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60分でわかる新約聖書(5)使徒の働き
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使徒の働きについて学ぶ。
60分でわかる新約聖書(5) 「使徒の働き」
1.はじめに
(1)使徒の働きの位置づけ
①新約聖書の中で最も長い書である(28章、1,007節)。
②四福音書に続く唯一の歴史書である。
③パウロ書簡が書かれた背景と状況を説明してくれる書である。
*この書なしには、パウロ書簡を十分に理解することはできない。
*パウロがいかにして使徒になったのかも分からない。
④初代教会の状況を説明してくれる書である。
*使徒の働きがなければ、初期の信者たちが経験した葛藤、失望、神学的課題、希望などを理解することはできなかったであろう。
⑤使徒の働きの重要性を低く見積もってはならない。
(2)タイトル
①伝統的に「使徒の働き」(The Acts of the Apostles)である。
②しかし、使徒たち全員の働きが均等に記録されているわけではない。
*ペテロとパウロだけが強調されている。
*使徒ヨハネは登場するが、彼の言葉は記されていない。
*使徒ヤコブの死は、たった1節の説明で終わっている(使12:12)。
③「ある使徒たちのある働き」(Certain Acts of Certain Apostles)である。
④もっと正確には、「聖霊の働き」である。
*あるいは、「聖霊を通した復活のイエスの働き」である。
(3)著者
①ルカの福音書の著者と同じくルカである。
*使1:1~2
Act 1:1 テオフィロ様。私は前の書で、イエスが行い始め、また教え始められたすべてのことについて書き記しました。
Act 1:2 それは、お選びになった使徒たちに聖霊によって命じた後、天に上げられた日までのことでした。
②ルカは、聖霊に導かれこの書を書いた。
③ルカが使用した資料は、どのようなものか。
*個人的体験(私たち章句)
・使16:10~17、20:5~15、21:1~18、27:1~28:16
*パウロから教えられた情報
・パウロの回心体験
*他の目撃者たちの証言
・使20:4~5
Act 20:4
彼に同行していたのは、ピロの子であるベレア人ソパテロ、テサロニケ人のアリスタルコとセクンド、デルベ人のガイオ、テモテ、アジア人のティキコとトロフィモであった。
彼に同行していたのは、ピロの子であるベレア人ソパテロ、テサロニケ人のアリスタルコとセクンド、デルベ人のガイオ、テモテ、アジア人のティキコとトロフィモであった。
Act 20:5 この人たちは先に行って、トロアスで私たちを待っていた。
・エルサレムの使徒たちと兄弟たちの証言
(4)執筆年代
①エルサレム崩壊(紀元70年)以前である。
②パウロの死(紀元66~68年)以前である。
③皇帝ネロによる迫害(紀元64年)以前である。
④恐らく、紀元60~62年頃であろう。
*ルカは、教会が誕生してから約30年の歴史を記した。
*ルカは、どういう目的をもってこの書を書いたのか。
2.アウトライン:使徒の働きの執筆目的
Ⅰ.パウロの使徒職の擁護
Ⅱ.パウロの無罪性の証明
Ⅲ.キリスト教の普遍性の証明
Ⅳ.キリスト教発展の歴史の提示
Ⅴ.終末的希望の告白
Ⅵ.神の主権の確認
結論:私たちへの適用
使徒の働きについて学ぶ。
Ⅰ.パウロの使徒職の擁護
1.パウロの使徒職を疑う者たちがいた。
(1)1コリ9:1
1Co 9:1
私には自由がないのですか。私は使徒ではないのですか。私は私たちの主イエスを見なかったのですか。あなたがたは、主にあって私の働きの実ではありませんか。
私には自由がないのですか。私は使徒ではないのですか。私は私たちの主イエスを見なかったのですか。あなたがたは、主にあって私の働きの実ではありませんか。
(2)パウロの回心体験の記録が、3度出てくる。
*使9:1~43、22:1~30、26:1~32
2.ペテロとパウロの驚くべき対比が書かれている。
(1)生まれつき足の悪い人の癒し
*使3:1~11、14:8~18
(2)ペテロの影、パウロの手ぬぐいや前掛け
*使5:15~16、19:11~12
(3)ユダヤ人たちにねたみを起させた。
*使5:17、13:45
(4)魔術師シモン、魔術師バル・イエス
*使8:9~24、13:6~11
(5)ドルカスの蘇生、ユテコという青年の蘇生
*使9:36~41、20:9~12
Ⅱ.パウロの無罪性の証明
1.政治権力に対して、パウロの無罪証明をする必要があった。
(1)パウロはローマで獄中生活を送り、裁判の時を待っていた。
①これは、キリスト教の無罪証明の試みでもある。
(2)使徒の働きに記録されている迫害は、2つの例外を除いて、宗教的なもの。
①そのほとんどが、ユダヤ教からの迫害である。
②2つの例外とは、ピリピでの迫害とエペソでの迫害である。
(3)ピリピでの迫害(使16:12~40)
①占いの霊につかれた若い女奴隷を解放した。
②金儲けの望みがなくなったので、彼女の主人たちから訴えられた。
③パウロがローマ帝国の権威に反抗したわけではない。
(4)エペソでの迫害(使19:23~41)
①銀細工人デメテリオが暴走を煽動した。
②町の書記官が、騒ぎを静めた。
Ⅲ.キリスト教の普遍性の証明
1.福音の伝達
(1)人種的広がり
①サマリア人、改宗者(エチオピア人の宦官)、異邦人(コルネリオ)
②アンテオケ教会の誕生
(2)エルサレム教会による認定
①エルサレム会議(使15章)
②異邦人は、恵みと信仰によって救われることを認定した。
③異邦人は、ユダヤ教に改宗しなくてもよい。
(3)福音は、あらゆる人たちに伝わって行った。
①老若男女の区別なく。
②貧富の差に関係なく。
③身分の差に関係なく。
Ⅳ.キリスト教発展の歴史の提示
1.地理的広がり
(1)使1:8
Act 1:8
しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」
しかし、聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリアの全土、さらに地の果てまで、わたしの証人となります。」
①エルサレム、ユダヤ、サマリア、地の果て
②キリスト教は、30年間でエルサレムからローマまで伝わった。
2.教会成長報告
(1)7回出て来る。
①使2:47、6:7、9:31、12:24、16:5、19:20、28:30~31
(2)ローマ世界の辺境の地パレスチナから、首都ローマまで、福音が伝わった。
①ペテロからパウロへの移行が必要であった。
②ユダヤ人伝道から異邦人伝道への移行が必要であった。
(3)ルカは、ルカの福音書の続編に当たる歴史書を書いたのである。
Ⅴ.終末的希望の告白
1.この歴史書には、神学的要素がたっぷり含まれている。
(1)救済論
①ユダヤ人も異邦人も、同じ福音によって救われる。
2.特に重要なのは、終末論である。
(1)使徒の働きの中には、「神の国」(御国)という言葉が8回出て来る。
①ルカの福音書には30回以上出て来る。
(2)使1:6
Act 1:6 そこで使徒たちは、一緒に集まったとき、イエスに尋ねた。「主よ。イスラエルのために国を再興してくださるのは、この時なのですか。」
①「国」とはギリシア語で「バシレイア」であり、「kingdom」である。
②弟子たちは、メシア的王国の成就に関する質問をしているのである。
(3)使28:30~31
Act 28:30 パウロは、まる二年間、自費で借りた家に住み、訪ねて来る人たちをみな迎えて、
Act 28:31 少しもはばかることなく、また妨げられることもなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
①使徒の働きは、パウロが異邦人に神の国を宣べ伝えているところで終わる。
3.教会は、メシア的王国の相続人である。
(1)御国の福音は、ユダヤ人から異邦人に伝わった。
①エルサレムからローマに伝わった。
(2)メシア的王国の約束は、ユダヤ的希望である。
①今や、異邦人もメシア的王国の約束の受取人となった。
②メシア的王国とは、メシアの再臨の後に地上に成就する王国である。
*文字通りの物理的な国である。
*王なるキリストが、エルサレムから統治される。
Ⅵ.神の主権の確認
1.キリスト教の広がりは、神の主権によって導かれたものである。
(1)迫害は、宣教の広がりに貢献した。
①サマリア人伝道と異邦人伝道は、迫害によって散らされなければ起こらなかった。
(2)パウロの伝道旅行を導いたのは、三位一体の神である。
①第二次伝道旅行でパウロがヨーロッパ大陸に渡ったのは、神の導きによる。
②これで、福音が西回りで世界中に伝達されることが決まった。
(3)神は今何をしておられるのか。
①使15:17
Act 15:17 それは、人々のうちの残りの者と/わたしの名で呼ばれるすべての異邦人が、/主を求めるようになるためだ。
②神は、「主の御名で呼ばれる異邦人」を呼び集めておられる。
結論:私たちへの適用
1.ルカが伝えようとしてことを理解しよう。
(1)初期の教会の歴史
(2)初期の信者たちの信仰
(3)神の計画と神の主権
2.初期の信者たちの信仰から学ぼう。
(1)彼らの確信
(2)彼らの献身
(3)彼らの希望
3.現代の『使徒の働き』を書き継ごう。
(1)終末論的希望(再臨とメシア的王国)
(2)神の主権
(3)「主の御名で呼ばれる異邦人」を呼び集めよう。
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