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ルカの福音書(87)宮きよめとイエスの権威 -イエスを信じる理由-19:45~20:8
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宮きよめとイエスの権威について学ぶ。
ルカの福音書 87回
宮きよめとイエスの権威 -イエスを信じる理由-
19 :45~20:8
1.はじめに
(1)エルサレムでの奉仕(19:28~21:38)
①勝利の入城(19:28~44)
②諸々の教え(19:45~21:4)
③神殿崩壊の予告(21:5~36)
④まとめ(21:37~38)
(2)諸々の教え(19:45~21:4)
①宮きよめ(19:45~46)
②イエスの教えの要約(19:47~48)
③権威に関する論争(20:1~8)
④ぶどう園の農夫のたとえ話(20:9~19)
⑤カエサルへの納税に関する質問(20:20~26)
⑥復活に関する質問(20:27~40)
⑦ダビデの子に関する質問(20:41~44)
⑧律法学者の偽善(20:45~47)
⑨やもめの献金(21:1~4)
2.アウトライン
(1)宮きよめ(19:45~46)
(2)イエスの教えの要約(19:47~48)
(3)権威に関する論争(20:1~8)
3. 結論
(1)イエスの権威
(2)使徒たちの権威
(3)説教者の権威
宮きよめとイエスの権威について学ぶ。
Ⅰ.宮きよめ(19:45~46)
1.45~46節
Luk 19:45 それからイエスは宮に入って、商売人たちを追い出し始め、
Luk 19:46
彼らに言われた。「『わたしの家は祈りの家でなければならない』と書いてある。それなのに、おまえたちはそれを『強盗の巣』にした。」
(1)イエスは、宮きよめを2度行われた。
①公生涯の始まりでの宮きよめ(ヨハ2:13~22)
②公生涯の終わりでの宮きよめ(共観福音書すべて)
③メシアが公生涯の最初と最後に宮きよめを行うのは、当然のことである。
④この行為の背後には、イエスの涙がある。
(2)エルサレムの上に下る裁きは、商売人たちを追い出すところから始まった。
①神殿では、いけにえの動物が高値で販売されていた。
②それを買うために、神殿で使用できる通貨に両替してもらう必要があった。
③大祭司の一家が、一連のビジネスから利益を得ていた。
④その結果、礼拝が形式的なものになっていた。
(3)イエスは、イザヤ書56章7節とエレミヤ書7章11節から引用した。
①イザ56:7
Isa 56:7
わたしの聖なる山に来させて、/わたしの祈りの家で彼らを楽しませる。/彼らの全焼のささげ物やいけにえは、/わたしの祭壇の上で受け入れられる。/なぜならわたしの家は、/あらゆる民の祈りの家と呼ばれるからだ。
②エレ7:11
Jer 7:11 わたしの名がつけられているこの家は、あなたがたの目に強盗の巣と見えたのか。見よ、このわたしもそう見ていた──【主】のことば──。
(4)ルカの記録は、他の福音書の記録と比べると、短い。
①神殿での諸々の教えの舞台設定になっている。
②宗教的指導者たちがイエスに対して敵対心を抱いたことの説明になっている。
③ルカは、「あらゆる民の祈りの家」ということばを、「祈りの家」としている。
④ルカは、異邦人が誤解しないように配慮しているのであろう。
*神殿が「あらゆる民の祈りの家」となるのは、メシア的王国において。
Ⅱ.イエスの教えの要約(19:47~48)
1.47~48節
Luk 19:47
イエスは毎日、宮で教えておられた。祭司長たち、律法学者たち、そして民のおもだった者たちは、イエスを殺そうと狙っていたが、
Luk 19:48
何をしたらよいのか分からなかった。人々がみな、イエスのことばに熱心に耳を傾けていたからである。
(1)イエスは毎日、宮で教えておられた。
①神殿内ではなく、「異邦人の庭」で教えた。
②多くのラビたちが、そこで教えていた。
(2)ルカの視点は、宗教的指導者たちと一般民衆の対比である。
①この箇所は、次に続く「諸々の教え」のイントロダクションになっている。
(3)一般民衆は、イエスのことばに熱心に耳を傾けた。
①利害関係がない人たちは、イエスの教えに心が開かれていた。
②民衆は、イエスの周りに群がった。
(4)宗教的指導者たちは、イエスに対して殺意を抱いていた。
①祭司長たち、律法学者たち、長老たち。
②しかし、何をしたらよいのか分からなかった。
③イエスの時は、まだきていなかった。
Ⅲ.権威に関する論争(20:1~8)
1.1~2節
Luk 20:1
ある日、イエスが宮で人々を教え、福音を宣べ伝えておられると、祭司長たちと律法学者たちが長老たちと一緒にやって来て、
Luk 20:2
イエスに言った。「何の権威によって、これらのことをしているのか、あなたにその権威を授けたのはだれなのか、教えてくれませんか。」
(1)権威というテーマは、ユダヤ人たちだけでなく、本書の読者にも重要である。
①私たちは、なぜ福音を信じたのか。
②私たちは、なぜメディアの報道を信じるのか。
(2)受難週におけるイエスの教え
①イエスは、最後まで福音を宣べ伝えておられた。
②これは「神の国の福音」である。
(3)宗教的指導者たちがいっしょにイエスのもとに来た。
①祭司長たち、律法学者たち、長老たちは、サンヘドリンの議員たちである。
②普段は利害が対立する者たちが、イエスに敵対するために一致した。
(4)「何の権威によって、これらのことをしているのか、あなたにその権威を授けた
のはだれなのか、教えてくれませんか。」
①2つの質問
*「あなたは自分を誰だと言うか」
*「あなたは誰から派遣されているのか」
②これは、サンヘドリンからの正式な質問である。
③これは、イエスを罠にかけるための質問である。
*もし神から権威を受けたと言えば、冒とく罪で訴える。
*もし人から権威を受けたと言えば、その主張は無効である。
④ユダヤ教では、ラビは、過去のラビたちの教えを引用する。
*それがラビの権威の源となる。
*しかしイエスは、ラビたちの教えを引用せず、聖書だけを引用した。
⑤彼らにとっては、イエスは大工の息子である。
*イエスは、専門的なラビ教育を受けたことがない。
⑥そのイエスが、神殿の雰囲気を壊している。
2.3~4節
Luk 20:3
イエスは彼らに答えられた。「わたしも一言尋ねましょう。それに答えなさい。
Luk 20:4
ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、それとも人から出たのですか。」
(1)イエスは、質問をもって質問に答えた。
①これは、ラビ的対話法である。
②イエスは、論敵をジレンマに陥れる。
(2)「ヨハネのバプテスマは、天から来たのですか、それとも人から出たのですか」
①「天」とは「神」のことである。
②バプテスマのヨハネの奉仕は、神からのものか、人からのものか。
③ユダヤ人の指導者たちは、バプテスマのヨハネに敵対した。
④民衆は、バプテスマのヨハネに従った。
⑤バプテスマのヨハネの奉仕を否定したら、危険な目に遭う。
3.5~6節
Luk 20:5
すると、彼らは論じ合った。「もし天からと言えば、どうしてヨハネを信じなかったのかと言うだろう。
Luk 20:6
だが、もし人からと言えば、民はみな私たちを石で打ち殺すだろう。ヨハネは預言者だと確信しているのだから。」
(1)彼らは、ジレンマに陥った。
①ヨハネの権威は神からだと言えば、ではなぜ信じなかったのかと言われる。
②ヨハネの権威は人からだと言えば、民衆は自分たちを石で打ち殺すだろう。
(2)偽預言者は、石打の刑に処せられる。
①申13:1~11
②神からの預言者であるヨハネの権威を否定すれば、偽預言者と同じ罰を受ける。
4.7~8節
Luk 20:7 そこで、「どこから来たのか知りません」と答えた。
Luk 20:8
するとイエスは彼らに言われた。「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに言いません。」
(1)指導者たちは、回答を避けた。
①「どこから来たのか知りません」
②これは、霊的指導者としての責任回避である。
③彼らには、預言者を吟味する責務が与えられていた。
(2)イエスは、彼らの回答拒否を理由に、自分も答えないと言われた。
①「わたしも、何の権威によってこれらのことをするのか、あなたがたに言いま
せん」
②言外の意味は、明らかである。
*ヨハネの奉仕の権威は、神からのものである。
*ヨハネがメシアと認めたわたしは、神である。
③イエスは、数々の奇跡によって自らがメシアであり、神であることを示された。
④イエスの権威を認めないのは、その人自身の問題である。
結論
1.イエスの権威
(1)ルカ20:2
Luk 20:2
イエスに言った。「何の権威によって、これらのことをしているのか、あなたにその権威を授けたのはだれなのか、教えてくれませんか。」
(2)「これらのこと」
①勝利の入城
②民衆の賞賛を受けたこと
③宮きよめ
④神殿で教えていること
⑤神殿の雰囲気を破壊していること
(3)イエスの権威を証明するもの
①メシア預言の成就
②数々の奇跡
③イエスの教え
④イエスの復活
2 .使徒たちの権威
(1)使4:7
Act 4:7
彼らは二人を真ん中に立たせて、「おまえたちは何の権威によって、また、だれの名によってあのようなことをしたのか」と尋問した。
(2)使徒たちの権威を証明するもの
①イエスからの召命
②聖霊の力
③イエスの死と復活の目撃者
④奇跡と癒し
⑤旧約聖書と一致した教え
⑥殉教
3.説教者の権威
(1)使徒たちの教えを継承し、それを伝えるのが説教者の使命である。
(2)説教者の権威の範囲は、どこまでなのか。
①ユダヤ的律法の原則が、きょうの箇所の背景にある。
②派遣された者は、派遣した者と同じ権威を行使できる。
③その場合は、派遣された者は主人の意図に忠実に行動するという前提がある。
④ヨハネは、神の御心に基づいて行動した。
⑤イエスは、100%父の御心に従った。
(3)説教者の権威は無限ではなく、使徒たちの教えを語っている範囲に限定される。
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