私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
60分でわかる新約聖書(10)エペソ人への手紙
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エペソ人への手紙について学ぶ。
60分でわかる新約聖書(10)「エペソ人への手紙」
1.はじめに
(1)エペソ人への手紙の位置づけ
①獄中書簡と呼ばれるものが、4つある。
②パウロがローマの獄中にあった時に書かれた書簡である。
③当時パウロは、皇帝ネロによる尋問が行われるのを待っていた。
④4つの書簡
*ピリピ人への手紙:エパフロデトが届けた(ピリ4:18)。
*エペソ人への手紙:テキコが届けた(エペ6:21)。
*コロサイ人への手紙:エパフラスが届けた(コロ4:12)。
*ピレモンへの手紙:オネシモが届けた(ピレ1:10)。
・オネシモは、コロサイの主人の元から逃亡した奴隷である。
(2)パウロとエペソの関わり
①第二次伝道旅行で、パウロの一行はアジアでみことばを語ることを聖霊に
よって禁じられた(使16:6)。
*そのため、マケドニア、アカヤで伝道することになった。
②第二次伝道旅行の最後、エルサレムへの途上、エペソを訪問(使18:19)。
*エペソは、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な港であった。
*世界の七不思議のひとつアルテミス神殿があった。
*パウロは会堂でユダヤ人たちに語りかけたが、良い反応を得た。
③第三次伝道旅行で、約3年にわたってこの町で伝道を継続した。
*その結果、生涯で最大の成果を上げた。
*黙2~3章に出て来る「七つの教会」は、この時期に設立された。
2.メッセージのアウトライン
(1)教理的部分:教会の本質(1~3章)
①キリストにあって選ばれた者たち(1章)。
②新しいひとりの人(2章)。
③奥義(3章)。
(2)実践的部分:7つの歩み(4~6章)
①一致ある歩み(4:1~16)
②清潔な歩み(4:17~32)
③愛のある歩み(5:1~6)
④光の子らしい歩み(5:7~14)
⑤注意深い歩み(5:15~17)
⑥調和ある歩み(5:18~6:9)
⑦勝利ある歩み(6:10~24)
エペソ人への手紙について学ぶ。
Ⅰ.教理的部分:教会の本質( 1 ~ 3 章)。
1 .キリストにあって選ばれた者たち( 1 章)。
(1)父なる神による信者の選び(1:3〜14)
Eph 1:3 私たちの主イエス・キリストの父なる神がほめたたえられますように。神はキリストにあって、天にあるすべての霊的祝福をもって私たちを祝福してくださいました。
①信者が受ける祝福は、筆舌に尽くし難いほど喜ばしいものである。
②私たち信者は、天地創造の前から、キリストにあって選ばれていた。
③この選びの目的は、私たちが「御前で聖く、傷のない者」になるためである。
④神による選びの素晴らしさを理解すると、御名を称えずにはおれなくなる。
⑤天にあるすべての霊的祝福
*私たちは、贖いを受けた。
*奥義を知らされた。
*約束されたものを受け継ぐ者となった。
*聖霊によって証印を押された。
(2)エペソの信者たちのための祈り(1:15〜19)
Eph 1:17 どうか、私たちの主イエス・キリストの神、すなわち栄光の父が、神を知るための知恵と啓示の御霊を、あなたがたに与えてくださいますように。
Eph 1:18 また、あなたがたの心の目がはっきり見えるようになって、神の召しによって与えられる望みがどのようなものか、聖徒の受け継ぐものがどのように栄光に富んだものか、
Eph 1:19 また、神の全能の力の働きによって私たち信じる者に働く神のすぐれた力がどのように偉大なものであるかを、あなたがたが知ることができますように。
(3)教会はキリストのからだである(1:20~23)
Eph 1:23 教会はキリストのからだであり、いっさいのものをいっさいのものによって満たす方の満ちておられるところです。
2 .新しいひとりの人( 2 章)。
(1)死からいのちへ(2:1〜6)
①救われる前のエペソの信者たちは、霊的に死んでいた。
②「空中の権威を持つ支配者として今も働いている霊」に従っていた。
*悪魔に従うことは、神に反抗することである。
③その彼らに、神の愛が示された。それが、イエス・キリストの福音である。
Eph 2:4 しかし、あわれみ豊かな神は、私たちを愛してくださったその大きな愛のゆえに、
Eph 2:5 罪過の中に死んでいたこの私たちをキリストとともに生かし、──あなたがたが救われたのは、ただ恵みによるのです──
Eph 2:6 キリスト・イエスにおいて、ともによみがえらせ、ともに天の所にすわらせてくださいました。
(2)新しいひとりの人(2:7〜18)
①救いは自分の努力で勝ち取るものではなく、すべて神の恵みによる。
②感謝と喜びは、クリスチャン生活の基本的な要素である。
③救いは善行への報酬ではないので、自分の救いを誇れる人は誰もいない。
④異邦人が信仰により教会の一員となったのは、恵み以外の何ものでもない。
Eph 2:14 キリストこそ私たちの平和であり、二つのものを一つにし、隔ての壁を打ちこわし、
Eph 2:15 ご自分の肉において、敵意を廃棄された方です。敵意とは、さまざまの規定から成り立っている戒めの律法なのです。このことは、二つのものをご自身において新しいひとりの人に造り上げて、平和を実現するためであり、
Eph 2:16 また、両者を一つのからだとして、十字架によって神と和解させるためなのです。敵意は十字架によって葬り去られました。
⑤イスラエル人と異邦人との間には、「隔ての壁」があった。
⑥この隔ての壁は、モーセの律法に基づくさまざまな戒めである。
⑦しかし神は、キリストの十字架によって、「隔ての壁」を打ちこわされた。
⑧異邦人もイスラエル人と同じように、信仰によって神の祝福に与ることが
できるようになった。
⑨パウロは教会を「新しいひとりの人」と呼んだ。
(3)神の御住まいである教会(2:19〜22)
Eph 2:20 あなたがたは使徒と預言者という土台の上に建てられており、キリスト・イエスご自身がその礎石です。
①教会の土台は、使徒と預言者である。
②「使徒職の回復」は、聖書的教えとは言えない。
③礎石(かなめ石)は、キリスト・イエスご自身である。
④イスラエル人信者も異邦人信者も、キリストを礎石とする建物に組み合わ
され、全体として成長し、聖なる宮となる。
⑤その宮は、聖霊の働きによって神の住まいとなる。
⑥これが、聖書的教会の姿である。
3 .奥義( 3 章)。
(1)啓示によって知らされた奥義(3:1〜13)
①異邦人もまたイスラエル人と同じ祝福に与るようになった。
②この奥義は、教会時代になって、使徒、預言者たちに啓示されたものである。
③パウロが大胆に伝道できたのは、神の啓示を受けたという確信があったか
らである。
④教会は、「今天にある支配と権威」(悪魔と悪霊)に対して、神の豊かな知
恵と計画のすばらしさを示すための器である。
(2)パウロの第2の祈り(3:14〜21)
Eph 3:16 どうか父が、その栄光の豊かさに従い、御霊により、力をもって、あなたがたの内なる人を強くしてくださいますように。
Eph 3:17 こうしてキリストが、あなたがたの信仰によって、あなたがたの心のうちに住んでいてくださいますように。また、愛に根ざし、愛に基礎を置いているあなたがたが、
Eph 3:18 すべての聖徒とともに、その広さ、長さ、高さ、深さがどれほどであるかを理解する力を持つようになり、
Eph 3:19 人知をはるかに越えたキリストの愛を知ることができますように。こうして、神ご自身の満ち満ちたさまにまで、あなたがたが満たされますように。
Ⅱ.実践的部分: 7 つの歩み( 4 ~ 6 章)
(1)一致ある歩み(4:1~16)
Eph 4:2 謙遜と柔和の限りを尽くし、寛容を示し、愛をもって互いに忍び合い、
Eph 4:3 平和のきずなで結ばれて御霊の一致を熱心に保ちなさい。
Eph 4:4 からだは一つ、御霊は一つです。あなたがたが召されたとき、召しのもたらした望みが一つであったのと同じです。
(2)清潔な歩み(4:17~32)
Eph 4:17 そこで私は、主にあって言明し、おごそかに勧めます。もはや、異邦人がむなしい心で歩んでいるように歩んではなりません。
Eph 4:22 その教えとは、あなたがたの以前の生活について言うならば、人を欺く情欲によって滅びて行く古い人を脱ぎ捨てるべきこと、
Eph 4:23 またあなたがたが心の霊において新しくされ、
Eph 4:24 真理に基づく義と聖をもって神にかたどり造り出された、新しい人を身に着るべきことでした。
(3)愛のある歩み(5:1~6)
Eph 5:1 ですから、愛されている子どもらしく、神にならう者となりなさい。
Eph 5:2 また、愛のうちに歩みなさい。キリストもあなたがたを愛して、私たちのために、ご自身を神へのささげ物、また供え物とし、香ばしいかおりをおささげになりました。
(4)光の子らしい歩み(5:7~14)
Eph 5:8 あなたがたは、以前は暗やみでしたが、今は、主にあって、光となりました。光の子どもらしく歩みなさい。
Eph 5:9 ──光の結ぶ実は、あらゆる善意と正義と真実なのです──
Eph 5:10 そのためには、主に喜ばれることが何であるかを見分けなさい。
(5)注意深い歩み(5:15~17)
Eph 5:15 そういうわけですから、賢くない人のようにではなく、賢い人のように歩んでいるかどうか、よくよく注意し、
Eph 5:16 機会を十分に生かして用いなさい。悪い時代だからです。
Eph 5:17 ですから、愚かにならないで、主のみこころは何であるかを、よく悟りなさい。
(6)調和ある歩み(5:18~6:9)
①夫と妻
Eph 5:22 妻たちよ。あなたがたは、主に従うように、自分の夫に従いなさい。
Eph 5:25 夫たちよ。キリストが教会を愛し、教会のためにご自身をささげられたように、あなたがたも、自分の妻を愛しなさい。
②親と子
Eph 6:1 子どもたちよ。主にあって両親に従いなさい。これは正しいことだからです。
Eph 6:4 父たちよ。あなたがたも、子どもをおこらせてはいけません。かえって、主の教育と訓戒によって育てなさい。
③主人と奴隷
Eph 6:5 奴隷たちよ。あなたがたは、キリストに従うように、恐れおののいて真心から地上の主人に従いなさい。
Eph 6:9 主人たちよ。あなたがたも、奴隷に対して同じようにふるまいなさい。おどすことはやめなさい。あなたがたは、彼らとあなたがたとの主が天におられ、主は人を差別されることがないことを知っているのですから。
(7)勝利ある歩み(6:10~24)
Eph 6:13 ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、いっさいを成し遂げて、堅く立つことができるように、神のすべての武具をとりなさい。
*霊的戦いで勝利するためには、人間の力ではなく、神の力が必要である。
*6つの武具は比喩的言葉。それぞれの役割を論じても意味がない。
*これらの武具のほとんどが、防御的なものであることに注目しよう。
①「真理の帯」
*神のことば、より具体的にはキリストの福音のことであろう。
②「正義の胸当て」
*信仰により、恵みによって義とされているということであろう。
③「平和の福音の備え」
*福音が与えてくれる平安によって心が支配されている状態であろう。
④「信仰の大盾」
*イエスを信じる信仰、父なる神が必要を満たしてくださるという信仰。
*悪魔や悪霊からの誘惑のことを「悪い者が放つ火矢」と表現している。
*これもまた比喩的言葉である。
⑤「救いのかぶと」
*信仰により恵みによって救われたということを、思い出すということ。
⑥「御霊の与える剣」
*これは「神のことば」であり、これだけが攻撃的武器である。
*啓示された神のことば、福音のことば、それらが「御霊の剣」である。
*神の武具はすべて、「みことば」と関係したものである。
*武具の機能を個別に論じるよりも、「みことば」を学び、状況にふさわ
しいみことばを適用する能力を養うことのほうがよほど重要である。
*主イエスも、「みことば」を引用し、サタンに勝利された。
⑦御霊による祈り
Eph 6:18 すべての祈りと願いを用いて、どんなときにも御霊によって祈りなさい。そのためには絶えず目をさましていて、すべての聖徒のために、忍耐の限りを尽くし、また祈りなさい。
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