ルカの福音書(96)二階の大広間での出来事(2)22:24~38

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二階の大広間での出来事について学ぶ。

ルカの福音書 96回

二階の大広間での出来事(2)

22 :24~38

1.文脈の確認

(1)イエスの受難(22~23章)

  ①宗教的指導者たちの陰謀(22:1~6)

  ②過越の食事の準備(22:7~13)

  ③二階の大広間での出来事(22:14~38)

  ④イエスの逮捕(22:39~53)

  ⑤イエスの裁判(22:54~23:25)

  ⑥イエスの死(23:26~49)

(2)二階の大広間での出来事(22:14~38)

  ①過越の食事(14~18節)

  ②新しい契約(19~20節)

  ③裏切りの予告(21~23節)

  ④弟子たちへの教え(24~30節)

  ⑤ペテロのつまずきの予告(31~34節)

  ⑥迫害に対する備え(35~38節)

(3)注目すべき点

  ①共観福音書の中では、ルカの記述が最も詳しい。

  ②それよりも詳しいのは、ヨハネの福音書である(13~17章)。

2.アウトライン

(1)弟子たちへの教え(24~30節)

(2)ペテロのつまずきの予告(31~34節)

(3)迫害に対する備え(35~38節)

3.結論

(1)ペテロの体験とヨブの体験

(2)1コリ10:13の意味

二階の大広間での出来事について学ぶ。

Ⅰ.弟子たちへの教え(24~30節)

1.24節

Luk 22:24

また、彼らの間で、自分たちのうちでだれが一番偉いのだろうか、という議論も起こった。

(1)イエスが、自らの死について語った直後に、この出来事が起こった。

  ①第3の杯によって新しい契約が結ばれた直後のことである。

  ②イエスは、数時間後に十字架につけられようとしている。

  ③タイミングも議論の内容も、最悪である。

  ④しかし、弟子たちはメシア的王国がすぐに来ると思い込んでいる。

  ⑤彼らの関心事は、だれが一番偉いかということである。

(2)そこでイエスは、再度、謙遜について教える。

  ①9:46~48で、同じ議論が持ち上がっていた。

  ②イエスは、一人の子どもを立たせ、「一番小さい者が、一番偉い」と教えた。

  ③謙遜に関する教えは、すべての弟子たちにとって重要なものである。

2.25~26節

Luk 22:25

すると、イエスは彼らに言われた。「異邦人の王たちは人々を支配し、また人々に対し権威を持つ者は守護者と呼ばれています。

Luk 22:26

しかし、あなたがたは、そうであってはいけません。あなたがたの間で一番偉い人は、一番若い者のようになりなさい。上に立つ人は、給仕する者のようになりなさい。

(1)イエスは、この世と教会(信者の共同体)の違いについて教える。

  ①この世では、上位の者が下位の者を支配する。

  ②権威を持つ者は、「守護者」(良いわざを行う人)と呼ばれている。

  ③彼らは、タイトルが偉大なだけであって、人格が優れているわけではない。

  ④多くの場合、王たちは残酷な支配者たちであった。

(2)教会の価値観

  ①偉くなりたいなら、一番年の若い者のようになれ。

  ②上に立つ人は、身を低くして仕えよ。

  ③「守護者」のタイトルにふさわしいのは、イエスだけである。

  ④使10:38

Act 10:38
それは、ナザレのイエスのことです。神はこのイエスに聖霊と力によって油を注がれました。イエスは巡り歩いて良いわざを行い、悪魔に虐げられている人たちをみな癒やされました。それは神がイエスとともにおられたからです。

3.27節

Luk 22:27

食卓に着く人と給仕する者と、どちらが偉いでしょうか。食卓に着く人ではありませんか。しかし、わたしはあなたがたの間で、給仕する者のようにしています。

(1)イエスの手本

  ①イエスは、給仕する者のように歩んで来られた。

  ②イエスに従う者は、イエスを模倣する必要がある。

(2)ルカは、異邦人読者を意識しながら、この部分を書いている。

  ①異邦人の文化では、地位や年齢が重視された。

  ②信者は、年齢や身分に関係なく、互いに仕え合うべきである。

4.28~30節

Luk 22:28

あなたがたは、わたしの様々な試練の時に、一緒に踏みとどまってくれた人たちです。

Luk 22:29

わたしの父がわたしに王権を委ねてくださったように、わたしもあなたがたに王権を委ねます。

Luk 22:30

そうしてあなたがたは、わたしの国でわたしの食卓に着いて食べたり飲んだりし、王座に着いて、イスラエルの十二の部族を治めるのです。

(1)今、弟子たちは、誰が一番偉いかと議論している。

  ①間もなく彼らは、イエスを捨てて逃げようとしている。

  ②しかしイエスは、彼らの失敗が一時的なものであることを知っておられた。

(2)謙遜の教えとのバランスで、忠実な弟子たちへの報奨が約束された。

  ①父なる神は子なる神に、メシア的王国での王権を約束された。

  ②イエスは、ダビデの王座に着くために地上に戻って来る。

  ③そのときイエスは、弟子たちにイスラエルの12部族を裁く権威を与える。

  ④この約束は、忠実な生き方への動機づけとなる。

  ⑤次に、弟子たちの忠実さが試される。

Ⅱ.ペテロのつまずきの予告(31~34節)

1.31~32節

Luk 22:31

シモン、シモン。見なさい。サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って、聞き届けられました。

Luk 22:32

しかし、わたしはあなたのために、あなたの信仰がなくならないように祈りました。ですから、あなたは立ち直ったら、兄弟たちを力づけてやりなさい。」

(1)弟子たちは、試練から守られるのではなく、試練の中で守られる。

  ①「シモン、シモン」という呼びかけは、元来のペテロに対するものである。

  ②彼は、一時的に、「ペテロ」(岩)ではなくなる。

  ③サタンは、使徒たち全員(あなたがた)を試すことを許された。

  ④イエスは、ペテロ(あなた)のために祈られた。

    *ペテロが使徒たちの代表となっている。

    *サタンの誘惑よりも、イエスの力のほうがまさっている。

  ⑤「立ち直る」とは、一時的な信仰の後退からの立ち直りである。

  ⑥「兄弟たちを力づけてやりなさい」。

    *他の弟子たちも、失敗する。

    *これは、ペテロがリーダーになることの預言である。

  ⑦ペテロは、復活のイエスに出会う最初の使徒となる。

2.33~34節

Luk 22:33

シモンはイエスに言った。「主よ。あなたとご一緒なら、牢であろうと、死であろうと、覚悟はできております。」

Luk 22:34

しかし、イエスは言われた。「ペテロ、あなたに言っておきます。今日、鶏が鳴くまでに、あなたは三度わたしを知らないと言います。」

(1)イエスが死のうとしていることを認めたのは、ペテロが最初である。

  ①ペテロは、自信過剰であった。

  ②牢であろうと、死であろうと、どこまでもイエスに付いて行くと言う。

  ③これは、「自分にはイエスの祈りは必要ではない」という傲慢なことばである。

  ④人は、成長して初めて、自分ひとりで大きくなったのではないことが分かる。

(2)ペテロのつまずきが予告される。

  ①マコ14:30

Mar 14:30 イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。まさに今夜、鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言います。」

  ②「鶏が二度鳴く」とは、時間を示す用語である。

    *一番鶏は、午前0時。

    *二番鶏は、午前3時。

  ③つまり、ペテロのつまずきが目前に迫っているということである。

Ⅲ.迫害に対する備え(35~38節)

1.35~36節

Luk 22:35

それから、イエスは弟子たちに言われた。「わたしがあなたがたを、財布も袋も履き物も持たせずに遣わしたとき、何か足りない物がありましたか。」彼らは、「いいえ、何もありませんでした」と答えた。

Luk 22:36

すると言われた。「しかし今は、財布のある者は財布を持ち、同じように袋も持ちなさい。剣のない者は上着を売って剣を買いなさい。

(1)この箇所は、ルカ固有の記録である。

  ①イエスがともにいたときには、財布、旅行袋、くつを持つ必要はなかった。

  ②それでも、不足する物はなかった。

  ③その教えが新しい内容に変更される。文脈が変わると、命令も変化する。

(2)イエスがいなくなるので、これから先は、必要な物は持つ。

  ①「財布、袋、剣」は文字どおりに解釈すべきか、比ゆ的に解釈すべきか。

  ②両方可能である。

  ③比ゆ的解釈では、襲ってくる試練への備えを強調しているという意味になる。

3.37節

Luk 22:37

あなたがたに言いますが、『彼は不法な者たちとともに数えられた』と書かれていること、それがわたしに必ず実現します。わたしに関わることは実現するのです。」

(1)イエスは、イザヤ書53章を引用し、自分に適用する。

  ①イザヤ書53章がメシアの受難の預言であることを認めない人がいる。

  ②その人は、イエスの聖書解釈を否定する人である。

(2)弟子たちへの教訓

  ①イエスは、メシア預言どおりに死ぬ。

  ②弟子たちは、激しい迫害に遭遇する。

  ③それゆえ、神への信頼と、霊的備えを確認する必要がある。

4.38節

Luk 22:38

彼らが、「主よ、ご覧ください。ここに剣が二本あります」と言うと、イエスは、「それで十分」と答えられた。

(1)弟子たちは、剣を買うということばを字義どおりに解釈した。

  ①彼らは、剣2本で敵と戦い、イエスを守ろうとした。

  ②「それで十分」とは、「It is enough.」である。

  ③「この話題はここまで」という意味である。

(2)霊的戦いにおいては、物理的な武器は役に立たない。

  ①私たちに必要なのは、神への信頼と、霊的備えである。

  ②弟子たちは、ゲツセマネの園での祈りにおいて、眠りこけることになる。

結論

1.ペテロの体験とヨブの体験

(1)イエスはペテロにこれから起こることを予告した。

  ①サタンがペテロを麦のようにふるいにかけることを許された。

  ②イエスはペテロのために祈った。

(2)これは、ヨブの体験と似ている(ヨブ1:10~11)。

Job 1:10あなたが、彼の周り、彼の家の周り、そしてすべての財産の周りに、垣を巡らされたのではありませんか。あなたが彼の手のわざを祝福されたので、彼の家畜は地に増え広がっているのです。

Job 1:11しかし、手を伸ばして、彼のすべての財産を打ってみてください。彼はきっと、面と向かってあなたを呪うに違いありません。」

(3)霊的戦いの内容

  ①神は、ご自分の民を試すためにサタンを用いることがある。

  ②サタンは、ヨブを苦しめる前に神から許可を得る必要があった。

  ③サタンがもたらす苦しみには、ある限界が設けられた。

  ④それゆえ、サタンがもたらす苦しみは、耐えられないほどのものではない。

2.1コリ10:13の意味

1Co 10:13あなたがたが経験した試練はみな、人の知らないものではありません。神は真実な方です。あなたがたを耐えられない試練にあわせることはなさいません。むしろ、耐えられるように、試練とともに脱出の道も備えていてくださいます。

(1)クリスチャン生活における試練は、誰もが体験することである。

  ①使徒たちもまた、そこを通過した。 

(2)試練の中での慰め

  ①神は私たちを、耐えられないほどの試練に会わせるようなことはしない。

  ②試練とともに脱出の道も備えてくださる。

  ③大祭司であるイエスが、祈っていてくださる。

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