私たちはプロテスタントのキリスト教福音団体です。『1. 聖書のことばを字義どおりに解釈する 2. 文脈を重視する 3. 当時の人たちが理解した方法で聖書を読む 4. イスラエルと教会を区別する』この4点を大切に、ヘブル的聖書解釈を重視しています。詳しくは私たちの理念をご確認ください。
メシアの生涯(13)—誕生後の40日間—
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このメッセージでは...
イエスの働きの意味について学ぶ。
「誕生後の40日間」 ルカ2:21~38
1.はじめに
(1)文脈の確認
①ヨハネとイエスの対比(特にルカの福音書)
②皇帝アウグストによる人口調査の勅令
③ベツレヘム滞在中の出産
④羊飼いたちへの告知
(2)きょうの箇所
①誕生後の40日間の出来事
②A.T.ロバートソンの著書では、§12がイエスの割礼、§13が神殿での奉献。
2.アウトライン
(1)イエスの割礼(21節)
(2)エルサレム上り(22~24節)
(3)預言者シメオン(25~35節)
(4)女預言者アンナ(36~38節)
3.メッセージのゴール
(1)福音のユダヤ性
(2)福音の普遍性
(3)真の信仰者たち
このメッセージは、イエスの働きの意味について学ぼうとするものである。
Ⅰ.イエスの割礼(21節)
1.21節
「八日が満ちて幼子に割礼を施す日となり、幼子はイエスという名で呼ばれることになっ
た。胎内に宿る前に御使いがつけた名である」
(1)バプテスマのヨハネとの対比
①8日目の割礼
②命名
③すでに天使によって告げられていた名
(2)ここでは、割礼よりも命名に中心がある。
①ルカ1:31でマリアに告知
②マタ1:21でヨセフに告知
③イエスはヘブル語でヨシュア。「主は救い」という意味。
④幼子の働きの内容を描写した名前である。
Ⅱ.エルサレム上り(22~24節)
1.誕生後の40日間の流れ(レビ12:2~4)
(1)男の子を産んだ場合は、7日間汚れる。
①祭儀的な汚れである。
(2)8日目に割礼を施す。
①新生児が最も免疫力がある時
(3)33日間家に留まる。
①「出血の汚れが清まるのに必要な33日の間」
②「聖なる物に触れたり、聖所にもうでたりしてはならない」
③実際は、出産した婦人への恵みの期間となる。
(4)40日が満ちたとき(レビ12:6~8)
「彼女のきよめの期間が満ちたなら、それが息子の場合であっても、娘の場合であっ
ても、その女は全焼のいけにえとして一歳の子羊を一頭と、罪のためのいけにえとし
て家鳩のひなか、山鳩を一羽、会見の天幕の入口にいる祭司のところに持って来なけ
ればならない。祭司はこれを【主】の前にささげ、彼女のために贖いをしなさい。彼
女はその出血からきよめられる。これが男の子でも、女の子でも、子を産む女につい
てのおしえである。しかし、もし彼女が羊を買う余裕がなければ、二羽の山鳩か、二
羽の家鳩のひなを取り、一羽は全焼のいけにえとし、もう一羽は罪のためのいけにえ
としなさい。祭司は彼女のために贖いをする。彼女はきよめられる」
①いけにえを捧げることが命じられている。
*全焼のいけにえ(燔祭、焼き尽くす捧げ物)は、1歳の小羊1頭。
・ギリシア語で「ホロコースト」である。
*罪のためのいけにえ(罪祭、贖罪の捧げ物)は、家鳩のひなか、山鳩1羽。
②例外規定
*2羽の山鳩か、2羽の家鳩のひな
*全焼のいけにえと、罪のためのいけにえとする。
2.22~24節
「さて、モーセの律法による彼らのきよめの期間が満ちたとき、両親は幼子を主にささげ
るために、エルサレムへ連れて行った。 ──それは、主の律法に『母の胎を開く男子の初
子は、すべて、主に聖別された者、と呼ばれなければならない』と書いてあるとおりであ
った──また、主の律法に「山ばと一つがい、または、家ばとのひな二羽」と定められた
ところに従って犠牲をささげるためであった」
(1)2つのテーマが交差対句法で展開されている(キアスモス、キアズム)。
①A マリアの清め(22節a)
②B イエスを捧げること(22節b)
③b イエスを捧げること(23節)
④a マリアの清め(24節)
(2)マリアの清め
①レビ記12章の規定に基づく
②「彼らのきよめの期間」とあるのは、夫婦一体であることを示している。
③場所は、婦人の庭からイスラエルの庭に入るためのニカノルの門(15段ある)。
④マリアは、貧者のための例外規定を採用した。
*東方の博士たちは、まだベツレヘムに到着していなかったことが分かる。
(3)イエスを捧げること
①出13:2
「イスラエル人の間で、最初に生まれる初子はすべて、人であれ家畜であれ、わ
たしのために聖別せよ。それはわたしのものである」
②出13:15(父から子への言葉)
「パロが私たちを、なかなか行かせなかったとき、【主】はエジプトの地の初子を、
人の初子をはじめ家畜の初子に至るまで、みな殺された。それで、私は初めに生
まれる雄をみな、いけにえとして、【主】にささげ、私の子どもたちの初子をみな、
私は贖うのだ」
③贖いの代価は、銀5シェケルである(民18:15~16)。
④ところが、両親は贖い金を支払ったとは書かれていない。
⑤旧約聖書の例:サムエルの母ハンナ(1サム1:27~28)
「『この子のために、私は祈ったのです。【主】は私がお願いしたとおり、私の願
いをかなえてくださいました。それで私もまた、この子を【主】にお渡しいたし
ます。この子は一生涯、【主】に渡されたものです。』こうして彼らはそこで【主】
を礼拝した」
⑥両親はイエスを神に捧げた。
Ⅲ.預言者シメオン(25~35節)
1.シメオンの登場
(1)25節
「そのとき、エルサレムにシメオンという人がいた。この人は正しい、敬虔な人で、
イスラエルの慰められることを待ち望んでいた。聖霊が彼の上にとどまっておられた」
①2人の証人
*シメオンは預言者
*アンナ(ハンナ)は女預言者
②ヨハネの場合は、割礼と命名の後、ザカリヤによる賛美と預言があった。
*イエスの場合も同じである。
*シメオンによる賛美と預言がある。
③シメオンが誰なのかは分からない。果たしている役割が重要である。
④彼は、旧約的な意味での義人である。信仰によって救われている。
⑤「イスラエルの慰められることを待ち望んでいた」
*メシアの到来による慰め
⑥「聖霊が彼の上にとどまっておられら」
*旧約的な意味での聖霊の支配
(2)26節
「また、主のキリストを見るまでは、決して死なないと、聖霊のお告げを受けていた」
①生きている間に、メシアが誕生するという啓示があった。
②「主のキリスト」とは、「ヤハウェによって油注がれたお方」という意味である。
(3)27節
「彼が御霊に感じて宮に入ると、幼子イエスを連れた両親が、その子のために律法の
慣習を守るために、入って来た」
①聖霊の導きがあって、宮に入った。
②「神殿の境内」(新共同訳)
③聖所とは違う。
④ちょうどその時、イエスの両親がイエスを連れて入って来た。
*目的は、「その子のために律法の慣習を守るため」である。
*マリアの清めも目的のひとつであるが、関心がイエスに向けられている。
2.シメオンの歌(28~32節)
「すると、シメオンは幼子を腕に抱き、神をほめたたえて言った。『主よ。今こそあ
なたは、あなたのしもべを、みことばどおり、安らかに去らせてくださいます。私の
目があなたの御救いを見たからです。御救いはあなたが万民の前に備えられたもので、
異邦人を照らす啓示の光、御民イスラエルの光栄です」
(1)直訳
「今こそ、あなたのしもべを去らせてくださいます、主よ。…」となる。
①「今こそ」に強調点がある。
②シメオンの歌を「ヌンク・ディミティス」と言う(ラテン語)。
③彼は歴史の目撃者となった。
(2)「私の目があなたの御救いを見たからです」
①イザ52:10
②ヘブル語の言葉遊びがある。
*イェシュアとイェシュアー(救い)
(3)「私の目があなたの御救いを見たからです。御救いはあなたが万民の前に備
えられたもので、異邦人を照らす啓示の光、御民イスラエルの光栄です」
①異邦人に救いをもたらす。
②イスラエルの民の光栄となる。
③イザ42:6
3.シメオンの預言(33~35節)
「父と母は、幼子についていろいろ語られる事に驚いた。また、シメオンは両親を祝
福し、母マリヤに言った。『ご覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人が倒れ、
また、立ち上がるために定められ、また、反対を受けるしるしとして定められていま
す。剣があなたの心さえも刺し貫くでしょう。それは多くの人の心の思いが現れるた
めです』」
(1)両親の驚き
①天使の告知以上の内容である。
②初対面のシメオンがこれほどまでに幼子の将来を預言した。
(2)預言の内容
①メシアは、イスラエルの民を二分する。
②高き者は低くされ、低き者は高くされる。
③「反対をうけるしるし」とは、ユダヤ人から拒否されるということ。
④現在形の受動態分詞。継続した動作。今もこの状態が続いている。
⑤メシアにどういう態度を取るかによって、人の心の思いは明らかになる。
Ⅳ.女預言者アンナ
1.アンナの登場(36~37節)
「また、アセル族のパヌエルの娘で女預言者のアンナという人がいた。この人は非常に年
をとっていた。処女の時代のあと七年間、夫とともに住み、その後やもめになり、八十四
歳になっていた。そして宮を離れず、夜も昼も、断食と祈りをもって神に仕えていた」
(1)84歳の女預言者
①アセル族のパヌエルの娘
②どうしてアセル族という部族名が出て来たのかは、分からない。
③権威づけのためか。
(2)「夜も昼も」
①ヘブル的表現
②いつも、という意味
2.アンナの預言(38節)
「ちょうどこのとき、彼女もそこにいて、神に感謝をささげ、そして、エルサレムの贖い
を待ち望んでいるすべての人々に、この幼子のことを語った」
(1)彼女の預言は、省略されている。
①シメオンと同じような預言があったと思われる。
(2)彼女は、イエスのことを言い広めた。
①イエスはこの段階から、有名になった。
結論:
1.福音のユダヤ性
(例話)昼から一挙に夜になるのではない。カイザリヤで見る日没。
旧約時代から新約時代への移行
(1)ルカの福音書の中の4つの詩篇
①エリサベツの歌(1:42~45)
②マリアの賛歌(1:46~55)
③ザカリヤの歌(1:68~79)
④シメオンの歌(2:28~32)
*詩篇の形式を保持しつつ、内容は極めて新約的である。
(2)メシアは割礼を受けたユダヤであった。
①メシアは100%、モーセの律法に従われた。
②ガラ4:4~5
「しかし定めの時が来たので、神はご自分の御子を遣わし、この方を、女から生
まれた者、また律法の下にある者となさいました。これは律法の下にある者を贖
い出すためで、その結果、私たちが子としての身分を受けるようになるためです」
*神の子は人となられた。
*神の子はユダヤ人となられた。
*「律法の下にある者」(ユダヤ人)を贖い出すため。
*ユダヤ人も異邦人も、子としての身分を受けるようになるため。
(3)マリアとヨセフは、モーセの律法に従っていた。
2.福音の普遍性
(1)シメオンの預言の中にあるメシア預言の引用
①イザ42:6
「わたし、【主】は、義をもってあなたを召し、あなたの手を握り、あなた
を見守り、あなたを民の契約とし、国々の光とする」
*「民の契約」とは、民と契約を結ぶ仲介者の意味。
*「国々の光」とは、異邦人のためのメシアという意味。
②イザ49:6
「主は仰せられる。『ただ、あなたがわたしのしもべとなって、ヤコブの諸
部族を立たせ、イスラエルのとどめられている者たちを帰らせるだけではな
い。わたしはあなたを諸国の民の光とし、地の果てにまでわたしの救いをも
たらす者とする」
*イスラエルを救うだけではない。
*異邦人の救い、福音の普遍性がこの段階で認識されている。
(2)福音は、ローカルなものから、徐々にユニバーサルなものに移行していく。
①本来のキリスト教は、西洋的なものではない。
3.真の信仰者たち
(1)神はイスラエルの残れる者(レムナント)を通して働いておられる。
①シメオンは、「イスラエルの慰められることを待ち望んでいた」(25節)
*メシア的希望である。
②アンナは、「エルサレムの贖いを待ち望んでいる人」(38節)
*メシアによる救いの希望である。
*彼女は、同じ信仰を持つ人たちに幼子のことを語った。
③アリマタヤのヨセフ(ルカ23:51)
「この人は議員たちの計画や行動には同意しなかった。彼は、アリマタヤという
ユダヤ人の町の人で、神の国を待ち望んでいた」
*メシア的王国を待ち望んでいた。
④パウロの証言(使24:15)
「また、義人も悪人も必ず復活するという、この人たち自身も抱いている望みを、
神にあって抱いております」
*終末的希望である。
*義人は、永遠の命に復活する。
*悪人は、永遠の滅びに復活する。
(2)真の信仰者に共通するのは、神の計画の成就への希望である。
①携挙
②再臨
③復活(栄化、体のよみがえり)
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