私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
創世記(21)—アブラハム契約—
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このメッセージでは...
4つの「始まり」について学ぶ。
創世記21 創世記11章27節~12章3節
「アブラハム契約」
イントロ:
1.前回までの復習
(1)創世記には11の区分(トルドット)がある。
(2)きょうの箇所は、第6の区分「テラの歴史」である。
(3)これまでの5つの区分と比べると、非常に長い(11:27~25:11まで)。
(4)アブラム(アブラハム)の重要性
2.メッセージのアウトライン
(1)登場人物の紹介
(2)旅の始まり
(3)神の命令(1)
(4)神の命令(2)
3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)アブラハムと神の友情の始まり
①彼は、3回「神の友」と呼ばれた(Ⅱ歴20:7、イザ41:8、ヤコブ2:23)。
(2)アブラハム契約の始まり
(3)イスラエルの民の選びの始まり
(4)異邦人の救いの始まり
このメッセージは、4つの始まりを教えようとするものである。
Ⅰ.登場人物の紹介
1.テラの3人の息子、アブラム、ナホル、ハラン
2.ロト
(1)「ハランはロトを生んだ」という文が挿入されている。
(2)その理由は、ロトが後に演じる重要な役割のゆえである。
(3)ロトの父ハランは、若くして亡くなり、アブラムが甥のロトの父親役を務める。
3.ミルカ
(1)ナホルはミルカを妻に迎える。
(2)ミルカは兄の娘なので、姪に当たる。
4.サライ
(1)アブラムはサライを妻に迎える。
(2)サライは、異母姉妹である。
(3)「サライは不妊の女で、子どもがなかった」とある。物語の展開の重要な要素になる。
5.テラ
(1)偶像礼拝者
「…アブラハムとナホルとの父テラは、昔、ユーフラテス川の向こうに住んでおり、ほかの神々に仕えていた」(ヨシ24:2)
(2)当時ウルは月神礼拝の中心地であった。
Ⅱ.旅の始まり
1.アブラムは、「あなたの土地とあなたの親族を離れ、わたしがあなたに示す地に行け」という神の声を聞いた(使徒7:2~4)。
2.その地がどこかは、この時点では不明。
3.テラとその家族は移動を開始した。
(1)「カナンの地に行くために」とあるのは、著者の視点。
(2)行き先は分からない。
4.テラは、カランまで来た時、そこに住み着いた。
(1)カランは、その地域で最も重要な町の1つで、ウル同様、月神礼拝の中心地。
(2)結局テラは、205歳になるまでカランに留まり、そこで死ぬ。
5.神の語りかけがアブラムにある。彼は、神からの直接の語りかけを7回受けている。
(1)1回目は、創12:1~3。彼は、カナンの地の外で神の声を聞いた。
(2)2回目は、創12:7。カナンの地に入ってから、彼は神の声を聞いた。
(3)3回目は、創13:14~17で、ロトと分かれた直後。
(4)4回目は、創15:1~21で、アブラハム契約締結の時。
(5)5回目は、創17:1~21で、アブラハム契約のしるしとして割礼の命令を受けた時。
(6)6回目は、創18:1~33で、ソドムの滅びの予告を受けた時。
(7)7回目は、創22:1~2、11~18で、イサクを犠牲にせよとの命令を受けた時。
7.すべてが、アブラハムの生涯のターニングポイントとなっている。
8.この箇所は、アブラハム契約が初めて紹介される箇所である。
Ⅲ.神の命令(1)
1.創世記12:1~3の構文:命令形が2度、それに付随した祝福がそれぞれ3度出てくる。
2.「あなたが『なになに』をすれば、私はあなたに3つの祝福を与える。その祝福に感謝して、さらにあなたが『なになに』をすれば、私はさらにあなたに3つの祝福を与える」
3.最初の命令形(1節)
(1)「行きなさい」:直訳すると、「自分のために行け」となる。
(2)「あなたのためになるから、行け」ということ。
(3)神の祝福の約束は、神が示す地に入ってから有効になる。
(4)これは、速やかに今までの生活環境から分離せよという命令である。
①あなたの生まれ故郷 ウル、ハラン
②あなたの親族
③あなたの父の家(テラはハランに留まったので、この言葉は重要)
④重要性の低いものから最も重要なものへの分離
(5)ヘブル
11:8 「信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました」
4.3つの祝福
(1)アブラムは、大いなる国民となる。大いなる国民とは、イスラエルの民のこと。
(2)アブラムは、神の祝福を受ける。霊的祝福と物質的祝福の約束。
(3)アブラムの名は、大いなるものとなる。
①ユダヤ教、キリスト教、イスラム教はすべて、アブラハムを信仰の父を仰いでいる。
②バベルの塔の事件では、人々は自力で自分の名を上げようとした(創11:4)。
③しかし、彼らの上には神の裁きが下った。
④ここでは、アブラムの従順さに答えて、神が彼の名を上げてくださる。
Ⅳ.神の命令(2)
1.第2の命令(2節)
(1)【新改訳改訂3】「あなたの名は祝福となる」
(2)【口語訳】「あなたは祝福の基となるであろう」
(3)【新共同訳】「祝福の源となるように」
(4)以上の訳の中で、新共同訳だけが「命令形」として訳している。
2.「祝福の源となるように」という文は、命令形である。
(1)アブラムには、周りに人たちを祝福するという使命が与えられた。
(2)その例が、シャレムの王メルキゼデクに対する祝福。
(3)彼はアブラムから祝福を受け、戦利品の10分の1を贈られている(創14章参照)。
3.3つの祝福
(1)「あなたを祝福する者をわたしは祝福する」
①この約束は、後になると、イスラエルの民全体に適用されるようになる(民24:9)。
②この約束は、今も有効である。
(2)「あなたをのろう者をわたしはのろう」
①最初の「のろう」は、ヘブル語の「カラル」で「軽んじる、軽蔑する」という意味。
②次の「のろう」は、ヘブル語の「アオール」で「垣根を立てる、近づくことを禁止する」という意味。つまり、最初の「のろう」よりも、次の「のろう」の方が強い表現になっている。
③ユダヤ人を少しでも軽蔑した者は、神から厳しい処置を受ける。
(3)「地上のすべての民族は、あなたによって祝福される」
①これが、イスラエルの民以外にまで広がる唯一の祝福である。
②これは、「異邦人の霊的祝福」の預言である。
③このことは、何度も再確認される。
*アブラハムに対して(22:18)
*イサクに対して(26:4)
*ヤコブに対して(28:14)
④預言者たちは、異邦人の祝福は「アブラハムの子孫であるメシア」を通して成就すると預言するようになる(イザ42:1、6、49:6、アモ9:11~12参照)。
結論
1.
アブラハムと神の友情の始まり
(1)彼は3度、「神の友」と呼ばれた。
(2)神の友としての歩みは、分離から始まる。
(3)分離のための分離ではなく、祝福をもたらすための分離である。
2.アブラハム契約の始まり
(1)これ以降の聖書を読み解く大原則である。
(2)アブラハム契約の啓示は、徐々に行われる。
3.イスラエルの民の選びの始まり
(1)最初は、アブラムという個人の選び。
(2)それが、民族の選びに発展していく。
(3)全人類を救うための選びである。
4.異邦人の祝福の始まり
(1)ペテロはペンテコステのメッセージで、創12:3を引用している(使徒3:25)。
(2)パウロは、創12:3と異邦人の救いを結び付けている(ガラ3:8)。
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