申命記(49)【主】に対する誓約26:1~19

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【主】に対する誓約について学ぶ。

申命記 49回

「【主】に対する誓約」

申26:1~19(朗読26:1~11)

1.はじめに

  (1)第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)

    ①総論:臣下の義務(4:44~5:33)

    ②全的従順の呼びかけ(6~11章)

    ③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

      *この部分は、12項目に分かれる。

      *12番目の項目は、「初穗奉献」と「第3年目の十分の一」である。

    ④【主】に対する誓約(26:16~19)

  
2.メッセージのアウトライン

    (1)初穗を献げる儀式(26:1~11)

    (2)第3年目に十分の一を献げる儀式(26:12~15)

(3)【主】に対する誓約(26:16~19)

  
3.結論:初穗を献げる儀式から学ぶ霊的教訓

【主】に対する誓約について学ぶ。

Ⅰ.初穗を献げる儀式(26:1~11)

1.1節

Deu 26:1
あなたの神、【主】が相続地としてあなたに与えようとしておられる地に入って行き、それを占領し、そこに住むようになったときは、

(1)約束の地を占領するのは、神の計画である。

①申1:8

Deu 1:8
見よ、わたしはその地をあなたがたの手に渡している。行け。その地を所有せよ。これは【主】があなたがたの父祖アブラハム、イサク、ヤコブに対して、彼らとその後の子孫に与えると誓った地である。」

    (2)約束の地に住むようになったとき、初穗を献げる儀式を行う。

      ①これは、遊牧生活から農耕生活に切り替わったことを記念する儀式である。

      ②この儀式は、一度限りのものである。

2.2~3節

Deu 26:2
あなたの神、【主】が与えようとしておられる地から収穫する、大地のすべての実りの初物の一部を取って、かごに入れ、あなたの神、【主】が御名を住まわせるために選ばれる場所へ行かなければならない。

Deu 26:3
そして、そのとき任務についている祭司のもとに行って、「今日、あなたの神、【主】に報告いたします。私は【主】が私たちに与えると父祖たちに誓われた地に入りました」と言いなさい。

(1)最初の年に収穫するすべての実りの初穗の一部を、【主】に献げる。

      ①初穗の一部をかごに入れ、指定された場所に行く。

②【主】が御名を住まわせるために選ばれる場所とは、幕屋のある場所である。

③幕屋での任務についている祭司のもとに行って、こう言う。

      「今日、あなたの神、【主】に報告いたします。私は【主】が私たちに与える

と父祖たちに誓われた地に入りました」

      ④これは、【主】が約束に忠実な方であることを証しするものである。

    (2)この儀式は、新しい生活の始まりに【主】への信仰を告白する機会となる。

      ①これは、【主】との契約を更新する儀式でもある。

②すべてのイスラエル人に、この機会が与えられる。

  3.4~5節a

Deu 26:4 祭司があなたの手からそのかごを受け取り、あなたの神、【主】の祭壇の前に置いたら、

Deu 26:5a あなたは、あなたの神、【主】の前で次のように告白しなさい。

(1)祭司は初穗の入ったかごを受け取り、それを【主】の祭壇の前に置く。

      ①そのタイミングで、献げる人は【主】の前である告白を実行する。

      ②これは、神の恵みと、イスラエルの民の奇跡的な選びを証言する告白である。

      ③これは、イスラエルの歴史を回顧する告白である。

  4.5b~7節

Deu 26:5b
「私の父はさすらいのアラム人でしたが、わずかな人数を連れてエジプトに下り、そこに寄留しました。 しかしそこで、強くて数の多い、大いなる国民になりました。

Deu 26:6

しかし、エジプト人は私たちを虐待し、苦しめ、私たちに激しい労働を課しました。

Deu 26:7
私たちが私たちの父祖の神、【主】に叫ぶと、【主】は私たちの声を聞き、私たちの苦しみと労苦と虐げられている有様をご覧になりました。

(1)「私の父はさすらいのアラム人でした」

      ①これは、ヤコブのことであるが、なぜ彼はアラム人なのか。

      ②アブラハムは、ウルを出た後、しばらくハランという町に滞在した。

      ③彼はカナンに向けた旅立ったが、ハランに留まった親族も一部いた。

      ④その親族の人たちが、アラム人の先祖となった。

      ⑤イサクは、アラム人の親戚の女性リベカと結婚をした。

      ⑥ヤコブは、パダン・アラムに長く滞在し、そこでレアとラケルに出会った。

⑦それゆえ、ヤコブはアラム人と呼ばれるのである。

  *当時、イスラエル人という民族は存在していなかった。

      ⑧ヤコブは130歳でエジプトに下り、その地でさらに17年間生きた。

⑨それゆえ、ヤコブは「さすらいのアラム人」である。

    (2)「わずかな人数を連れてエジプトに下り、そこに寄留しました。しかしそこ

で、強くて数の多い、大いなる国民になりました」

      ①創46:27

Gen 46:27 エジプトで生まれたヨセフの子は二人である。エジプトに来たヤコブの家族は、全部で七十人であった。

      ②出12:37

Exo 12:37 イスラエルの子らはラメセスからスコテに向かって旅立った。女、子どもを除いて、徒歩の壮年男子は約六十万人であった。

    (3)「しかし、エジプト人は私たちを虐待し、苦しめ、私たちに激しい労働を課

しました」

  ①エジプト人が苦しめれば苦しめるほど、イスラエル人の数は増えた。

  ②父祖の神である【主】は、イスラエル人の苦しみをご存じだった。

  ③神の時が来たときに、【主】は行動を開始された。

5.8~9節

Deu 26:8
そこで、【主】は力強い御手と伸ばされた御腕によって、恐ろしい力と、しるしと不思議をもって私たちをエジプトから導き出し、

Deu 26:9 この場所に導き入れ、乳と蜜の流れる地、この地を私たちに与えてくださいました。

(1)【主】は、イスラエルの民をエジプトから導き出された。

      ①「力強い御手と伸ばされた御腕」とは、【主】の超自然的な働きである。

「恐ろしい力と、しるしと不思議」とは、エジプトに下った裁きである。

③カナンの地には強力な国々が存在していたが、イスラエルは勝利した。

6.10~11節

Deu 26:10
 今ここに私は、【主】よ、あなたが私に与えてくださった大地の実りの初物を持って参りました。」あなたは、あなたの神、【主】の前にそれを供え、あなたの神、【主】の前で礼拝しなければならない。

Deu 26:11
あなたの神、【主】があなたとあなたの家に与えられたすべての恵みを、あなたはレビ人および、あなたがたのうちの寄留者とともに喜びなさい。

(1)イスラエル人は、歴史の転換点で、【主】の恵みを覚えるように命じられた。

      ①1年目の大地の実りの初物を【主】に献げる。

      ②この恵みを与えてくださった【主】を礼拝する。

      ③家族とともに喜ぶために、祝いの宴会を開く。

      ④その宴会に、レビ人と寄留者を招く。

Ⅱ.第3年目に十分の一を献げる儀式(26:12~15)

1.12~13節a

Deu 26:12
第三年、十分の一の年にあなたの収穫の十分の一をすべて納め終え、これをレビ人、寄留者、孤児、やもめに与えて、彼らがあなたの町囲みの中で食べて満ち足りたとき、

Deu 26:13a あなたは、あなたの神、【主】の前で言いなさい。

(1)この十分の一のささげ物は、3年ごとに献げるものである。

      ①約束の地に定住して3年目に、収穫の十分の一をすべて献げる。

      ②それ以降も、3年ごとに同じことを行う。

      ③これは、社会的弱者に与えるためのささげ物である。

        *レビ人、寄留者、孤児、やもめ

        *彼らを宴会に招待し、ともに食べて祝う。

      ④この儀式の終わりは、【主】への告白である。

      ⑤宴会と告白は、各家庭において行われたと思われる。

  2.13b~15節

Deu 26:13b
「あなたが私に下された命令のとおり、私は聖なるささげ物すべてを家から取り分け、それをレビ人、寄留者、孤児、やもめに与えました。私はあなたの命令を一つも破らず、またそれらを忘れませんでした。

Deu 26:14
その一部でも、喪中に食べたり、また汚れているときに取り分けたりしませんでした。また、その一部でも死者に供えたこともありません。私は、私の神、【主】の御声に聞き従い、すべてあなたが私に命じられたとおりにいたしました。

Deu 26:15
あなたの聖なる住まいの天から見下ろして、御民イスラエルと、あなたが私たちの父祖たちに誓われたとおり私たちに下さった土地、乳と蜜の流れる地とを祝福してください。」

    (1)積極的な告白

      ①聖なるささげ物を取り分け、レビ人、寄留者、孤児、やもめに与えた。

      ②【主】の命令を一つも破らず、それを忘れなかった。

    (2)否定的な告白

      ①その一部でも喪中に食べたりはしなかった。

      ②儀式的に汚れているときに、取り分けたりはしなかった。

      ③その一部でも死者に供えたことはなかった。

    (3)祝福を求める祈り

      ①イスラエルの民と約束の地の上に注がれる恵み

      ②【主】への信頼を告白する祈りである。

      ③天におられるお方は、地上にいる人の祈りを聞いてくださる。

Ⅲ.【主】に対する誓約(26:16~19)

1.16~17節

Deu 26:16
今日、あなたの神、【主】は、これらの掟と定めを行うように、あなたに命じておられる。あなたは心を尽くし、いのちを尽くして、それを守り行いなさい。

Deu 26:17 あなたは今日、この【主】をあなたの神とし、主の道に歩み、主の掟と命令と定めを守り、御声に聞き従うと誓約した。

(1)この箇所は、第2の説教の4番目(最後)の区分に当たる。

      ①内容は、契約の締結である。

②【主】とイスラエルの民が宗主権契約にサインをする。

③この契約の仲介者はモーセである。

④イスラエルの民と【主】それぞれに、果たすべき責務がある。

    (2)イスラエルの民の責務

①神は、イスラエルの民に全的従順と献身を求めておられる。

      ②「あなたは心を尽くし、いのちを尽くして、それを守り行いなさい」

      ③イスラエルの民は、【主】に従うと誓約した。

        *誓約とは、古代中近東の言葉で、宗主権契約に同意したという意味。

3.18~19節

Deu 26:18 今日、【主】は、あなたに約束したとおり、あなたが主のすべての命令を守り主の宝の民となること、

Deu 26:19
あなたを、主が造られたすべての国々の上に高く上げて栄誉と名声と栄えとし、約束のとおり、あなたが、あなたの神、【主】の聖なる民となることを誓約されたのである。

(1)【主】の責務

      ①ここでも「誓約」という言葉が用いられている。

        *【主】は、正式にイスラエルの民に対する責務を受け入れられた。

      ②【主】が約束された内容

        *イスラエルは、主の宝の民となる。

*イスラエルは、すべての国々の上に高く上げられる。

*イスラエルは、【主】の聖なる民となる。

    (2)【主】の祝福を体験するためには、従順であることが条件となる。

      ①しかしイスラエルは、何度も【主】に反抗する。

      ②イスラエルは、2度の捕囚を体験するようになる。

      ③イスラエルは、メシアを拒否した結果、全世界に離散するようになる。

      ④イザヤ60~62章は、イスラエルに対する約束が成就すると預言している。

      ⑤これは千年王国において成就する祝福である。

結論:初穗を献げる儀式から学ぶ霊的教訓

  1.初穗は、収穫の全部を象徴している。

    (1)ヘブル的理解では、初穗は収穫の全部と考えられる。

    (2)初穗は、そこだけを【主】にお返しすればよいという意味ではない。

(3)初穗を献げるのは、収穫の全部が【主】から与えられたという告白である。

(4)エレ31:5

Jer 31:5 再びあなたはサマリアの山々に/ぶどう畑を作り、/植える者たちは植え、/その初物を味わう。

    (5)ロマ11:16

Rom 11:16 麦の初穂が聖なるものであれば、こねた粉もそうなのです。根が聖なるものであれば、枝もそうなのです。

  2.初穗は、【主】への献身を象徴している。

    (1)初穗は、収穫の最良のものである。

    (2)初穗を献げるとは、【主】に最高のものを献げることである。

    (3)初穗を献げるとは、利己的な心を抑制することである。

    (4)ルカ23:39~43

Luk 23:39
十字架にかけられていた犯罪人の一人は、イエスをののしり、「おまえはキリストではないか。自分とおれたちを救え」と言った。

Luk 23:40 すると、もう一人が彼をたしなめて言った。「おまえは神を恐れないのか。おまえも同じ刑罰を受けているではないか。

Luk 23:41 おれたちは、自分のしたことの報いを受けているのだから当たり前だ。だがこの方は、悪いことを何もしていない。」

Luk 23:42 そして言った。「イエス様。あなたが御国に入られるときには、私を思い出してください。」

Luk 23:43 イエスは彼に言われた。「まことに、あなたに言います。あなたは今日、わたしとともにパラダイスにいます。」

      ①最後に救われるのは祝福であるが、青年期を献げるのは、より素晴らしい。

  3.初穗は、歴史を回顧する機会となる。

    (1)イスラエルの民は、自らの貧しい出自を思い出した。

    (2)イスラエルの民は、エジプトでの労苦と【主】による解放を思い出した。

    (3)イスラエルの民は、約束の地が【主】よって与えられたことを思い出した。

    (5)エペ2:1~10

Eph 2:1 さて、あなたがたは自分の背きと罪の中に死んでいた者であり、

Eph 2:2
かつては、それらの罪の中にあってこの世の流れに従い、空中の権威を持つ支配者、すなわち、不従順の子らの中に今も働いている霊に従って歩んでいました。

Eph 2:3
私たちもみな、不従順の子らの中にあって、かつては自分の肉の欲のままに生き、肉と心の望むことを行い、ほかの人たちと同じように、生まれながら御怒りを受けるべき子らでした。

Eph 2:4 しかし、あわれみ豊かな神は、私たちを愛してくださったその大きな愛のゆえに、

Eph 2:5 背きの中に死んでいた私たちを、キリストとともに生かしてくださいました。あなたがたが救われたのは恵みによるのです。

Eph 2:6 神はまた、キリスト・イエスにあって、私たちをともによみがえらせ、ともに天上に座らせてくださいました。

Eph 2:7
それは、キリスト・イエスにあって私たちに与えられた慈愛によって、この限りなく豊かな恵みを、来たるべき世々に示すためでした。

Eph 2:8 この恵みのゆえに、あなたがたは信仰によって救われたのです。それはあなたがたから出たことではなく、神の賜物です。

Eph 2:9 行いによるのではありません。だれも誇ることのないためです。

Eph 2:10
実に、私たちは神の作品であって、良い行いをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行いに歩むように、その良い行いをあらかじめ備えてくださいました。

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