ルカの福音書(36)イエスに仕える女たち8:1~3

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イエスに仕える女たちについて学ぶ。

ルカの福音書 36回

イエスに仕える女たち

ルカ8:1~3

1.はじめに

(1)文脈の確認

  ①イエスは、数々の恵みの業を行われた。

  ②イエスは、罪の女の信仰を評価された(ルカだけ)。

  ③ここでは、イエスに仕える女たちが登場する(ルカだけ)。

(2)イエスの奉仕の原動力

  ①マタイは、自分のメシア性をユダヤ人に伝えたいというイエスの情熱を強調。

  ②マルコは、ユダヤ人の霊的指導者たちからの攻撃を強調。

  ③ルカは、イエスのあわれみの心を強調。

(3)直近の文脈で、イエスによって助けられた婦人の例が3つ出ていた。

  ①ナインのやもめ(7:12~15)

  ②罪の女(7:36~50)

  ③イエスに仕える女たち(8:1~3)

  ④彼女たちの幾人かは、恵みに応答してイエスの弟子となった。

  ⑤婦人の物語は、女性読者にとって励ましとなった。

2.アウトライン


  (1)第2回ガリラヤ伝道(1節)

(2)イエスの弟子となった女たち(2~3節a)

(3)女たちの奉仕の内容(3節b)

3.結論:ルカの視点

(1)男性と女性を対比させている。

(2)使徒の働きの内容を予見している。

イエスに仕える女たちについて学ぶ。

Ⅰ.第2回ガリラヤ伝道(1節)

1.1節

Luk 8:1
その後、イエスは町や村を巡って神の国を説き、福音を宣べ伝えられた。十二人もお供をした。

(1)これは、第2回ガリラヤ伝道の要約文である。

  ①第1回ガリラヤ伝道は、4:43~44に出ていた。

  ②カペナウムでの奉仕の後のことであった。

Luk 4:43
しかしイエスは、彼らにこう言われた。「ほかの町々にも、神の国の福音を宣べ伝えなければなりません。わたしは、そのために遣わされたのですから。」

Luk 4:44 そしてユダヤの諸会堂で、宣教を続けられた。

(2)イエスの奉仕は、巡回伝道であった。

  ①弟子集団を伴っていた。

  ②伝道旅行のために、多額の費用を必要とした。

(3)イエスが宣べ伝えた福音の内容は、「神の国」であった。

  ①バプテスマのヨハネは、神の国の到来を宣言した(マタ3:1~2)。

  ②ルカ17:20~21

Luk 17:20 パリサイ人たちが、神の国はいつ来るのかと尋ねたとき、イエスは彼らに答えられた。「神の国は、目に見える形で来るものではありません。

Luk 17:21 『見よ、ここだ』とか、『あそこだ』とか言えるようなものではありません。見なさい。神の国はあなたがたのただ中にあるのです。」

  ③イスラエルは、イエスを拒否する。

  ④その結果、教会が誕生し、異邦人の救いの時代が始まる。

  ⑤神の国の計画は、今も生きている。

  ⑥メシアの再臨と地上における千年王国の成就がそれである。

(3)「十二人」ということばが、ここで初めて登場する。

  ①彼らは、イエスの公生涯の期間、イエスと生活をともにした。

Ⅱ.イエスの弟子となった女たち(2~3節a)

1.2~3節a

Luk 8:2
また、悪霊や病気を治してもらった女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出してもらったマグダラの女と呼ばれるマリア、

Luk 8:3a

ヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ、スザンナ、そのほか多くの女たちも一緒であった。

    
(1)イエスに仕えたのは、悪霊を追い出され、病気を治してもらった女たちである。

  ①彼女たちは、イエスのあわれみに応答して、イエスの弟子となった。

  ②愛による応答だけが、真の弟子になる方法である。

  ③イエスの弟子になるのは、男性だけの特権ではない。

(2)マグダラの女と呼ばれるマリア

  ①マリア(ミリアム)は、人気のある名前である。

  ②他と区別するために、マグダラという町の名を頭につけた。

    *ガリラヤ湖西岸の町である。

    *当時の町が発掘されている。

  ③彼女は、イエスの足に香油を注いだ罪の女とは別人である。

  ④また、ベタニヤのマリアとも別人である。

  ⑤彼女は、7つの悪霊を追い出してもらった。

    *彼女の内に7つの悪霊がいた(完全数)。

    *他の悪霊憑きの例を見ると、結果は不道徳ではなく、理性の混乱である。

  ⑥彼女は、イエスの忠実な弟子となった。

    *後に、イエスの復活を目撃する最初の証人となる。

(3)ヘロデの執事クーザの妻ヨハンナ

  ①このヘロデは、ヘロデ・アンティパスである。

  ②彼女の夫クーザは、ヘロデの執事であった。

    *「家令」(新共同訳)

    *「steward」(KJV)

    *つまり、ヘロデの宮廷で仕える高官である。

  ③クーザは、ヨハ4:46の役人(息子が病気であった)と同一人物かもしれない。

  ④もしそうなら、夫婦揃ってイエスに感謝を覚えたはずである。

  ⑤初代教会の中に貴族階級の弟子たちがいたが、この夫婦の影響であろう。

  ⑥ヨハンナは、後に、イエスの復活の証人となる。

  ⑦イエスの包容力に注目しよう。

    *マグダラのマリアとヨハンナは、対極にある人物である。

(4)スザンナ

  ①詳しい情報はないが、最初の読者たちには意味のある人物だったと思われる。

(5)そのほか多くの女たち

  ①名前が上がっているのは3人だけである。

  ②それ以外にも、多くの女性の弟子たちがいた。

Ⅲ.女たちの奉仕の内容(3節b)

1.3節b

Luk 8:3b
彼女たちは、自分の財産をもって彼らに仕えていた。

(1)イエスの巡回伝道は、彼女たちの経済的援助によって支えられた。

  ①食事、衣服、宿舎などを用意する必要があった。

  ②当時の地中海世界では、宗教家や哲学者を援助するパトロンが多くいた。

  ③男性だけでなく、女性の中にもパトロンになる者たちがいた。

(2)彼女たちの犠牲は、経済的なものだけではなかった。

  ①男性の一行とともに旅をするのは、恥ずべきことであった。

  ②男女共学のない時代に、男性の弟子たちといっしょに学ぶのは恥ずべきこと。

  ③彼女たちは、家庭での責務を一時的に放棄して、イエスに従った。

  ④家族よりも神を第1にするという教えは、女性の弟子たちにも適用される。

  ⑤彼女たちの献身は、ユダヤ人の習慣に対する挑戦であった。

結論:ルカの視点

1
.男性と女性を対比させている。

(1)ゼカリヤとマリア(1~2章)

(2)ツァレファテのやもめとシリア人ナアマン(4:25~27)

(3)悪霊に憑かれた男とシモンのしゅうとめ(4:31~39)

(4)百人隊長とナインのやもめ(7:1~17)

(5)羊を持つ男と銀貨を持つ女(15:3~10)

2
.使徒の働きの内容を予見している。

(1)12人は、イエスの公生涯の目撃者である。

  ①使徒の資格(使1:21~22)

Act 1:21
ですから、主イエスが私たちと一緒に生活しておられた間、

Act 1:22

すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした人たちの中から、だれか一人が、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」

  ②公生涯の間イエスと行動とともにしたこと、そして、復活を目撃したこと。

  ③イスカリオテのユダに代わってマッテヤが使徒になった。

  ④彼らは、教会の土台である。

  ⑤「使徒たちの教え」は、神のことばである。

(2)女たちへの言及は、彼女たちがイエスの復活の証人になることの準備である。

  ①ルカ24:1

Luk 24:1
週の初めの日の明け方早く、彼女たちは準備しておいた香料を持って墓に来た。

  ②使1:14

Act 1:14
彼らはみな、女たちとイエスの母マリア、およびイエスの兄弟たちとともに、いつも心を一つにして祈っていた。

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