申命記(52)土地の契約29:1~30:20

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土地の契約について学ぶ。

申命記 52回

「土地の契約」

申29:1~30:20

(朗読30:1~10)

1.はじめに

  (1)申命記のアウトライン(宗主権契約の形式)

    ①第1の説教:歴史の回顧(1:5~4:43)

    ②第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)

    ③第3の説教:祝福とのろいの宣言(27:1~29:1)

    ④第4の説教:契約条項のまとめ(29:2~30:20)

      *第4の説教の内容は「土地の契約」である。

  (2)土地の契約(29:1~30:20)

    ①イントロダクション(29:1)

②歴史の回顧(29:2~8)

③契約締結の勧め(29:9~15)

④不従順に下るのろい(29:16~29)

⑤土地の契約の条項(30:1~10)

⑥いのちか死かの選択(30:11~20)

  *長いので、契約条項に的を絞って説明する。

  
2.メッセージのアウトライン

    (1)イントロダクション(29:1)

    (2)土地の契約の条項(30:1~10)

  
3.結論:土地の契約から学ぶ教訓

土地の契約について学ぶ

Ⅰ.イントロダクション(29:1)

  
1.申命記29章1節の重要性

Deu 29:1
これらは、モアブの地で、【主】がモーセに命じて、イスラエルの子らと結ばせた契約のことばである。ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である。

(1)これを第3の説教の締めくくりとする解釈がある。

      ①ヘブル語聖書は、申29:1を申28:69としている。

        *つまり、申29:1を第3の説教の締めくくりと考えているのである。

      ②新共同訳も、ヘブル語聖書に倣っている。

    (2)これを第4の説教の始まりと考える解釈もある。

      ①七十人訳聖書は、この聖句を申29:1としている。

      ②(新改訳2017)(口語訳)(文語訳)(KJV)(ASV)は、それを採用。

    (3)私も、これを第4の説教の始まりと解釈する。

      ①「ホレブで彼らと結ばれた契約とは別である」

      ②シナイ契約とは別の契約である。

      ③これを土地の契約(かつてはパレスチナ契約と言った)を呼ぶ。

        *パレスチナ契約とは、不適切な呼称である。

        *バル・コクバの乱(紀元132~135年)の後、ハドリアヌス帝が命名。

        *現在、パレスチナという呼称は、アラブ人を想起させる。

      ④シナイ契約は条件付契約である。

      ⑤土地の契約は、アブラハム契約の土地の条項が発展したものである。

⑥土地の契約は、必然的に無条件契約となる。

  *所有権と占有権(居住権)を区別しておく必要がある。

  2.契約条項に入る前に、3つの重要な項目が確認される。

    (1)歴史の回顧(29:2~8)

      ①出エジプト以来、【主】がいかに忠実なお方だったかが確認される。

      ②歴史の回顧は、契約を履行するための動機となる。

    (2)契約締結の勧め(29:9~15)

      ①この契約は、将来のイスラエルの民とも結ばれるものである。

    (3)不従順に下るのろい(29:16~29)

      ①不従順になるなら、イスラエルは滅びる。

      ②異邦の民は、【主】はイスラエルをほかの地に投げ捨てたと言う。

  3.契約条項が宣言された後、「いのちか死か」の選択が迫られる(30:11~20)。

Deu 30:19
私は今日、あなたがたに対して天と地を証人に立てる。私は、いのちと死、祝福とのろいをあなたの前に置く。あなたはいのちを選びなさい。あなたもあなたの子孫も生き、

Deu 30:20
あなたの神、【主】を愛し、御声に聞き従い、主にすがるためである。まことにこの方こそあなたのいのちであり、あなたの日々は長く続く。あなたは、【主】があなたの父祖、アブラハム、イサク、ヤコブに与えると誓われたその土地の上に住むことになる。

Ⅱ.土地の契約の条項(30:1~10)

  
1.イスラエルの不信仰と、世界への離散が預言される(30:1)。

Deu 30:1
私があなたの前に置いた祝福とのろい、これらすべてのことがあなたに臨み、あなたの神、【主】があなたをそこへ追い散らしたすべての国々の中で、あなたが我に返り、

    (1)モーセは、【主】への不従順は滅びに至ると厳しく警告した。

(2)しかし彼は、偶像礼拝のゆえに、民が諸国に離散することを知っていた。

    (3)と同時に、遠い将来の希望も見ていた。

    (4)離散は、最終的なものではない。

    (5)契約条項の2~7は、イスラエルの回復のステップを預言したものである。

  2.イスラエルは、離散の地で悔い改める(30:2)。

Deu 30:2
あなたの神、【主】に立ち返り、私が今日あなたに命じるとおりに、あなたも、あなたの子どもたちも、心を尽くし、いのちを尽くし、御声に聞き従うなら、

    (1)これは、イスラエルの悔い改めの預言である。

    (2)【主】への立ち返りが、イスラエルの民の唯一の希望である。

  3.その時、メシアが戻って来られる(30:3a)

Deu 30:3a あなたの神、【主】はあなたを元どおりにし、

    (1)訳文の比較

    「【主】はあなたを元どおりにし、」(新改訳2017)

    「主はあなたの運命を回復し、」(新共同訳)

    「主はあなたを再び栄えさせ、」(口語訳)

    「the LORD thy God will turn thy captivity,」(KJV)

    「Jehovah thy God will turn thy captivity,」(ASV)

(2)その意味は、囚われの状態から解放するということである。

    (3)これが起るのは、メシアの再臨の時である。

  4.イスラエルは、再び約束の地に集められる(30:3b~4)。

Deu 30:3b あなたをあわれみ、あなたの神、【主】があなたを散らした先の、あらゆる民の中から、再びあなたを集められる。

Deu 30:4
たとえ、あなたが天の果てに追いやられていても、あなたの神、【主】はそこからあなたを集め、そこからあなたを連れ戻される。

    (1)これは、イスラエルの民の約束の地への帰還の預言である。

    (2)マタ24:31

Mat 24:31
人の子は大きなラッパの響きとともに御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで四方から、人の子が選んだ者たちを集めます。

  5.イスラエルは、約束の地を所有する(30:5)。

Deu 30:5
あなたの神、【主】はあなたの先祖が所有していた地にあなたを導き入れ、あなたはそれを所有する。主はあなたを幸せにし、先祖たちよりもその数を増やされる。

    (1)イスラエルは、かつてなかったような物質的繁栄を経験する。

  6.イスラエルは、霊的生まれ変わりを体験する(30:6)。

Deu 30:6
あなたの神、【主】は、あなたの心と、あなたの子孫の心に割礼を施し、あなたが心を尽くし、いのちを尽くして、あなたの神、【主】を愛し、そうしてあなたが生きるようにされる。

    (1)かつての不従順な心が、【主】を愛する心に変えられる。

    (2)これは新しい契約の基本的な要素である新生体験の預言である。

    (3)新しい契約自体は、それから数百年後、エレミヤによって預言される。

    (4)この預言は、メシアの再臨までは成就することがない。

  7.イスラエルは、メシア的王国の祝福を受ける(30:8~10)。

Deu 30:8 あなたは再び【主】の御声に聞き従い、私が今日あなたに命じる主のすべての命令を行うようになる。

Deu 30:9
あなたの神、【主】はあなたのすべての手のわざ、あなたの胎の実、家畜が産むもの、大地の実りを豊かに与えて、あなたを栄えさせてくださる。まことに【主】は、あなたの父祖たちを喜ばれたように、再び、あなたを栄えさせて喜ばれる。

Deu 30:10
これは、あなたが、あなたの神、【主】の御声に聞き従い、このみおしえの書に記されている主の命令と掟を守り、心のすべて、たましいのすべてをもって、あなたの神、【主】に立ち返るからである。

    (1)ここに約束された祝福は、メシア的王国で成就する。

    (2)祝福の理由は、新生体験をしたイスラエルが【主】に従順に歩むからである。

結論:土地の契約から学ぶ教訓

  1.土地の契約は、アブラハム契約の土地に関する条項が発展したものである。

    (1)アブラハムの子孫に土地の所有が約束が与えられた。

  2.しかし、不従順のためにヤコブとその子孫は400年間エジプトに住んだ。

  3.出エジプト後、彼らは約束の地の一部を所有した。

  4.ところが、再び不従順に陥り、アッシリヤ捕囚、バビロン捕囚を経験した。

  5.70年後にバビロンから帰還し、再び約束の地の一部を回復した。

  6.紀元70年にエルサレムが滅び、彼らは再び離散の民となった。

  7.しかし、土地の契約は、イスラエルの民の約束の地への帰還を約束している。

    (1)旧約聖書の預言者たち

      ①イザヤ11:11~12

      ②エレミヤ23:3~8

      ③エゼキエル37:21~25

      ④アモス9:9~15

    (2)すべてメシア的王国の預言である。

  8.イスラエル建国(1948年)は、終末時代という観点から重要なものである。

    (1)イスラエルの物理的回復

    (2)イスラエルの霊的回復(ホセ2:14~16、ロマ11:26~27)

    (3)安全と繁栄(アモ9:11~15)

    (4)イスラエルの敵に対する神の裁き

      ①イザ14:1~2

      ②ヨエ3:1~8

      ③マタ25:31~46

  9.聖書は、ユダヤ的視点から字義通りに読む必要がある。

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