十字架のことば(2)—第1のことば:赦しの祈り—

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第1のことば:赦しの祈りの意味について考えます。

十字架のことば(2)

―第1のことば:赦しの祈り―

ルカ23:32~34

  1.はじめに

(1)「十字架のことば」には7つある。

  ①前半:午前9時から正午までの間の3時間

    *3つのことば

    *他人に関するものである。

②後半:正午から午後3時までの間の3時間

    *4つのことば

    *自分に関するものである。

(2)第1のことばは、赦しの祈りである。

  ①十字架を負って刑場に(「どくろ」と呼ばれている場所)着いた。

  ②イエスの左右に、犯罪人が十字架につけられた。

  ③その時にイエスの口から出たのが、赦しの祈りである。

「そのとき、イエスはこう言われた。『父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何を

しているのか自分でわからないのです』。彼らは、くじを引いて、イエスの着物を分

けた」 (ルカ23:34)

  2.アウトライン

    (1)この祈りと旧約聖書の関係は?

    (2)この祈りは、誰のためのものか?

    (3)この祈りは、聞かれたのか?

  3.結論:この祈りの現代的意味

このメッセージは、第1のことばの意味について考えるものである。

Ⅰ.この祈りと旧約聖書の関係は?

  1.敵に関する代表的な祈りは、復讐を求める祈りである。

    (1)詩137:7~9

    「【主】よ。エルサレムの日に、「破壊せよ、破壊せよ、その基までも」と言ったエド

ムの子らを思い出してください。バビロンの娘よ。荒れ果てた者よ。おまえの私たち

への仕打ちを、おまえに仕返しする人は、なんと幸いなことよ。おまえの子どもたち

を捕らえ、岩に打ちつける人は、なんと幸いなことよ」

(2)エレ15:15

「【主】よ。あなたはご存じです。私を思い出し、私を顧み、私を追う者たちに復讐

してください。あなたの御怒りをおそくして、私を取り去らないでください。私があ

なたのためにそしりを受けているのを、知ってください」

(3)個人的復讐心から出たものではなく、神の義を求める祈りである。

  ①義に飢え渇く度合いによって、この種の祈りに対する応答の度合いが決まる。

  2.旧約的な意味からいえば、十字架に付けられた罪人は、こう祈るべきである。

    (1)「私の死が、私のすべての罪を贖うものとなりますように」

  3.イエスの祈りの特殊性

    (1)復讐を求めたものではない。

(2)敵のために祈った。

(3)イザ53:12の成就である。

「それゆえ、わたしは、多くの人々を彼に分け与え、彼は強者たちを分捕り物として

わかちとる。彼が自分のいのちを死に明け渡し、そむいた人たちとともに数えられた

からである。彼は多くの人の罪を負い、そむいた人たちのためにとりなしをする」

Ⅱ.この祈りは、誰のためのものか?

  1.敵のための祈り

    (1)イスカリオテのユダ

      ①貪欲が彼を支配していた。

      ②銀貨30枚でイエスを売り渡した(奴隷の値段)。

    (2)祭司やパリサイ人

      ①妬み

      ②自己義認

    (3)ピラト

      ①自己保身

      ②恐れ

  2.ローマ兵たちのための祈り

    (1)上官の命令を実行しているだけである。

      ①自分たちの取り分を、さっさと取っている。

  3.群衆のための祈り

    (1)彼らは、赦される必要性を感じていない人々である。

      ①ご利益信仰

      ②政治的メシア像

  4.祈りの根拠

    (1)無知

    「彼らは、何をしているのか自分でわからないのです」

    (2)ローマ兵は、イエスが十字架に付けられている深い背景は、理解していない。

    (3)ユダヤの指導者たちは、イエスが無罪であることを知っていた。

      ①しかし、イエスを拒否する罪のイエスを拒否する罪の重大性を理解していない。

    (4)群衆は、指導者たちの判断の影響を受けている人々である。

    (5)使徒3:17

    「ですから、兄弟たち。私は知っています。あなたがたは、自分たちの指導者たちと

同様に、無知のためにあのような行いをしたのです」

(6)1コリ2:8

「この知恵を、この世の支配者たちは、だれひとりとして悟りませんでした。もし悟

っていたら、栄光の主を十字架につけはしなかったでしょう」

(7)1テモ1:13

「私は以前は、神をけがす者、迫害する者、暴力をふるう者でした。それでも、信じ

ていないときに知らないでしたことなので、あわれみを受けたのです」

Ⅲ.この祈りは、聞かれたのか?

   1.仲介者としての祈りである。

    (1)「父よ」という呼びかけ。

      ①「私たちの父」ではなく、「父」である。

      ②御父と御子の親密な関係を表している。

  2.この祈りは、自らが死ぬことによって聞かれた。

    (1)死の中にあっても、イエスは無力ではない。

①人々を父なる神と和解させる力を持っている。

  3.赦しを受けるためには、信仰による応答が必要である。

    (1)使2:38

    「そこでペテロは彼らに答えた。『悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦してい

ただくために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、

賜物として聖霊を受けるでしょう』」

(2)信仰による応答をするためには、自分もそこにいる必要がある。

  ①私もまた、十字架を見上げる群衆の中にいた。

結論:この祈りの現代的意味

  1.国際関係における赦しの問題

  2.人間関係における赦しの問題

    (1)信仰の成長

      ①知的理解の成長

      ②人間関係の成長

    (2)マタ6:14~15

    「もし人の罪を赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたを赦してくださいます。

しかし、人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの罪をお赦しになりません」

  3.反ユダヤ主義の問題

    (1)マタ27:25

    「すると、民衆はみな答えて言った。『その人の血は、私たちや子どもたちの上にか

かってもいい』」

(2)イエスの祈りは、マタ27:25の言葉を帳消しにした。

  4.キリストの弟子としての心構え

    (1)使7:59~60

    「こうして彼らがステパノに石を投げつけていると、ステパノは主を呼んで、こう言

った。『主イエスよ。私の霊をお受けください』。そして、ひざまずいて、大声でこう

叫んだ。『主よ。この罪を彼らに負わせないでください』。こう言って、眠りについた」

(2)1コリ11:1

「私がキリストを見ならっているように、あなたがたも私を見ならってください」

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