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創世記(47)—ディナ事件—
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なぜ信者に悲劇が起こるのかを学ぶ。
創世記47 創世記33章18節~34章31節
「ディナ事件」
イントロ:
1.パダン・アラムを出たヤコブ一家が、いよいよカナンの地に入る。
(1)ヤコブは、ペヌエルで祝福を求めて神と戦い勝利した。
(2)ヤコブは、長年恐れていた兄のエソウと平和的に再会した。
(3)しかし、彼はカナンの地の直前でスコテに1年半ほど滞在した。
2.きょうの箇所で、ヤコブの一家はカナンの地に入る。
(1)しかし彼は、ベテルに到着する前にシェケムにとどまった。
(2)そこが悲劇の舞台となる。
3.きょうの箇所
(1)舞台設定‐シェケム到着(33:18~20)
(2)事件‐辱めを受けるディナ(34:1~7)
(3)調停‐ディナをめぐる交渉(34:8~24)
(4)復讐‐シメオンとレビの残忍な行為(34:25~31)
4.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)なぜ信者に悲劇が起こるのか。
(2)神は愛する者を懲らしめる、とはどういうことか(ヘブ12:5~6)。
(3)聖書を読む際の注意点
①その箇所が今の私たちに語られたものかどうか、考える。
②どの箇所にも、霊的適用や教訓が含まれている。
このメッセージは、なぜ信者に悲劇が起こるのかを学ぼうとするものである。
Ⅰ.舞台設定‐シェケム到着(33:18~20)
1.カナンの地に到着
(1)シェケムはカナンの地の内側
(2)「無事に着き」とは、創28:15、31:3の成就(神がともにいる)。
(3)「町の手前で宿営した」
①当時のカナン人の共同体は、都市国家である。
②市民でない遊牧民は、町の外に住む。
*アブラハム、イサクの生活パターン
*ソドムの住民になる前のロトの生活パターン
2.土地の購入
(1)天幕を張った野の一部を購入。
(2)売り手は、ハモルの息子たち(ハモルはシェケムの父親)。
(3)価格は、100ケシタ。
①どれくらいの貨幣価値かは不明。
②ケシタは「羊の刻印のある貨幣」と考える人もいる。羊100頭分か。
(4)シェケムのその後
①ヨセフの骨が埋葬された(ヨシ24:32)。
②スカルの町のヤコブの井戸(ヨハ4章)
(5)ユダヤ人が売買契約によって買った土地
①ヘブロン(アブラハムがエフロンから買った)
②シェケム(ヤコブがハモルの息子たちから買った)
③エルサレム(ダビデがエブス人アラウナから買った)
3.祭壇の建設
(1)族長たちの習慣に則り建設した。
(2)感謝のいけにえを捧げるため
①寄留生活の終了と神の守りへの感謝
②ヤコブが信仰者であったことが証明されている。
(3)「エル・エロヘ・イスラエル」という名称
①「神、イスラエルの神」という意味。
②ヤコブの新しい名(イスラエル)が初めて使われている。
4.疑問
(1)なぜ、スコテに滞在したのか。
(2)なぜ、すぐにベテルに行かないで、シェケムに滞在したのか。
(3)なぜ、土地を買う必要があったのか。
①神からカナンの地の所有権が約束されていたが、まだその時ではない。
②アブラハムやイサクがしなかったことをヤコブはしている。
(4)ヤコブの中に、まだイスラエルという名にふさわしい実質が育っていない。
Ⅱ.事件‐辱めを受けるディナ(34:1~7)
1.ディナはレアの娘である。
(1)シメオンとレビは、同じ両親から生まれた兄たち。
(2)ユダヤ人の娘がカナン人と交流を持つ最初のケースである。
(3)天幕を張っている野から、町へ行った。
2.シェケム
(1)その土地の族長のヒビ人ハモルの息子
(2)ハモルは、都市国家の王である。
(3)シェケムは、ディナをレイプした。
(4)彼はディナに心をひかれ、妻にして欲しいと父のハモルに願った。
①ダビデの息子アムノンは、妹のタマルをレイプした(Ⅱサム13:14~15)。
②アムノンの場合は、行為の後、憎しみが生まれた。
3.ヤコブ
(1)ディナがレイプされた(汚された)ことを聞いた。
①恐らく同行した女奴隷からであろう。
(2)息子たちが帰るまで待った。
①息子たちを決定のプロセスに含めるのが当時の習慣である。
4.シェケムの父ハモル
(1)彼が仲介者であり、調停役である。
5.ヤコブの息子たち
(1)心を痛め、ひどく怒った。
(2)「イスラエルの中で」という言葉
①イスラエルという言葉が、ヤコブの一家全体を指す最初の例である。
②イスラエルは他の民族から分離した特別な民であるとの意識が生まれている。
③イスラエルの中で、恥ずべきこと(レイプ)を行ったからである。
④タマルの言葉。「いけません。兄上。乱暴してはいけません。イスラエルでは、こんなことはしません。こんな愚かなことをしないでください」
Ⅲ.調停‐ディナをめぐる交渉(34:8~24)
1.ハモルの提案
(1)息子のシェケムはディナを恋い慕っている。
(2)彼女を息子の嫁にして欲しい。
(3)互いに縁を結ぼう。
①市民権の提供を示唆している。
②これは、遊牧民が欲しがっていたものである。
③ロトはソドムでそれを手に入れた。
(4)さらに、土地の所有権まで示されている。
(5)ヤコブは、アブラハムやイサクでさえも経験しなかった提案を受けている。
2.シェケムの補足説明
(1)「ご好意にあずかりたい」とは、罪を赦して欲しいということ。
(2)ディナを妻に迎えられるなら、いかなる犠牲も払う。
(3)カナン人の道徳水準は低いが、シェケムの提案は非常に気前がいい。
3.ヤコブの息子たちの逆提案
(1)息子が交渉者になるのは珍しいことではない。
(2)彼らは、罠を用意している。
①無割礼の者に、妹はやれない。
②割礼を受けることが条件
*シェケムだけではない。
*町の住民全員が割礼を受ける。
③割礼を受けないなら、ここを去る。
4.ハモルと息子シェケムの同意
(1)彼らは、ヤコブの息子たちの提案に同意し、すぐにそれを実行に移す。
①割礼の痛みをこらえるのは、ディナへの愛のゆえである。
(2)「シェケムは…、父の家のだれよりも彼は敬われていた」
①ロイヤルファミリーの中で、一番人気があった。
②これが、市民が割礼に同意するベースになっている。
5.市民の説得
(1)町の門:公の裁判、商取引の場所である。
(2)説得の内容
①「あの人たちは私たちと友だちである」。平和な人たちだ。
②彼らを市民として迎えよう。
③彼らと婚姻関係を結ぼう。
④条件は、すべての男子が割礼を受けることである。
⑤そうすれば、彼らの財産は自分たちのものになる(ヤコブへの説明と異なる)。
(3)説得の結果
①市民全員が割礼を受けた。
Ⅳ.復讐‐シメオンとレビの残忍な行為(34:25~31)
1.シェケム大虐殺
(1)時は、割礼を受けて3日目。
①傷が最も痛む時。
②患部が急所なので、痛みはさらに激しい。
(2)ディナの兄のシメオンとレビが犯行に及んだ。
①「難なくその町を襲い、すべての男子を殺した」
②ディナを救出した。
③婦人や子ども、また、町の財産を略奪した。
2.父ヤコブの抗議
(1)私に困ったことをしてくれた。
(2)「私をこの地の住民カナン人とペリジ人の憎まれ者にしてしまった」
(3)自分の一家が、虐殺される可能性が出てきた。
3.息子たちの回答
(1)「私たちの妹が遊女のように取り扱われてもいいのですか」
(2)花嫁料を受け取るなら、まさにディナは遊女のようになる。
(3)彼らの問題は、「過剰防衛」、「やり過ぎ」である。
(4)創49:5~7
①シメオン族は、ユダ部族の中に点在した町々を得ただけ。
②レビ族は、土地がない。
結論
1.躊躇する
ヤコブ
(1)ヤコブは、熱心な祈りによって神の祝福を勝ち取った。
(2)しかし、彼はいまだにヤコブであり、イスラエルにはなり切っていない。
(3)ヤコブには、ベテルに上るだけの霊的準備がなかった。
①地上のもの(土地)へのこだわり
②家庭内にある偶像
③荒削りの息子たち
(4)先に進まない信仰者は、神を見失う。
①創34章には、「神」という言葉が出てこない。
②神はともにいてくださるが、その祝福を味わうことができなくなる。
2.神の押し出し
(1)イスラエル(民族として)がカナン人と同化する危険性が出てきた。
(2)神は、ディナ事件が起こることを許された。
(3)ヤコブに大いなる恐れを与えることによって、彼の背中を押された。
(4)創35章は、神の語りかけで始まる。
①神という言葉が、11回出てくる。
②それ以外の神の御名も出てくる。
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