケバル川で捕囚民とともに住み、そこで奉仕をした。
②いわば、庶民のための奉仕であった。
(4)この3者には面識はなかったと思われる。
①ダニエルは、エレミヤの預言を知っていた。
(5)それぞれが、自分に与えられた任務を忠実に果たした。
2.三位一体の神との関係
(1)イザヤは、子なる神の預言者である。
①彼は、メシアの誕生を預言した。
②彼は、メシアの受難を預言した。
(2)エレミヤは、父なる神の預言者である。
①彼は、父なる神の涙を自分の涙とし、民に悔い改めを迫った。
②父なる神が契約に忠実な方であるがゆえに、民には希望があると語った。
(3)エゼキエルは、聖霊なる神の預言者である。
①父なる神が計画し、子なる神が実行し、聖霊なる神が完成へと導く。
②エゼ37章の枯れ骨の民の幻は、聖霊なる神の働きを預言している。
③エゼ37章はいつ成就するのか。
*ユダヤ人たちの霊的回復
*メシアの再臨
*千年王国の設立
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