パートⅡ.旧約時代17章 ペルシア時代

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ペルシア時代における神の国と悪魔の国の葛藤について学ぶ。

パートⅡ.旧約時代

17章 ペルシア時代

イントロダクション

1.「神の国と悪魔の国の葛藤」というテーマに沿って聖書を読み解いている。

(1)この葛藤は、創世記3章以来続いているものである。

(2)この葛藤は、黙示録20~21章で終わる。

2.パートⅠ.葛藤の舞台設定(1~3章)

3.パートⅡ.旧約時代(4~17章)

    4章 カインとアベル

    5章 大洪水

    6章 バベルの塔

    7章 アブラハム契約

    8章 出エジプト

    9章 律法と幕屋

    10章 カナン定住と士師記の時代

    11章 士師記の時代から王制へ

    12章 ダビデ

    13章 ソロモン

    14章 北王国の崩壊

    15章 南王国の崩壊

    16章 バビロン捕囚

    17章 ペルシア時代

(1)ペルシア帝国内で起こった出来事

(2)帰還した地で起こった出来事

    *神の国と悪魔の国の葛藤は、継続している。

4.アウトライン

(1)ペルシア帝国内の反ユダヤ的出来事

  ①エステルとモルデカイ

  ②反ユダヤ主義者ハマン

  ③神の介入

(2)帰還した地での反ユダヤ的出来事

  ①エズラ

  ②3人の預言者

ペルシア時代における神の国と悪魔の国の葛藤について学ぶ。

Ⅰ.ペルシア帝国内の反ユダヤ的出来事

1.エステルとモルデカイ

(1)バビロンからペルシアへの移行

  ①前586年、多くのユダヤ人が強制的にバビロンに移住させられた。

  ②後になって、バビロンはペルシアに滅ぼされる。

  ③ペルシアのキュロス王が、ユダヤ人の帰還許可の勅令を出した(前539年)。

  ④しかし、多くのユダヤ人がそのまま捕囚の地(ペルシア帝国)にとどまった。

(2)クセルクセス

  ①ダリヨスの後を継いだのは、クセルクセス(別名アハシュエロス)である。

  ②クセルクセスの時代には、多くのユダヤ人がペルシア帝国に住んでいた。

  ③クセルクセスは、妃を選ぶために、未婚の娘たちをスサの後宮に集めた。

  ④その中に、エステル(星という意味)というユダヤ人の娘がいた。

(3)エステル

  ①両親を亡くした彼女は、モルデカイの養女となっていた。

  ②モルデカイは、エルサレムから捕え移されてきた捕囚民の子孫である。

    *2列24:10〜16(バビロン捕囚の様子)

    *モルデカイは、信仰熱心な人であった。

  ③王宮に着いたエステルは、ただちに監督官であるヘガイの好意を得た。

    *神の御名は出てこないが、神の摂理の御手は伸ばされていた。

  ④やがてエステルは、王の好意を受けて王妃となる。

  ⑤神の摂理の御手の前例

    *エジプトの獄中にいたヨセフは、監獄の長の好意を得た(創39:21)。

    *バビロンにいたダニエルは、宦官の長の好意を得た(ダニ1:9)。

(4)モルデカイ

  ①当時モルデカイは、何らかの官職に就いていたようである。

  ②彼は偶然にも、2人の宦官による王の暗殺計画を耳にする。

  ③彼はそれを、エステルを通して王に伝えた。

  ④この事件は、王の年代記の書に書き残されたが、王はそれを忘れてしまった。

  ⑤後にそれを思い出した王は、モルデカイに報賞を与えることになる。

    *このことの背後にも、神の摂理の御手がある。

    *神の御手は、神のタイミングで伸ばされる。

2.反ユダヤ主義者ハマン

(1)アガグ人ハメダタの子ハマン

  ①ハマンは、王によって高い地位に登用された。

  ②彼はアマレク人の子孫であり、筋金入りの反ユダヤ主義者であった。

(2)ハマンの横暴

  ①王の家来たちはみな、ハマンの前にひれ伏した。

  ②モルデカイだけは、それを拒否した。

    *彼は、離散の地にあっても異文化に同化しなかった。

    *彼は、自らの文化や宗教を守り続けた。

  ③激怒したハマンは、ユダヤ民族全体を根絶やしにしようと決心した。

  ④悪魔は、ハマンを道具として用いて、ユダヤ人を抹殺しようとしたのである。

(3)ハマンのユダヤ人抹殺計画

  ①ハマンは、古代オリエントの習慣に従ってくじを引いた。

  ②ユダヤ人抹殺計画を実行する時期を決めるためである。

  ③最初の月(1月)にくじを引いたが、くじは最後の月(12月)に当たった。

  ④ユダヤ人たちにとっては、約1年間の猶予が与えられたということである。

  ⑤人はくじを引くが、それを決めるのは、神である。

3.神の介入

(1)モルデカイは、エステルに執りなしを要請した。

  ①民族の運命が、彼女の執りなしにかかっていると伝えた。

  ②王の前に出ての執りなしは、命懸けである。

(2)エステルに伝えられたモルデカイのことば(エス4:14)

Est 4:14
もし、あなたがこのようなときに沈黙を守るなら、別のところから助けと救いがユダヤ人のために起こるだろう。しかし、あなたも、あなたの父の家も滅びるだろう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。」

  ①エステルも、ユダヤ人虐殺法の対象であり、例外ではない。

  ②今行動しないなら、神は別の人物を立てるであろう。

  ③エステルに与えられた立場は、この時のために与えられたものである。

(3)エステルの信仰のことば(エス4:16)

Est 4:16
「行って、スサにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食してください。三日三晩、食べたり飲んだりしないようにしてください。私も私の侍女たちも、同じように断食します。そのようにしたうえで、法令に背くことですが、私は王のところへ参ります。私は、死ななければならないのでしたら死にます」

  ①これは、最善をなさる神への信頼のことばである。

  ②彼女の執りなしが功を奏し、事態は急展開を見せる。

  ③王の命で、ハマンは柱にかけられた。

    *この柱は、モルデカイを殺すために用意しておいたものである。

    *ハマンは、自らが蒔いた種の刈り取りをした。

  ④ユダヤ人たちは祝宴を開いた。

  ⑤この祝宴は、プル(くじ)にちなんでプリム(プルの複数形)と呼ばれた。

  ⑥彼らは、民族の記憶として、神の恵みの御業を覚えておこうとしたのである。

  ⑦かくして、悪魔のユダヤ人抹殺計画は阻止された。

Ⅱ.帰還した地での反ユダヤ的出来事

1.エズラ

(1)帰還民を導いたのは、律法学者エズラである。

  ①帰還の目的は、先祖たちの信仰の道(律法に従う道)を歩むためである。

  ②しかし、彼らの心には古い罪の性質が残っていた。

  ③それを示すある事件が持ち上がった。

(2)異教徒との雑婚

  ①長老たちが、民の「雑婚」の罪について、エズラに報告した。

  ②エズラは、この時代の宗教改革の指導者であった。

  ③神殿での清めの儀式は、行いが間違っているならなんの意味もない。

    *ホセ6:6、ミカ6:6〜8参照

  ④モーセの律法は、雑婚を禁じている。

    *出34:11〜16、申7:1〜4参照

  ⑤この命令は宗教的なものであって、人種差別ではない。

    *周辺の民族はすべてイスラエル人と同じセム系である。

    *異民族との結婚が偶像礼拝をもたらすことは、歴史が証明している

    *最大の失敗例は、ソロモンである(1列11:3〜5)。

  ⑥聖なる民(分離)として生きるようにとの命令は、無視された。

  ⑦その背後には、悪魔の巧妙な誘惑があった。

  ⑧異教徒の妻をめとった者は、次第に妻の宗教を受け入れるようになる。

  ⑨その結果、偶像礼拝をイスラエルの民の中に持ち込むことになる。

  ⑩民の内面が根本から変わらない限り、偶像礼拝の問題は存在し続ける。

(3)雑婚の問題の解決策

  ①エズラは【主】の前に涙の祈りを献げ、民に勧告のことばを語った。

  ②民は、大雨の中で罪を告白し、悔い改めを行動(異邦人妻の離縁)で示した。

  ③雑婚を通して偶像礼拝を広めようとしたサタンの策略は、破壊された。

(4)エズラの功績

  ①神殿の再建

  ②イスラエルの民の霊性の再建

    *民の霊性の再建のために必要とされたのは、悔い改めである。

    *ここに、私たちへの希望がある。

    *どんな人でも、悔い改めを通して神に立ち返ることができる。

2.3人の預言者たち

(1)預言者の分類

  ①捕囚期前預言書は、12ある。

  ②捕囚期預言書は、2つある。

    *エゼキエル書とダニエル書がそれである。

  ③捕囚期後預言書は、3つある。

    *ハガイ書、ゼカリヤ書、マラキ書がそれである。

(2)ハガイ、ゼカリヤ、マラキ

  ①帰還民に、神は3人の預言者たちを送り、励ましのメッセージを語らせた。

  ②預言者たちは、民の信仰を鼓舞し、御国の希望を語った。

  ③彼らは、悪魔の攻撃に対抗するために神が遣わした神のしもべたちである。

  ④旧約聖書の最後の預言者は、マラキである。

  ⑤それ以降、約400年にわたって神の沈黙の時が来る。

  ⑥これを「中間時代」と言う。

  ⑦神は沈黙されたが、働きを停止されたわけではない。

  ⑧それどころか、メシア到来の舞台を準備しておられた。

  ⑨次回は、「中間時代」について学ぶことにする。

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