299　律法を成就するとはどういう意味か

Q：マタイの福音書5章17
節にある「律法を成就させるために来た」という言葉の意味が分かりません。「成就させる」は、別の訳では「完成する」と訳されています。律法は「守るもの」というと分かるのですが、「完成する」といういうとピンとこないのです。

A：はじめに

（1）マタイ5：17

「わたしが律法や預言者を廃棄するために来た、と思ってはなりません。廃棄するためではなく成就するために来たのです」

　（2）いつものように3つ申し上げます。

1番目に、「律法や預言者」とは、旧約聖書全体のことです。

　（1）これは、ユダヤ人が使用する用語です。

　　①律法とは、モーセの五書です。

　　②預言者とは、預言書のことです。

　　③それ以外の書を「諸書」と呼びますが、律法と預言者だけでも旧約聖書を指します。

2番目に、マタイ5：17は、イエスと旧約聖書の関係を教えた重要な聖句です。

（1）イエスは、モーセの律法を完璧に実行するために来られました。

　　①それが「律法を成就する」という意味です。

　　②イエスは、パリサイ人たちが教えていた口伝律法を否定されました。

　　③しかし、モーセの律法に関しては、それを完璧に実行されました。

　　④それが、「成就する」とか「完成する」という意味です。

　（2）さらにイエスは、旧約聖書のメシア預言を成就するために来られました。

　　①メシアの初臨に関する預言は、イエスにあってすべて成就しました。

　　②再臨に関する預言も、やがて成就します。

3番目に、イエスが律法を完璧に実行されたことは、信じる者に祝福をもたらしました。

（1）生まれながらの人間は、律法を完璧に実行することはできません。

①それゆえ、律法は私たちを罪に定めます。

　（2）しかし、イエスは律法を完璧に実行されました。

　　①イエスは、律法に照らして見れば、義人です。

　（3）イエスを救い主と信じる人には、イエスの義が転嫁されます。

①つまり、信者はキリストの内にあって律法の呪いから解放されたということです。

参考になる聖句

「罪の報酬は死です。しかし神の賜物は、私たちの主キリスト・イエスにある永遠のいのちです」
（ロマ6：23）

イエスを信じる者は、イエスにあって義とされました。