私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
創世記(20)—セムの歴史—
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聖書の信頼性と聖書の読み方を学ぶ。
創世記20 創世記11章10節~26節
「セムの歴史」
イントロ:
1.前回までの復習
(1)創世記には11の区分(トルドット)がある。
(2)きょうの箇所は、第5の区分「セムの歴史」である。
(3)無味乾燥に見えるが、非常に重要である。
(4)創5章のアダムの系図
①アダムからノアまでの10代
②ノアの3人の息子たちで終わっている。
③セム(メシアの系図)の甥のカナンに関する言及
(5)創11章のセムの系図
①セムからアブラムまでの10代
②テラの3人の息子で終わっている。
③アブラム(メシアの系図)の甥のロトに関する言及
(6)創5章と11章には、差異もある。
①「彼は死んだ」ということばが、11章にはない。
②寿命が短くなっている。
2.メッセージのアウトライン
(1)注目すべき人物
(2)寿命の減少
(3)歴史の継承
(4)アブラム登場の準備
3.きょうのメッセージは、私たちに何を教えているか。
(1)聖書信仰の重要性
(2)聖書の信頼性
(3)聖書の読み方
このメッセージは、聖書の信頼性と聖書の読み方を教えようとするものである。
Ⅰ.注目すべき人物
1.創10:21以降のセムの系図
(1)セム→アルパクシャデ→シュラフ→エベル→2人の息子ペレグとヨクタン
(2)ヨクタンには13人の息子が誕生した。
(3)ペレグに関しての記述はなかった。
(4)彼がメシアの系図につながる人物であるため、一番最後に取り上げられる。
(5)ペレグ→レウ→セルグ→ナホル→テラ→3人の息子アブラム、ナホル、ハラン
2.エベル
(1)その名前の意味は、「渡る」、「過ぎる」、「境を越える」というもの。
(2)エベルはヘブル人の先祖となる人物(創10:21参照)。
(3)イスラエル人たちは他国人に自己紹介するときには、ヘブル人という呼称を用いた。
(4)それには、「川向こうから来た民」という意味があったのだろう。
3.ペレグ
(1)その名前の意味は「分ける」である。
(2)創10:25では、「彼の時代に地が分けられたからである」との説明があった。
(3)バベルの塔事件以降の言葉の混乱とその結果についての言及。
(4)ペレグは、バベルの塔事件と同じ時代に生きていた人物。
4.テラ
(1)その名前の意味は、「月」である。
(2)テラは、元は月神を礼拝する偶像礼拝者であった。
ヨシ24:2 「イスラエルの神、主はこう仰せられる。『あなたがたの先祖たち、アブラハムの父で、ナホルの父でもあるテラは、昔、ユーフラテス川の向こうに住んでおり、ほかの神々に仕えていた』」
(3)カルデヤ人のウルは、月神礼拝の中心地であった。
Ⅱ.寿命の減少
1. 時代が下るに従って寿命が短くなっている。
2. セム(第1世代)とアルパクシャデ(第2世代)の間に見られる大幅な寿命の減少
(1)セムの寿命は600歳(100+500)。
(2)アルパクシャデの寿命は438歳(35+403)。
(3)162歳の減少である。
(4)大洪水以降の地球環境の激変があると思われる。
3.エベル(第4世代)とペレグ(第5世代)の間の寿命の減少
(1)エベルの寿命は464歳(34+430)。
(2)ペレグの寿命は239歳(30+209)。
(3)225歳の減少である。
(4)この減少は、バベルの塔の裁き以降に起きている。
4.年齢の減少は、神の裁きが影響していると思われる。
(1)長寿もまた神の祝福のひとつですが、人類は罪の進展とともにその祝福を失う。
(2)使徒ヨハネの祈り
「愛する者よ。あなたが、たましいに幸いを得ているようにすべての点でも幸いを得、また健康であるように祈ります」(Ⅲヨハ2)
Ⅲ.歴史の継承(伝承の継承)
1. 人類の初期の歴史は、どのようにして後の時代の人々に伝えられたのか。
2. 常識的には、「伝承」を疑いたくなる。
3. 創世記に書かれた年齢を詳細に調べてみると、リンクは3人しかいない。
(1)アダム
①初代のアダムは930歳で死んだが、それは9代目のレメクが56歳の時。
②アダムとレメクとは、生きた時代が56年間重なっていた。
(2)レメク
①9代目のレメクは1651年に777歳で死んだが、それは11代目のシェムが95歳の時。
②レメクとシェムとは、生きた時代が95年間重なっていた。
(3)セム
①11代目のセムは、2156年に600歳で死んだが、それは21代目のイサクが48歳の時。
②セムとイサクとは、生きた時代が48年間重なっていた。
4. アダムとイサクをリンクさせるためには、アダム、レメク、セムの3人で十分。
5.それ以外の驚くべき点
(1)ノアは、アブラムの父テラが128歳になるまで生きていた。
(2)セムとエベルは、テラよりも長生きしている。
(3)エベルは、アブラムよりも長生きしている。
6.人類の初期の歴史の伝承には、何の問題もない。
(1)主イエスは、旧約聖書の権威を認めた。
「まことに、あなたがたに告げます。天地が滅びうせない限り、律法の中の一点一画でも決してすたれることはありません。全部が成就されます」(マタ5:18)
(2)聖書にどの程度の信頼性を置くかによって、その人の信仰の堅固さが決まる。
(3)聖書は神のことばであり、神が語られたことは必ず成就すると信じた人は幸いである。
Ⅳ.アブラム登場の準備
1. 創11章の系図は、アブラムが登場するための準備であり、序曲である。
(1)イスラエルの民の歴史が始まるための準備である。
(2)創11:27から第6の区分が始まる。それが「テラの歴史」。
(3)そのトルドット(区分)は非常に長くて、創25:11まで続く。
2.これまでに人類は3度試されてきた。
(1)エデンの園で、アダムが試された。
(2)大洪水で、ノアとその時代の人々が試された。
(3)バベルでは、人類がノア契約に忠実であるかどうかが試された。
3.しかし、人類は以上の3つの試みにおいてすべて失敗してきた。
4.人類は新しい方向性を必要としていた。
5.第6の区分(創11:27以降)に入ると、創世記の内容は大きく変わる。
(1)全人類の歴史から、ある特定の民族の歴史へと移行する。
(2)多くの土地から、ひとつの土地へと移行する。
(3)アブラムの選びをきっかけとして、その移行が起こる。
結論
1.聖書信仰の重要性を認識する。
2.創世記1章~11章は、全人類の歴史を記録している。
(1)聖書の救いは、すべての民族、個人に向けられている。
3.創世記12章以降では、聖書は極めてヘブル的な書となる。
(1)全人類を救うためにアブラムが選ばれたがゆえに、そのような記述法になる。
(2)ヘブル的視点から読まなければ聖書を十分に理解することはできない。
4.神が啓示された真理を神の方法で理解し、その真理の上に人生を打ち立てる。
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