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ルカの福音書(18)悪霊につかれた人の癒し4:31~37
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悪霊の追い出しについて学ぶ。
ルカの福音書 18回
悪霊につかれた人の癒し
ルカ4:31~37
1.はじめに
(1)文脈の確認
①悪魔に勝利したイエスは、聖霊の力によってガリラヤ伝道を開始する。
*ガリラヤ伝道の前に、短期間のユダヤ伝道があった(ヨハ1~4章)。
②イエスは、ナザレを訪問した。
③ナザレの人々は、イエスを信じなかった。
④カペナウムを拠点とした奉仕が始まる。
*この状態が、十字架に付く半年前に、ユダヤに向かって出発するまで続く。
*約2年半、ガリラヤを巡回したり、エルサレムに上ったりした。
2.アウトライン
(1)カペナウムでの奉仕(31~32節)
(2)悪霊との対決(33~35節)
(3)うわさの拡がり(36~37節)
3.結論
(1)今日における悪霊の働き
(2)イエスのメッセージの特徴
悪霊の追い出しについて学ぶ。
Ⅰ.カペナウムでの奉仕(31~32節)
1.31節
Luk 4:31
それからイエスは、ガリラヤの町カペナウムに下られた。そして安息日には人々を教えておられた。
(1)ナザレ(標高360m)からカペナウム(標高マイナス200m)までは下りである。
①カペナウムは、ガリラヤの町である(異邦人読者のための情報)。
②漁業の町で、ペテロとアンデレのホームタウンである。
③交通の要衝の地(国境の町)であるため、異邦人たちの往来があった。
④国際都市であるため、新しい教えに対してオープンであった。
⑤地理的にも、政治的にも、文化的にも、伝道の拠点にふさわしい町である。
(2)イザヤ書9章1~2節の預言の成就
①この視点は、マタイが取り上げている。
②イエスは、「死の地と死の陰にすわっていた人々」に奉仕をした。
(3)イエスは、安息日に会堂に行き、人々を教えることを習慣としていた。
①イエス時代のカペナウムの人口は、千人前後と推定される。
②会堂の遺跡が、1900年代初頭に発掘された。
③玄武岩の土台の上に、紀元4世紀の白色石灰石の会堂が建てられている。
④会堂の規模は、縦横20メールで、2階建てである。
⑤会堂での礼拝風景に関しては、すでにナザレの会堂での例を見た。
*トーラーと預言書の朗読の後で、奨励のメッセージが語られる。
2.32節
Luk 4:32
人々はその教えに驚いた。そのことばに権威があったからである。
(1)人々は、イエスの教えに非常に驚いた。
①律法学者の教え
*過去のラビたちの教えを引用し、その上に自分の教えを付け加えた。
②イエスの教え
*イエスは、預言者として、権威ある神のことばをそのまま語った。
*私たちが伝道する際のヒントがここにある。
③ナザレの人々とカペナウムの人々の対比は、鮮明である。
*不信仰と信仰の対比である。
(2)イエスの権威は、一連の奇跡によって可視化される。
①最初に出てくるのが、悪霊の追い出しである。
②次に出てくるのが、ペテロの姑の癒しである。
Ⅱ.悪霊との対決(33~35節)
1.33~34節
Luk 4:33
そこの会堂に、汚れた悪霊につかれた人がいた。彼は大声で叫んだ。
Luk 4:34
「ああ、ナザレの人イエスよ、私たちと何の関係があるのですか。私たちを滅ぼしに来たのですか。私はあなたがどなたなのか知っています。神の聖者です。」
(1)悪霊は、人々よりも先に、イエスがメシアであることを認識した。
①悪霊は、汚れた悪霊である。
*その霊は、悪意を持って行動する。それゆえ悪霊である。
*その霊は、汚れており、汚れをまき散らす。それゆえ汚れた霊である。
②聖霊は、聖い霊である。
*聖霊は、善意を持って行動する。それゆえ慰め主である。
*聖霊は、聖い霊である。それゆえ、信者を聖化に導く。
(2)悪霊につかれた人が、大声で叫んだ。
①叫んでいるのは、その人の内側に住みついている悪霊である。
②福音書では、悪霊につかれた人は、大声で叫ぶことが多い。
(3)叫んだ内容
①「ああ」(Ha!)は、驚きのことばであるが、憤りの意味を含んでいる。
②悪霊は、「ナザレの人イエス」と呼んでいる。
*悪霊を追い出す際には、その悪霊の名を呼んで、支配権を確立した。
*悪霊は、イエスに対して支配権を確立しようとした。
③「私たちと何の関係があるのですか」
*どうして私たちの邪魔をするのですか、という意味である。
*悪霊は、「私たち」と言った。
④「私たちを滅ぼしに来たのですか」
*再び、「私たち」と言った。
*悪霊の集団は、イエスがいかに危険な存在であるかを知っていた。
*荒野の誘惑に失敗した悪魔が、悪霊の集団に情報を伝達したと思われる。
*公生涯の間、光の国と闇の国の戦いは継続する。
*イエスは悪霊を制する権威を使徒たちに与えた(9:1~2、10:9~10、17)。
⑤「私はあなたがどなたなのか知っています。神の聖者です」
*「聖者(Holy One)」とは、神である。
*「神の聖者」(Holy One of God)とは、神の使者という意味である。
*イエスは、聖霊によって力を受け、特別な使命のために遣わされている。
*悪霊は、イエスの権威の源を見抜いている。
*悪霊は、知識は持っているが、信仰は持っていない。
2.35節
Luk 4:35
イエスは彼を叱って、「黙れ。この人から出て行け」と言われた。すると悪霊は、その人を人々の真ん中に投げ倒し、何の害も与えることなくその人から出て行った。
(1)イエスが叱っているのは、悪霊である。
「イエスはこれをしかって、『黙れ、この人から出て行け』と言われた」(口語訳)
①イエスは、悪霊の証しを必要としない。
*悪霊に、「あなたがどなたなのかを知っている」とは言わせない。
*信者と未信者のイエスに関する知識は、大いに異なる。
②イエスは、悪霊の証言を認めない。
*イエスに興味があるかのような印象を与えてしまう。
(2)イエスは、ことばだけで悪霊を追い出した。
①「黙れ」と「この人から出て行け」
②悪霊は、その人を人々の真ん中に投げ倒して出て行った。
③その人は、なんの害も受けなかった。
Ⅲ.うわさの拡がり(36~37節)
1.36~37節
Luk 4:36
人々はみな驚いて、互いに言った。「このことばは何なのだろうか。権威と力をもって命じられると、汚れた霊が出て行くとは。」
Luk 4:37
こうしてイエスのうわさは、周辺の地域のいたるところに広まっていった。
(1)人々はみな驚いた。
①イエスは、通常の悪霊の追い出しとは異なった方法で、悪霊を追い出した。
②命じるだけで、悪霊は従う。
(2)人々は、イエスの教えが権威あるものだと認めた。
①権威ある教えと悪霊の追い出しは、イエスのメシア性を証明するものとなった。
②イエスの評判が、短時間の内にガリラヤ全地に広がるのも当然のことである。
結論
1.今日における悪霊の働き
(1)悪霊につかれた状態
「ある人の中に悪霊が住み、ある種の精神的錯乱や肉体的不調を用いて、その人を直
接的に支配している状態のことである」
(2)2種類の区別が必要である。
①悪霊につかれているのか、精神的原因によるものなのか。
②悪霊につかれているのか、悪霊の攻撃なのか(外からのもの)。
(3)信者は悪霊に支配されない。
①悪霊の所有物にはならない(完全に支配されることはない)。
②しかし、悪霊が一時的に信者を支配することはある。
*使5:3
Act 5:3
すると、ペテロは言った。「アナニア。なぜあなたはサタンに心を奪われて聖霊を欺き、地所の代金の一部を自分のために取っておいたのか。
*エペ4:27
Eph 4:27
悪魔に機会を与えないようにしなさい。
*機会とは、場所、上陸地点のことである。
③信者と未信者の違いは、支配の度合いの違いである。
*信者には2つの性質がある。
*聖霊は新しい性質の内に宿り、悪霊は罪の性質の内に宿る。
(4)福音書の記述は、現代の悪霊の活動を判断するための規準ではない。
①闇の王国は、イスラエルの地に勢力を集中させていた。
2.イエスのメッセージの特徴
(1)愛―イエスは、愛をもって語った。
①律法学者たちは、往々にして、個人的な利得を求めていた。
②イエスは、聴衆の最善を求めた。
(2)いのち―イエスは、人生の重要テーマについて語った。
①律法学者たちは、些細なことを重視した。
②イエスは、生死に関わるテーマを取り上げた。
(3)動き―イエスは、ゴールに向かって語った。
①律法学者たちは、荒野をさ迷うようなメッセージを語った。
*テト1:14
Tit 1:14
ユダヤ人の作り話や、真理に背を向けている人たちの戒めに、心を奪われないようにさせなさい。
②イエスは、人々の心を父なる神に向かわせるメッセージを語った。
(4)絵―イエスは、たとえを用いて語った。
①律法学者たちは、退屈な教えを語った。
②イエスは、理解しやすい方法で霊的真理を語った。
(5)お墨付き(authority)―イエスは、父なる神の権威に基づいて語った。
①律法学者の権威は、前の時代のラビたちに依存している。
②イエスは、父なる神から受けたことばを伝えた。
③イエスがメシアとしての権威を持っていることが証明された。
*悪霊に対する権威
*病に対する権威
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