私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
ルカの福音書(7)ザカリヤの賛歌1:67~80
- このメッセージに感謝を贈る
-
この無料配信メッセージは、皆様の祈りと献金のサポートで成り立っています。
あなたの「ちょっとした感謝」を300円献金で贈ってみませんか?
このメッセージでは...
ザカリヤの賛歌について学ぶ。
ルカの福音書 07回
ザカリヤの賛歌
ルカ1:67~80
1.はじめに
(1)前回は、「ヨハネの誕生」について学んだ。
(2)文脈としては、ヨハネとイエスの対比が続いている。
①誕生の告知
②実際の誕生物語
③人々の喜び
(3)この対比は、ヨハネよりもイエスのほうが偉大であることを示している。
(4)ルカ1章と2章で、5つの賛歌が登場する。
①エリサベツの預言的言葉(1:42~45)
②マリアの賛歌(マグニフィカート)(1:46~55)
③ザカリヤの賛歌(ベネディクトゥス)(1:68~79)
④天使たちの賛歌(グロリア・イン・エクセルシス・デオ)(2:14)
⑤シメオンの賛歌(ヌンク・ディミティス)(2:29~30)
(5)ザカリヤの賛歌の特徴
①ギリシア語では、1つの長い文である。
②少なくとも16箇所が旧約聖書への暗示・言及である。(Alfred Plummer)
*詩篇や預言書
*マリアの賛歌では、12箇所がそうである。
③「契約」と「誓い」ということばが強調されている(72~73節)。
*契約に対する神の忠実さが中心テーマである。
2.アウトライン
(1)前書き(67節)
(2)賛歌の前半:メシアによる解放(68~75節)
(3)賛歌の後半:ヨハネの役割(76~79節)
(4)ヨハネの成長(80節)
3.結論
(1)イエスとヨハネの対比
(2)信者の現実的手本としてのザカリヤ
ザカリヤの賛歌について学ぶ。
Ⅰ.前書き(67節)
1.67節
Luk 1:67 さて、父親のザカリヤは聖霊に満たされて預言した。
> (1)この賛歌は、聖霊に満たされて語る預言である。
①ヨハネは、母の胎にいるときから聖霊に満たされた(15節)。
②エリサベツは、聖霊に満たされて叫んだ(41節)。
③祭司ザカリヤも、聖霊に満たされて預言した。
*不信仰とその裁きから解放された彼は、素晴らしい賛歌を口にした。
(2)ザカリヤの賛歌の役割
①天使ガブリエルは、ヨハネはメシアの先駆者だと予告した(15~17節)。
②マリアの賛歌は、イエスの誕生は終末的希望の成就だと歌った(46~55節)。
③ザカリヤの賛歌は、メシアとヨハネの協力関係について歌っている。
Ⅱ.賛歌の前半:メシアによる解放(68~75節)
1.68節a
Luk 1:68a 「ほむべきかな、イスラエルの神、主。
> (1)これは、詩篇や預言書にたびたび登場する表現である。
①マリアの賛歌も、同様のことばで始まっている。
②新約聖書の書簡にも、同様の表現がある。
*エペ1:3~10、2コリ1:3~4、1ペテ1:3~5
(2)ザカリヤは、イスラエルの神、主をほめる(賛美)する理由を挙げる。
①メシアによって、終末的希望である「解放」が成就する。
2.68b~70節
Luk 1:68b 主はその御民を顧みて、贖いをなし、
Luk 1:69 救いの角を私たちのために、/しもべダビデの家に立てられた。
Luk 1:70 古くから、その聖なる預言者たちの口を通して/語られたとおりに。
(1)時制は、未来完了形、つまり預言的完了形である。
①マリアの賛歌でも、未来完了形が用いられていた。
(2)神はイスラエルの民を顧みてくださった。
①創21:1(サラ)
②出4:31(イスラエルの子ら)
③ゼカ10:3(ユダの家)
④使15:14(異邦人)
Act 15:14 神が初めに、どのように異邦人を顧みて、彼らの中から御名のために民をお召しになったかについては、シメオンが説明しました。
(3)「贖いをなし」とは、外的解放と内的解放を含む。
①「救いの角」とは、メシアのことである。
*角を持った動物の力は、その角にある。
②詩18:2
Psa 18:2 【主】はわが巌 わが砦 わが救い主/身を避けるわが岩 わが神。/わが盾 わが救いの角 わがやぐら。
(4)救いの角とは、ヨハネではなく、ダビデの家系から登場する人物である。
①ザカリヤは、マリアが3か月滞在したので、イエスのことを知っていた。
②彼は、イエスとヨハネが同じ計画の2つの部分であることを理解していた。
③今起きている出来事は、新しい宗教の創設ではない。
④ヨハネとイエスの誕生によって、イスラエルの民の解放の預言が成就した。
3.71~73節
Luk 1:71 この救いは、私たちの敵からの、/私たちを憎むすべての者の手からの救いである。
Luk 1:72 主は私たちの父祖たちにあわれみを施し、/ご自分の聖なる契約を覚えておられた。
Luk 1:73 私たちの父アブラハムに誓われた誓いを。
(1)「私たちの敵」「私たちを憎むすべての者」は、政治的な敵以上の者である。
①アブラハムへの誓いの成就(創22:16~18)
Gen 22:16 こう言われた。「わたしは自分にかけて誓う──【主】のことば──。あなたがこれを行い、自分の子、自分のひとり子を惜しまなかったので、
Gen 22:17 確かにわたしは、あなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように大いに増やす。あなたの子孫は敵の門を勝ち取る。
Gen 22:18 あなたの子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたが、わたしの声に聞き従ったからである。」
(2)72~73節の強調点は、「契約」と「誓い」である。
①父祖たちと結んだ契約を覚えておられた。
②アブラハムに誓われた誓いを覚えておられた。
(3)72~73節と3人の名前の関係(G. Campbell Morgan)
①ヨハネ-主のあわれみ(72節)
②ザカリヤ-主は覚えている(72節)
③エリサベツ-神の誓い(73節)
4.74~75節
Luk 1:74 主は私たちを敵の手から救い出し、/恐れなく主に仕えるようにしてくださる。
Luk 1:75 私たちのすべての日々において、/主の御前で、敬虔に、正しく。
(1)外的解放
①イスラエルの敵からの解放が与えられる。
②恐れなく主に仕えるようになる。
(2)内的解放
①主の御前で、敬虔に、正しく生きるようになる。
Ⅲ.賛歌の後半:ヨハネの役割(76~79節)
1.76~77節
Luk 1:76 幼子よ、あなたこそ/いと高き方の預言者と呼ばれる。/主の御前を先立って行き、その道を備え、
Luk 1:77 罪の赦しによる救いについて、/神の民に、知識を与えるからである。
(1)ザカリヤは、直接幼子に呼びかけている。
①幼子は、「いと高き方の預言者」と呼ばれる。
②幼子は、メシアの先駆者としての働きをする。
*イザ40:3、マラ3:1、4:5
Mal 3:1「見よ、わたしはわたしの使いを遣わす。/彼は、わたしの前に道を備える。/あなたがたが尋ね求めている主が、/突然、その神殿に来る。/あなたがたが望んでいる契約の使者が、/見よ、彼が来る。/──万軍の【主】は言われる。」
③救いの内容について、神の民に、知識(体験)を与える。
*罪の赦しによる救い。
*メシアは政治的メシアではない。
④救いを教えることが、先駆者の究極的使命である。
2.78~79節
Luk 1:78 これは私たちの神の深いあわれみによる。/そのあわれみにより、/曙の光が、いと高き所から私たちに訪れ、
Luk 1:79 暗闇と死の陰に住んでいた者たちを照らし、/私たちの足を平和の道に導く。」
(1)メシアの到来が、曙の光にたとえられている。
①「曙の光が、いと高き所から私たちに訪れ」とは、メシアの到来のこと。
②イザ60:19参照
Isa 60:19太陽はもはや、あなたの昼の光とはならず、/月の明かりもあなたを照らさない。/【主】があなたの永遠の光となり、/あなたの神があなたの輝きとなる。
③この光は、異邦人の上にも輝くようになる。
(2)ザカリヤは、単に息子の誕生を喜んでいるだけではない。
①メシアの到来と関連づけて、息子の誕生を喜んでいるのである。
Ⅳ.ヨハネの成長(80節)
1.80節
Luk 1:80 幼子は成長し、その霊は強くなり、イスラエルの民の前に公に現れる日まで荒野にいた。
(1)ヨハネは、両親亡き後、ユダの山地近辺の荒野に住んだ。
①若い時から、預言者エリヤのような生活を選んだ。
②自分がエリヤのような奉仕をすることを認識していた。
③荒野は、黙想する地である。
④ルカ3:2
Luk 3:2 アンナスとカヤパが大祭司であったころ、神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに臨んだ。
(2)これは、イエスの成長物語と似ている。
①ルカ2:40
Luk 2:40 幼子は成長し、知恵に満ちてたくましくなり、神の恵みがその上にあった。
②2人の子どもは、30年後に同じ神の計画を進める働きに合流する。
結論
1.イエスとヨハネの対比
(1)2人の幼子は、ともに同じ神の計画を担う。
①ザカリヤは、ヨハネの誕生によって新しい時代が到来したことを知った。
②マリアも、イエスの誕生によって同じ確信を持った。
(2)ヨハネに対するイエスの優位性が強調されている。
①誕生物語の対比
*ヨハネは1:57~58までの2節。
*イエスは2:1~20までの20節。
②呼称の対比
*ヨハネは「いと高き方の預言者」(76節)である。
*イエスは「聖なる者」、「神の子」(35節)である。
③ヨハネをイエスと同列に論じてはならない。
*ヨハネの偉大さを確信している人たちへのルカからの警告である。
2.信者の手本としてのザカリヤ
(1)ザカリヤは、信者の現実的な手本である。
①彼は、旧約的な意味での義人である。
②彼は、信仰によって救われていた。
③しかし彼は、不信仰のゆえに聾唖状態に陥った。
④これは、救いの喪失ではなく、神からの訓練である。
⑤神のことばを認めた時に、聾唖状態から解放された。
(2)悔い改めた者には、再び奉仕の機会が与えられる。
①私たちにも同じことが起こる。
②罪を犯すと、「信仰のことば」を失う。
③解決策は、1ヨハ1:9である。
1Jn 1:9 もし私たちが自分の罪を告白するなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、私たちをすべての不義からきよめてくださいます。
週間アクセスランキング
ヨハネの福音書(14)第4と第5のしるしヨハ6:1~21
Q415 教会内に名目だけの信者 がいるとは、どういう意味ですか。
中川洋の証 2024年⑤ 神に仕える喜び
コリント人への手紙第二(8)信頼回復の訴え―開かれた心―6:11~7:4
コリント人への手紙第二(9)信頼回復の訴え―パウロの喜び―7:5~16
イスラエル旅2023#082中川牧師とめぐる旅:【主の涙の教会】エルサレムを見て涙されたイエス②