ルカの福音書(93)ユダの裏切り21:37~22:6

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宗教的指導者たちの陰謀について学ぶ。

ルカの福音書 93回

ユダの裏切り

21 :37~22:6

1.文脈の確認

(1)イエスの受難(22~23章)

  ①宗教的指導者たちの陰謀(22:1~6)

  ②過越の食事の準備(22:7~13)

  ③二階の大広間での出来事(22:14~38)

  ④イエスの逮捕(22:39~53)

  ⑤イエスの裁判(22:54~23:25)

  ⑥イエスの死(23:26~49)

(2)注目点

  ①エルサレムでの奉仕のまとめ(21:37~38)が残っている。

  ②宗教的指導者たちの陰謀(22:1~6)

    *指導者たちの思惑(1~2節)

    *ユダの裏切り(3~6節)

  2.アウトライン

(1)エルサレムでの奉仕のまとめ(21:37~38節)

(2)指導者たちの思惑(22:1~2節)

(3)ユダの裏切り(22:3~6節)

3.結論:神のゴール

宗教的指導者たちの陰謀について学ぶ。

Ⅰ.エルサレムでの奉仕のまとめ(21:37~38節)

1.37~38節

Luk 21:37

こうしてイエスは、昼は宮で教え、夜は外に出てオリーブという山で過ごされた。

Luk 21:38

人々はみな朝早く、教えを聞こうとして、宮におられるイエスのもとにやって来た。

(1)ルカだけに出てくる要約である。

  ①最後の週(受難週)、イエスは神殿域(異邦人の庭)で人々に教えた。

  ②メシアである自分を信じて救われるようにというメッセージであろう。

  ③夜になると、外に出て、オリーブ山で過ごされた。

        *日没後(午後6時)、12弟子とともに、オリーブ山に行かれた。

    *天地の創造主が、ホームレスとなられた。

(2)過越の祭りの期間のエルサレム

  ①エルサレムの人口は、20~25万人であった。

  ②祭りの期間、人口は2~3百万人になった(ヨセフスの記録)。

  ③巡礼者たちは、城壁の外、安息日の距離内(約800m)にテントを張った。

  ④イエスは、ゲツセマネの園で寝た可能性がある。

(3)人々の積極的な反応

  ①人々は、朝早く、イエスの教えを聞こうとしてやって来た。

    *日の出とともに(午前6時頃)

    *彼らは、イエスのメッセージを理解し始めている。

  ②イエスから何かもらうために押しかけて来た群衆とは違う。

  ③イエスを訴えるために耳を傾けていた指導者たちとも違う。

  ④いかなる場合でも、神のことばに心を開く人はいる。

Ⅱ.指導者たちの思惑(22:1~2節)

1.1節

Luk 22:1 さて、過越の祭りと言われる、種なしパンの祭りが近づいていた。

(1)過越の祭りと種なしパンの祭り

  ①本来は、過越の祭りは1日の祭りである。

  ②種なしパンの祭りは、その翌日から始まる7日間の祭りである。

  ③イエス時代には、両者が合体して8日間の祭りとなっていた。

  ④今もユダヤ人たちは、8日間の祭りを祝う。

(2)指導者たちは、イエスを殺すことに決めていた。

  ①過越の祭りの時期は、イエスを逮捕し、裁判にかけるのに好都合であった。

  ②ユダヤ総督のポンティオ・ピラトは、エルサレムに滞在していた。

  ③ガリラヤの領主ヘロデ・アンティパスも、エルサレムにいた。

2.2節

Luk 22:2

祭司長、律法学者たちは、イエスを殺すための良い方法を探していた。彼らは民を恐れていたのである。

(1)祭司長(サドカイ派)、律法学者(パリサイ派)、民の長老たち(マタ26:3)(1)祭司長(サドカイ派)、律法学者(パリサイ派)、民の長老たち(マタ26:3)

  ①大祭司カヤパの邸宅に集まった(マタ26:3)。

(2)イエスを捕えて殺すことで意見の一致を見ていた。

  ①有罪判決の前に殺すことを決めるのは、律法違反である。

  ②律法の守護者であるべき人たちが、率先して律法を破っていた。

(3)指導者たちの2つのゴール

  ①民衆が見ていないところでイエスを逮捕する。

  ②過越の祭りが終わってから、イエスを殺す。

(4)彼らは、民衆の暴動を極度に恐れた。

  ①サドカイ派は親ローマであり、現状維持派である。

  ②暴動が起こると、ローマが介入してくる。

  ③ユダが登場するまでは、イエスを逮捕する方法が見つからなかった。

  ④ルカは、ベタニアでの油注ぎのエピソードを省略し、話を進める。

Ⅲ.ユダの裏切り(22:3~6節)

1.3節

Luk 22:3ところで、十二人の一人で、イスカリオテと呼ばれるユダに、サタンが入った。

(1)ユダにサタンが入った。

  ①ヨハ13:2

Joh 13:2 夕食の間のこと、悪魔はすでにシモンの子イスカリオテのユダの心に、イエスを裏切ろうという思いを入れていた。

  ②イエスの死は、単に人間の陰謀によるものではない。

  ③その背後には、神の計画を妨害するサタンの思惑があった。

  ④これは、宇宙大の戦争である。

(2)サタンは、イエスの死に介入したことによって、自らを滅ぼすことになる。

  ①コロ2:15

Col 2:15 そして、様々な支配と権威の武装を解除し、それらをキリストの凱旋の行列に捕虜として加えて、さらしものにされました。

  ②ヘブ2:14~15

Heb 2:14
そういうわけで、子たちがみな血と肉を持っているので、イエスもまた同じように、それらのものをお持ちになりました。それは、死の力を持つ者、すなわち、悪魔をご自分の死によって滅ぼし、

Heb 2:15 死の恐怖によって一生涯奴隷としてつながれていた人々を解放するためでした。

2.4~5節

Luk 22:4

ユダは行って、祭司長たちや宮の守衛長たちと、どのようにしてイエスを彼らに引き渡すか相談した。

Luk 22:5 彼らは喜んで、ユダに金を与える約束をした。

(1)ユダは、イエスを引き渡す案を提示した。

  ①自分が手引きして、イエスを逮捕できるようにするという案である。

(2)相手は、祭司長たちや宮の守衛長たちである。

  ①守衛長とは、神殿の守衛たちを統率する隊長である。

  ②ヨハ18:3

Joh 18:3 それでユダは、一隊の兵士と、祭司長たちやパリサイ人たちから送られた下役たちを連れ、明かりとたいまつと武器を持って、そこにやって来た。

(3)ルカの「喜び」というテーマが、ここでも登場する。

  ①罪人は、悪を行うことに喜びを覚える。

  ②彼らは、ユダに金を与える約束をした。

    *銀貨30枚

3.6節

Luk 22:6

ユダは承知し、群衆がいないときにイエスを彼らに引き渡そうと機会を狙っていた。

(1)ユダの計画

  ①最高の瞬間を待つ。

  ②群衆がいないときに、イエスを宗教的指導者たちに渡す。

  ③しかし、ユダが計画していた「その時」は、こなかった。

  ④イエスによってその計画は見抜かれていた。

結論:神のゴール

1.メシアは、過越の祭りの日に死ぬ。

(1)過越の祭りは、メシアの死の預言的枠組みである。

  ①もしそうでないなら、イエスはいつ逮捕されてもよかったことになる。

(2)イエスは、過越の祭りで屠られる神の子羊である。

(3)イエスは、ユダが行動を起こすように促した。

  ①ヨハ13:27

Joh 13:27

ユダがパン切れを受け取ると、そのとき、サタンが彼に入った。すると、イエスは彼に言われた。「あなたがしようとしていることを、すぐしなさい。」

2.メシアは、十字架にかかって死ぬ。

(1)申21:23

Deu 21:23

その死体を次の日まで木に残しておいてはならない。その日のうちに必ず埋葬しなければならない。木にかけられた者は神にのろわれた者だからである。あなたの神、【主】が相続地としてあなたに与えようとしておられる土地を汚してはならない。

(2)イザ53:5

Isa 53:5

しかし、彼は私たちの背きのために刺され、/私たちの咎のために砕かれたのだ。/彼への懲らしめが私たちに平安をもたらし、/その打ち傷のゆえに、私たちは癒やされた。

(3)詩22:18

Psa 22:18 彼らは私の衣服を分け合い/私の衣をくじ引きにします。

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