私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ヨハネの福音書(4)最初の宮きよめ ヨハ2:13~22
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このメッセージは、最初の宮きよめについて学ぼうとするものである。
ヨハネの福音書(4)
最初の宮きよめ
ヨハ2:13~22
1.文脈の確認
(1)前書き(1:1~18)
(2)イエスの公生涯(1:19~12:50)
①公生涯への序曲(1:19~51)
②初期ガリラヤ伝道(2:1~12)
③最初のエルサレム訪問(2:13~3:36)
*最初の宮きよめ(2:13~22)
*人の心の中を見抜くイエス(2:23~25)
*ニコデモに対する個人伝道(3:1~21)
*イエスをあがめるバプテスマのヨハネ(3:22~30)
*イエスの卓越性(3:31~36)
2.前回の復習(最初のしるし)
(1)イエスは、古いものを新しいものに置き換えた。
(2)イエスとモーセの対比
①モーセの最初の奇跡は、水を血に変えることであった(出7章)。
*「石の上に刻まれた文字による、死に仕える務め」(2コリ3:7)
②イエスの最初の奇跡は、水をぶどう酒に変えることであった。
*「義とする務めは、なおいっそう栄光に満ちあふれ」(2コリ3:9)
3.この箇所の注目点
(1)雰囲気が激変する。
①カナからエルサレムへ
②婚宴から礼拝へ
(2)ヨハネだけが、最初のエルサレム訪問を記録している。
①ヨハネは、エルサレムでイエスが行ったことに焦点を合わせている。
②ヨハネは、イエスが神の子であることを示そうとしている。
4.アウトライン
(1)イエスのメシア宣言(13~17節)
(2)ユダヤ人たちの視点(18~20節)
(3)弟子たちの視点(21~22節)
5.結論
(1)イエスの愛の本質
(2)3日目の復活の意味
このメッセージは、最初の宮きよめについて学ぼうとするものである。
Ⅰ.イエスのメシア宣言(13~17節)
1.13~14節
Joh 2:13 さて、ユダヤ人の過越の祭りが近づき、イエスはエルサレムに上られた。
Joh 2:14
そして、宮の中で、牛や羊や鳩を売っている者たちと、座って両替をしている者たちを見て、
(1)「ユダヤ人の過越の祭り」
①過越の祭り、七週の祭り(ペンテコステ)、仮庵の祭りは、巡礼祭。
②ヨハネは、エルサレム崩壊後に、一般的な読者のために本書を書いた。
*教会は、過越の祭りを祝わなくなっていた。
③イエスは、律法に従って、巡礼祭を祝うためにエルサレムに上った。
*これは、公生涯に入ってから初めてのエルサレム訪問であった。
*地理的な意味でも、霊的な意味でも、「上り」に当たる。
(2)「宮の中で」
①「宮」は、ギリシア語でヒエロン。
*「宮の中」とは、異邦人の庭のことである。
②「神殿」(19節)は、ギリシア語でナオス。
*聖所の建物ことである。
(3)「牛や羊や鳩を売っている者たちと、座って両替をしている者たち」
①巡礼者の便宜を図るために、いけにえの動物が売られていた。
②両替人もいた。
*ローマのデナリ貨は、皇帝の像が彫られているので、使用不可。
*祭司たちは、ツロ貨しか受け取らなかった(銀の含有量が多い)。
*ツロ貨=4デナリ
*通常のシェケル貨=2デナリ
③ツロ貨の使用
*いけにえの購入のため
*神殿税を支払うため
④成人男子は、2分の1シェケル(1デナリ)を納める(出30:13)。
*ペテロが釣った魚の口からスタテル1枚が出て来た(マタ17:27)。
*ギリシア貨幣の1シェケル=2デナリ(2ドラクマ)
2.15~16節
Joh 2:15
細縄でむちを作って、羊も牛もみな宮から追い出し、両替人の金を散らして、その台を倒し、
Joh 2:16
鳩を売っている者たちに言われた。「それをここから持って行け。わたしの父の家を商売の家にしてはならない。」
(1)宮とは、異邦人の庭である。
①改宗した異邦人は、ここまでしか入れない。
*エルサレムに上って来たギリシア人たち(ヨハ12:20)
*エチオピア人の宦官(使8:27)
②彼らは、静かに祈り礼拝を献げることができなかった。
③神の意図とは大いに異なる。
④イエスは、静かな礼拝が妨害されていることに怒りを覚えた。
(2)イエスは、いけにえの動物、商人、両替人を、宮から追い出した。
①マラ3:1~3には、神殿をきよめる方が突然来るという預言がある。
②この預言は、再臨の時に成就すると考えられる。
(3)「わたしの父の家を商売の家にしてはならない」
①「わたしの父の家」
*ルカ2:49では、これはイエスの自己認識を示すことばであった。
*ここでは、イエスのメシア宣言となっている。
②「商売の家としてはならない」
*商人や両替人たちに営業許可を与えていたのは、最高法院であった。
*サドカイ人やパリサイ人は、彼らから歩合を取っていた。
*特に、大祭司の一家が大きな利益を得ていた。
*大祭司カヤパは、神殿運営をファミリービジネスに変えていた。
3.17節
Joh 2:17
弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が私を食い尽くす」と書いてあるのを思い起こした。
(1)これは、詩69:9の成就である。
①「あなたの家を思う熱心」とは、真の礼拝と神の栄光を慕う情熱である。
②真の礼拝を求めると、不信仰な者からの迫害がやってくる。
③ダビデは、そのことを経験した。
④ダビデの子であるイエスも、そのことを経験するようになる。
⑤イエスは、偽善的な指導者たちに宣戦布告をした。
(2)公生涯における宮きよめ
①イエスは、公生涯の最初と最後に宮きよめを行った。
②これが、十字架に付けられる直接的原因となった。
Ⅱ.ユダヤ人たちの視点(18~20節)
1.18節
Joh 2:18
すると、ユダヤ人たちがイエスに対して言った。「こんなことをするからには、どんなしるしを見せてくれるのか。」
(1)「ユダヤ人たち」とは、神殿を管理している人たちであろう。
①「このようなこと」とは、宮きよめ、つまり、メシアとして行動である。
②「しるし」とは、メシアであることを証明する奇跡である。
③1コリ1:22~24
1Co 1:22 ユダヤ人はしるしを要求し、ギリシア人は知恵を追求します。
1Co 1:23 しかし、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝えます。ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かなことですが、
1Co 1:24 ユダヤ人であってもギリシア人であっても、召された者たちにとっては、神の力、神の知恵であるキリストです。
④彼らは、宮きよめの正当性を問わずに、イエスの権威の証明を迫った。
(2)イエスの行為は、2種類の結果をもたらす。
①信じる者の信仰は、強められる。
②信じない者は、さらなるしるしを求める。
2.19節
Joh 2:19
イエスは彼らに答えられた。「この神殿を壊してみなさい。わたしは、三日でそれをよみがえらせる。」
(1)イエスは、しるしを与えるが、彼らが要求したような形ではない。
①彼らが望むようなしるしを与えても、彼らは信じない。
(2)ここでのイエスの回答は、たとえ話と同じ性質を持っている。
①すぐには分からないので、聞き手は考えざるを得なくなる。
②真理を求める者には、やがて解き明かしが与えられる。
③信じない者には、いつまでも謎のままである。
(3)「この神殿を壊してみなさい。わたしは、三日でそれをよみがえらせる」
①常識的には、神殿(ナオス)の再建を指していると聞こえる。
②しかしイエスは、自分のからだの復活を預言している。
③復活は、不信者のためのヨナのしるしである(マタ12:38~40)。
3.20節
Joh 2:20
そこで、ユダヤ人たちは言った。「この神殿は建てるのに四十六年かかった。あなたはそれを三日でよみがえらせるのか。」
(1)ヘロデ大王による神殿拡張工事は未完であった。
①ヨセフスの記録によれば、ヘロデの第18年(前20~19年)に開始。
②それから46年後は、紀元27~28年。
③この工事は、紀元63年まで続く。
④そして、紀元70年に神殿は破壊される。
(2)「あなたはそれを三日でよみがえらせるのか」
①「あなた」に強調点がある。
②ガリラヤの大工であるあなたごときに、できるはずはない。
(3)ユダヤ人たちはイエスのことばを誤解し、後にそれを悪用した。
①「この神殿を壊してみなさい」は、命令形(条件節)である。
②マタ26:60~61
Mat 26:60 多くの偽証人が出て来たが、証拠は得られなかった。しかし、最後に二人の者が進み出て、
Mat 26:61 こう言った。「この人は、『わたしは神の神殿を壊して、それを三日で建て直すことができる』と言いました。」
③使6:13~14
Act 6:13 そして偽りの証人たちを立てて言わせた。「この人は、この聖なる所と律法に逆らうことばを語るのをやめません。
Act 6:14 『あのナザレ人イエスは、この聖なる所を壊し、モーセが私たちに伝えた慣習を変える』と彼が言うのを、私たちは聞きました。」
Ⅲ.弟子たちの視点(21~22節)
1.21~22節
Joh 2:21
しかし、イエスはご自分のからだという神殿について語られたのであった。
Joh 2:22
それで、イエスが死人の中からよみがえられたとき、弟子たちは、イエスがこのように言われたことを思い起こして、聖書とイエスが言われたことばを信じた。
(1)弟子たちもまた、イエスのことばの意味を理解できなかった。
①メシアの死は、弟子たちの考えの中にはなかった。
②復活を目撃して以降、神殿とはイエスの体であることを理解した。
③今は分からなくても、やがて分かるようになる。
(2)弟子たちは、信仰の進展を経験した。
①復活を目撃した。
②イエスのことばを思い起こした。
③聖書とイエスが言われたことばを信じた。
結論
1 .イエスの愛の本質
(1)神の恵みと神の義は、表裏一体である。
①恵みのない愛はなく、義のない愛もない。
(2)当時のユダヤ人たちは、出32章のイスラエルの民と同じ状態にあった。
①2枚の石板の破壊(裁きの要素)
②2枚の石板の再提供(恵みの要素)
(3)イエスの怒りは、神の栄光が汚されていることへの怒りである。
①汚れた礼拝が排除される。
②清められた礼拝が始まる。
2 .3日目の復活の意味
(1)イエスの預言には、死と3日目の復活ということ以上の意味がある。
(2)礼拝の改革
①いけにえを中心とした神殿での礼拝は、終わろうとしている。
②イエスは古いものを破壊し、新しいものを創造しようとしている。
③エルサレムからの帰路、サマリアの女にこう語られた。
*ヨハ4:23~24
Joh 4:23
しかし、まことの礼拝者たちが、御霊と真理によって父を礼拝する時が来ます。今がその時です。父はそのような人たちを、ご自分を礼拝する者として求めておられるのです。
Joh 4:24
神は霊ですから、神を礼拝する人は、御霊と真理によって礼拝しなければなりません。」
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