私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(34)—4人の弟子たちの召命—
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イエスの権威に対する応答について学びます。
「4人の弟子たちの召命」
§044 マコ1:35~39、マタ4:23~25、ルカ4:42~44
§041 マコ1:16~20、マタ4:18~22、ルカ5:1~11
1.はじめに
(1)カペナウムを拠点とした伝道が始まった。
①イエスの権威は、悪霊の追い出しによって示された。
②イエスの権威は、病の癒しによって示された。
③4人の弟子たちが召されるのが、きょうの箇所である。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
第一回目のガリラヤ巡回伝道(§44)
4人の弟子たちの召命(§41)
2.第一回目のガリラヤ巡回伝道(マタ4:23~25)
(1)古代文学の特徴
①物語
②それに対する解説
③そして、まとめ
(2)まとめの内容
①会堂で教えた。
②教えの内容は、神の国の福音であった。
③教えの権威は、癒しと悪霊の追い出しによって証明された。
④その結果、多くの人々がイエスにつき従った。
*シリア(ユダヤ人共同体があった)
*ガリラヤ
*デカポリス(10のギリシア風の町)
*エルサレム
*ユダヤ
*ヨルダンの向こう岸
3.アウトライン(ルカ5:1~11)
(1)イエスの知恵(1~3節)
(2)イエスの知識(4~5節)
(3)イエスの寛大さ(6~7節)
(4)イエスの主権(8~11節)
4.メッセージのゴール
(1)ペテロの体験から学ぶクリスチャンの生活のステップ
このメッセージは、イエスの権威に対する応答について学ぼうとするものである。
Ⅰ. イエスの知恵(1~3節)
1.1~2節
「群衆がイエスに押し迫るようにして神のことばを聞いたとき、イエスはゲネサレ湖の岸
べに立っておられたが、岸べに小舟が二そうあるのをご覧になった。漁師たちは、その舟
から降りて網を洗っていた」
(1)ある日のイエスの活動が取り上げられている。
①群衆がイエスの周りに群がっていた。
②「神のことば」とは、「神からくることば」であり、「福音」である。
③イエスは、湖畔に立っていた。
*危険であるし、効果的ではない。
④「ゲネサレ湖」とは、ガリラヤ湖のことである。
*ゲネサレは、ガリラヤ湖の北西の地域。カペナウムは真北に当たる。
*地域の名称が、湖の名称となった。
(2)小舟が二そうあるのに着目された。
①漁師たちは、その日の仕事を終えていた。
②彼らは、舟から降りて網を洗っていた。
*魚以外のゴミが網に入る。
*翌日の仕事の準備をしていた。
③二そうとあるのは、後に出てくる大漁物語への布石である。
2.3節
「イエスは、そのうちの一つの、シモンの持ち舟に乗り、陸から少し漕ぎ出すように頼ま
れた。そしてイエスはすわって、舟から群衆を教えられた」
(1)姑の病の癒しの後の出来事である。
①それまでは与えるばかりであったイエスが、シモンに頼まれた。
②シモンは喜んで応答したことであろう。
③イエスは舟を必要とした(奇跡の経済学)。
(2)イエスの知恵
①群衆からは離れているので、安全である。
②群衆を見渡せる。
③音響効果が抜群である。
④ラビとして教えることができる(イエスは、すわって教えている)。
(3)イエスの自由な発想
①神殿、会堂がイエスの活動の場であった。
②ここでは、舟の上が講壇になった。
③家、丘、墓場なども、講壇となった。
Ⅱ.イエスの知識(4~5節)
1.4節
「話が終わると、シモンに、『深みに漕ぎ出して、網をおろして魚をとりなさい』と言わ
れた」
(1)落胆したシモンへの命令のことばである。
①イエスは、深みに行けば、魚が大量にいることを知っていた。
②このことばは、字義通りに解釈する必要がある。
(2)この命令には、無数の適用がある。
①人間の判断と神の判断のかい離
②人間の落胆と神のチャンスの関係
2.5節
「するとシモンが答えて言った。『先生。私たちは、夜通し働きましたが、何一つとれま
せんでした。でもおことばどおり、網をおろしてみましょう』」
(1)「先生」
①ギリシア語で「エピスタテイス」(エピスタタ)である。
②これは、ヘブル語の「ラビ」のギリシア語訳である。
③シモンはイエスを、ラビと呼んでいる。
④宗教的なテーマなら、ラビの指示に従うのは当然のことである。
(2)イエスの命令は、漁に関するものである。
①これは、シモンの専門分野である。
(3)「私たちは、夜通し働きましたが、何一つとれませんでした」
①ガリラヤ湖の漁は、暗い間に行う。
②明るくなると、魚は深みに潜るので、獲れなくなる。
③従って、イエスの命令は非常識なものである。
(4)「でもおことばどおり、網をおろしてみましょう」
①シモンの従順から教訓を学ぼう。
Ⅲ.イエスの寛大さ(6~7節)
1.6節
「そして、そのとおりにすると、たくさんの魚が入り、網は破れそうになった」
(1)従順に従った結果、大漁になった。
①これは、刺し網漁である。
②網が破れそうになった(漁師だから分かる)。
③イエスは、大盤ふるまいをされた。
(2)旧約聖書の例
①出16:13 うずらの奇跡
②2列4:1~7 エリシャの奇跡。器がある間は、そこに油が満ちた。
③2列4:42~44
「ある人がバアル・シャリシャから来て、神の人に初穂のパンである大麦のパン
二十個と、一袋の新穀とを持って来た。神の人は、『この人たちに与えて食べさ
せなさい』と命じた。彼の召使いは、『これだけで、どうして百人もの人に分け
られましょう』と言った。しかし、エリシャは言った。『この人たちに与えて食
べさせなさい。【主】はこう仰せられる。「彼らは食べて残すだろう」』。そこで、
召使いが彼らに配ると、彼らは食べた。【主】のことばのとおり、それはあり余
った」
2.7節
「そこで別の舟にいた仲間の者たちに合図をして、助けに来てくれるように頼んだ。彼ら
がやって来て、そして魚を両方の舟いっぱいに上げたところ、二そうとも沈みそうになっ
た」
(1)「仲間の者たち」
①漁は、共同作業である。
②網や舟を共有し、作業効率を上げた。
③シモンの家とゼベダイの家とは、協力関係にあったのであろう。
(2)余りの大漁で、二そうとも沈みそうになった。
①実際に沈んだわけではない。
Ⅳ.イエスの主権(8~11節)
1.8~9節
「これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して、『主よ。私のような者か
ら離れてください。私は、罪深い人間ですから』と言った。それは、大漁のため、彼もい
っしょにいたみなの者も、ひどく驚いたからである」
(1)ルカは、シモンに焦点を合わせて描いている。
①シモン以外の者たちも、同様の反応を示したはずである。
②「シモン・ペテロ」というフルネームになっている。
③極端から極端に行くのは、シモンの特徴である。
(2)イエスの足元にひれ伏した。
①神を礼拝する時の姿勢である。
(3)「主よ。私のような者から離れてください。私は、罪深い人間ですから」
①「先生」(ラビ)から「主よ」(キュリオス)への変化。
②イエスは文字通りには、舟から離れられない。
*「私の罪を赦して下さい」
*「あなたのようなお方が、私と何の関係があるのですか」
③神に出会うことは、自らの罪深さを認識することである。
2.10節
「シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブやヨハネも同じであった。イエスはシモンに
こう言われた。『こわがらなくてもよい。これから後、あなたは人間をとるようになるの
です』」
(1)アンデレ、ヤコブ、ヨハネの登場
①彼らもまた、同じ経験をしていた。
(2)彼らの職業は、魚を獲ることから、人間を獲ることに変えられた。
①ピリポ、ナタナエルを加えると、6人の弟子集団となった。
②大漁の奇跡は、使徒たちの伝道によって多くの魂が救われることの予表である。
3.11節
「彼らは、舟を陸に着けると、何もかも捨てて、イエスに従った」
(1)安定した漁師の仕事を捨てて、イエスの弟子となった。
(2)マコ1:16~20
「ガリラヤ湖のほとりを通られると、シモンとシモンの兄弟アンデレが湖で網を打っ
ているのをご覧になった。彼らは漁師であった。イエスは彼らに言われた。『わたし
について来なさい。人間をとる漁師にしてあげよう。』すると、すぐに、彼らは網を
捨て置いて従った。また少し行かれると、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネをご
覧になった。彼らも舟の中で網を繕っていた。すぐに、イエスがお呼びになった。す
ると彼らは父ゼベダイを雇い人たちといっしょに舟に残して、イエスについて行った」
①網、父、舟を残して、イエスに従った。
②完ぺきな献身である。
結論:ペテロの体験から学ぶクリスチャンの生活のステップ
1.神との出会い
(1)ペテロは、イエスが神であることを体験した。
①カナの婚礼、エルサレムでの奇跡、悪霊の追い出し、姑の癒し
②大漁の奇跡は、ペテロの専門分野での奇跡である。
③また、日常生活における奇跡である。
④ペテロは、実存的に神に出会ったのである。
(2)真の宗教体験は、神との出会いから始まる。
①他宗教の方が求道するのは、非常に困難なことである。
②聖書の神を求める心が、最重要である。
(3)神との出会いは、聖書研究によって与えられる。
①デボーションの勧め
②講解メッセージの勧め
2.罪の認識
(1)ペテロの反応は、ユダヤ人が神の臨在に触れた時に示すものである。
①神の聖さと栄光
②自分の汚れと罪の認識
③ペテロは不信仰ではなかった。一般的な意味での罪の認識である。
(2)イザヤと同じ体験
「そこで、私は言った。『ああ。私は、もうだめだ。私はくちびるの汚れた者で、く
ちびるの汚れた民の間に住んでいる。しかも万軍の【主】である王を、この目で見た
のだから』」 (イザ6:5)
3.罪の赦し
(1)聖句
「こわがらなくてもよい」 (ルカ5:10)
「すると、私のもとに、セラフィムのひとりが飛んで来たが、その手には、祭壇の上
から火ばさみで取った燃えさかる炭があった。彼は、私の口に触れて言った。『見よ。
これがあなたのくちびるに触れたので、あなたの不義は取り去られ、あなたの罪も贖
われた』」 (イザ6:~7)
4.召命
(1)聖句
「これから後、あなたは人間をとるようになるのです」 (ルカ5:10)
「私は、『だれを遣わそう。だれが、われわれのために行くだろう』と言っておられ
る主の声を聞いたので、言った。『ここに、私がおります。私を遣わしてください』」
(イザ6:8)
(2)召命のための準備はすでになされている。
①モーセとダビデは、羊飼いであった。
②4人の弟子たちは、漁師であった。
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