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メシアの生涯(32)—悪霊に対する権威—
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イエスのメシアとしての権威について学びます。
「悪霊に対する権威」
§040 マタ4:13~16
§042 マコ1:21~28、ルカ4:31~37
1.はじめに
(1)ナザレでの伝道
①イエスのメシア宣言
②ナザレの人々の不信仰
③そこでイエスは、カペナウムに下る。
(2)A.T.ロバートソンの調和表
新しい拠点カペナウム(§40)
安息日での悪霊の追い出し(§42)
①§41は、弟子たちの召しであるが、これは後に取り扱う。
②ルカの福音書の順序に従う。
(3)イエスの動きの概観
①公生涯に入って以降、ナザレが拠点になったことはない。
②カナの婚礼の奇跡の後、イエスは短期間カペナウムに住まわれた。
③この箇所から、イエスはカペナウムを拠点として活動される。
④この状態が、十字架につく半年前に、ユダヤに向かって出発するまで続く。
⑤その間イエスは、エルサレムに上ったり、ガリラヤを巡回されたりした。
2.アウトライン
(1)カペナウムに移り住むイエス(マタ4:13~16)
①理由その1
②理由その2
(2)会堂で教えるイエス(マコ1:21~28、ルカ4:31~37)
①イエスの教え
②反応する悪霊
③悪霊の追い出し
④人々の驚き
3.メッセージのゴール
(1)悪霊と私たちの関係
(2)イエスのメッセージの特徴
このメッセージは、イエスのメシアとしての権威について学ぼうとするものである。
Ⅰ.カペナウムに移り住むイエス(マタ4:13~16)
1.理由その1―宣教のための戦略
「そしてナザレを去って、カペナウムに来て住まわれた。ゼブルンとナフタリとの境にあ
る、湖のほとりの町である」 (13節)
(1)ナザレでの拒否
①ナザレは、ゼブルンの地にあった。
②ヨシュアの時代に、ゼブルン族とナフタリ族がガリラヤを征服した。
③ナザレを去ったのは、家族や共同体との別離を意味する。
(2)カペナウムに下った。
①カペナウムは、ナフタリの地にあった。
*ナホムの村、あるいは、慰めの村
②イエスは、ゼブルンの地で育ち、ナフタリの地で奉仕をされた。
(3)カペナウムは、拠点にふさわしい地である。
①本来は漁業の町である。
②交通の要衝の地であるため、異邦人たちの往来があった。
③ギリシア・ローマ風の町々に囲まれていた。
④人々は、新しい教えに対してよりオープンであった。
2.理由その2―預言の成就
「これは、預言者イザヤを通して言われた事が、成就するためであった。すなわち、『ゼ
ブルンの地とナフタリの地、湖に向かう道、ヨルダンの向こう岸、異邦人のガリラヤ。暗
やみの中にすわっていた民は偉大な光を見、死の地と死の陰にすわっていた人々に、光が
上った』」 (14~16節)
(1)イザ9:1~2の預言
①イエスの奉仕は、ガリラヤから始まり、エルサレムで完了する。
②イエスの奉仕の対象は、「死の地と死の陰にすわっていた人々」である。
*物理的状態
*霊的状態
③イエスの奉仕の対象は、ユダヤ人と異邦人が混在したグループである。
*イエスは第一義的には、ユダヤ人のために奉仕をされた。
*しかし、異邦人の救いが常に念頭にあった。
④イエスは光である。
「すべての人を照らすそのまことの光が世に来ようとしていた」 (ヨハ1:9)
「わたしは光として世に来ました。わたしを信じる者が、だれもやみの中にとど
まることのないためです」 (ヨハ12:46)
Ⅱ.会堂で教えるイエス(マコ1:21~28)
1.イエスの教え(21~22節)
「それから、一行はカペナウムに入った。そしてすぐに、イエスは安息日に会堂に入って
教えられた。人々は、その教えに驚いた。それはイエスが、律法学者たちのようにではな
く、権威ある者のように教えられたからである」
(1)ある安息日が選ばれているが、これは典型的な例である。
①イエス時代のこの町の人口は千人前後と推定される。
②会堂の遺跡が、1900年代初頭に発掘された。
③玄武岩の上に、紀元4世紀の白色石灰石の会堂が建てられている。
④会堂の規模は、長さが20メールで2階建てである。
(2)イエスが安息日に会堂に行くのは、習慣になっていた。
①トーラーと預言書の朗読の後で、奨励のメッセージが語られた。
②イエスは、会堂の管理者の要請で、人々に教えた。
(3)人々は、非常に驚いた。
「人々その教に驚きあへり」(文語訳)
①律法学者の教え
*過去のラビたちの教えを引用し、その上に自分の教えを付け加えた。
②イエスの教え
*誰の権威に依存することもなしに、権威をもって教えた。
2.反応する悪霊(23~24節)
「すると、すぐにまた、その会堂に汚れた霊につかれた人がいて、叫んで言った。『ナザ
レの人イエス。いったい私たちに何をしようというのです。あなたは私たちを滅ぼしに来
たのでしょう。私はあなたがどなたか知っています。神の聖者です』」
(1)悪霊は、人々よりも先に、イエスが誰であるかを認識した。
①叫んでいるのは、その人の内側に住みついている悪霊である。
(2)「ナザレの人イエス。いったい私たちに何をしようというのです」
①悪霊を追い出す際には、その悪霊の名を呼んで、支配権を確立した。
②悪霊は、「ナザレの人イエス」と呼んで、支配権を確立しようとしたのか?
③「あなたはわたしたちとなんの係わりがあるのです」(口語訳)
*ヘブル的用語である。対立する力があり、調和できない状態を指す。
(3)「あなたは私たちを滅ぼしに来たのでしょう」
①単数の悪霊が、「私たち」と言っている。
②イエスの存在が、悪霊集団にとっていかに危険なものであるかを知っていた。
③荒野の誘惑に失敗した悪魔が、悪霊集団に情報を伝達したのであろう。
*悪のネットワークの存在
(4)「私はあなたがどなたか知っています。神の聖者です」
①「ナザレのイエス、かまわないでくれ。我々を滅ぼしに来たのか。正体は分か
っている。神の聖者だ」 (新共同訳)
②「やい、ナザレのイエス! おれたちをどうしようというんだい。 おれたちを
滅ぼすために来たんだろうが。 あんたのことはよく知ってるぜ。 そうとも、神
のきよい御子様よ!」 (リビングバイブル)
③「神の聖者」(Holy One of God)とはどういう意味か。
*「聖者(Holy One)」とは、神である。
*「神の聖者」(Holy One of God)とは、神の第一の使者という意味。
*聖霊によって力を受けている。特別な使命のために遣わされている。
*悪霊は、イエスの権威の源を見抜いている。
3.悪霊の追い出し(25~26節)
「イエスは彼をしかって、『黙れ。この人から出て行け』と言われた。すると、その汚れ
た霊はその人をひきつけさせ、大声をあげて、その人から出て行った」
(1)「イエスはこれをしかって、『黙れ、この人から出て行け』と言われた」(口語訳)
①イエスが叱っているのは、悪霊である。
②イエスは、悪霊の証しを必要としない。
③悪霊の証言は、認められない。
(2)悪霊が去る時の現象
①悪霊は、その人をひきつけさせた。
②ルカ4:35
「するとその悪霊は人々の真ん中で、その人を投げ倒して出て行ったが、その人
は別に何の害も受けなかった」
③大声をあげた(悪霊がその人に声を上げさせている)。
4.人々の驚き(27~28節)
「人々はみな驚いて、互いに論じ合って言った。『これはどうだ。権威のある、新しい教
えではないか。汚れた霊をさえ戒められる。すると従うのだ』。こうして、イエスの評判
は、すぐに、ガリラヤ全地の至る所に広まった」
(1)驚きの理由
①イエスが通常の悪霊の追い出しとは異なった方法で、悪霊を追い出したから。
②命じるだけで、悪霊は従う。
(2)人々は、イエスの教えが権威あるものだと認めた。
①権威ある教えと悪霊の追い出しは、イエスのメシア性を証明するものとなった。
②イエスの評判が、短時間の内にガリラヤ全地に広がるのも当然のことである。
結論:
1.悪霊と私たちの関係
(1)悪霊につかれているとは:
「ある人の中に悪霊が住み、ある種の精神的錯乱や肉体的不調を用いて、その人を直
接的に支配している状態のことである」
(2)区別の必要性
①悪霊につかれているのか、精神的原因によるものなのか。
②悪霊につかれているのか、悪霊の攻撃なのか(外からのもの)。
(3)信者は悪霊に支配されるか。
①悪霊の所有物にはならない(完全に支配されることはない)。
「あなたがたは、代価を払って買いとられたのだ。それだから、自分のからだを
もって、神の栄光をあらわしなさい」(1コリ6:20)
②しかし、悪霊が内側から信者を支配することはある。
「そこで、ペテロがこう言った。『アナニヤ。どうしてあなたはサタンに心を奪
われ、聖霊を欺いて、地所の代金の一部を自分のために残しておいたのか』」(使
5 :3)
「悪魔に機会を与えないようにしなさい」(エペ4:27)
*機会とは、場所、上陸地点のことである。
③信者と未信者の違いは、支配の度合いの違いである。
*信者には2つの性質がある。
*聖霊は、新しい性質の内に宿る。
*悪霊は、罪の性質の内に宿る。
(4)福音書は、現代の悪霊の活動を判断するための規準とはなり得ない。
2.イエスのメッセージの特徴
あ:愛―イエスは、愛をもって語った。
①律法学者たちは、往々にして、個人的な利得を求めていた。
「また、やもめの家を食いつぶし、見えを飾るために長い祈りをします。こうい
う人たちは人一倍きびしい罰を受けるのです」(マコ12:40)
②イエスは、聴衆の最善を求めた。
*父なる神を指し示した。
い:いのち―イエスは、人生の重要テーマについて語った。
①律法学者たちは、どうでもよいことを話題にした。
「わざわいだ。偽善の律法学者、パリサイ人。おまえたちは、はっか、いのんど、
クミンなどの十分の一を納めているが、律法の中ではるかに重要なもの、正義と
あわれみと誠実を、おろそかにしているのです。これこそしなければならないこ
とです。ただし、十分の一もおろそかにしてはいけません」(マタ23:23)
②イエスは、生死に関わることを語った。
う:動き―イエスは、着地点に向かって語った。
①律法学者たちは、荒野をさ迷うようなメッセージを語った。
「ユダヤ人の空想話や、真理から離れた人々の戒めには心を寄せないようにさせ
なさい」(テト1:14)
②イエスは、父なる神に向かわせるメッセージを語った。
え:絵―イエスは、たとえを用いて語った。
①律法学者たちは、感動のない教えを語った。
②イエスは、人々の関心を呼ぶ方法を知っておられた。
お:お墨付き(authority)―イエスは、権威を持って語った。
①律法学者の権威は、前の時代のラビたちに依存している。
②イエスの権威は、父なる神から与えられたものである。
*悪霊に対する権威
*病に対する権威
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