30日でわかる聖書 マタイの福音書(6)山上の垂訓(2)

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マタイ5:20を字義通りに分析することによって、山上の垂訓が開かれる。

「マタイ6章 山上の垂訓(2)」

イントロ:

1. 文脈で判断することが大切。

2. マタイ5:20が、山上の垂訓を解釈する鍵

(1) 救いに至る道を教えているのではない。

(2) 山上の垂訓の本質は、「メシアによる律法の義の解釈」である。

(3) 今回、山上の垂訓は難しくはない、実に分かりやすいと感じた。

①複雑な問題に、単純な回答が用意されている。

②原則が重要。

マタイ5:20を分析することによって、山上の垂訓が開かれる。

Ⅰ.5章の残り(メシアによる律法の義の解釈)

1. 定型句に注目する。

(1) 「…と言われたのを、あなたがたは聞いています」

①「口伝律法」、イエスの時代にはまだ「言い伝え」の段階。

②後代に、「ミシュナ」として文書化され、それがタルムードの中心となる。

(2) 「しかし、わたしはあなたがたに言います」

①メシアによる律法の解釈、あるいは、義の解釈。

②外側に現れた行為ではなく、人の内面が問題にされている。

(例話)Ⅰサムエル16:6~7 エッサイの8人の息子の中から王が出る。

2. 具体的展開。

(1) 殺人

①殺人という行為を問題にする。

②行為の前に、心の中で罪を犯している。

(2) 姦淫

①姦淫という行為を問題にする。

②心の中で、姦淫を犯している。

③右の目(罪が入る道)、右の手(罪を犯す道具)を断固取り除く。

(3) 離婚

①申命記24:1 妻の権利を保護するため。

②後代になると、離婚状を出せば、合法的に離婚できるとなる。

③ヒレル派とシャマイ派

④ヒレル派は律法解釈が緩やか。「料理が下手というだけで離婚原因となる」

⑤不貞以外の理由は不法。

* 離婚されると他の男性に身を寄せるしかない。

* それで、「姦淫を犯させる」という表現になっている。

(4) 誓い

①レビ記19:12、申命記23:21、23など。

②誓うな。誓ったことは実行せよ。

③口伝律法では、誓いをさまざまな理由で取り消せるようになっていた。

④イエスの教えは、「正直な人になれ」ということ。

⑤父なる神の性質。誓いを守る。

* アブラハムが義とされた理由は、神を信じたから。

* 申命記4:31

(5) 報復

①「目には目で、歯には歯で」。出エジプト21:24、レビ24:20。

②同害復讐法は、際限のない復讐に歯止めをかけるもの。

③それが、私的復讐の根拠として利用される。

④イエスの教えは、無抵抗の姿勢。

* 悪や不正を容認せよということではない。

* 仕返しをしないで、求められた以上のものを出す。

(6) 隣人愛

①「隣人」とは、同胞のユダヤ人のこと。

②「自分の敵を憎め」とは、パリサイ派ではなく、エッセネ派の教え。

③イエスの定義では、「隣人とは助けを必要としている人」

④ルカ10章、良きサマリヤ人のたとえ

Ⅱ.6章(律法の義の実践)

1. 原則はマタイ6:1

(1) 善行を行う場合の動機が問題。

(2) 人の歓心を買うためなら、神からの報いは受けられない。

2. 具体的展開

(1) 施し

(2) 祈り

(3) 断食

①以上の3つが、パリサイ人たちが特に好んで善行と考えてきた行為。

②イエスはその3つの行為を再解釈する。

(4) 富に対する態度

①二人の主人に仕えることはできない。

②自分の宝を天に蓄えよ。天で受け取る冠は、それで作られている。

(5) 思い煩い

①将来を見ようとするのは罪。

②天の父に信頼していないこと。

3. 祈りについて

(1) 原則

①パリサイ派的偽善を避ける。

②異邦人の祈り方を避ける。

* ことばの繰り返し。

* 仏教、イスラム教、ユダヤ教には、自発的祈りはない。

* 父なる神は、願う前から私たちの必要を知っておられる。

(2) 主の祈り

イントロダクション

* この通りに祈ってもいいが、モデルとして使用するのがよい。

* 前半の3つが、神の御心を求める祈り。

* 後半の3つが、自分の必要のための祈り。

* 共同体としての祈り。「私たち」

①「天にいます私たちの父よ」

* 呼びかけ。

* 神への完全な信頼から生まれる言葉。

* キリストを通して、御霊によって、天の父なる神に祈る。

②「御名があがめられますように」

* 神の偉大さや、性質を思う。

* 過去に受けた祝福を思い出す。

③「御国が来ますように。みこころが天で行われるように…」

* 神の国の前進を祈る。

* 教会、牧師、宣教師、役員、求道者のために祈る。

④「私たちの日ごとの糧をきょうもお与えください」

* 肉体の必要のための祈り。

* 経済的試練、人間関係の試練、病との闘い。

⑤「私たちの負い目をお赦しください」

* 罪の告白が冒頭に来ていない。

* そのままで神の前に出る。

* 他人の罪を赦すことが、自分の罪が赦される条件ではない。

* 罪の赦しを体験した人の強みが、ここに表現されている。

⑥「私たちを試みに会わせないで、悪からお救いください」

* 霊的な戦いの中での守り。

* ヨハネ16:33

* クリスチャンが経験する平安とは、患難の中での平安である。

結論

1. 神は、行為ではなく、心をご覧になる。

2. 常に動機が問われる。

3. 祈りは、父なる神への信頼の表明である。

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