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コリント人への手紙第二(1)あいさつ ―苦しみの中で受ける慰め―1:1~11
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苦しみの中で受ける慰めについて学ぶ。
コリント人への手紙第二 1回
あいさつ ―苦しみの中で受ける慰め―
1 :1~11
はじめに
1.時系列から見たパウロとコリント教会の関係
(1)コリントでの開拓伝道(使18章)
①使18:9~11
②コリントでの宣教は、容易なものではなかった。
③パウロの宣教は1年半続き、複数の家の教会が誕生した。
(2)第1の手紙(「前の手紙」。残っていない)
①1コリ5:9
②パウロは、第一の手紙を書いて、教会の浄化について教えた。
(3)クロエの家の者たちの情報と質問が書かれた教会からの手紙
①1コリ1:11
②1コリ7:1
(4)第2の手紙(コリント人への手紙第一)
①これは、現実問題を取り上げた牧会的書である。
②コリント教会の諸問題が、後の時代の信者たちにとって教訓となる。
(5)「あなた方を悲しませる訪問」
①2コリ2:1
②この訪問は、期待外れの結果に終わった。
(6)第3の手紙(「あの手紙」。残っていない)
①2コリ2:3~4
②第3の手紙は、涙ながらに書かれたものである。
(7)第4の手紙(コリント人への手紙第二)
①パウロは、マケドニアからコリントに向かおうとしている。
②3度目の訪問の準備として、この手紙を書き送った。
③パウロの内面が深く表現されている。
(8)3度目の訪問の予告
①2コリ13:1
2Co 13:1 私があなたがたのところに行くのは、これで三度目です。二人または三人の証人の証言によって、すべてのことは立証されなければなりません。
②「二人または三人の証人の証言」とは、コリント訪問の回数であろう。
2.この手紙の概略
(1)この手紙の差出人はパウロである。
①4度目の手紙である。
(2)宛先はコリント教会である。
①この教会は、パウロの使徒的権威を疑った教会である。
②パウロは、「キリスト・イエスの使徒」としての自己認識を持っていた。
③この手紙は、アカイア全土の諸教会で読まれることを前提に書かれている。
3.アウトライン:イントロダクション
(1)あいさつ(1~2節)
(2)苦しみの中で受ける慰め(3~11節)
4.結論:苦難の意義
苦しみの中で受ける慰めについて学ぶ。
Ⅰ.あいさつ(1~2節)
1.1節
2Co 1:1
神のみこころによるキリスト・イエスの使徒パウロと、兄弟テモテから、
コリントにある神の教会、ならびにアカイア全土にいるすべての聖徒たちへ。
(1)パウロは、自己紹介をもってこの手紙が書き始める。
①パウロが使徒であることを疑う者たちが、コリント教会にいたからである。
②パウロは、自分は「キリスト・イエスの使徒」であると宣言する。
③使徒としての召命は、神の御心によるものである。
④彼は、ダマスコ途上での体験を基に、この確信を語っている。
⑤この確信が、苦難に遭遇するパウロを支え続けた。
⑥パウロがエペソでこの手紙を書いたとき、テモテがそばにいた。
(2)手紙の宛先
①「コリントにある神の教会、ならびにアカイア全土にいるすべての聖徒たちへ」
②「神の教会」とは、この世から呼び出され、新生した信者の群である。
*かつて彼らは、偶像礼拝と道徳的堕落の中にいた。
*パウロの宣教によって彼らは新生した。
*新生していない人には、霊的テーマは理解できない。
*問題は多かったが、それでもパウロは、多くの教会の誕生を喜んでいる。
③コリントの教会以外に、アカイアの諸教会も宛先に含まれている。
*アカイアは、ギリシア南部の地名である。
*マケドニアは、ギリシア北部の地名である。
2.2節
2Co 1:2
私たちの父なる神と主イエス・キリストから、恵みと平安があなたがたにありますように。
(1)パウロは、いつものように祝福のあいさつを送る。
①彼は、金や銀(朽ちるもの)が与えられるようにとは祈らない。
②彼は、霊的祝福が与えられるようにと祈る。
*恵みは、福音を説明するキーワードである。
*平安は、キリストによる救いの完成を描写するキーワードである。
③霊的祝福の源は父なる神である。
④霊的祝福を届けるための管は、主イエス・キリストである。
⑤パウロは、父なる神と主イエス・キリストを同格に置く。
Ⅱ.苦しみの中で受ける慰め(3~11節)
1.3節
2Co 1:3
私たちの主イエス・キリストの父である神、あわれみ深い父、あらゆる慰めに満ちた神がほめたたえられますように。
(1)3~11節で、神への感謝が溢れ出る。
①彼は、苦しみの中で受ける慰めのゆえに、神をたたえる。
(2)パウロがたたえている対象は、神である。
①「私たちの主イエス・キリストの父である神」
②これは、新約聖書における神の御名の啓示である。
③これは、イエス・キリストの神性を啓示する御名である。
④「アブラハム、イサク、ヤコブの神」よりも御名の啓示が進展した。
⑤「あわれみ深い父、あらゆる慰めに満ちた神」とも呼ばれる。
*この神から、すべてのあわれみと慰めが流れ出る。
2.4節
2Co 1:4
神は、どのような苦しみのときにも、私たちを慰めてくださいます。それで私たちも、自分たちが神から受ける慰めによって、あらゆる苦しみの中にある人たちを慰めることができます。
(1)あらゆる苦しみ中に、神の慰めがある。
①パウロは、そのことを日々体験していた。
②「慰め」とは、単なる同情ではなく、励ましや奨励を含むことばである。
(2)慰めが与えられる一つの理由
①自分が受けた慰めによって、苦しみの中にある人たちを慰めることができる。
②慰めの目的は、楽な生活を手に入れることではなく、慰め人になることである。
③これは、苦難の神学である。
3.5節
2Co 1:5
私たちにキリストの苦難があふれているように、キリストによって私たちの慰めもあふれているからです。
(1)他の人を慰めることができる理由は、何か。
①苦難の中で、キリストから十分な慰めを受けるようになるから。
(2)「私たちにキリストの苦難があふれている」
①これは、罪の贖いのための十字架の苦しみではない。
②十字架の苦しみは、キリストだけが経験されたものである。。
③この苦難は、キリストを信じる者が通過する苦難である。
④地上生涯において、キリストはさまざまな苦難を通過された。
⑤キリストに従う者も、さまざまな苦難を通過する。
⑥今も、教会に属する聖徒が苦しむとき、キリストも苦しまれる。
(3)「キリストによって私たちの慰めもあふれている」
①しかし、苦難には同じだけの慰めが伴う。
②キリストから与えられる慰めは、苦難を乗り越えるのに十分である。
3.6節
2Co 1:6
私たちが苦しみにあうとすれば、それはあなたがたの慰めと救いのためです。私たちが慰めを受けるとすれば、それもあなたがたの慰めのためです。その慰めは、私たちが受けているのと同じ苦難に耐え抜く力を、あなたがたに与えてくれます。
(1)パウロが経験する苦しみは、信者たちの慰めと救いにつながる。
①パウロが苦しみに耐えている姿は、信者たちにとって慰めとなる。
②それを見て、信者たちは慰めと救いを得る。
③ここでの「救い」とは、霊的救いではなく、試練に打ち勝つ力のことである。
(2)パウロが受ける慰めは、信者たちの慰めにつながる。
①その慰めは、信者たちにパウロが受けているのと同じ力を与えてくれる。
②その力とは、苦難に耐え抜く力である。
③苦難の中で慰めを受けた者だけが、苦難の中にいる人を慰めることができる。
4.7節
2Co 1:7
私たちがあなたがたについて抱いている望みは揺るぎません。なぜなら、あなたがたが私たちと苦しみをともにしているように、慰めもともにしていることを、私たちは知っているからです。
(1)パウロは、コリントの信者について揺るぎなき望みを抱いている。
①彼らもまた、パウロと同じように苦しんでいる。
②彼らもまた、パウロと同じように慰めを受けている。
5.8節
2Co 1:8
兄弟たち。アジアで起こった私たちの苦難について、あなたがたに知らずにいてほしくありません。私たちは、非常に激しい、耐えられないほどの圧迫を受け、生きる望みさえ失うほどでした。
(1)ここでパウロは、苦難の具体例を挙げる。
①「アジア」とは、小アジア西部の「アジア州」のことである。
②苦難がなんであるかは分からない。
*エペソで起こった暴動(使19:23~41)
*病
*コリントからの残念な知らせ
③苦難の内容が明かされていないので、豊かな適用が可能になる。
(2)それは背負いきれないほどの苦難であった。
①「非常に激しい」
②「耐えられないほどの圧迫」
③「生きる望みさえ失うほど」
6.9節
2Co 1:9
実際、私たちは死刑の宣告を受けた思いでした。それは、私たちが自分自身に頼らず、死者をよみがえらせてくださる神に頼る者となるためだったのです。
(1)パウロは、絶望した。
①死刑の宣告を受けた思いになった。
②自分のうちに頼みとするものは何もなくなった。
(2)それゆえパウロは、神に頼る者となった。
①全能の神である。
②死者をよみがえらせてくださる神である。
③死刑の宣告を受けた者にとっては、死者をよみがえらせる神だけが頼りである。
6.10節
2Co 1:10
神は、それほど大きな死の危険から私たちを救い出してくださいました。これからも救い出してくださいます。私たちはこの神に希望を置いています。
(1)3つの時制による救い(KJV)
①神は、救い出してくださいました(過去)。
②神は、救い出してくださいます(現在)。
③神は、これからも救い出してくださるでしょう(未来)。
(2)エペソの暴動は、突如静まった。
①使20:1
Act 20:1 騒ぎが収まると、パウロは弟子たちを呼び集めて励まし、別れを告げ、マケドニアに向けて出発した。
②この体験をしたパウロは、「この神に希望を置いています」と語っている。
7.11節
2Co 1:11
あなたがたも祈りによって協力してくれれば、神は私たちを救い出してくださいます。そのようにして、多くの人たちの助けを通して私たちに与えられた恵みについて、多くの人たちが感謝をささげるようになるのです。
(1)パウロは、コリントの信者たちの祈りを感謝している。
①信者たちの中には、パウロの権威を疑う者たちもいた。
②しかしパウロは、多くの者たちが祈ってくれていることを前提に感謝している。
*多くの者たちが祈った。
*その祈りが聞かれ、パウロに恵みが与えられた(解放された)。
*祈った多くの者たちが、神に感謝を献げるようになった。
結論:苦難の意義
1.苦難は、神の戒めを学ぶ機会となる。
(1)詩119:71
Psa 119:71
苦しみにあったことは 私にとって幸せでした。/それにより 私はあなたのおきてを学びました。
2.苦難は、神の慰めを経験する機会となる。
(1)詩119:143
Psa 119:143
苦難と窮乏が私に襲いかかっています。/しかし あなたの仰せは私の喜びです。
3.苦難は、祈りが聞かれることを経験する機会となる。
(1)詩86:7
Psa 86:7
苦難の日に 私はあなたを呼び求めます。/あなたが私に答えてくださるからです。
4.苦難は、神の民が神をたたえる機会となる。
(1)詩50:15
Psa 50:15
苦難の日に/わたしを呼び求めよ。/わたしはあなたを助け出し/あなたはわたしをあがめる。」
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