私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ルカの福音書(20)最初の弟子たちの招き5:1~11
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最初の弟子たちの招きについて学ぶ。
ルカの福音書 20回
最初の弟子たちの招き
ルカ5:1~11
1.はじめに
(1)文脈の確認
①イエスはカペナウムに下り、そこを宣教の拠点とした。
②イエスの権威は、悪霊の追い出しと病の癒しによって証明された。
③イエスは、ユダヤの諸会堂で宣教を続けられた。
④イエスは、最初の弟子たちを招かれる。
*シモン、ヤコブ、ヨハネ
*アンデレが省略されているのは、ペテロに焦点を合わせるためである。
⑤これまで彼らは、漁師をしながらイエスに従っていたが、転機を迎える。
*彼らのメシア像は、政治的メシアである。
*メシアは、政治的解放者であるが、神ではない(当時の一般的認識)。
*イエスは、正しいメシア像を教えるために公生涯の間、労苦された。
2.アウトライン
(1)召命の舞台設定(1~3節)
(2)大漁の奇跡(4~7節)
(3)奇跡の結果(8~11節)
4.結論
(1)召命へのステップ
最初の弟子たちの招きについて学ぶ。
Ⅰ.召命の舞台設定(1~3節)
1.1~2節
Luk 5:1
さて、群衆が神のことばを聞こうとしてイエスに押し迫って来たとき、イエスはゲネサレ湖の岸辺に立って、
Luk 5:2
岸辺に小舟が二艘あるのをご覧になった。漁師たちは舟から降りて網を洗っていた。
(1)ゲネサレ湖とは、ガリラヤ湖のことである。
①ゲネサレは、ガリラヤ湖の北西の地域。カペナウムは真北に当たる。
②地域の名称が、湖の名称となった。
③イエスは、その辺りの岸辺に立って教えていた(ペテロ召命教会が建っている)。
④「神のことば」とは、「神からくることば」、「福音」のことである。
(2)群衆が、イエスの教えを聞こうとして、イエスに押し迫って来た。
①群衆は、神のことばに非常な興味を抱いていたことが分かる。
②これは、落ち着いて語れない状態、また、危険な状態である。
(3)イエスは、小舟が二艘あるのをご覧になった。
①漁師たちはその日の仕事を終え、網を洗っていた。
②網は、亜麻糸でできていた。
*魚に見えるので、この網は夜しか使用しない。
*魚以外のゴミが網に入るので、洗う必要があった。
③二艘あると書かれているのは、後に出てくる大漁物語への布石である。
2.3節
Luk 5:3
イエスはそのうちの一つ、シモンの舟に乗り、陸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして腰を下ろし、舟から群衆を教え始められた。
(1)イエスは舟を必要とした(奇跡の経済学)。
①イエスはシモンに、舟を陸から少し漕ぎ出すように頼まれた。
②シモンは、喜んで応答したことであろう。
③彼の舟は、宣教のために用いられた。
(2)陸から少し漕ぎ出した。
①群衆との間に適度な距離ができる。
②群衆を見渡せる。
③音響効果を利用できる。
④ラビとして教えることができる(イエスは、すわって教えている)。
(3)イエスの知恵と自由な発想
①神殿、会堂が奉仕活動の場であったが、ここでは、舟がその役割を果たした。
②イエスは、いかなる環境にあっても、神のことばを語った。
Ⅱ.大漁の奇跡(4~7節)
1.4節
Luk 5:4
話が終わるとシモンに言われた。「深みに漕ぎ出し、網を下ろして魚を捕りなさい。」
(1)これは、落胆したシモンへの命令のことばである。
①イエスは、深みに行けば、魚が大量にいることを知っていた。
②このことばは、字義通りに解釈する必要がある。
(2)この命令には、無数の適用がある。
①人間の落胆は、神のチャンスである。
②人間的判断で行う奉仕は、疲れる。神の導きに頼る必要がある。
③ルカの福音書では、「深み」とは異邦人世界の象徴と考えられる。
④使10章で、ペテロは敷布に入れられた不浄食物の幻を見ることになる。
2.5節
Luk 5:5
すると、シモンが答えた。「先生。私たちは夜通し働きましたが、何一つ捕れませんでした。 でも、おことばですので、網を下ろしてみましょう。」
(1)「先生」は、ギリシア語で「エピスタテイス」(エピスタタ)である。
①これは、ヘブル語の「ラビ」のギリシア語訳である。
②シモンはイエスを、ラビと呼んでいる。
③宗教的なテーマなら、ラビの指示に従うのは当然のことである。
(2)イエスの命令は、漁に関するものである。
①これは、シモンの専門分野である。
②「私たちは夜通し働きましたが、何一つ捕れませんでした」
③魚は、夜、岸に近い浅瀬で獲れる。
④イエスの命令は、漁師の常識に反するものである。
⑤イエスの専門分野は、大工仕事である。
(3)「でも、おことばですので、網を下ろしてみましょう」
①相当な信仰がないと語れないことばである。
②シモンの従順から教訓を学ぼう。
3.6節
Luk 5:6
そして、そのとおりにすると、おびただしい数の魚が入り、網が破れそうになった。
(1)イエスの命令に従順に従った結果、大漁になった。
①刺し網は破れそうになった(漁師だから分かる)。
②イエスは、自然界を支配しておられる。
③大漁は、謙遜な心、教えられやすい心、従順な心に対する報酬である。
4.7節
Luk 5:7
そこで別の舟にいた仲間の者たちに、助けに来てくれるよう合図した。彼らがやって来て、魚を二艘の舟いっぱいに引き上げたところ、両方とも沈みそうになった。
(1)「仲間の者たち」に合図した。
①漁は、共同作業である。
②網や舟を共有し、作業効率を上げた。
③シモンの家とゼベダイの家とは、協力関係にあったのであろう。
(2)余りの大漁で、二艘とも沈みそうになった。
①実際に沈んだわけではない。
②これは、嬉しい悲鳴である。
Ⅲ.奇跡の結果(8~11節)
1.8~9節
Luk 5:8
これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して言った。「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間ですから。」
Luk 5:9
彼も、一緒にいた者たちもみな、自分たちが捕った魚のことで驚いたのであった。
(1)ルカは、シモンに焦点を合わせて描いている。
①シモン以外の者たちも、同様の反応を示したはずである。
②ここでは、「シモン・ペテロ」というフルネームになっている。
③極端から極端に行くのは、シモンの特徴である。
④彼は、イエスの足元にひれ伏した。
(2)「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間ですから」
①「先生」(ラビ)から「主よ」(キュリオス)への変化が見られる。
②イエスは文字通りには、舟から離れられない。
*「私の罪を赦して下さい」
*「あなたのようなお方が、私と何の関係があるのですか」
③神に出会うと、自らの罪深さを認識するようになる。
2.10節
Luk 5:10
シモンの仲間の、ゼベダイの子ヤコブやヨハネも同じであった。イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間を捕るようになるのです。」
(1)ヤコブとヨハネも、同じ経験をした。
①アンデレの名は出て来ないが、彼も同じ経験をした。
(2)彼らの職業は、魚を獲ることから、人間を獲ることに変えられた。
①漁師は、生きている魚を殺すために獲る。
②人間を獲る漁師は、死んでいる人を生かすために獲る。
③大漁の奇跡は、使徒たちの伝道によって多くの魂が救われることの予表である。
3.11節
Luk 5:11
彼らは舟を陸に着けると、すべてを捨ててイエスに従った。
(1)漁業は、ガリラヤ湖周辺では最も人気のある職業で、利益も大きかった。
①彼らは、その安定した職業を捨てて、イエスの弟子となった。
結論:召命へのステップ
1.神との出会い
(1)ペテロは、イエスが神であることを体験した。
①カナの婚礼、エルサレムでの奇跡、悪霊の追い出し、姑の癒し
②大漁の奇跡は、ペテロの専門分野での奇跡である。
③また、日常生活における奇跡である。
④ペテロは、実存的に神に出会ったのである。
(2)真の宗教体験は、神との出会いから始まる。
①聖書の神を求める心が、最も重要である。
(3)神との出会いは、勤勉な生活の中で起こる。
①ペテロは、漁師として働いていた。
②今与えられている仕事に忠実に歩むことは重要である。
2.罪の認識
(1)神の臨在に触れた時に、人は自らの汚れと罪を認識するようになる。
①ペテロの体験は、普遍的なものである。
(2)イザヤの体験
Isa 6:5
私は言った。/「ああ、私は滅んでしまう。/この私は唇の汚れた者で、/唇の汚れた民の間に住んでいる。/しかも、万軍の【主】である王を/この目で見たのだから。」
3.罪の赦し
(1)「恐れることはない」(ルカ5:10)
①信仰による救いが提供された。
②今の私たちは、福音の三要素を信じて救われる。
(2)イザヤの体験
Isa 6:7
彼は、私の口にそれを触れさせて言った。/「見よ。これがあなたの唇に触れたので、/あなたの咎は取り除かれ、/あなたの罪も赦された。」
4.召命
(1)「今から後、あなたは人間を捕るようになるのです」(ルカ5:10)
(2)イザヤの体験
Isa 6:8
私は主が言われる声を聞いた。「だれを、わたしは遣わそう。だれが、われわれのために行くだろうか。」私は言った。「ここに私がおります。私を遣わしてください。」
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