ルカの福音書(92)神殿崩壊の予告-終末時代を生き延びる秘訣-21:5~36

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イエスが語った預言について考える。

ルカの福音書 92回

神殿崩壊の予告-終末時代を生き延びる秘訣-

21 :5~36

1.文脈の確認

(1)エルサレムでの奉仕(19:28~21:38)。

  ①勝利の入城(19:28~44)

  ②諸々の教え(19:45~21:4)

  ③神殿崩壊の予告(21:5~36)

  ④まとめ(21:37~38)

(2)注目点

  ①この箇所は、ルカによるオリーブ山の説教である。

②神殿崩壊のしるし、再臨のしるし、世の終わりのしるしを区別する。

2.アウトライン

(1)教会時代の特徴(5~9節)

(2)終わりの時代のしるし(10~19節)

(3)神殿崩壊のしるし(20~24節)

(4)再臨のしるし(25~33節)

(5)霊的備え(34~36節)

3.結論:適用

イエスが語った預言について考える。

Ⅰ.教会時代の特徴(5~9節)

1.5~6節

Luk 21:5

さて、宮が美しい石や奉納物で飾られている、と何人かが話していたので、イエスは言われた。

Luk 21:6

「あなたがたが見ているこれらの物ですが、どの石も崩されずに、ほかの石の上に残ることのない日が、やって来ます。」

(1)人々が神殿の素晴らしさに感動していたので、イエスはこの説教をされた。

  ①神殿は永遠ではなく、破壊される日がやってくる。

(2)内容は、オリーブ山での説教と同じであるが、その情報は省略されている。

  ①ルカは、教えの継続性を重視している。

  ②一連の教えのクライマックスになっている。

  ③弟子たちだけでなく、すべての人に重要な内容である。

2.7節

Luk 21:7

そこで彼らはイエスに尋ねた。「先生、それでは、いつ、そのようなことが起こるのですか。それが起こるときのしるしは、どのようなものですか。」

(1)人々は、イエスに当然の質問をした。

  ①いつ起こるのか。

  ②それが起こるときのしるしは、何か。

(2)これは、不信仰から出た質問ではない。

  ①神殿崩壊は、ユダヤ教の終わりを意味する。

  ②バビロン捕囚と似たようなことが起こる。

  ③そうなれば、この世が終わり、御国が到来する。

3.8~9節

Luk 21:8

イエスは言われた。「惑わされないように気をつけなさい。わたしの名を名乗る者が大勢現れて、『私こそ、その者だ』とか『時は近づいた』とか言います。そんな人たちの後について行ってはいけません。

Luk 21:9

戦争や暴動のことを聞いても、恐れてはいけません。まず、それらのことが必ず起こりますが、終わりはすぐには来ないからです。」

(1)ここでイエスは、教会時代の特徴を挙げる。

  ①偽キリストが大勢現れる。

  ②彼らは、再臨は近いと預言する。

  ③戦争や暴動がおこるが、終わりはすぐにはこない。

Ⅱ.終わりの時代のしるし(10~19節)

1.10~11節

Luk 21:10

それから、イエスは彼らに言われた。「民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、

Luk 21:11

大きな地震があり、方々に飢饉や疫病が起こり、恐ろしい光景や天からの大きなしるしが現れます。

(1)「それから」

  ①ここでイエスは、別のテーマ(終わりの時代)を取り上げる。

  ②終わりの時代のしるしが起こる。

    *世界戦争

    *大きな地震

    *飢饉や疫病

    *恐ろしい光景や天からの大きなしるし

2.12~15節

Luk 21:12

しかし、これらのことすべてが起こる前に、人々はあなたがたに手をかけて迫害し、会堂や牢に引き渡し、わたしの名のために、あなたがたを王たちや総督たちの前に引き出します。

Luk 21:13 それは、あなたがたにとって証しをする機会となります。

Luk 21:14

ですから、どう弁明するかは、あらかじめ考えない、と心に決めておきなさい。

Luk 21:15

あなたがたに反対するどんな人も、対抗したり反論したりできないことばと知恵を、わたしが与えるからです。

(1)患難期がくる前に、イエスの弟子たちは迫害に遭う。

  ①この説教の時点から再臨までの間に起こる迫害が予告される。

  ②ユダヤ人たちによる迫害

  ③異邦人たちによる迫害

(2)迫害は、証しの機会となる。

  ①事前に弁明のことばを考える必要はない。

  ②そのときになれば、必要なことばと知恵は、イエスと聖霊によって与えられる。

  ③使徒の働きには、多くの実例が出ている。

3.16~19節

Luk 21:16

あなたがたは、両親、兄弟、親族、友人たちにも裏切られます。中には殺される人もいます。

Luk 21:17 また、わたしの名のために、すべての人に憎まれます。

Luk 21:18 しかし、あなたがたの髪の毛一本も失われることはありません。

Luk 21:19 あなたがたは、忍耐することによって自分のいのちを勝ち取りなさい。

(1)迫害は、家族や知人たちからもやってくる。

  ①中には、殉教の死を遂げる人も出る。

(2)イエスの弟子は、神の守りを経験する。

  ①霊的守りと解釈する人もいるが、そうではないだろう。

  ②神の許可なくしては、何も起こらないという意味であろう。

(3)忍耐は、永遠の報奨をもたらす。

  ①忍耐によって救いを得るわけではない。

  ②救いは、恵みと信仰によって得られる。

Ⅲ.神殿崩壊のしるし(20~24節)

1.20節

Luk 21:20

しかし、エルサレムが軍隊に囲まれるのを見たら、そのときには、その滅亡が近づいたことを悟りなさい。

(1)イエスは、神殿崩壊のテーマに戻る。

  ①神殿崩壊のしるしは、敵の軍隊による包囲である。

  ②紀元68年、ローマ軍はエルサレムを包囲した。

2.21~22節

Luk 21:21

そのとき、ユダヤにいる人たちは山へ逃げなさい。都の中にいる人たちはそこから出て行きなさい。田舎にいる人たちは都に入ってはいけません。

Luk 21:22 書かれていることがすべて成就する、報復の日々だからです。

(1)ユダヤ人たちは、都から遠ざかるように命じられた。

  ①戦時下にあっては、町に逃げ込むのが普通である。

  ②ここでは、正反対のことが命じられた。

(2)エルサレムに神の裁きが下ろうとしているからである。

  ①それは、「報復の日々」である。

  ②イエスは、紀元70年のエルサレム崩壊を預言された。

  ③ダニ9:26

Dan 9:26
その六十二週の後、/油注がれた者は断たれ、彼には何も残らない。/次に来る君主の民が、都と聖所を破壊する。/その終わりには洪水が伴い、/戦いの終わりまで荒廃が定められている。

  ④初代教会の信者たちは、ヨルダン川東岸のペラという町に避難した。

3.23~24節

Luk 21:23

それらの日、身重の女たちと乳飲み子を持つ女たちは哀れです。この地に大きな苦難があり、この民に御怒りが臨むからです。

Luk 21:24

人々は剣の刃に倒れ、捕虜となって、あらゆる国の人々のところに連れて行かれ、異邦人の時が満ちるまで、エルサレムは異邦人に踏み荒らされます。

(1)エルサレム崩壊の日は、すべてのユダヤ人にとって苦難の日となる。

  ①彼らは戦死し、捕虜となり、他国に連行される。

  ②ヨセフスによれば、戦死者は110万人、捕虜は9万7千人。

(2)この状態は、異邦人の時が満ちるまで続く。

  ①「異邦人の時」とは、異邦人がエルサレムを支配している時代である。

  ②ネブカドネツァルによるエルサレム征服(前586)から再臨までの期間。

  ③今も、「異邦人の時」が続いている。

Ⅳ.再臨のしるし(25~33節)

1.25~26節

Luk 21:25

それから、太陽と月と星にしるしが現れ、地上では海と波が荒れどよめいて、諸国の民が不安に陥って苦悩します。

Luk 21:26

人々は、この世界に起ころうとしていることを予測して、恐ろしさのあまり気を失います。天のもろもろの力が揺り動かされるからです。

(1)イエスは、再臨の前に現れるしるしに言及する。

  ①「異邦人の時」が終わる前の患難期の状態が預言される。

  ②全世界を襲う患難が預言される。

  ③天変地異が起こり、人々は不安と絶望に襲われる。

2.27~28節

Luk 21:27

そのとき人々は、人の子が雲のうちに、偉大な力と栄光とともに来るのを見るのです。

Luk 21:28

これらのことが起こり始めたら、身を起こし、頭を上げなさい。あなたがたの贖いが近づいているからです。」

(1)最悪の状況を迎えたときに、人の子の再臨が起こる。

  ①人々は、シャカイナグローリーとともに来られるメシアを見る。

(2)患難が襲い始めたなら、メシア的王国が近づいていることを知るべきである。

  ①身を起こし、頭を上げるとは、希望を表明することである。

3.29~31節

Luk 21:29

それからイエスは、人々にたとえを話された。「いちじくの木や、すべての木を見なさい。

Luk 21:30

木の芽が出ると、それを見て、すでに夏が近いことが、おのずから分かります。

Luk 21:31

同じように、これらのことが起こるのを見たら、あなたがたは神の国が近いことを知りなさい。

(1)いちじくの木のたとえ

  ①春の木の芽が出ると、夏が近づいていることが分かる。

  ②イエスが挙げた数々の患難は、神の国が近いことのしるしである。

2.32~33節

Luk 21:32

まことに、あなたがたに言います。すべてのことが起こるまで、この時代が過ぎ去ることは決してありません。

Luk 21:33

天地は消え去ります。しかし、わたしのことばは決して消え去ることがありません。

(1)「まことに、あなたがたに言います」

  ①イエスが預言したことは、必ず成就する。

  ②「この時代」は、「this generation」である。

    *患難期に天変地異を目撃するユダヤ人たちである(25節)。

    *患難期にあっても、ユダヤ民族が滅びることはない。

Ⅴ.霊的備え(34~36節)

1.34~35節

Luk 21:34

あなたがたの心が、放蕩や深酒や生活の思い煩いで押しつぶされていて、その日が罠のように、突然あなたがたに臨むことにならないように、よく気をつけなさい。

Luk 21:35 その日は、全地の表に住むすべての人に突然臨むのです。

(1)弟子たちへの警告が語られる。

  ①これは、当時生きていた弟子たちへの警告である。

  ②と同時に、すべての時代の弟子たちへの警告でもある。

(2)「その日」とは、エルサレム崩壊の日でなく、携挙の日である。

  ①全地の表に住むすべての人に突然臨む。

  ②霊的関心がなくなると、その日は罠のように突然人々の臨むようになる。

2.36節

Luk 21:36

しかし、あなたがたは、必ず起こるこれらすべてのことから逃れて、人の子の前に立つことができるように、いつも目を覚まして祈っていなさい。」

(1)人の子の前に立つために、霊的生活を維持する必要がある。

  ①祈りは、霊的力をもたらす。

結論 :適用

1.ルカの福音書の最初の読者たち

(1)彼らは、ペンテコステとエルサレム崩壊の間の時代に生きていた。

(2)その後、彼らの多くが、エルサレム崩壊を体験した。

(3)その体験によって、それ以外の預言も成就するという確信に導かれた。

(4)彼らにとっては、霊的備えは現実の課題であった。

2.エルサレム崩壊と患難期の間の信者

(1)エルサレム崩壊と患難期の間には、およそ2千年の隔たりがある。

(2)新約聖書の預言によれば、患難期の前に携挙がある。

(3)イエスは、携挙を前提に霊的備えの勧めを説いた。

(4)パウロも、携挙を前提に霊的備えの勧めを説いた。

  ①ロマ13:13、ガラ5:21、エペ5:18

  ②1テサ5:4~11、17

3.携挙以降に信じる者

(1)彼らは、患難期を通過する。

(2)彼らには、より真剣な霊的備えが必要である。

(3)再臨が数年後に迫っているからである。

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