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メシアの生涯(6)—ヨハネ誕生の告知—
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ヨハネ誕生の告知から、福音の始まりについて学ぶ。
「ヨハネ誕生の告知」
ルカ1:5~25
1.はじめに
(1)4つの福音書を並べ、時間順にメシアの生涯を追って行く。
①前回は、2つのメシアの系図を見た。
②マタイの系図は、ヨセフの家系
③ルカの系図は、マリアの家系
(2)3つの告知
①ザカリヤへの告知(ルカ)
②マリアへの告知(ルカ)
③ヨセフへの告知(マタ)
(3)マタイにある告知の特徴
①公の情報
②天使は、「主の使い」と呼ばれている。
③ヨセフの視点から書かれている。
(4)ルカにある告知の特徴
①私的情報
②天使は、「ガブリエル」と呼ばれている。
③マリアの視点から書かれている。
*ルカは、マタイにある告知の内容を知っていた。
*マリアから直接情報を得たか、マリアに近い人々から情報を得たか。
*ルカはヘブル語(アラム語)の資料を利用している(1:1~4とは異なる)。
*ルカ1章と2章は、新約聖書の中で最も古いものである。
*マリアの福音書、バプテスマのヨハネの福音書、などと呼ばれる。
2.アウトライン
(1)背景(舞台)(5~7節)
(2)告知(8~20節)
(3)人々の驚き(21~23節)
(4)「約束」の成就(24~25節)
3.メッセージのゴール
(1)歴史的枠組み
(2)旧約聖書の成就
(3)聖霊の働き
このメッセージは、ヨハネ誕生の告知から、福音の始まりについて学ぼうとするものである。
Ⅰ.背景(舞台)(5~7節)
1.5節
「ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロ
ンの子孫で、名をエリサベツといった」
(1)「ユダヤの王ヘロデ」
①「ユダヤ」は、広義の意味である。ユダヤ人の土地。
②ローマの行政区としては、ユダヤ、サマリヤ、ガリラヤ。
(2)ザカリヤという祭司
①ダビデによって、祭司制度が確立した。
②祭司は24の組に分けられた。
③アビヤの組は、8番目に当たる(1歴24:10)。
④3つの巡礼祭では、祭司全員が奉仕に当たった。
⑤それ以外の時は、毎年、1週間の奉仕を2回行った。
⑥当時は、1万8千人の祭司がいたと言われている。
*750人/組
*くじに当たる確率。20年×14日×2=560
*560人は1回は当たるが、190人は当たらないで祭司の仕事を終える。
(3)妻エリサベツ
①アロンの子孫。つまり、祭司家系の娘である。
②ユダヤ教の伝統によれば、祭司は祭司の娘と結婚するのがいいとされた。
2.6節
「ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度なく踏み行っていた」
(1)パリサイ人との違い。
①人の前での外見的義
②神の前での内面的義
③彼らは、旧約時代の義人である。
(2)旧約聖書と新約聖書の論理的一貫性
①パリサイ派の信仰を旧約聖書の教えと思ってはならない。
②イエスは旧約聖書を成就するために来られたのである。
3.7節
「エリサベツは不妊の女だったので、彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた」
(1)不妊の女の例
①アブラハムとサラ
②ヤコブとサラ
③サムソンの両親(マノアと無名)
④サムエルの両親(エルカナとハンナ)
(2)年を取っていた。
①人間的希望がない状態
②これから起こることは、神の業である。
Ⅱ.告知(8~20節)
はじめに(旧約聖書のパターンが見られる)
①天使の出現
②見た人の恐れ
③励ましの言葉(恐れるな)
④神からのメッセージ
⑤不信仰の言葉としるしの要求
⑥神からのしるし
1.天使の出現(8~11節)
「さて、ザカリヤは、自分の組が当番で、神の御前に祭司の務めをしていたが、祭司職の
習慣によって、くじを引いたところ、主の神殿に入って香をたくことになった。彼が香を
たく間、大ぜいの民はみな、外で祈っていた。ところが、主の使いが彼に現れて、香壇の
右に立った」
(1)くじが当たった。
①彼の生涯で最良の日となった。750人の中から選ばれた。
②くじは、神の御心を表現するものである。
③使1:26で、マッテヤが使徒に選ばれている。
④「神殿」とは、聖所のことである。
⑤祭司は、香の壇を掃除し、新しく香をたく。
⑥香は祈りの象徴である。
⑦外でイスラエルの民が祈っている。
*個人的祈り
*共同体としての、終末的祈り。メシア時代の到来を願う祈り。
⑧そして今、ゼカリヤがその祈りの頂点に立っている。
(2)天使が現れた。
①これだけでも、恐れの理由になる。
2.見た人の恐れ(12節)
「これを見たザカリヤは不安を覚え、恐怖に襲われたが、」
(1)ユダヤ人にとっては、一般的な反応である。
①それ以上に、ユダヤ教の伝承の問題がある。
(2)「香壇の右に立った」(11節)
①レビ10:1~2
「さて、アロンの子ナダブとアビフは、おのおの自分の火皿を取り、その中に火
を入れ、その上に香を盛り、主が彼らに命じなかった異なった火を【主】の前に
ささげた。すると、【主】の前から火が出て、彼らを焼き尽くし、彼らは【主】の
前で死んだ」
②ユダヤ教の伝承の中で、裁きの天使は香壇の右に立つと言われていた。
3.励ましの言葉(恐れるな)(13節a)
「御使いは彼に言った。『こわがることはない。ザカリヤ。あなたの願いが聞かれたのです』」
(1)良い知らせを持ってきたのだから、恐れなくてもいい。
(2)願いが聞かれた。
①個人的願い(息子の誕生。昔祈った内容)
②公の願い(メシア時代の到来)
③この2つの願いが、ヨハネの誕生というひとつの出来事を通して聞かれる。
4.神からのメッセージ(13b~17節)
「あなたの妻エリサベツは男の子を産みます。名をヨハネとつけなさい。その子はあなた
にとって喜びとなり楽しみとなり、多くの人もその誕生を喜びます。彼は主の御前にすぐ
れた者となるからです。彼は、ぶどう酒も強い酒も飲まず、まだ母の胎内にあるときから
聖霊に満たされ、そしてイスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせます。
彼こそ、エリヤの霊と力で主の前ぶれをし、父たちの心を子どもたちに向けさせ、逆らう
者を義人の心に立ち戻らせ、こうして、整えられた民を主のために用意するのです」
(1)老年になったエリサベツが息子を生む。
①神の介入が始まる。
②名をヨハネと付ける(ヤハウェは恵み深いという意味)。
③彼は、終末的喜びをもたらす。
④主の前にすぐれた者となる。後から誕生する者が、さらに偉大である。
(2)ヨハネの特徴
①ぶどう酒も強い酒も飲まない。
*ナジル人のライフスタイル(民6:3)
②彼の伝えるメッセージの緊急性を示す。
*エリヤのようなライフスタイルも目的は同じである。
③聖霊に満たされる。
*母の胎内にあるときから
*生涯この状態が続いた。
(3)ヨハネの働きの内容
①イスラエルの民を神である主に立ち返らせる。
②エリヤのような風貌と力(聖霊による)で、奉仕をする。
③父たちが愛をもって子どもたちに関心を払うようになる。
④神に反抗する者たちに悔い改めを与える。
⑤メシア到来の準備をする。
5.不信仰の言葉としるしの要求(18節)
「そこで、ザカリヤは御使いに言った。『私は何によってそれを知ることができましょうか。
私ももう年寄りですし、妻も年をとっております』」
(1)不信仰の言葉
①私も妻も、年を取っている。
(2)何によってそれを知ることができるか。
①しるしの要求
②創15:8(カナンの地の約束)
「彼は申し上げた。『神、主よ。それが私の所有であることを、どのようにして知
ることができましょうか』」
6.神からのしるし(19~20節)
「御使いは答えて言った。『私は神の御前に立つガブリエルです。あなたに話をし、この喜
びのおとずれを伝えるように遣わされているのです。ですから、見なさい。これらのこと
が起こる日までは、あなたは、ものが言えず、話せなくなります。私のことばを信じなか
ったからです。私のことばは、その時が来れば実現します』」
(1)権威の証明
①ガブリエルという名前を明かす。
*一般の天使の中で、ガブリエルとミカエルのみ名前が知られている。
*これ自体が、権威の証明である。
②神の御前に立つ
(2)派遣の目的
①喜びのおとずれを伝える。
②終末的喜びである。
③ヨハネの誕生は、その始まりである。
(3)しるし
①ものが言えなくなること
②耳も聞こえなくなった(62節)。
③これは、叱責をともなった「しるし」である。
Ⅲ.人々の驚き(21~23節)
1.21~22節
「人々はザカリヤを待っていたが、神殿であまり暇取るので不思議に思った。やがて彼は
出て来たが、人々に話すことができなかった。それで、彼は神殿で幻を見たのだとわかっ
た。ザカリヤは、彼らに合図を続けるだけで、口がきけないままであった」
(1)「不思議に思う」は、ギリシア語で「サウマゾウ」という動詞。
①奇跡を見て驚く時に使う動詞
(2)ザカリヤが出てきたが、話すことができなかった。
①祭司は、聖所から出ると祝福の祈りを捧げる。
*民6:24~26
②それができないので、聖所で幻を見たのだと判断した。
③ザカリヤは身振りをするだけで、説明はできなかった。
2.23節
「やがて、務めの期間が終わったので、彼は自分の家に帰った」
(1)家はユダの山地にあった。
①現在のエンカレム。
②徒歩で半日くらいか。
Ⅳ.「約束」の成就(24~25節)
1.24~25節
「その後、妻エリサベツはみごもり、五か月の間引きこもって、こう言った。『主は、人中
で私の恥を取り除こうと心にかけられ、今、私をこのようにしてくださいました』」
(1)エリサベツは妊娠した。
①5ヶ月間ひきこもった。
②天使から聞いた内容は、家族内の秘密となっていた。
③エリサベツは、知っていた。
④この情報を最初に聞いたのは、マリアであろう。
(2)不妊の女の喜び
①創30:23~24(ラケルの喜び)
「彼女はみごもって男の子を産んだ。そして『神は私の汚名を取り去ってくださ
った』と言って、その子をヨセフと名づけ、『【主】がもうひとりの子を私に加え
てくださるように』と言った」
結論:
1.歴史的枠組み
(1)ヨハネの誕生は、歴史的枠組みの中で成就した。
①「昔々」ではない。
②ルカは歴史家である。
(2)時、場所、人を見てみよう。
①時は、ヘロデ大王の時代(前37~4年)である。
②場所は、エルサレムであり、神殿の中である。
③人は、老夫婦のザカリヤとエリサベツである。
2.旧約聖書の成就
(1)当時のユダヤ人の精神状態
①預言者がいなくなって、神は約400年間沈黙された。
②ユダヤ人たちは、律法と預言者たちの時代を懐かしんでいた。
③メシア時代の到来を待ち望んでいた。
(2)ザカリヤとエリサベツは、イスラエルの残れる者(レムナント)である。
①律法による義ではなく、信仰による義である。
②その結果、モーセの律法に信仰によって応答していた。
③彼らもまた罪人であるが、罪が覆われる方法を知っていた(いけにえ)。
(3)神は、レムナントを用いて、メシア時代を歴史に導入された。
①私たちにも、希望がある。
3.聖霊の働き
(1)バプテスマのヨハネは、聖霊に満たされていた。
①胎内にいる時から
②先駆者としての働きを推進する力
(2)「聖霊に満たされる」とは、聖霊の支配に服していること。
①ペンテコステ以降の聖霊の働きは、より素晴らしいものとなった。
②聖霊のバプテスマ(キリストの教会の一員となっている)
③信者の心に内住される聖霊
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