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創世記(30)—ソドムとゴモラの滅び—
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神が最も憎まれる罪について、また、絶望の中に見える希望の光について学ぶ。
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創世記30 創世記19章1節~38節
「ソドムとゴモラの滅び」
イントロ:
1.前回までの復習
(1)神はアブラムを選び、彼とその子孫を通して全人類を救おうとされた。
(2)それがアブラハム契約である。
(3)アブラハムは、3人の客をもてなした。ひとりは神、ふたりは天使。
(4)サラは来年息子を産むとの約束が与えられた。
(5)アブラハムに、ソドムとゴモラの滅びが預言された。
(6)アブラハムは、ロトとその家族のことを心配し、執りなしの祈りをした。
2.メッセージのアウトライン
(1)客の歓迎
(2)客の保護
(3)家族の説得
(4)町からの避難
(5)人生の総決算
3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)神が最も憎まれる罪とは何か。
(2)絶望の中に見える希望の光とは何か。
このメッセージは、神が最も憎まれる罪について、また、絶望の中に見える希望の光について学ぼうとするものである。
Ⅰ.客の歓迎
1. ふたりの御使いが夕暮れにソドムに着く。
(1)時は「夕暮れ」。
(2)それゆえ、ロトは彼らを家に招く。
2. ロトはソドムの門のところに座っていた。
(1)これがロトの生活の最終段階
①遊牧民として、町の外に住んでいた(13:12)。
②次に、ソドムの町に住むようになった(14:12)
③最後に、ソドムの門のところにすわるようになった。
(2)彼は町の長老のひとりになった。社会的地位と権威を持つようになった。
①恐らく、アブラハムのお陰でロトはこうなったのであろう。
②人々は、アブラハムによって自分たちが救出されたことを知っていた(14章)。
③ロトは、アブラハムの甥である。
(3)ロトは高い地位に着いたが、その影響力は無きに等しいものであった。
①エジプトに住んだヨセフや、バビロン捕囚になったダニエルとは違う。
②ヨセフとダニエルは、神から召された場でその使命を果たした。
3. ロトは、ふたりの客を家に招いた。
(1)彼らが天使であることを知らない。
(2)天使たちは、最初はその誘いを断っている。
①その理由は、ロトを試すためであった。
②ロトは、町の広場がいかに危険であるかを知っていた。
③知っていながら、広場で夜を過ごすことを認めるのは、無責任な行為である。
(3)ロトがしきりに勧めたので、天使たちはロトの家に入った。
①これでロトは、テストに合格した。
②旅人を守ることは最高の徳とされていた。特に、遊牧民の間ではそうであった。
③「パン種を入れないパン」を焼いた。聖書ではここで初めて出てくる。
Ⅱ.客の保護
1.同性愛というソドムの罪が、明らかになる(ソドムがなぜ滅ぼされるかの例証)。
(1)人々はロトの家を取り囲み、「彼らをよく知りたいのだ」と叫んだ。
(2)「知る」とは親密な関係のこと。
①つまり、ホモセクシャルの関係を結ぶことを願ったということ。
2.ロトは、ふたりの未婚の娘たちを代わりに提供しようとした。
(1)客の安全を守るために、これほどの犠牲を払う覚悟をした。
(2)彼は、レイプ(強姦)の罪よりも同性愛の罪の方が重いと考えた。
(3)聖書は、同性愛の罪を厳しく糾弾している(レビ18:22、ロマ1:26~27)。
(4)ロトの妥協は、アブラハムの神が許容する範囲をはるかに超えていた。
(5)このジレンマは、アブラハムから離れ、ソドムに付いたことの結果である。
3.人々は、説得されなかった。
(1)ロトは遊牧民であった。よそ者。
(2)彼らは、ロトをも辱めようとした。
(3)ロトとふたりの人を捕まえようとした。
4. ロトは、ふたりの人を助けようとしましたが、最後はこのふたりに助けられた。
(1)ロトは家の中に連れ戻された。
(2)戸口にいた者たちは、目つぶしをくらった。
(3)ダマスコ途上のパウロと同じ体験。
Ⅲ.家族の説得
1.ふたりの天使の命令
(1)ほかにあなたの身内の者がここにいますか。
(2)あなたの身内の者をみな、この場所から連れ出しなさい。
2.ロトは家を出て、婿たちの家に向かう。
(1)人々は目つぶしをくらっていたために、ロトは安全に外に出ることができた。
(2)彼は婿たちを説得したが、婿たちには「それは冗談のように」思われた。
(3)ロトの姿から、現代の父親像の喪失に似たものを感じる。
3.夜が明けるころ
(1)御使いたちはロトを促し、家にいる者だけでも集めて逃れよと語る。
(2)ここで、アブラハムの祈り(18:23)が叶えられている。
「あなたはほんとうに、正しい者を、悪い者といっしょに滅ぼし尽くされるのですか」
(3)ロトはためらった。まだ家族全員が集まっていないから。
(4)天使たちは、彼とその妻、ふたりの娘たちの手をつかんで、町の外に連れ出した。
(5)アブラハムの祈りのゆえである。アブラハム契約の祝福の側面が現われた。
Ⅳ.町からの避難
1.天使たちの命令
(1)急いで逃げよ。できるだけ早く、町から遠ざかれ。
(2)うしろを振り返らず、前だけを見て進め。
(3)ヨルダンの低地から逃げよ。低地全体が滅ぼされるから。
(4)山に逃げよ。
①「山」には定冠詞が付いているので、これはヨルダンの山のこと。
②ロトの子孫はそこに住み着くことになる。
2.ロトの願い
(1)近くにある小さな町に逃げさせてくださいと懇願する。
(2)ロトのこの願いは、聞き届けられた。
①「小さい」ということが強調されている。
②その町は、元はベラ(14:2、8)と呼ばれていた。
③この時からツォアルという名になった。
④ここには、ヘブル語のことば遊びがある。
*ここで使われている「小さい」という語は、「ミツァール」。
*町の名は「ツォアール」で、発音が似ている。
(3)祈りの答え
①ソドムを救って欲しいというアブラハムの祈りは聞かれなかった。
②ツォアル(小さな町)を助けて欲しいというロトの祈りは聞かれた。
③信仰による祈りは聞かれるというのが、原則である。
④と同時に、祈りの答えは、すべて神の権威によるということも真理である。
(4)ロトはその町に避難したが、結局は、その町を出て山に住むようになる(30節)。
3.ツォアル到着
(1)「太陽が地上に上ったころ、ロトはツォアルに着いた」
(2)ロトにとっては、悪夢のような一夜が明けた。
(3)彼は、家族を救おうとして労したが、結局助かったのは4人だけ。
4.ソドムとゴモラの滅び
「そのとき、【主】はソドムとゴモラの上に、硫黄の火を天の【主】のところから降らせ、これらの町々と低地全体と、その町々の住民と、その地の植物をみな滅ぼされた」
(1)「主」(ヤハウェ)という語が、2度出てくる。
①神の存在の複数性を示している。
②神が三位一体であることを暗示している。
(2)滅ぼされた町々は、ソドム、ゴモラ、アデマ、ツェボイム
①14:2、14:8、申29:23
②滅ぼされる前は、その辺り一帯はエデンの園のようであった。
(3)専門用語について
①「滅ぼす」とは「ハファク」
②「洪水」は「マブール」
③ともに、Ⅱペテ2:4~9に出てくる。
*「洪水」は「カタクルスモス(kataklusmos)」
*英語の「cataclysm(大洪水、地殻の激変、社会的大変動)」
*「滅び」(overthrow ひっくり返す、破壊する)は「カタストロフェイ」
*英語の「catastrophe(破滅、破局、カタストロフィー)」
5.ロトは、もうひとり家族を失う。
(1)ロトの妻は、ソドムの生活を懐かしがり、うしろを振り返り、塩の柱になった。
(2)新約聖書の警告
「ロトの妻を思い出しなさい。自分のいのちを救おうと努める者はそれを失い、それを失う者はいのちを保ちます」(ルカ17:32)
6.アブラハムの行動
(1)前日とりなしの祈りをした場所に行った。心配だった。
①町々が滅ぼされる様子を見て、10人の義人がいなかったことを知った。
②ロトがどうなったかは、この時点では分からない。
(2)18章から続いてきた一連の物語の結論が、19:29に書かれている。
「こうして、神が低地の町々を滅ぼされたとき、神はアブラハムを覚えておられた。それで、ロトが住んでいた町々を滅ぼされたとき、神はロトをその破壊の中からのがれさせた」
① 罪に対する神のさばきの厳しさ。
② アブラハム契約のゆえに、アブラハムの祈りのゆえに、ロトが救われた。
③ 彼の祈りの精神は、聞かれた。
④ 「覚えておられた」とは、忘れていなかったという意味ではない。
⑤この語は、記憶ではなく、行動を示している。
Ⅴ.人生の総決算
1. ソドムの罪はロトの罪として終結する。
(1)その結果、2つの民族が誕生する。
(2)彼らはイスラエルの歴史の中の「とげ」となる。
2. その経緯
(1)ロトは山に逃げることを恐れてツォアルに住むことを願い、それが許される。
(2)しかし彼は、ツォアルに住むことを恐れ、ほら穴の中に住むようになる。
①ツォアルはソドムと同じ罪を犯していたので、滅ぼされる心配があった。
②ツォアルの人たちから殺されるかもしれないという恐れがあった。
③その町はロトと娘たちが安心して住める場所ではなかった。
3. ふたりの娘たちは、子孫を残すためにある策略を練った。
(1)父によって子孫を残すという方法。
(2)父の子孫を残すという崇高な目的のために、罪を犯した。
(3)これは、近親相姦(レビ18:6~18)の罪に当たる。
(4)娘たちの内側にソドムの影響が残っていた。
(5)ロトとその娘たちによって、ソドムがモアブ人とアモン人という形で再生した。
①姉が産んだ子。モアブ(父から)。モアブ人の先祖
②妹が産んだ子。ベン・アミ(私の民の息子、私の親族の息子)。アモン人の先祖
(6)モアブは、今日のヨルダン中部、アモンはヨルダン北部。
4. この個所を最後に、ロトの名前は聖書から消える。
(1)人類救済の歴史から見ると、彼の存在が何の意味も持たなくなった。
(2)これ以降は、モアブとアモンがロトに代わって聖書の舞台に登場する。
①イスラエルの民に対して、歴史上最悪の姦淫と偶像礼拝の罪を犯させる。
②民25章のバアル・ペオルの事件
③レビ18:21のモレク礼拝の禁止
結論
1.神が最も憎まれる罪とは何か。
(1)罪には、深刻さの段階がある。
(2)同性愛の罪は、弁護の余地のないものである。
(3)マタ11:23~24 メシアを拒否する罪は、さらに重い。
2.絶望の中に見える希望の光とは何か(恵みの要素)。
(1)ロトの評価
①Ⅱペテ2:6~9 ロトは義人
②ソドムに住むこと自体は、罪ではない。
③ソドムの住民は、ロトが何を信じていたかを知っていた。
④ロトは、義の行為にゆえに迫害された。
⑤
そうでなければ、今日、クリスチャンの住む場所がなくなる。
(2)ソドムの回復
①千年王国において
②エゼ16:44~57
(3)モアブ人の子孫
①ルツの誕生
②彼女は、ボアズと結婚し、オベデ、エッサイ、ダビデとつながる。
③彼女は、メシアの家系にその名を留めることになる。
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