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ルカの福音書(23)レビの召命5:27~32
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ユダヤ的視点から、レビの召命について学ぶ。
ルカの福音書 23回
レビの召命
ルカ5:27~32
1.はじめに
(1)文脈の確認
①イエスはメシアとして、解放の恵みを種々の人たちに施された。
*悪霊に憑かれた人(悪霊の支配からの解放)
*ツァラアト患者(生涯の汚れからの解放)
*中風の人(肉体的ハンディキャップからの解放)
②ここでは、取税人に解放の恵みを施される。
*社会的な排斥と物質主義からの解放
*そればかりか、イエスとの交わりが提供される。
③パリサイ人たちが、その場にいる。
2.アウトライン
(1)レビの召命(27~28節)
(2)イエスとの交わり(29節)
(3)イエスの罪人に対する態度(30~32節)
3.結論
(1)イエスの招き
(2)招きへの応答
(3)ザアカイとの対比
ユダヤ的視点から、レビの召命について学ぶ。
Ⅰ.レビの召命(27~28節)
1.27節a
Luk 5:27a
その後、イエスは出て行き、収税所に座っているレビという取税人に目を留められた。
(1)中風の人の癒しの出来事の、直後である。
①場所は、カペナウムである。
②カペナウムは、交通の要衝の地である。
(2)レビという取税人が収税所に座っていた。
①取税人は、英語で「publican」という。
②ラテン語の「publicanus」(公の職務に就く者)からの借用語である。
③ザアカイは取税人のかしらであったが(ルカ19:2)、レビはそうではない。
(3)取税人という職業
①口伝律法では、取税人になることは禁じられていた。
②取税人の職は、入札で最高額を投じた者に与えられた。
③仕事の内容は、ローマ帝国の代理人として、税や罰金を徴収すること。
④この仕事は、大きな利益をもたらすものであった。
*民衆から集めた額と、ローマに納める額との差額が、収入になった。
*ローマ帝国は、その習慣を認めていた。
(4)ユダヤ人たちが取税人を憎んだ理由
①取税人は、ユダヤ人たちを抑圧しているローマ帝国に加担していた。
②取税人は、同胞から金を盗むことによって豊かになっていた。
(5)ユダヤ教の指導者たちは、取税人との交わりを禁止した。
①例外は、取税人同志の交わりである。
②「取税人と罪人」という表現。罪人とは、遊女(娼婦)の婉曲語である。
(6)タルムードは、取税人を2種類に区別している。
①所得税を徴収する取税人
②通行税を徴収する取税人
*後者の方が、評判が悪い。より多くのものをだまし取れるから。
(7)レビは、通行税を徴収する取税人であった。
①陸路と海路からの徴税があった。
*ヘロデの領地の外に出て行く舟からの徴税
*ダマスコからエジプトに向かう商人たちからの徴税
②レビは、富のために、名声も家族も祖国も捨てた人物である。
③その人物に、イエスは目をとめられた。
2.27節b
Luk 5:27b
そして「わたしについて来なさい」と言われた。
(1)この箇所で、レビが第7番目の弟子として召される。
①ペテロとアンデレ(漁師)
②ヤコブとヨハネ(漁師)
③ピリポとナタナエル
④そして、レビ(マタイとも呼ばれていた)
(2)レビは、イエスの権威を認識した。
①これは、突然起こったことではない。
②収税所は、情報の収集センターのようなものである。
③彼は、イエスの教え、奇跡、風貌に深い感銘を受けていた。
3.28節
Luk 5:28
するとレビは、すべてを捨てて立ち上がり、イエスに従った。
(1)これは、徹底的な従順である。
①収入の多い職業からの離脱
②経済的犠牲
③イエスからの召命を特権と考えた(取税人は宗教的活動から除外されていた)。
④ルカは、読者もレビの行動を見倣うようにと勧めている。
(2)マタイの福音書には、「すべてを捨てて」ということばはない。
①「自分の口でではなく、ほかの者にあなたをほめさせよ。自分の唇でではなく、 よその人によって」(箴27:2)
Ⅱ.イエスとの交わり(29節)
1.29節
Luk 5:29
それからレビは、自分の家でイエスのために盛大なもてなしをした。取税人たちやほかの人たちが大勢、ともに食卓に着いていた。
(1)レビは、自分の家でイエスのために盛大なもてなしをした。
①イエスから受けた恵みに感謝する(お返しをする)会である。
②彼が物質主義から解放されたことは、明白である。
(2)食卓に着いていた人たち
①主賓は、イエス。
②次席は、イエスの弟子たち6人。
③それ以外の招待客として、取税人と罪人(娼婦)がいた。
④そして、その外側に群衆がいた。
⑤その様子を、パリサイ人たちが観察していた。
(3)「ともに食卓に着いていた」
①ギリシア語で、「スン-アナケイミ」である。
②肘をついて体を横たえるという意味。
③ユダヤ的には、食事をともにすることは、親密な交わりを意味する。
④黙3:20
Rev 3:20
見よ、わたしは戸の外に立ってたたいている。だれでも、わたしの声を聞いて戸を開けるなら、わたしはその人のところに入って彼とともに食事をし、彼もわたしとともに食事をする。
Ⅲ.イエスの罪人に対する態度(30~32節)
1.30節
Luk 5:30
すると、パリサイ人たちや彼らのうちの律法学者たちが、イエスの弟子たちに向かって小声で文句を言った。「なぜあなたがたは、取税人たちや罪人たちと一緒に食べたり飲んだりするのですか。」
(1)彼らは、審問の段階に入っているので、疑問をぶつけた。
①直接イエスにではなく、弟子たちに言った。
②イエスは民衆の間で人気があった。
(2)彼らの理解では、イエスは不法なことを行っている。
①裕福な者が、高名なラビを食事に招待するのは、称賛に値する行為である。
②しかし、レビは取税人仲間と遊女しか招いていない。
③そのような場にイエスが同席しているのは、理解できないことである。
④もしイエスがメシアであるなら、このような者たちと交わるはずがない。
⑤儀式的汚れを受ける恐れがある。
2.31~32節
Luk 5:31
そこでイエスは彼らに答えられた。「医者を必要とするのは、健康な人ではなく病人です。
Luk 5:32
わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせるためです。」
(1)取税人や遊女は、道徳的な意味で病人である。
①彼らは、助けを必要としている人々である。
②イエスは、彼らを癒す医者である。
(2)パリサイ人たちは、不遜にも、自分たちは霊的に健康であると考えていた。
①霊的癒しを必要としていない。
②従って、医者は必要ではない。
(3)「わたしが来たのは、正しい人を招くためではなく、罪人を招いて悔い改めさせ
るためです」
①このことばは、レビの人生に成就した。
②パリサイ人たちの問題点は、自分が義人だと思っていること。
③自分は罪人だという認識がなければ、イエスの招きの声を聴くことは難しい。
④イエスが人々を2分するとは、このことである。
結論
1.イエスの招き
(1)権威ある招き
①レビは、宗教的指導者たちの権威に従っていた時があった。
②しかし、今は政治的権威に従っている。
③さらに、富に仕えている。
④その彼が、イエスの権威はいかなる地上の権威よりも上であることを認めた。
(2)恵みに満ちた招き
①取税人が招かれることは、奇跡的なことである。
(3)愛に満ちた招き
①レビは、神の愛の中に招かれたのである。
2.招きへの応答
(1)信仰による決断
①収税所を去ると、2度との取税人には戻れない。
②収税所そのものは、依然として活動を継続する。
③犠牲を伴う決断であった。
(2)賜物を生かす人生
①彼の人生は、搾取から奉仕の人生に変えられた。
②取税人としての経験が生きたことであろう。
③しかし、彼は言葉数の多い人ではない。
*福音書の中で、彼がイエスに質問したという記録はない。
④その彼が、マタイの福音書を書き残した。
*これは、ユダヤ人に向けて書かれた福音書である。
⑤ここに、神の大いなる「どんでん返し」(アイロニー)がある。
⑥私たちも、神の「どんでん返し」になろうではないか。
3.ザアカイとの対比
(1)ザアカイは、取税人のかしらで、金持ちであった。
①レビに関しては、そういう記述はない。
(2)ルカ19:9~10
Luk 19:9
イエスは彼に言われた。「今日、救いがこの家に来ました。この人もアブラハムの子なのですから。
Luk 19:10
人の子は、失われた者を捜して救うために来たのです。」
①公生涯の初期にレビが登場し、後期にザアカイが登場する。
②イエスの公生涯は、似たような2つのエピソードで括られている。
(3)そこでイエスが語られたことは、イエスの公生涯を解釈する鍵になる。
(4)「人の子は、失われた者を捜して救うために来たのです」
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