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メシアの生涯(17)—バプテスマのヨハネの登場—
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福音の始まりについて学ぶ。
「バプテスマのヨハネの登場」 ルカ3:1~2、マコ1:2~6
1.はじめに
(1)文脈の確認
①バプテスマのヨハネの誕生
②イエスの誕生
③イエスの幼少期
(2)今日の箇所は、それから約18年後のこと。
①ヨハネ登場の年代(A.T.ロバートソンの§20)
*マコ1:1
〇ルカ3:1~2
②ヨハネの人物像とそのメッセージ(§21)
〇マコ1:2~6
*マタ3:1~6
*ルカ3:3~6
2.アウトライン
(1)ヨハネ登場の年代(ルカ3:1~2)
(2)預言の成就(マコ1:2~5)
(3)ヨハネの風貌(マコ1:)
3.メッセージのゴール(実に多くの適用がある)
(1)福音の歴史性
(2)バプテスマの意味
(3)忍耐の必要性
このメッセージは、福音の始まりについて学ぼうとするものである。
Ⅰ.ヨハネ登場の年代(ルカ3:1~2)
1.1~2a節
「皇帝テベリオの治世の第十五年、ポンテオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤ
の国主、その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の国主、ルサニヤがアビレネの国主
であり、アンナスとカヤパが大祭司であったころ、」
(1)ルカは歴史家である。
①当時は、支配者の統治年によって年代を確定した。
②これは、当時の歴史家たちの一般的な手法である。
③ルカは、6種類の情報を列挙している。
2.6種類の情報
(1)「皇帝テベリオの治世の第十五年」
①アウグストの次の皇帝
②A.D.11年から2年間、アウグストと共同統治。
③恐らく、A.D.26年であろう。
④テベリオは悪名高い皇帝である。
⑤次に彼が選んだ皇帝はカリギュラで、さらに悪名高い。
(2)「ポンテオ・ピラトがユダヤの総督」
①彼は、5代目のユダヤ総督である(A.D.26~36年)。
②1961年、カイザリヤで彼の名を刻んだ記念碑が発見された。
(3)「ヘロデがガリラヤの国主」
①ヘロデ大王の息子、ヘロデ・アンテパスのことである。
②彼は、ガリラヤの国主であった(4年B.C.~A.D.36年)。
③バプテスマのヨハネを投獄する人物である。
④国主は、王よりもランクの低い地位のことである。
(4)「その兄弟ピリポがイツリヤとテラコニテ地方の国主」
①ヘロデ・ピリポは、アンテパスの腹違いの兄弟である。
②彼は、ガリラヤの北に領地を持った(4年B.C.~A.D.34年)。
(5)「ルサニヤがアビレネの国主であり」
①アビレネは、さらに北方、シリアに位置する。
(6)「アンナスとカヤパが大祭司であったころ」
①アンナスは、元大祭司である(A.D.6~15年)。
②引退しても、大祭司は終身職であるため、大祭司という称号が付く。
③カヤパはアンナスの義理の息子である(A.D.18~36年)。
④実権はアンナスが握っていた。
3.2b節
「神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに下った」
(1)「ザカリヤの子ヨハネ」
①ルカは、1章で説明した内容を前提に、この箇所を書いている。
②ザカリヤの職業は、祭司であった。
(2)当時ヨハネはおよそ30歳になっていた。
①祭司の息子は、30歳で活動を開始した。
②旧約時代、祭司は30歳から奉仕を始める。
(3)「神のことばが、下った」
①ルカはヨハネを預言者として理解している。
②ルカ1:76の成就(ザカリヤの預言)
「幼子よ。あなたもまた、いと高き方の預言者と呼ばれよう。主の御前に先
立って行き、その道を備え、」
③エレ1:2
「アモンの子、ユダの王ヨシヤの時代、その治世の第十三年に、エレミヤに
【主】のことばがあった」
*ホセ1:1、ミカ1:1、ハガ1:1など参照
④バプテスマのヨハネは、旧約最後の預言者である。
Ⅱ.預言の成就(マコ1:2~5)
1.2~3節
「預言者イザヤの書にこう書いてある。『見よ。わたしは使いをあなたの前に遣わし、あ
なたの道を整えさせよう。荒野で叫ぶ者の声がする。「主の道を用意し、主の通られる道
をまっすぐにせよ」』。そのとおりに、」
(1)マルコの福音書で唯一の旧約聖書からの引用(イエスのことばを除く)
①マルコの福音書の読者は、ローマ人である。
(2)イザ40:3の成就
「 荒野に呼ばわる者の声がする。『主の道を整えよ。荒地で、私たちの神のため
に、大路を平らにせよ』」
(3)3つの預言をひとつにまとめて引用している。
①出23:20、マラ3:1、イザ40:3
②同じテーマの預言をまとめ、代表的な預言者の預言として引用する。
③「荒野体験」が共通したテーマになっている。
④マルコはこれらの預言を、メシアに適用している。
2.4節
「 バプテスマのヨハネが荒野に現れて、罪の赦しのための悔い改めのバプテスマを宣
べ伝えた」
(1)「罪の赦しのための悔い改めのバプテスマ 」
①バプテスマによって罪が赦されるわけではない。
②罪の赦しに関係したバプテスマ、という意味である。
③悔い改めとは、心の方向転換のこと。
④悔い改めと罪の赦しが、バプテスマに先行する。
3.5節
「 そこでユダヤ全国の人々とエルサレムの全住民が彼のところへ行き、自分の罪を告
白して、ヨルダン川で彼からバプテスマを受けていた」
(1)ユダヤ的誇張法が使用されている。
①ヨハネの影響が広範囲に及んだことを表している。
②「出て行き」は、能動態の未完了形。継続した動作。
③「バプテスマを受けていた」は、受動態の未完了形。継続した動作。
(2)場所は、ヨルダン川
①ヨシュアに率いられた民が、約束の地に入る際にこの川を渡った。
②預言者エリヤが活躍した地である。
③ユダヤ人には、霊的遺産が遺されている地である。
(3)「自分の罪を告白して」
①イスラエルの歴史を知るユダヤ人は、民族的罪と自らの罪を認識していた。
②神の評価、判断に同意すること。
Ⅲ.ヨハネの風貌(マコ1:6)
1.6節
「ヨハネは、らくだの毛で織った物を着て、腰に皮の帯を締め、いなごと野蜜を食べ
ていた」
(1)衣装
①らくだの皮ではなく、らくだの毛で織った上着である。
②腰に皮の帯(ガードル)を締めていた。
(2)常食
①いなご。乾燥させたいなご。レビ11:22で許可されている。
②野蜜。岩の割れ目に蜂の巣があった。
2.預言者エリヤの風貌
(1)2列1:8
「彼らが、『毛衣を着て、腰に皮帯を締めた人でした』と答えると、アハズヤは、
『それはティシュベ人エリヤだ』と言った」
(2)バプテスマのヨハネは、意図的にエリヤ的風貌を真似た。
①エリヤは、神の民に悔い改めを迫る預言者である。
②バプテスマのヨハネの奉仕も、神の民に悔い改めを迫るものである。
結論:
1.福音の歴史性
(1)ルカは、救済の歴史を世界史の中に位置づけようとした。
①年代だけなら、テベリオの治世の第15年だけで十分である。
②それ以外の5つの要素は、当時の政治状況の要約である。
③イエスの公生涯は、非常に複雑な政治状況の中で始まった。
(2)イエスの公生涯は、バプテスマのヨハネの登場から始まる。
①使1:22
「すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた
日までの間、いつも私たちと行動をともにした者の中から、だれかひとりが、私
たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません」
②使10:37、13:24~25参照
(3)福音記者たちは、正直に、率直に、創作の手を加えずに書いている。
①これらのことは、私たちが誕生するはるか前に起こった。
②不安になって、創作の手を加える必要はない。
③書かれていることを、そのまま受け取ればよい。
2.バプテスマの意味
(1)基本的意味は、一体化である。
①バプテスマのヨハネとの一体化
②そのメッセージとの一体化
③バプテスマのヨハネが示すメシアを信じる。
(2)ユダヤ教の洗礼との比較
①清めのための洗礼(洗い)とは異なる。
*自分で水に入る。
*繰り返し実行する。
*クムランのエッセネ派の洗礼も、これと同じである。
②異邦人がユダヤ教に改宗する際の洗礼とも異なる。
*自分で水に入る。
③ヨハネの洗礼の新しさ
*ユダヤ人にこの洗礼を命じた。
*他の人によって洗礼が施される。
*内面の変化が前提になっている。
(3)クリスチャンの洗礼
①内面の変化(新生体験)が前提になっている。
②洗礼は救いの条件ではない。
③他の人によって施される。
④一度限りでよい。
3.忍耐の必要性
(1)マラキからバプテスマのヨハネまで、約400年以上が経過している。
①バプテスマのヨハネの誕生から、約30年が経過している。
(2)詩37:7
「【主】の前に静まり、耐え忍んで主を待て。おのれの道の栄える者に対して、悪意
を遂げようとする人に対して、腹を立てるな」
(3)1ペテ1:12
「彼らは、それらのことが、自分たちのためではなく、あなたがたのための奉仕であ
るとの啓示を受けました。そして今や、それらのことは、天から送られた聖霊によっ
てあなたがたに福音を語った人々を通して、あなたがたに告げ知らされたのです。そ
れは御使いたちもはっきり見たいと願っていることなのです」
①預言者たちは、自らの預言したことの成就を見ることなしに死んでいった。
(4)私たちへの教訓
①忍耐は、神の主権への応答である。
②祈りの答えは、時には「待て」であり時には「否」である。
③それでも、私たちは神を信じる。
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