コリント人への手紙第一(10)教会内の無秩序―信者同士の裁判―6:1~11

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信者同士の裁判に対する対処法について学ぶ。

コリント人への手紙第一 10回

教会内の無秩序

―信者同士の裁判―

6 :1~11

はじめに

1.文脈の確認

(1)イントロダクション(1:1~9)

(2)教会内の分裂(1:10~4:21)

(3)教会内の無秩序(5~6)

  ①近親相姦の罪(5:1~13)

  ②信者同士の裁判(6;1~11)

  ③性的汚れ(6:12~20)

2.注目すべき点

(1)分派の問題は、教会における権威の欠如を示している。

(2)権威が欠如しているので、教会内で懲戒が実行されていない。

(3)パウロは、3つの問題を取り上げる。

  ①近親相姦の罪

  ②信者同士の裁判

  ③性的汚れ

(4)ユダヤ人の場合は、共同体や会堂の長老たちの裁定を仰いだ。

(5)ギリシア人の場合は、法廷闘争を好んだ。

  ①コリント教会の問題は、聖書的自己認識の欠如にあった。

  ②教会は、キリストによって贖われた共同体である。

  ③教会は、終末的な共同体である。

3.アウトライン(信者同士の裁判)

(1)教会の恥(1~6節)

(2)パウロの裁定(7~11節)

4.結論:現代のクリスチャンが直面するチャレンジ

信者同士の裁判に対する対処法について学ぶ。

Ⅰ.教会の恥(1~6節)

1.1節

1Co 6:1

あなたがたのうちには、仲間と争いを起こしたら、それを聖徒たちに訴えずに、あえて、正しくない人たちに訴える人がいるのですか。

(1)2人の信者が、お互いをこの世の法廷に訴えている。

  ①「仲間」(隣人)は、文脈上、他の信者である。

  ②「正しくない人たち」は、不信者(教会外の人)である。

  ③異邦人の信者が、不信者の裁判官に裁定を仰いだのである。

  ④これ自体が、コリント教会が健全に機能していないことを示している。

2.2節

1Co 6:2

聖徒たちが世界をさばくようになることを、あなたがたは知らないのですか。世界があなたがたによってさばかれるのに、あなたがたには、ごく小さな事件さえもさばく力がないのですか。

(1) 「あなたがたは知らないのですか」

  ①この章に6回出てくる(2、3、9、15、19節)。

  ②それに続いて、重要なテーマが教えられる。

(2) 「聖徒たちが世界をさばくようになる」

  ①この裁きは、主イエスの再臨の直後に行われる。

  ②パウロは、この教理をコリントの信者たちに教えていたに違いない。

  ③1テサ4:17

1Th 4:17
それから、生き残っている私たちが、彼らと一緒に雲に包まれて引き上げられ、空中で主と会うのです。こうして私たちは、いつまでも主とともにいることになります。

  ④信者は将来、不信者を裁くようになる(終末論的自己認識)。

  ⑤それゆえ、信者は今、相互間の些細な争いを裁くことができるはずである。

3.3~4節

1Co 6:3

あなたがたは知らないのですか。私たちは御使いたちをさばくようになります。それなら、日常の事柄は言うまでもないではありませんか。

1Co 6:4

それなのに、日常の事柄で争いが起こると、教会の中で軽んじられている人たちを裁判官に選ぶのですか。

(1) 「あなたがたは知らないのですか」

  ①2度目の登場

(2) 「私たちは御使いたちをさばくようになります」

  ①神はパウロを通して、この驚くべき真理を啓示された。

  ②信者は、将来、御使いたちを裁くようになる(終末論的自己認識)。

  ③ユダ6

Jud 1:6
またイエスは、自分の領分を守らずに自分のいるべき所を捨てた御使いたちを、大いなる日のさばきのために、永遠の鎖につないで暗闇の下に閉じ込められました。

  ④それなのに、日常の事項の争いが起こると、不信者のように振舞っている。

  ⑤教会が評価していない不信者の裁判官に裁定を仰いでいる。

4.5~6節

1Co 6:5

私は、あなたがたを恥じ入らせるために、こう言っているのです。あなたがたの中には、兄弟の間を仲裁することができる賢い人が、一人もいないのですか。

1Co 6:6

それで兄弟が兄弟を告訴し、しかも、それを信者でない人たちの前でするのですか。

(1)「 あなたがたを恥じ入らせるために、こう言っているのです」

  ①恥とは、教会の中に兄弟の間を仲裁することができる賢人がいないということ。

  ②豊かな御霊の賜物は、どこに行ったのか。

  ③聖霊の内住と導きは、どこに行ったのか。

(2)兄弟が兄弟を不信者の裁判官の前で告訴するのは、恥ずべきことである。

  ①その人は、教会よりも、世の法廷に訴えた方が正義を得られると考えている。

Ⅱ.パウロの裁定(7~11節)

1.7~8節

1Co 6:7

そもそも、互いに訴え合うことが、すでにあなたがたの敗北です。どうして、むしろ不正な行いを甘んじて受けないのですか。どうして、むしろ、だまし取られるままでいないのですか。

1Co 6:8

それどころか、あなたがた自身が不正を行い、だまし取っています。しかも、そのようなことを兄弟たちに対してしています。

(1)パウロは、当事者の信者に語りかけるが、内容は教会全体に向けたものである。

  ①訴訟の内容は、民事事件である(ビジネス関連か、土地の問題)。

  ②互いに訴え合うことが、判決が下る前にすでに負けていることをしめしている。

  ③愛を第一とする者が、主にある兄弟を訴えるのは、不名誉なことである。

  ④敗北よりもすぐれた方法がある。

    *不正な行いを甘んじて受ける。

    *だまし取られるままでいる。

(2)コリントの信者たちの罪

  ①これらのすぐれた方法を実行していない。

  ②自分自身が不正を行い、だまし取っている。

  ③そのようなことを兄弟たちに対してしている。

2.9~10節

1Co 6:9

あなたがたは知らないのですか。正しくない者は神の国を相続できません。思い違いをしてはいけません。淫らな行いをする者、偶像を拝む者、姦淫をする者、男娼となる者、男色をする者、

1Co 6:10

盗む者、貪欲な者、酒におぼれる者、そしる者、奪い取る者はみな、神の国を相続することができません。

(1) 「あなたがたは知らないのですか」

  ①3度目の登場

(2)「あなたがた自身が不正を行い」(8節)の動詞は、「アディケオウ」である。

  ①この動詞を基に、「正しくない者」(アディコス)のリストアップに入る。

  ②パウロは、思い浮かぶ順番に「正しくない者」を挙げていると思われる。

  ③「正しくない者」とは、誰か。

    *信者であっても、不正を行い、正しくない者になる可能性がある。

    *この文脈では、「正しくない者」は不信者を指している。

    *不信者の特徴は、習慣的に不正を行うということである。

  ④「正しくない者」は神の国を相続できない(神の国に入ることができない)。

(3)「正しくない者」のリスト

  ①淫らな行いをする者

  ②偶像を拝む者

  ③姦淫をする者

  ④男娼となる者

  ⑤男色をする者

  ⑥盗む者

  ⑦貪欲な者

  ⑧酒におぼれる者

  ⑨そしる者

  ⑩奪い取る者

3.11節

1Co 6:11

あなたがたのうちのある人たちは、以前はそのような者でした。しかし、主イエス・キリストの御名と私たちの神の御霊によって、あなたがたは洗われ、聖なる者とされ、義と認められたのです。

(1)コリントの信者たちは、救われる前はそのような者であった。

  ①それゆえ、新生した者として、神の召しにふさわしい歩みをすべきである。

  ②救いが保証されていることは、放縦生活の口実にはならない。

  ③行いのない信仰は、死んだ信仰である。

  ④放縦な生活を続ける者は、本当に救われているかどうか吟味すべきである。

(2)彼らは、三位一体の神によって救われた。

  ①聖霊によって洗われた。

    *テト3:5

Tit 3:5
神は、私たちが行った義のわざによってではなく、ご自分のあわれみによって、聖霊による再生と刷新の洗いをもって、私たちを救ってくださいました。

  ②御子にあって聖なる者とされた。

    *1コリ1:2

1Co 1:2
コリントにある神の教会へ。すなわち、いたるところで私たちの主イエス・キリストの名を呼び求めているすべての人とともに、キリスト・イエスにあって聖なる者とされ、聖徒として召された方々へ。主はそのすべての人の主であり、私たちの主です。

  ③父なる神の前で義と認められた。

    *ロマ8:33

Rom 8:33 だれが、神に選ばれた者たちを訴えるのですか。神が義と認めてくださるのです。

結論:現代のクリスチャンが直面するチャレンジ

1.ギリシア・ローマ文明における同性愛

(1)男性同士の性行為は、社会的に容認されていた。

(2)プラトンの「饗宴」の中には、同性愛を称賛する演説が含まれている。

(3)最初の15人のローマ皇帝のうち14人が同性愛者であったと言われている。

(4)若い男性が年上のメンターと性的な関係を持つことがよくあった。

2.日本の戦国時代における同性愛

(1)「衆道」(しゅどう)として知られ、社会的に容認されていた。

(2)これは、若い武士(小姓)と年長の武士との間の愛情や性的な関係を指す。

(3)これは、教育的な要素を含むメンターとメンティーの関係でもあった。

(4)「衆道」は、当時の日本における歴史的、文化的文脈の中で理解すべきである。

3.男娼となる者

(1)ギリシア語で「マラコス」である。

(2)物理的な意味では、柔らかい物質や布、軟弱な物体を指す。

(3)男性に対して使われる場合は、否定的な意味合いを持つ。

  ①身体的または精神的に軟弱で、非男性的である。

  ②古代ギリシア社会における男性の理想像とはかけ離れている。

(4)この用語が同性愛の文脈で使われる場合は、受動的な役割を取る男性を指す。

(5)報酬を得て性的なサービスを提供する男娼を指す場合もある。

  ①アポロ神殿には、男女の礼拝者たちを客とする神殿男娼がいた。

4.男色をする者

(1)ギリシア語で「アルセノコイティス」である。

(2)「アルセン」が「男性」を、「コイテー」が「床、寝床」(性的な行為)を指す。

(3)多くの学者が、同性間の性的行為、特に男性同士の行為を指すと解釈している。

(4)「マラコス」は受動的な役割、「アルセノコイティス」は能動的な役割を果たす。

5.現代のクリスチャンが直面するチャレンジ

(1)現代社会の道徳的基準によって聖書を再解釈するという誘惑がある。

  ①聖書は、字義通りに解釈する必要がある。

(2)LGBTの方々に対して極端な対応をするという危険性がある。

  ①行為は憎んでも、本人を憎んではならない。

  ②LGBTの方々を無視したり、軽蔑したり、憎んだりしてはならない。

  ③私たちはみな罪人であり、そこから救われた。

  ④教会は、罪人が新生体験をする場とならなければならない。

(3)愛を強調するあまり、妥協してしまう可能性がある。

  ①愛をもって真実を語り続けるのは、クリスチャンにとって最大の挑戦である。

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