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サムエル記第一(23)「サウルの性急な誓い」1サム14:24~46
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命題:神への信仰を欠いた熱心さは、かえって神の働きを妨げる。そのことを、サウルの性急な誓いから3つの視点で学んでみよう。
サムエル記第一(23)
「サウルの性急な誓い」
1サム14:24~46
1.文脈の確認
Ⅰ.王政に向けた準備(1~9章)
Ⅱ.サウルの治世(10~31章)
A.サウルの確立(10~14章)
1.サウルを王として選ぶイスラエル(10章)
2.サウルの最初の勝利(11章)
3.サムエルの告別説教(12章)
4.ギルガルでの不従順(13章)
5.ヨナタンの活躍(14章)
(1)ペリシテ人に勝利するヨナタン(14:1~23)
(2)サウルの性急な誓い(14:24~46)
(3)継続するペリシテ人との戦い(14:47~52)
2.注目すべき点
(1)サウルは、神が命じていない性急な誓いを民に課した。
(2)サウルの誓いは、イスラエル軍を弱らせ、勝利を妨げた。
(3)人間的な規則を優先した結果、民は神の律法を破った。「血のままで食べた。」
(4)民は、神とともに働いたヨナタンをサウルの誤った判断から救った。
命題:神への信仰を欠いた熱心さは、かえって神の働きを妨げる。
そのことを、サウルの性急な誓いから3つの視点で学んでみよう。
Ⅰ.性急な誓いが民を弱らせる(24~30節)
1.サウルの性急な誓い(24節)
1Sa 14:24
さて、その日、イスラエル人はひどく苦しんでいた。サウルは、「夕方、私が敵に復讐するまで、食物を食べる者はのろわれよ」と言って、兵たちに誓わせていた。それで兵たちはだれも食物を口にしていなかったのであった。
(1)サウルは兵士たちに、性急な誓いを課した。
①神が命じていない断食を、戦闘中の兵士たちに誓いとして強制した。
(2)「私が敵に復讐するまで」という言葉が重要である。
①戦いの中心が「【主】の戦い」から「サウル自身の復讐」へと移っている。
②ヨナタンは6節で、「【主】がわれわれに勝利をもたらしてくださる」と語った。
2.ヨナタンが蜜を食べる(25~27節)
1Sa 14:25 この地はどこでも、森に入って行くと、地面に蜜があった。
1Sa 14:26 兵たちが森に入ると、なんと、蜜が滴っていたが、だれも手に付けて口に入れる者はいなかった。兵たちは誓いを恐れていたのである。
1Sa 14:27
しかし、ヨナタンは、父が兵たちに誓わせたことを聞いていなかった。彼は手にあった杖の先を伸ばして、蜜蜂の巣に浸し、それを手に付けて口に入れた。すると彼の目が輝いた。
(1)戦闘中なので、本来なら食物を取って体力を回復する必要がある。
①ところがサウルの誓いによって、それができない。
(2)森に入ると地面に蜜があった。
①これは神が備えた食物と見ることができる。
②しかし、民は誓いを恐れて、手を口に持って行く者はいなかった。
(3)ヨナタンは蜜を食べ、元気を取り戻した。
①ヨナタンは父サウルの誓いを聞いていなかった。
②そのため、杖の先を蜜につけて食べた。
③すると、「彼の目は輝いた」。
④「目が輝く」は、元気を回復したことを表すヘブル的な表現である。
3.ヨナタンが下した評価(28~30節)
1Sa 14:28
兵の一人がそれを見て言った。「あなたの父上は、兵たちに堅く誓わせて、『今日、食物を食べる者はのろわれる』とおっしゃいました。それで兵たちは疲れているのです。」
1Sa 14:29 ヨナタンは言った。「父はこの国を悩ませている。ほら、この蜜を少し口にしたので、私の目は輝いている。
1Sa 14:30
もしも今日、兵たちが、自分たちが見つけた敵からの分捕り物を十分食べていたなら、今ごろは、もっと多くのペリシテ人を討ち取っていただろうに。」
(1)誓いについて聞かされたヨナタンは、「父はこの国を悩ませている」と言う。
①「もし今日、兵たちが、見つけた敵からの分捕り物を十分食べていたなら、今
ごろは、もっと多くのペリシテ人を討ち取っていただろうに」
②サウルの命令は霊的に見えながら、神が与えておられる勝利を妨げていた。
(2)24~30節には、非常に鮮明な対比がある。
①神が恵みによって進めておられる働きを、独善的な決断が妨げることがある。
Ⅱ.性急な誓いが民を罪に導く(31~35節)
1.民は疲れ果てる(31節)
1Sa 14:31 その日彼らは、ミクマスからアヤロンに至るまでペリシテ人を討った。それで兵たちはたいへん疲れていた。
(1)イスラエル軍は、ペリシテ人を討った。
①ミクマスからアヤロンまではかなりの距離がある。
②イスラエル軍はペリシテ人を追撃し続けたので、非常に疲れていた。
③単なる戦闘による疲労ではなく、サウルの性急な誓いのゆえである。
④勝利は進んでいたが、その勝利を担う兵士たちは不必要に弱らされていた。
2.民は血のままで肉を食べる(32~34節)
1Sa 14:32 兵たちは分捕り物に飛びかかり、羊、牛、若い牛を取り、その場で屠った。兵たちは血が付いたままで、それを食べた。
1Sa 14:33
すると、「ご覧ください。兵たちが血のままで食べて、【主】に罪を犯しています」と、サウルに告げる者がいた。サウルは言った。「おまえたちは裏切った。今、大きな石を転がして来なさい。」
1Sa 14:34
そしてサウルは言った。「兵の中に散って行って、彼らに言いなさい。『それぞれ自分の牛か羊を私のところに連れて来て、ここで屠って食べなさい。血のままで食べて【主】に罪を犯してはならない。』」兵はみな、その夜、それぞれ自分の手で牛を連れて来て、そこで屠った。
(1)夕方になり、誓いの期限が切れると、兵士たちは分捕り物に飛びついた。
①羊、牛、子牛を地面の上で屠り、「血のついたまま肉を食べた」。
②これは明確な律法違反である(レビ17:10~14)。
(2)サウルは、「あなたがたは裏切った」と非難した。
①サウルの指摘そのものは正しい。
②しかし、サウル自身が、その罪が起こりやすい状況を作った張本人である。
③サウルは、自分の性急な誓いがその原因の一つであることには気づいていない。
(3)サウルは、大きな石の上で動物を屠らせた。
①「血のついたまま食べて、【主】に対して罪を犯してはならない」と命じた。
②サウルには、律法をまったく無視しているわけではないという複雑さがある。
③根本原因である自分自身の誓いについては反省していない。
3.サウルは祭壇を築く(35節)
1Sa 14:35 サウルは【主】のために祭壇を築いた。これは、彼が【主】のために築いた最初の祭壇であった。
(1)サウルは問題が起こってから祭壇を築いた。
①【主】の怒りをなだめるためのものである。
Ⅲ.性急な誓いがヨナタンを死の危険にさらす(36~46節)
1.神がサウルに答えられない(36~37節)
1Sa 14:36
サウルは言った。「夜、ペリシテ人を追って下り、明け方までに彼らからかすめ奪い、一人も残しておかないようにしよう。」すると兵は言った。「あなたが良いと思うようにしてください。」しかし祭司は言った。「ここで、われわれは神の前に出ましょう。」
1Sa 14:37
サウルは神に伺った。「私はペリシテ人を追って下って行くべきでしょうか。彼らをイスラエルの手に渡してくださるのでしょうか。」しかしその日、神は彼にお答えにならなかった。
(1)サウルは夜の追撃を提案した。
①サウルの軍事的判断としては理解できる。
②民も、「あなたが良いと思うようにしてください。」と同意する。
③サウルは再び、神の御心を確認する前に、自分で行動方針を決定している。
(2)祭司がサウルを制止した。
①そこで祭司が、「ここで、われわれは神の前に出ましょう」と言う。
②この時の祭司はアヒヤ(14:3)と考えられる。
③彼はエポデを身に着けていたので、神の御心を尋ねる役割を担っていた。
(3)サウルは神に尋ねた。
①追撃すべきか。
②神は勝利を与えてくださるか。
③本来なら、この質問を最初にすべきであった。
(4)しかし、神は答えられなかった。
①旧約時代、神が祭司を通して答えを与えないことは、重大な意味を持った。
②サウルは、「何か問題がある」と判断する。
③サウルは罪の原因を探すが、自分自身の愚かな判断を問題にしない。
2.くじによってヨナタンが選ばれる(38~43節)
1Sa 14:38 サウルは言った。「民のかしらたちはみな、ここに近寄りなさい。今日、どうしてこの罪が起こったのかを確かめてみなさい。
1Sa 14:39
まことに、イスラエルを救う【主】は生きておられる。たとえ、それが私の息子ヨナタンであっても、必ず死ななければならない。」しかし、民のうちだれも彼に答える者はいなかった。
1Sa 14:40
サウルはすべてのイスラエル人たちに言った。「おまえたちは、こちら側にいなさい。私と息子ヨナタンは、あちら側にいることにしよう。」民はサウルに言った。「あなたが良いと思うようにしてください。」
1Sa 14:41 サウルはイスラエルの神、【主】に「みこころをお示しください」と言った。すると、ヨナタンとサウルが取り分けられ、民は外れた。
1Sa 14:42 サウルは言った。「私か、私の息子ヨナタンかを決めてください。」するとヨナタンが取り分けられた。
1Sa 14:43 サウルはヨナタンに言った。「何をしたのか、私に話しなさい。」ヨナタンは彼に話した。
「確かに、手にあった杖の先で、少しばかりの蜜を口にしました。この私が死ななければなりません。」
(1)サウルは「罪」を探し始める(38~39節)
①「たとえそれが、私の息子ヨナタンにあっても、必ず死ななければならない。」
②一つの性急な誓いの問題を解決するために、さらに性急な誓いを重ねている。
(2)民が沈黙した理由(39節)
①民は、ヨナタンを罪人とは考えていなかった。
②ここで、サウルの評価と民の評価が食い違い始めている。
(3)サウルとヨナタンが選び出される(40~42節)
①祭司のエポデに関係するウリムとトンミムが用いられた可能性がある。
②第1段階:サウルとヨナタンが選ばれる。
③第2段階:ヨナタンが選ばれる。
(4)ヨナタンは正直に告白した(43節)
①物語の最大の皮肉がここにある。
②ペリシテ人から国を救った人物を、王が自分の誓いのために殺そうとしている。
3.民がヨナタンを救う(44~46節)
1Sa 14:44 サウルは言った。「神が幾重にも罰してくださるように。ヨナタン、おまえは必ず死ななければならない。」
1Sa 14:45
民はサウルに言った。「この大勝利をイスラエルにもたらしたヨナタンが死ななければならないのですか。絶対にそんなことはあり得ません。【主】は生きておられます。あの方の髪の毛一本でも地に落ちてはなりません。今日、あの方は神とともにこれをなさったのです。」こうして民がヨナタンを救ったので、彼は死ななかった。
1Sa 14:46 サウルはペリシテ人を追うのをやめて引き揚げ、ペリシテ人は自分たちのところへ帰って行った。
(1)サウルはヨナタンの死を宣告した(44節)
①「神が幾重にも私を罰せられるように」という誓いの形式を用いる。
②最初の誓いを撤回するのではなく、さらに誓いを重ねている。
(2)民がサウルに反対した(45節)
①王政が始まったばかりの時代である。
②民が王の決定を公然と拒否するのですから、非常に重い場面である。
③民には、サウルよりも状況がよく見えていた。
(3)勝利は不完全なまま終わった(46節)
①「ペリシテ人は自分たちの場所へ帰って行った」
②神は大きな勝利を与えられたが、その勝利は十分に拡大されなかった。
結論:今日の信者への適用
1.神のことばにない重荷を、自分や他人に負わせない
(1)断食の誓い → 民の疲労 → 極度の空腹 → 血のついた肉を食べる罪
(2)今日の信者にも同じ危険がある。
(3)人間が作った規則を、神のことばと同じ権威にまで高めてはならない。
2.決断してから神に尋ねるのではなく、決断する前に神に尋ねる
(1)サウルは、「夜のうちにペリシテ人を追って下ろう」と先に計画を立てた。
(2)すると祭司が、「ここで、神の前に出ましょう」と言った。
(3)この順序は今日の信者にも重要である。
3.間違ったときは、自分を正当化するより、間違いを認める
(1)サウルの誓いによって民は苦しんだ。
(2)それでもサウルは、「私の誓いが間違っていた」とは言わない。
(3)特にこれは、指導的立場にある信者にとって重要である(箴28:13)。
「自分の背きを隠す者は成功しない。告白して捨てる者はあわれみを受ける」




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