私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ローマ人への手紙(35)—拒否の現実(2)—
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2つのイスラエルについて学ぶ。
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「拒否の現実(2)―2つのイスラエル―」
1.はじめに
(1)ロマ書9~11章の扱いについて
①省略する(置換神学の立場。教会は新しいイスラエルであると考える)。
②軽視する(これは挿入句的なものである)。
③神が3章も使って啓示しておられる内容が軽いものであるはずがない。
(3)ロマ書全9~11章で、パウロはイスラエルに関する神の義の弁護をしている。
2.文脈の確認
(1)前回の内容(9:1~5)
①パウロの悲しみ(1~3節)
②イスラエル人の7つの特権(4~5節)
*子とされる
*栄光
*契約(複数形)
*律法を与えられること
*礼拝
*約束(複数形)
*先祖たち(族長たち)
(2)こういう特権が与えられているのに、イスラエルはメシアを拒否した。
①神の約束、計画は、挫折したのではないか。
②これは、私たちにとっても重大問題である(100%でなければ信頼できない)。
③この疑問に、パウロは答える。
3.アウトライン
(1)2つのイスラエル(6節)
(2)アブラハムの2人の息子(7~9節)
(3)イサクの2人の息子(10~13節)
4.メッセージのゴール(適用)
(1)現代の教会について
(2)救いについて
(3)使命について
このメッセージは、2つのイスラエルについて学ぶものである。
Ⅰ.
2
つのイスラエル(6節)
1.6節a
「しかし、神のみことばが無効になったわけではありません」
(1)「しかし」
①1~5節で述べたことへの疑問
②では、神のことばは効力を失ったのか。
③パウロはそれに答える。
(2)「神のみことばが無効になったわけではありません」
①「無効になる」は、ギリシア語で「エクピプトウ」である。
②コースから外れる。
(3)聖書の用例(非常に絵画的な言葉で、意味の広がりを感じる)
①ヤコ1:11 (草花が枯れる)
「太陽が熱風を伴って上って来ると、草を枯らしてしまいます。すると、その花
は落ち、美しい姿は滅びます。同じように、富んでいる人も、働きの最中に消え
て行くのです」
②使12:7 (鎖が外れる)
「すると突然、主の御使いが現れ、光が牢を照らした。御使いはペテロのわき腹
をたたいて彼を起こし、『急いで立ち上がりなさい』と言った。すると、鎖が彼の
手から落ちた」
③ガラ5:4 (恵みから落ちる)
「律法によって義と認められようとしているあなたがたは、キリストから離れ、
恵みから落ちてしまったのです」
④使27:26 (打ち上げられる。漂流する)
「私たちは必ず、どこかの島に打ち上げられます」
2.6節b
「なぜなら、イスラエルから出る者がみな、イスラエルなのではなく、」
(1)「なぜなら」
①神のことばは今も有効であることの理由を、これから説明しようとしている。
(2)「イスラエルから出る者がみな、イスラエルなのではなく、」
①ここからパウロは、神の選びについて説明する。
②その説明が、11章の終わりまで続く。
③ロマ書9~11章が難解に感じる理由
*パウロの主張が論理的に理解し難いわけではない。
*「神の選び」という教理に反発を感じるのである。
(3)2つのイスラエル
①「イスラエルから出る者」とは、民族的イスラエル。
*彼らは、アブラハム、イサク、ヤコブの子孫である。
②「イスラエルなのではなく」とは、霊的イスラエル。
③よくある誤解
*イスラエルと教会の区別ではない。
*イスラエルと異邦人の区別でもない。
④民族としてのイスラエルの中に、少数の信仰のあるイスラエルが存在する。
*肉体的にイスラエル人であれば受ける祝福もある。
*しかし、霊的祝福(救い)は、信仰のあるイスラエル人にのみ与えられる。
⑤信仰のあるイスラエルの呼称
*霊的イスラエル
*神のイスラエル(ガラ6:16)
*レムナント(残りの者)
*まことのイスラエル人(ヨハ1:47)
Ⅱ.アブラハムの2人の息子(7~9節)
1.7~8節
「アブラハムから出たからといって、すべてが子どもなのではなく、『イサクから出る者が
あなたの子孫と呼ばれる』のだからです。すなわち、肉の子どもがそのまま神の子どもで
はなく、約束の子どもが子孫とみなされるのです」
(1)創21:12の引用
「すると、神はアブラハムに仰せられた。『その少年と、あなたのはしためのことで、
悩んではならない。サラがあなたに言うことはみな、言うとおりに聞き入れなさい。
イサクから出る者が、あなたの子孫と呼ばれるからだ」
①アブラハムの子孫と言う呼び名は、イサクから出る者に与えられる。
②その背後には、神の選びがある。
(2)アブラハム契約を継承するのは、ひとりである。
①肉の子どもではない。
②約束の子どもである。
2.9節
「約束のみことばはこうです。『私は来年の今ごろ来ます。そして、サラは男の子を産みま
す』」
(1)創18:10の引用
①イサクは、アブラハムの肉の子であると同時に、約束の子です。
(2)イシュマエルとイサクは、同じ父親から生まれた異母兄弟である。
①神は、女奴隷の息子ではなく、正妻の息子を選ばれたのか、という疑問がわく。
②もしそうなら、神の選びは血筋によって影響されたことになる。
③その誤解を解くために、パウロは次の例を取り上げる。
Ⅲ.イサクの2人の息子(10~13節)
1.10節
「このことだけでなく、私たちの父イサクひとりによってみごもったリベカのこともあり
ます」
「それだけではなく、リベカが、一人の人、つまりわたしたちの父イサクによって身ごも
った場合にも、同じことが言えます」(新共同訳)
(1)同じ父と、同じ母から誕生した2人の息子の場合
①エサウとヤコブ
②しかも彼らは、双子であった。
③神の選びが、より鮮明に証明される。
2.11~12節
「その子どもたちは、まだ生まれてもおらず、善も悪も行わないうちに、神の選びの計画
の確かさが、行いにはよらず、召してくださる方によるようにと、『兄は弟に仕える』と彼
女に告げられたのです」
(1)創25:23からの引用
①アブラハム契約の祝福は、イサク、ヤコブと継承される。
(2)神の計画の確実性
①誕生前から、行いによらずに、神の選びがあった。
3.13節
「『わたしはヤコブを愛し、エサウを憎んだ』と書いてあるとおりです」
(1)マラ1:2~3の引用
①「愛し」、「憎む」を誤解してはならない。
(例話)求道中に通った教会でのメッセージ。エサウのような人は神に憎まれる。
②「憎む」とは、感情ではなく、理性的判断である。選びからもれたということ。
③)メシア的約束の継承者は、ひとりの息子である。
④神は主権によって、弟のヤコブを選ばれた。
(2)聖書の歴史を振り返ると、神の選びによって少数の者が選ばれたことが分かる。
①イシュマエルではなく、イサクが選ばれた。
②エサウではなく、ヤコブが選ばれた。
③肉のイスラエルの中から、霊的イスラエルが選ばれた。
④神の約束が無効になったわけではない。
結論
1
.現代の教会について
(1)普遍的教会と地域教会の違い
①普遍的教会とは、ペンテコステから携挙までの間に救われる人の総体である。
②地域教会とは、各地に存在する信者の集合体である。
(2)地域教会の問題点
①イスラエル全体の中に、霊的イスラエルが存在していた。
②地域教会には、真の信仰者とそうでない者とが混在している。
③ちょうど、イスラエル全体と霊的イスラエルの関係のようである。
④教会籍を持っていることは、救いの保証ではない。
(3)私たちへのチャレンジ
①信仰のオーナーシップを回復する。
②主との生きた関係を保持し続けているかどうかが、問題である。
2.救いについて
(1)アブラハム、イサク、ヤコブの子孫というだけでは救われない。
①クリスチャンホームに生まれ、育ったというだけでは救われない。
(2)行いによっては義とされない。
①誕生の前から、神の選びがある。
(3)ヨハ1:12~13
「しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子ど
もとされる特権をお与えになった。この人々は、血によってではなく、肉の欲求や人
の意欲によってでもなく、ただ、神によって生まれたのである」
①血によってではない。
②肉の欲求や人の意欲によってでもない。
③神によって生まれた。
④その名を信じるとは、神の選びに対して霊的に応答することである。
3.使命について
(1)選びには、使命が伴っている。
①イスラエルはそれを理解しなかった。
(2)選びには、苦難が伴う。
①預言者たちの例
②パウロの例
③何よりも、メシアの例
④そして、私たちも。
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