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パートⅠ.葛藤の舞台設定3章 原福音
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救い主の約束について学ぶ。
パートⅠ.葛藤の舞台設定
3章 原福音
イントロダクション
1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマを軸に、聖書の解説を試みようとしている。
(1)「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマは、聖書の歴史哲学の中心である。
2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)
1章 神の国の始まり
2章 悪魔の国の始まり
3章 原福音
3.ここまでの復習
(1)サタンは、悪魔の国を造るという目的をある程度達成したかに見える。
①彼は、天的領域と地上的領域に、自らが支配する国を造った。
②堕落した人間は、サタンの目的に従って利用されるだけの存在となった。
(2)神は、直ちにサタンを滅ぼすこともできたが、そうはしなかった。
①神は、天地創造の前から人間を救う計画を立てておられた。
②神は、堕落した人間を愛し、彼らを救おうとされた。
(3)この章では、神が人間に与えた福音の原型について学ぶ。
①これを原福音と呼ぶ。
4.アウトライン
(1)被造世界の回復
(2)それ以外のものの回復
(3)原福音
救い主の約束について学ぶ。
Ⅰ.被造世界の回復
1.神の国と悪魔の国の葛藤の本質
(1)これは、対等な二者による戦いではない(二元論ではない)。
①被造物であるサタンが、神に挑戦しているのが、この葛藤の本質である。
②神がこの戦いに勝てないとしたら、神はサタン以下の存在になってしまう。
③最終的には、神はサタンを打ち破り、ご自身の計画をすべて成就される。
④その時、神の栄光が完全に現れる。
⑤そういう意味で、聖書が書かれた目的は、神の栄光であると言える。
(2)この戦いは、天と地において行われる。
①エペ6:10~12
Eph 6:10 終わりに言います。主にあって、その大能の力によって強められなさい。
Eph 6:11 悪魔の策略に対して堅く立つことができるように、神のすべての武具を身に着けなさい。
Eph 6:12 私たちの格闘は血肉に対するものではなく、支配、力、この暗闇の世界の支配者たち、また天上にいるもろもろの悪霊に対するものです。
②黙12:7~8
Rev 12:7 さて、天に戦いが起こって、ミカエルとその御使いたちは竜と戦った。竜とその使いたちも戦ったが、
Rev 12:8 勝つことができず、天にはもはや彼らのいる場所がなくなった。
2.聖書が啓示する戦いは、主に地上における戦いである。
(1)聖書は人間に対する啓示の書である。
①とは言え、天における戦いが存在しないわけではない。
(2)地上における戦いのゴールは、被造世界の回復である。
①アダムの堕落によって、被造世界はのろわれた。
*悪魔が、神が創造した世界を破壊したとも言える。
②被造世界の回復とは、エデンの園の状態の回復である。
③被造世界が回復されたとき、神の栄光が現れる。
(3)被造世界の回復について、旧約聖書の預言者たちは数々の預言を語っている。
①旧約聖書の預言のピークは、御国の成就である。
②その先の出来事(新天新地)に関する預言はない。
③御国は、地上において成就する必要がある。
④そうでなければ、神は被造世界を修復できなかったことになる。
⑤使3:21
Act 3:21 このイエスは、神が昔からその聖なる預言者たちの口を通して語られた、万物が改まる時まで、天にとどまっていなければなりません。
*「万物が改まる時」とは、御国が成就する時である。
*御国とは、「メシア的王国」(千年王国)のことである。
*主イエスの再臨によって、地上に御国が成就する。
Ⅱ.それ以外のものの回復
1.御国(千年王国)が成就する前に、いくつかのものが回復される。
(1)霊的死からの復活
①人間は、霊的に死んでしまった(神との断絶)。
②その人間に新しい命を与えるのは、聖霊の御業である。
③これは、「新生」「霊的生まれ変わり」などと呼ばれるものである。
④さらに、人間に、神を愛し、神を慕い求める性質を与える必要がある。
⑤これは、聖霊の内住によって可能になる。
⑥聖霊に満たされた人は、神の御心を喜んで行うようになる。
⑦その人は、悪魔の国の市民から、神の国の市民に移された人である。
⑧ロマ8:13
Rom 8:13 もし肉に従って生きるなら、あなたがたは死ぬことになります。しかし、もし御霊によってからだの行いを殺すなら、あなたがたは生きます。
(2)肉体的死からの復活
①人間は肉体的にも死ぬ運命になった。
②神が行う命の回復は、霊的命だけでなく、肉体的命も含む。
*これは、肉体的死からの復活である。
③人間は、復活の体をもって御国で生きるようになる。
④イエス・キリストの復活は、聖徒の復活の初穗であり、保証である。
(3)地と労働の回復
①アダムの堕落によって、地がのろわれ、労働がのろわれた。
②サタンは、「地を統治する権威」をアダムから略奪した。
③この状態は、神が最初に意図したものとは異なる。
④神は、地と人間の関係を元の状態に回復される。
⑤人間は、神が意図した通りに地を管理するようになる。
*このことが成就するのは、御国(千年王国)においてである。
(4)サタンの追放
①神はサタンを裁き、地上から追放される。
②この追放は、御国が成就する前に、歴史の流れの中で行われる必要がある。
③サタンは歴史の中で神に反抗したので、その決着は歴史の中でつけられる。
Ⅲ.原福音
1.神は、アダムとエバに救い主の約束を与えた。
(1)その約束を与えたタイミングは、サタンが地の支配権を略奪した直後である。
①創3:14~15
Gen 3:14
神である【主】は蛇に言われた。/「おまえは、このようなことをしたので、/どんな家畜よりも、/どんな野の生き物よりものろわれる。/おまえは腹這いで動き回り、/一生、ちりを食べることになる。
Gen 3:15 わたしは敵意を、おまえと女の間に、/おまえの子孫と女の子孫の間に置く。/彼はおまえの頭を打ち、/おまえは彼のかかとを打つ。」
(2)エデン契約からアダム契約への移行
①アダムが堕落したとき、神との最初の契約(エデン契約)が破棄された。
②そこで神は、アダムと新しい別の契約を結ばれた(アダム契約)。
③アダム契約は、4つの部分に分かれている(語りかける相手が4種類いる)。
④ここでは、第1と第2の部分を取り上げる。
2.第1の部分:蛇に対する宣言(創3:14)
(1)蛇にのろいが下った。
①蛇がサタンに悪用されたからである。
②アダムの罪によって、動物界全般がのろわれた。
③その中で、蛇は、あらゆる家畜、あらゆる野の獣よりものろわれた。
④腹這いで歩くのは、のろいが下った証拠である。
*「ちりを食べる」とは、のろわれた状態や敗北した状態を表している。
*詩篇72:9、イザヤ49:23参照
3.第2の部分:サタンに対する宣言(創3:15)
(1)サタンに対して裁きが宣言された。
①その内容は、「原福音」(福音の原型)と呼ばれる極めて重要なものである。
②神は、「女の子孫」を通して贖いの計画を実行される。
(2)創3:15
①神は、サタンと女の間に敵意を置かれる。
②女に対して敵意を置く理由は、人類の救い主が女から誕生するからである。
③サタンはそれを妨害しようとして、人間の女たちを汚そうとする。
*創6:1〜4の記事(堕天使と人間の娘の雑婚)
④「おまえの子孫」とは、反キリストのことである。
⑤系図は普通男性のラインを辿るが、メシアは「女の子孫」と呼ばれている。
*「女の子孫」という言葉は、最初のメシア預言である。
⑥メシアがそう呼ばれる理由は、イザ7:14になって初めて明かされる。
Isa 7:14
それゆえ、主は自ら、あなたがたに一つのしるしを与えられる。見よ、処女が身ごもっている。そして男の子を産み、その名をインマヌエルと呼ぶ。
*イザヤは、メシアが処女降誕によって登場することを預言した。
⑦「サタンの子孫」である反キリストも超自然的な誕生を経験することになる。
*その詳細は、ダニ9:26〜27になって明らかにされる。
Dan 9:26
その六十二週の後、/油注がれた者は断たれ、彼には何も残らない。/次に来る君主の民が、都と聖所を破壊する。/その終わりには洪水が伴い、/戦いの終わりまで荒廃が定められている。
Dan 9:27
彼は一週の間、多くの者と堅い契約を結び、/半週の間、いけにえとささげ物をやめさせる。/忌まわしいものの翼の上に、荒らす者が現れる。そしてついには、定められた破滅が、荒らす者の上に降りかかる。」
*「次に来る君主」とは、反キリストのことである。
*「君主の民」とは、神殿を破壊する民、つまりローマ人のことである。
*反キリストは、ある時点で、ローマ系の婦人から誕生する。
⑧メシアは、サタンの頭を踏み砕く。
*これは、イエスの復活によって部分的に成就した(ヘブ2:14〜18)。
⑨サタンの完全な敗北は、将来起こる出来事である。
*ロマ16:20
Rom 16:20
平和の神は、速やかに、あなたがたの足の下でサタンを踏み砕いてくださいます。/どうか、私たちの主イエスの恵みが、あなたがたとともにありますように。
*黙20:10
Rev 20:10 彼らを惑わした悪魔は火と硫黄の池に投げ込まれた。そこには獣も偽預言者もいる。彼らは昼も夜も、世々限りなく苦しみを受ける。
⑩サタンは、イエスのかかとを打つ。
*かかとにかみつかれるのは痛いが、致命的なことではない。
*イエスの十字架の死は、サタンがかかとにかみついた出来事である。
結論
1.今後、女の子孫の登場を軸に、神の国と悪魔の国の葛藤を追いかけることになる。
2.この葛藤の最終ゴールは、御国である。
3.御国というテーマは、神の国と悪魔の国の葛藤の冒頭から意識すべきものである。
4.御国の理解なくして、聖書の歴史哲学を理解することは不可能である。
5.無千年王国説は、聖書の歴史哲学を理解するための助けとはならない。
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