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メシアの生涯(9)—ヨハネの誕生—
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バプテスマのヨハネ誕生の意味について学ぶ。
「ヨハネの誕生」 ルカ1:57~80
1.はじめに
(1)ヨハネとイエスの対比
①誕生の告知
②実際の誕生物語
③神の約束が成就し、人々に喜びをもたらす。
(2)ヨハネよりもイエスの方が偉大である。
(3)ルカ1:36 マリアとエリサベツが親戚であるという意味。母方の親戚である。
2.アウトライン
(1)ヨハネの誕生(57~58節)
(2)割礼と命名(59~66節)
(3)ザカリヤの賛歌(67~79節)
(4)ヨハネの成長(80節)
3.メッセージのゴール
(1)イエスとヨハネの対比
(2)信者の手本としてのザカリヤ
(3)日本人伝道のヒント
このメッセージは、ヨハネ誕生の意味について学ぼうとするものである。
Ⅰ.ヨハネの誕生(57~58節)
1.57節
「さて月が満ちて、エリサベツは男の子を産んだ」
(1)短くて簡潔な記述である。
(2)「月が満ちて」
①創21:2~3 サラがイサクを生んだ。「神がアブラハムに言われたその時期に」
②ルカ2:6~7 「マリアは月が満ちて」
2.58節
「近所の人々や親族は、主がエリサベツに大きなあわれみをおかけになったと聞いて、彼
女とともに喜んだ」
(1)近所の人々や親族は、彼女とともに喜んだ。
①イエス誕生の際には、羊飼いたちが喜んだ。
(2)文法的考察
①主の業は終わっている。「大きなあわれみをおかけになった」(アオリスト形)
②喜びは共有され、継続している。「彼女とともに喜んだ」(未完了形)
Ⅱ.割礼と命名(59~66節)
1.59~61節
「さて八日目に、人々は幼子に割礼するためにやって来て、幼子を父の名にちなんでザカ
リヤと名づけようとしたが、母は答えて、『いいえ、そうではなくて、ヨハネという名にし
なければなりません』と言った。彼らは彼女に、『あなたの親族にはそのような名の人はひ
とりもいません』と言った」
(1)8日目の割礼(創21:4)
①幼子は8日目に割礼を受けた。アブラハム契約のしるし。
②イエスも8日目に割礼を受けた(ルカ2:21)。
③パウロの例(ピリ3:5)
「私は八日目の割礼を受け、イスラエル民族に属し、ベニヤミンの分かれの者で
す。きっすいのヘブル人で、律法についてはパリサイ人、」
④この習慣は、今も続いている。
(2)命名
①誕生直後の命名もある。
②通常は、長男は祖父の名を受け継ぐ。
③父の名は例外的なもの。その場合は、「ザカリヤ・ベン・ザカリヤ」となる。
(3)母(エリサベツ)の拒否
①非常に強い否定。「ウーキ」という言葉。
②「ヨハネという名にしなければなりません」
③どうして知っていたのか。夫ザカリヤから筆談で聞かされていたのであろう。
(4)人々の反対
①女性の言葉である。
②さらに、親族にそのような名の人がいない。
*系図を意識している。
*先祖への敬意を表している。
2.62~66節
「そして、身振りで父親に合図して、幼子に何という名をつけるつもりかと尋ねた。する
と、彼は書き板を持って来させて、『彼の名はヨハネ』と書いたので、人々はみな驚いた。
すると、たちどころに、彼の口が開け、舌は解け、ものが言えるようになって神をほめた
たえた。そして、近所の人々はみな恐れた。さらにこれらのことの一部始終が、ユダヤの
山地全体にも語り伝えられて行った。聞いた人々はみな、それを心にとどめて、『いったい
この子は何になるのでしょう』と言った。主の御手が彼とともにあったからである」
(1)ザカリヤへの問いかけ
①身振り手振りで尋ねた。
②ザカリヤは一時的な聾唖状態にあった。
(2)ザカリヤの回答
①書き板とは、木の板にロウを被せたもの。通常は、鉄のペンを使用した。
②「その名はヨハネ」
③エリサベツが提案した名と同じなので、人々は驚いた。
(3)ザカリヤの癒し
①彼は、9か月間聾唖状態にあったが、それがたちどころに癒された。
②彼が最初にしたことは、神をほめたたえることである。
(4)人々の反応
①恐れが人々を襲った。恐怖ではなく、畏怖の念である。
②噂がユダの山地全体に広がり、人々は互いにそれを話題にした。
③この子の将来を想像し、大きな期待を持った。
④マタ3:5~6
「さて、エルサレム、ユダヤ全土、ヨルダン川沿いの全地域の人々がヨハネのところへ出て行き、自分の罪を告白して、ヨルダン川で彼からバプテスマを受けた」
Ⅲ.ザカリヤの賛歌(67~79節)
1.イントロダクション(67節)
(1)67節
「 さて父ザカリヤは、聖霊に満たされて、預言して言った」
①ザカリヤの賛歌を「ベネディクタス」(ラテン語)という。
②ギリシア語では、一つの長い文である。
③その内容は、詩篇や預言書からの引用で満ちている。
*彼は、メシア預言の成就を見ている。
④これは、聖霊に導かれて語っている預言である(以下の3点が含まれている)。
*将来の出来事を告げる。
*神を賛美する。
*神のことば(福音の正しい理解)を伝達する。
2.呼びかけ(68節a)
(1)68節a
「ほめたたえよ。イスラエルの神である主を」
①詩篇や預言書にたびたび登場する表現である。
②マリアの賛歌も、同様の言葉で始まっている。
③エペ1:3~10、2コリ1:3~4、1ペテ1:3~5
3.主をたたえる理由(68b~75節)
(1)68b~69節
「主はその民を顧みて、贖いをなし、救いの角を、われらのために、しもべダビデの
家に立てられた」
①未来完了形(マリアの賛歌と同じ)。預言的完了形である。
②「贖い」とは、政治的意味ではなく、霊的意味で用いられている。
③「救いの角」とは、メシアのことである。
*角を持った動物の力は、その角にある。
④メシアとは、ヨハネのことではなく、ダビデの家系から登場する。
⑤ザカリヤは、イエスとヨハネが同じ計画の2つの部分であることを理解した。
(2)70~75節
「古くから、その聖なる預言者たちの口を通して、主が話してくださったとおりに。
この救いはわれらの敵からの、すべてわれらを憎む者の手からの救いである。主はわ
れらの父祖たちにあわれみを施し、その聖なる契約を、われらの父アブラハムに誓わ
れた誓いを覚えて、われらを敵の手から救い出し、われらの生涯のすべての日に、き
よく、正しく、恐れなく、主の御前に仕えることを許される」
①イスラエルの民を解放するという預言の成就
*新しい宗教の創設ではない。
②「われらの敵」、「われらを憎む者」とは、政治的な敵ではない。
③アブラハムへの誓いの成就(創22:16~18)
「これは【主】の御告げである。わたしは自分にかけて誓う。あなたが、このこ
とをなし、あなたの子、あなたのひとり子を惜しまなかったから、わたしは確か
にあなたを大いに祝福し、あなたの子孫を、空の星、海辺の砂のように数多く増
し加えよう。そしてあなたの子孫は、その敵の門を勝ち取るであろう。あなたの
子孫によって、地のすべての国々は祝福を受けるようになる。あなたがわた
しの声に聞き従ったからである」
④ザカリヤは、以上のことを預言的完了形で語っている。
4.ヨハネの奉仕に関する預言(76~79節)
(1)76a節
「幼子よ。あなたもまた、いと高き方の預言者と呼ばれよう」
①ゼカリヤは、直接幼子に呼びかけている。
②「いと高き方の預言者」
(2)76b~79節
「主の御前に先立って行き、その道を備え、神の民に、罪の赦しによる救いの知
識を与えるためである。これはわれらの神の深いあわれみによる。そのあわれみ
により、日の出がいと高き所からわれらを訪れ、暗黒と死の陰にすわる者たちを
照らし、われらの足を平和の道に導く」
①メシアの先駆者としての働き
②救いの内容を教える。
*罪の赦しによる救い。
*メシアは政治的メシアではない。
*これが先駆者の究極的使命である。
③「日の出がいと高き所からわれらを訪れ」とは、メシアの到来のこと。
*イザ60:19参照
Ⅳ.ヨハネの成長(80節)
1.80節
「さて、幼子は成長し、その霊は強くなり、イスラエルの民の前に公に出現する日まで荒
野にいた」
①ヨハネは、両親亡き後、ユダの山地近辺の荒野に住んだ。
②若い時から、エリヤ的生活を選んだ。彼の自己認識と関係がある。
③ルカ3:2につながる。
「アンナスとカヤパが大祭司であったころ、神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨ
ハネに下った」
④ルカ2:40と似ている。
「幼子は成長し、強くなり、知恵に満ちていった。神の恵みがその上にあった」
⑤2人の子どもは、30年後に同じ神の計画を進める働きに合流する。
結論:
1.イエスとヨハネの対比
(1)2人の幼子は、ともに同じ神の計画を担う。
①ザカリヤは、ヨハネの誕生によって新しい時代が到来したことを知った。
②マリアは、イエスの誕生によって同じ確信を持った。
(2)イエスの優位性が強調されている。
①誕生物語の対比
*ヨハネは1:57~58までの2節。
*イエスは2:1~20までの20節。
②呼称の対比
*ヨハネは「 いと高き方の預言者」(1:76)である。
*イエスは「神の子」(1:35)である。
③ヨハネをイエスと同列に論じてはならない。
2. 信者の手本としてのザカリヤ
(1)マリアは信者の理想的な手本である。
(2)ザカリヤは、信者の現実的な手本である。
①彼は、旧約的な意味での義人である。
②彼は、信仰によって救われている。
③しかし彼は、不信仰のゆえに聾唖状態に陥った。
④これは、救いの喪失ではなく、神からの訓練である。
⑤神のことばを認めた時に、聾唖状態から解放された。
⑥同じことが私たちに起こる。
*罪を犯すと、「信仰のことば」を失う。
*解決策は、1ヨハ1:9である。
「もし、私たちが自分の罪を言い表すなら、神は真実で正しい方ですから、
その罪を赦し、すべての悪から私たちをきよめてくださいます」
(3)日本人伝道のヒント
①1コリ1:21~24
「事実、この世が自分の知恵によって神を知ることがないのは、神の知恵による
のです。それゆえ、神はみこころによって、宣教のことばの愚かさを通して、信
じる者を救おうと定められたのです。ユダヤ人はしるしを要求し、ギリシヤ人は
知恵を追求します。しかし、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝える
のです。ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かでしょうが、しか
し、ユダヤ人であってもギリシヤ人であっても、召された者にとっては、キリス
トは神の力、神の知恵なのです。なぜなら、神の愚かさは人よりも賢く、神の弱
さは人よりも強いからです」
②違和感に満ちたルカの福音書の書き出し
*ユダヤ的雰囲気と背景
*イエス誕生とヨハネ誕生にまつわる神の奇跡的介入
③これらの要素は、聖書が教える救いが、私たちの常識的認識の延長線上にはな
いということを教えている。
④ユダヤ人たちは、メシアの到来と御国の時代の到来を待ち望んでいた。
⑤彼らの常識は、神の目からは非常識であった。
*救いとは、ローマの圧政からの解放を理解されていた。
*救いとは、霊的なもの、神との関係の回復である。
*敵とは、罪の性質、貪欲、肉欲、自己中心性、サタン、悪霊などである。
*人間世界でのすべての対立を解決する鍵は、神との和解にある。
⑥伝達方法の工夫は必要であるが、福音の内容に関する工夫は不必要である。
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