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ルカの福音書(8)イエスの誕生2:1~7
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イエスの誕生について学ぶ。
ルカの福音書 08回
イエスの誕生
ルカ2:1~7
1.はじめに
(1)文脈としては、ヨハネとイエスの対比が続いている。
①誕生の告知
②実際の誕生物語
③人々の喜び
(2)この対比は、ヨハネよりもイエスのほうが偉大であることを示している。
(3)マタイはイエスの誕生を簡単に扱っている。
①マタ1:24~25
Mat 1:24 ヨセフは眠りから覚めると主の使いが命じたとおりにし、自分の妻を迎え入れたが、
Mat 1:25 子を産むまでは彼女を知ることはなかった。そして、その子の名をイエスとつけた。
(4)ルカは、イエスの誕生物語を詳細に記している。
①ルカの福音書2章の資料は、ルカだけが取り上げているユニークな情報である。
②ヨハネの誕生物語では、命名の経緯に強調点があった。
③イエスの誕生物語では、誕生の状況に強調点がある。
2.アウトライン
(1)ベツレヘムでの出産の政治的背景(1~3節)
(2)ベツレヘムとダビデの関係(4~5節)
(3)ベツレヘムでのみすぼらしい始まり(6~7節)
3.結論
(1)歴史観
(2)ダビデ契約
(3)受難の予表
イエスの誕生について学ぶ。
Ⅰ.ベツレヘムでの出産の政治的背景
(1~3節)
1.1節
Luk 2:1
そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストゥスから出た。
(1)「そのころ」とは、ヨハネが誕生した時期への言及である。
①皇帝アウグストゥスが住民登録の勅令を出した。
②アウグストゥスの治世は、前27年~紀元14年である。
*アウグストゥスとは、オクタヴィアヌスのことである。
*彼は、ユリウス・カエサルの甥に当たる。
*カエサルの死後、ローマ帝国初代の皇帝となった。
③アウグストゥスとは、称号である。
*「崇高なる者」、「大いなる者」という意味。
*前27年、元老院がこの称号を送った。
(2)住民登録は、徴税を目的として行われた。
①全世界とは、ローマ帝国内のことである。
②徴税に用いる住民台帳を作成するためのもので、徴税そのものではない。
2.2節
Luk 2:2
これは、キリニウスがシリアの総督であったときの、最初の住民登録であった。
(1)ルカの記述は不正確であるとの批判があった。
①ヘロデ大王は前4年に死んだので、イエスの誕生はそれ以前のこととなる。
②ところが、キリニウスがシリアの総督であったのは紀元6年以降である。
③この2つの年代は、矛盾する。
④実際は、キリニウスは2度シリアの総督を勤めたので、矛盾ではない。
⑤前10~7年、キリニウスはシリアの軍事担当総督であった(W・M・ラムゼー)。
⑥この住民登録は、前8年に行なわれたものである。
⑦実際の登録作業は、行政単位ごとに行われた。
⑧つまり、帝国内同時にということではなく、地域によって時間差があった。
3.3節
Luk 2:3
人々はみな登録のために、それぞれ自分の町に帰って行った。
(1)「自分の町」の意味
①住んでいる町という意味。「ガリラヤの自分たちの町ナザレ」(ルカ2:39)
②先祖の町という意味
*ヨセフの先祖はダビデである。
*ベツレヘムは、ダビデが誕生した町で、ダビデの町と呼ばれた。
*家族の戸籍が保管されている町
(2)「登録するために」
①家族ごとの戸籍が記されたパピルスが、エジプトで発掘されている。
②ヨセフの家族の戸籍は、ベツレヘムに保管されていたのであろう。
Ⅱ.ベツレヘムとダビデの関係(4~5節)
1.4節
Luk 2:4
ヨセフも、ダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。
(1)ヨセフはダビデの家系に属している。
①ユダヤのベツレヘムに彼の戸籍があった。
②発掘された陶器によって、ベツレヘムからナザレに移住する人たちがいたこと
が判明している。
(2)2つのベツレヘム
①ナザレの北西11キロにある村。ゼブルン族の所有(ヨシ19:15)
②ユダヤのベツレヘム。エルサレムの南8キロにある町
(3)「ダビデの町」という名称
①旧約聖書では、エルサレムの南の地区を指す(ダビデが建てたエルサレム)。
②ルカの福音書では、ベツレヘムを指す。
③ルカは、ベツレヘムとダビデを関連づけている。
2.5節
Luk 2:5
身重になっていた、いいなずけの妻マリアとともに登録するためであった。
(1)「いいなずけの妻マリア」
①マリアは、法的にはヨセフの妻である。
②しかし、実質的な結婚関係はまだ始まっていない。
(2)マリアが同行した理由は、いくつか考えられる。
①マリアもまた、ベツレヘムで登録する必要があった。
*シリア(パレスチナを含む)では、女子にも人頭税がかけられた。
②ナザレでの噂話を避けるため。
③出産の時に、ヨセフがそばにいることを願った。
④イエスがメシアであることを知っていたので、ミカ書の預言を意識した。
Mic 5:2
「ベツレヘム・エフラテよ、/あなたはユダの氏族の中で、あまりにも小さい。/だが、あなたからわたしのために/イスラエルを治める者が出る。/その出現は昔から、/永遠の昔から定まっている。」
⑤いずれにしても、ルカはこの出来事の背後に神の御手を見ている。
Ⅲ.ベツレヘムでのみずぼらしい始まり(6~7節)
1.6~7節a
Luk 2:6
ところが、彼らがそこにいる間に、マリアは月が満ちて、
Luk 2:7a
男子の初子を産んだ。
(1)「月が満ちて」
①ベツレヘムについてどれくらいの時間が経過したかは分からない。
②ルカ1:57との対比
Luk 1:57 さて、月が満ちて、エリサベツは男の子を産んだ。
(2)「男子の初子を産んだ」
①マリアには他の子どもたちがいたことが暗示されている。
②マタ13:55、マコ3:31~35
2.7節b
Luk 2:7b そして、その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。
(1)「布にくるんで」
①長い布で赤子を巻くのは、当時の習慣である。
②寒くないように、また、両腕が真っ直ぐに伸びるように。
③エゼ16:4(エルサレムに関する描写)
Eze 16:4
あなたの生まれについて言えば、あなたが生まれた日に、あなたは、へその緒を切られず、水で洗いきよめられず、塩でこすられず、布で包まれることもなかった。
④通常は、助産婦が立ち会った。
⑤初産のマリアに、助産婦がついた可能性は十分ある。
(2)「飼葉桶に寝かせた」
①飼葉桶は、家畜(ろば、羊、山羊)に餌を与えるための道具である。
②それが、メシアの揺りかごとなった。
③家畜はその周りにはいない。
④これらの描写は、後に登場する羊飼いたちにとって重要な「しるし」となる。
⑤ルカ2:12
Luk 2:12 あなたがたは、布にくるまって飼葉桶に寝ているみどりごを見つけます。それが、あなたがたのためのしるしです。」
(3)「宿屋には彼らのいる場所がなかったからである」
①「客間には彼らのいる余地がなかったからである」(口語訳)
②宿屋(ホテル)に空き部屋がなかったという意味ではない。
③知り合い(親戚)の家には、空いている客間がなかったということであろう。
*離散した親族が、人口調査のために同じ時期に戻って来たのであろう。
④町の外にある自然の洞窟が、家畜の囲い場になっていた。
⑤メシアは、人間が住む空間ではなく、家畜が住む空間で誕生された。
⑥イエス誕生の地は、現在の聖誕教会の近辺である。
結論
1.歴史観
(1)箴言21章1節
Pro 21:1
王の心は、【主】の手の中にあって水の流れのよう。/主はみこころのままに、その向きを変えられる。
(2)ルカは、イエスの誕生を世界史の中に位置づけた。
①これを起点に、イエスの誕生には宇宙大の意義があることを示していく。
(3)アウグストゥスは、
「世界に平和をもたらした神聖な救い主」と呼ばれた。
①しかしルカは、アウグストゥス以上の救い主の到来を宣言する。
(4)神は、この世の支配者をご自分の目的のために用いる。
①ネブカデネザル(バビロンの王)
*彼は、背信の民イスラエルを裁くための神の器である。
*しかし、彼もまた、イスラエルを苦しめた罪で裁かれる。
②キュロス(ペルシアの王)
*彼は、勅令を出して、イスラエルの民の約束の地への帰還を許可した。
③アウグストゥス
*彼は、ミカ5:2の成就のために用いられた。
④ヒトラー
*彼は、600万人のユダヤ人を殺した。
*しかし、イスラエルという国が誕生した。
⑤イスラム原理主義の諸国
*その存在が、ユダヤ人を神に向かわせる力となっている。
⑥反キリスト
*大患難時代になると、反キリストはユダヤ人を抹殺しようとする。
*しかし、最後にユダヤ人は民族的救いを体験するようになる。
2.ダビデ契約
(1)ルカは、ベツレヘムの町をダビデと関連づけた。
①ダビデ契約によれば、メシアはダビデの子孫から生まれる。
②メシアは、「ダビデの子」である。
③ヨセフとマリアは、ともにダビデの子孫である。
④ベツレヘムで誕生したヨセフとマリアの息子イエスは、メシアの資格を持つ。
3.受難の予表
(1)イエスのみすぼらしい始まりは、受難の予表となっている。
①イエスは、王宮ではなく、飼葉桶の中に寝かされた。
②イエスは、貧しい者たちや弱い者たちと1つとなられた。
③誕生の時から、イエスには、この世に居場所がなかった。
④この世から拒否された究極的な状態が、十字架刑である。
(2)ヨハネの福音書1章11~12節は、このテーマを紹介している。
Joh 1:11
この方はご自分のところに来られたのに、ご自分の民はこの方を受け入れなかった。
Joh 1:12
しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとなる特権をお与えになった。
(3)イエスの誕生物語は、あらゆる時代の貧しい者たちに希望を与えてきた。
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