コリント人への手紙第一(09)教会内の無秩序―近親相姦の罪-5:1~13

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近親相姦の罪に対する対処法について学ぶ。

コリント人への手紙第一 9回

教会内の無秩序

―近親相姦の罪-

5 :1~13

はじめに

1.文脈の確認

(1)イントロダクション(1:1~9)

(2)教会内の分裂(1:10~4:21)

(3)教会内の無秩序(5~6)

  ①近親相姦の罪(5:1~13)

  ②信者同士の裁判(6;1~11)

  ③性的汚れ(6:12~20)

2.注目すべき点

(1)分派の問題は、教会における権威の欠如を示している。

(2)権威が欠如しているので、教会内で懲戒が実行されていない。

(3)パウロは、3つの問題を取り上げる。

  ①近親相姦の罪

  ②信者同士の裁判

  ③性的汚れ

3.アウトライン(近親相姦の罪)

(1)パウロの裁定(1~5節)

(2)過越の祭りからの教訓(6~8節)

(3)罪にとどまる信者との交わり(9~13節)

4.結論 :1コリ5:5の意味

(1)その他の事例

(2)裁きの目的

近親相姦の罪に対する対処法について学ぶ。

Ⅰ.パウロの裁定(1~5節)

1.1節

1Co 5:1

現に聞くところによれば、あなたがたの間には淫らな行いがあり、しかもそれは、異邦人の間にもないほどの淫らな行いで、父の妻を妻にしている者がいるとのことです。

(1)分派の問題に続いて、懲戒の欠如という問題が取り上げられる。

  ①教会の中に、義理の母を妻にしている者がいた。

    *父は死んだか、離婚したかのいずれかである。

    *妻に対する懲戒は書かれていないので、彼女は信者ではないと思われる。

  ②ユダヤ人指導者も、教会の指導者も、近親相姦を重大な罪と理解していた。

    *レビ 18:8

Lev 18:8 あなたの父の妻の裸をあらわにしてはならない。それは、あなたの父の裸をあらわにすることである。

    *申 22:30

Deu 22:30 だれも、父の妻を妻にして自分の父の恥をさらしてはならない。

  ③律法の時代であれば、死罪に値するが、今は恵みの時代である。

    *パウロは、別の解決法を提示する。

  ⑤近親相姦は、異邦人の間にもないほどの淫らな行いである。

    *ローマ法もこれを禁じていた。

    *信者たちは、隣人に伝道しながら、未信者よりも淫らな行いをしていた。

2.2節

1Co 5:2

それなのに、あなたがたは思い上がっています。むしろ、悲しんで、そのような行いをしている者を、自分たちの中から取り除くべきではなかったのですか。

(1) 「あなたがたは思いあがっています」

  ①彼らは、キリスト者の自由をはきちがえていた。

  ②あるいは、寛容の精神を誇りとしていた。

  ③あるいは、この世の価値観の影響を受けていた。

  ④本来は、その罪を嘆き、本人が悔い改めるまで教会から排除すべきであった。

3.3節

1Co 5:3

私は、からだは離れていても霊においてはそこにいて、実際にそこにいる者のように、そのような行いをした者をすでにさばきました。

(1)パウロによる裁定

  ①コリントの信者たちは、教会内の淫らな行いについて無関心であった。

  ②パウロは、使徒の権威を用いてその者をすでに裁いた。

  ③そこに行くまでもなく、あたかもそこにいる者のように、裁きを下した。

  ④1コリ4:5

1Co 4:5
ですから、主が来られるまでは、何についても先走ってさばいてはいけません。主は、闇に隠れたことも明るみに出し、心の中のはかりごとも明らかにされます。そのときに、神からそれぞれの人に称賛が与えられるのです。

    *他の信者の信仰の度合いを先走って裁いてはいけないということ。

    *罪の裁きは、ただちに行う必要がある。

4.4~5節

1Co 5:4

すなわち、あなたがたと、私の霊が、私たちの主イエスの名によって、しかも私たちの主イエスの御力とともに集まり、

1Co 5:5

そのような者を、その肉が滅ぼされるようにサタンに引き渡したのです。それによって彼の霊が主の日に救われるためです。

(1)裁きの内容

  ①コリントの信者とパウロの霊が、主イエスの名によって集まった。

  ②つまり、主イエスの御力(権威)を行使するために集まったのである。

  ③そして、主イエスの名によって、その人をサタンに引き渡した。

(2)裁きの目的

  ①懲戒の目的は、信仰の回復である。

Ⅱ.過越の祭りからの教訓(6~8節)

1.6節

1Co 5:6

あなたがたが誇っているのは、良くないことです。わずかなパン種が、こねた粉全体をふくらませることを、あなたがたは知らないのですか。

(1)過越の祭りを例にとり、道徳的罪を教会から取り除くことの重要性を教える。

  ①ここでの教えは、罪を犯している人のためではなく、教会のためである。

(2)自らの寛容を誇ることは、良くないことである。

  ①わずかのパン種が、粉全体をふくらませる。

  ②道徳的罪は、教会全体に影響を与えるパン種である。

  ③パン種ということばが象徴的に用いられる場合は、罪を指す。

2.7節

1Co 5:7

新しいこねた粉のままでいられるように、古いパン種をすっかり取り除きなさい。あなたがたは種なしパンなのですから。私たちの過越の子羊キリストは、すでに屠られたのです。

(1)パン種は、影響が広がる前に、早めに処置する必要がある。

  ①「新しいこねた粉」とは、パン種の入っていない粉のことである。

    *クリスチャンは、キリストにあって義とされた。

  ② 「古いパン種をすっかり取り除きなさい」

    *聖化が実際生活で実現するように励む必要がある。

(2)過越の祭りでは、子羊をほふった後、種なしパンを食する。

  ①すでに過越の子羊キリストは、ほふられた。

  ②新約時代の信者は、パン種を取り除いた状態で、神を礼拝せねばならない。

3.8節

1Co 5:8

ですから、古いパン種を用いたり、悪意と邪悪のパン種を用いたりしないで、誠実と真実の種なしパンで祭りをしようではありませんか。

(1) 「祭りをしようではありませんか」

  ①これは特定の祭りではなく、クリスチャン生活のことである。

  ②クリスチャンにとっては、毎日が祭りのようなものである。

  ③神の子羊(イエス・キリスト)がほふられたので、パン種のない生活をする。

(2)救われる前の姿

  ①古いパン種

  ②悪意と邪悪のパン種

(3)救われた後の姿

  ①誠実と真実という種なしパン

Ⅲ.罪にとどまる信者との交わり(9~13節)

1.9~10節

1Co 5:9

私は前の手紙で、淫らな行いをする者たちと付き合わないようにと書きました。

1Co 5:10それは、この世の淫らな者、貪欲な者、奪い取る者、偶像を拝む者と、いっさい付き合わないようにという意味ではありません。そうだとしたら、この世から出て行かなければならないでしょう。

(1) 「前の手紙」

  ①この手紙の前に、もう一通の手紙があった。

    *パウロが書いたことがすべて聖書になったわけではない。

  ②「淫らな行いをする者たちと付き合わないように」と書いた。

  ③その真意は、コリントの信者たちに十分に伝わらなかった。

  ④そこで彼は、さらに詳しく指示を出すことにした。

(2)罪人たちとの交際を禁止するなら、コリントの町には住めなくなる。

  ①この世の淫らな者

  ②貪欲な者

  ③奪い取る者

  ④偶像を拝む者

2.11節

1Co 5:11

私が今書いたのは、兄弟と呼ばれる者で、淫らな者、貪欲な者、偶像を拝む者、人をそしる者、酒におぼれる者、奪い取る者がいたなら、そのような者とは付き合ってはいけない、一緒に食事をしてもいけない、ということです。

(1)パウロの勧告は、「兄弟と呼ばれる者」との交わりに関するものである。

  ①信者でありながら、罪の中にとどまっている人とは交わってはならない。

  ②未信者との付き合いよりも、危険である。

  ③「一緒に食事をしてもいけない」は、初代教会の習慣を前提とした命令。

(2)6種類の罪人が例示される。

  ①淫らな者

  ②貪欲な者

  ③偶像を拝む者

  ④人をそしる者(追加)

    *習慣的にことばの罪を犯している人

  ⑤酒におぼれる者(追加)

    *酒に支配されることは罪である。

  ⑥奪い取る者

3.12~13節

1Co 5:12

外部の人たちをさばくことは、私がすべきことでしょうか。あなたがたがさばくべき者は、内部の人たちではありませんか。

1Co 5:13

外部の人たちは神がおさばきになります。「あなたがたの中からその悪い者を除き去りなさい。」

(1)近親相姦に関するパウロの結論

  ①教会外の人たちのことは、神が裁かれるので神に委ねておけばよい。

  ②しかし、教会内の罪の問題に関しては、そのまま放置しておいてはならない。

  ③もし悔い改めないなら、「悪い者」を教会の交わりから取り除く必要がある。

結論:1コリ5:5の意味

1Co 5:5

そのような者を、その肉が滅ぼされるようにサタンに引き渡したのです。それによって彼の霊が主の日に救われるためです。

1.その他の事例

(1)1テモ1:20

1Ti 1:20

その中には、ヒメナイとアレクサンドロがいます。私は、神を冒涜してはならないことを学ばせるため、彼らをサタンに引き渡しました。

  ①これは使徒だけが持っている権威で、私たちにはないものである。

(2)1ヨハ5:16~17

1Jn 5:16

だれでも、兄弟が死に至らない罪を犯しているのを見たなら、神に求めなさい。そうすれば、神はその人にいのちを与えてくださいます。これは、死に至らない罪を犯している人たちの場合です。しかし、死に至る罪があります。これについては、願うようにとは言いません。

1Jn 5:17 不義はすべて罪ですが、死に至らない罪もあります。

2. 裁きの目的

(1)「その肉が滅ぼされるように」

  ①教会の会員である間は、神の守りが与えられている。

  ②しかし、除名になった途端に、神の守りは取り除かれる。

  ③その人は、サタンの攻撃にさらされる。

  ④死期は、サタンによって決められる。

  ⑤寿命が尽きる前に死ぬこともある。

  ⑥ 使5:1~11で、アナニアとサッピラはすぐに死んだ。

  ⑦1コリ11:27~30で、聖餐式を冒とくした者たちへの裁きが語られている。

(2) 「それによって彼の霊が主の日に救われるためです」

  ①懲戒の目的は、信仰の回復である。

  ②肉体の試練は、悔い改めをもたらす可能性がある。

  ③ここでの救いは、厳しい評価を受けることからの救いである。

    *もし悔い改めたなら、より良い評価を受ける道が拓かれる。

    *そうでなくて早死にするなら、罪を犯し続けるということを回避できる。

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