申命記(48)諸々の規定(29)~(34)25:1~19

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諸々の規定の中の(29)~(34)について学ぶ。

申命記 48回

「諸々の規定(29)~(34)」

申25:1~19 (朗読25:1~10)

1.はじめに

    (1)第2の説教:契約に基づく義務

      ③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

    (2)「律法の解説と日常生活への適用」は、律法の各論的解説とその適用である。

      ①この箇所を12項目に分割して説明している。

      ②第11の項目:諸々の規定(21:1~25:19)

      ③諸々の規定の中には34の細かい項目がある。

      ④今回は(29)~(34)を取り上げる(申命記25章)。

  
2.メッセージのアウトライン

(29)むち打ちの刑(25:1~3)

    (30)脱穀している牛(25:4)

    (31)レビラート婚(25:5~10)

    (32)夫を救い出そうとする妻(25:11~12)

    (33)異なる重り石(25:13~16)

    (34)アマレク人(25:17~19)

  
3.結論:3つの霊的教訓

    (1)むち打ちの刑

    (2)脱穀している牛

    (3)異なる重り石

諸々の規定の中の(29)~(34)について学ぶ。

XXIX.むち打ちの刑(25:1~3)

1.1~2節

Deu 25:1
人と人との間で争いがあり、その人たちが裁判に出頭して、正しいほうを正しいとし、悪いほうを悪いとする判定がなされたとき、

Deu 25:2
もしその悪い者がむち打ちにすべき者なら、さばき人は彼を伏させ、自分の前で、その邪悪さに応じた数だけ打たなければならない。

(1)この規定は、過剰な肉体への罰を禁止するためのものである。

      ①この点において、モーセの律法は古代中近東の諸法典とは異なる。

    (2)当事者間で争いを解決できないときは、裁判所にそれを持ち込む。

      ①裁判官たち下す判決は、正義に基づいた公正なものでなければならない。

      ②悪い者は、むち打ちの刑を受ける。

      ③裁判官たちは、過剰な罰を与えることのないようにその場で見張る。

      ④恐らく、むちというのは杖のことであろう(出21:20)。

Exo 21:20 自分の男奴隷あるいは女奴隷を杖で打ち、その場で死なせた場合、その人は必ず復讐されなければならない。

2.3節

Deu 25:3
四十までは彼をむち打ってよいが、それ以上はいけない。それ以上多くむち打たれれば、あなたの同胞はあなたの目の前で卑しめられることになる。

      ①悪い者であっても、人間としての尊厳は守られるべきである。

      ②モーセの律法では、40以上のむち打ちは禁止された。

      ③新約時代には、40を越えないために、39回のむち打ちが習慣となっていた。

        *2コリ11:24~25

2Co 11:24 ユダヤ人から四十に一つ足りないむちを受けたことが五度、

2Co 11:25 ローマ人にむちで打たれたことが三度、石で打たれたことが一度、難船したことが三度、一昼夜、海上を漂ったこともあります。
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XXX.脱穀している牛(25:4)

1.4節

Deu 25:4 脱穀をしている牛に口籠をはめてはならない。

(1)牛やろばなどの家畜を使って、大きな石臼で脱穀をすることがあった。

      ①脱穀が終わると、もみ殻を風で吹き飛ばし、実を集める。

      ②牛には、落ちた穀物を食べる権利があるので、口籠をはめてはならない。

      ③これは、人間を助けてくれる家畜への愛と配慮である。

    (2)この規定には、霊的教訓が含まれている。

①神は家畜のことよりも、人間のことを気にかけておられる。

XXXI.レビラート婚(25:5~10)

1.5~6節

Deu 25:5
兄弟が一緒に住んでいて、そのうちの一人が死に、彼に息子がいない場合、死んだ者の妻は家族以外のほかの男に嫁いではならない。その夫の兄弟がその女のところに入り、これを妻とし、夫の兄弟としての義務を果たさなければならない。

Deu 25:6 そして彼女が産む最初の男子が、死んだ兄弟の名を継ぎ、その名がイスラエルから消し去られないようにしなければならない。

(1)近親婚が許可される唯一の例が、レビラート婚の規定である。

      ①兄弟が一緒に住んでいて、そのうちの一人が死んだ。

      ②死んだ人には、息子がいない。

      ③この場合、生きている兄弟は、死んだ人の妻をめとる。

      ④この結婚で生まれた最初の男子は、死んだ人の名を継ぐ。

      ⑤死んだ人の名を継いだ者は、年老いた両親の世話をし、土地を相続する。
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2.7節

Deu 25:7
しかし、もしその人が自分の兄弟の妻を妻としたくないなら、その兄弟の妻は、町の門の長老たちのところに行って言わなければならない。「私の夫の兄弟は、自分の兄弟のためにその名をイスラエルのうちに残そうとはせず、夫の兄弟としての義務を私に果たそうとしません。」

(1)しかし、死んだ人の妻と結婚したくないという場合もあり得る。

      ①その女が自分の好みのタイプと違う。

      ②その女に、土地を相続させたくない。

    (2)その場合、死んだ人の妻は町の門の長老たちのところに行って訴える。

      ①夫の兄弟は、レビラート婚の義務を果たそうとしないと。
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3.8~10節

Deu 25:8 町の長老たちは彼を呼び寄せ、話さなければならない。もし彼が「私は彼女を妻としたくない」と言い張るなら、

Deu 25:9
彼の兄弟の妻は、長老たちの目の前で彼に近寄り、その足から履き物を脱がせ、その顔に唾して、彼に答えて言わなければならない。「兄弟の家を建てない男はこのようにされる。」

Deu 25:10 彼の名はイスラエルの中で、「履き物を脱がされた者の家」と呼ばれる。

(1)町の長老たちは、その男を呼び寄せ、説得する。

      ①それでも、彼がレビラート婚を拒否することがある。

    (2)その場合は、彼の名誉に傷が付くような処置をする。

      ①彼女は、その兄弟の足から、片方の履き物を脱がせる。

      ②次に、その顔に唾する。

      ③「兄弟の家を建てない男はこのようにされる」と宣言する。

      ④彼の名は、「履き物を脱がされた者の家」と呼ばれる。

      ⑤名はその人の実質を表わす。この名は、永遠の恥となる。

      ⑥これは、社会的制裁でレビラート婚の実現を図ろうとする規定である。

      ⑦ちなみに、創世記38章で、タマルはレビラート婚を求めた。

        *ユダの3人の息子は、エル、オナン、シェラであった。

        *タマルが結婚したエルとオナンは死んだ。

*ユダは、タマルがシェラと結婚することを先延ばしにした。

*そこでタマルは、義父のユダによって子を残した。

XXXII.夫を救い出そうとする妻(25:11~12)

1.11~12節

Deu 25:11
二人の者が互いに争っているとき、一方の者の妻が近づき、自分の夫を打つ者の手から救い出そうとして手を伸ばし、相手の隠しどころをつかんだなら、

Deu 25:12 その女の手を切り落としなさい。あわれみをかけてはならない。

(1)レビラート婚に続いてこの規定が出て来ることに、意味がある。

      ①レビラート婚では、女性の権利が大幅に認められた。

      ②ここでは、女性の権利が制限されている。

    (2)夫を救うために、相手の男性の急所をつかむのは、違法な行為である。

      ①女性としての慎みが、限度を超えて破壊されている。

      ②急所をつかまれた男性は、子孫を残せなくなる可能性がある。

      ③この罪に対する罰則は、非常に厳しい。

      ④モーセの律法では、体を傷つける罰則は、最小限である。

        *申19:21

Deu 19:21 あわれみをかけてはならない。いのちにはいのちを、目には目を、歯には歯を、手には手を、足には足を。

        *現実には、この規定が実行されたという記録はない。

      ⑤ここでは、その女の手を切り落とせと命じられている。

      ⑥4回目の「あわれみをかけてはならない」(申13:8、19:13、19:21)。
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XXXIII.異なる重り石(25:13~16)

1.13~14節

Deu 25:13 あなたには、袋に大小異なる重り石があってはならない。

Deu 25:14 あなたには、家に大小異なる升があってはならない。

(1)この規定は、商売における正直さを教えたものである。

      ①天秤ばかりの重り石に、大小異なるものがあってはならない。

      ②穀物や油を量る升にも、大小異なるものがあってはならない。
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  2.15~16節

Deu 25:15
あなたには、完全で正しい重り石と、完全で正しい升がなければならない。あなたの神、【主】があなたに与えようとしておられるその土地で、あなたの日々が長く続くようにするためである。

Deu 25:16 こう言うのは、このようなことをして不正を行う者すべてを、あなたの神、【主】が忌み嫌われるからである。

(2)正しい重り石と正しい升を使用する理由

      ①約束の地で、【主】からの祝福を得、長寿を全うするためである。

      ②【主】が不正を行う者すべてを、忌み嫌われるからである。
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XXXIV.アマレク人(25:17~19)

1.17~18節

Deu 25:17 覚えていなさい。あなたがたがエジプトから出て来たとき、その道中でアマレクがあなたにしたことを。

Deu 25:18
彼らは神を恐れることなく、あなたが疲れて弱っているときに、道であなたに会い、あなたのうしろの落伍者をすべて切り倒したのである。

(1)レフィディムでの戦い(出17:8~16)

      ①エジプトを出たイスラエルが戦った最初の戦いである。

      ②アマレクとの戦いは、悪魔との霊的戦いの型である。

    (2)カデシュ・バルネアでの戦い(民14:39~45)

      ①不信仰によって約束の地に入れなくなった直後の戦いである。

    (3)アマレクとの戦いは、これ以外にも継続的にあったようである。

      ①彼らは、弱者を狙って攻めて来た。

      ②彼らには、イスラエルの神への恐れがなかった。

      ③また、イスラエルの民への憐れみを示そうとしなかった。

      ④それゆえ、彼らは【主】からの憐れみを受けることができない。
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2.19節

Deu 25:19
あなたの神、【主】が相続地としてあなたに与えて所有させようとしておられる地で、あなたの神、【主】が周囲のすべての敵からあなたを守って、安息を与えられるようになったときには、あなたはアマレクの記憶を天の下から消し去らなければならない。このことを忘れてはならない。

(1)イスラエルは、アマレクの記憶を天の下から消し去るように命じられた。

      ①400年以上経って、ダビデはアマレク人を撃破した。

        *2サム1:1

2Sa 1:1 サウルが死んだとき、ダビデはアマレク人を打ち破って帰って来ていた。その後ダビデは二日間、ツィクラグにとどまっていた。

      ②さらに300年経って、ヒゼキヤの時代にようやくこの命令は成就した。

        *1歴4:43

1Ch 4:43 彼らは、アマレクの逃れて残っていた者を討ち、そこに住んだ。今日もそのままである。

結論:3つの霊的教訓

  1.むち打ちの刑

(1)罰を与える際の原則(しつけの原則)

      ①過ちを犯した場合は、時を移さず、すぐに罰を与える。

      ②罰の程度は、過ちの深刻さに応じたものでなければならない。

      ③過剰な罰は逆効果になる。

(2)基本的には、相手に対する敬意がなければならない。
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  2.脱穀している牛

    (1)神は家畜のことだけでなく、人間のことも気にかけておられる。

    (2)パウロによるこの規定の適用

      ①1コリ9:9~10

1Co 9:9
モーセの律法には「脱穀をしている牛に口籠をはめてはならない」と書いてあります。はたして神は、牛のことを気にかけておられるのでしょうか。

1Co 9:10
私たちのために言っておられるのではありませんか。そうです。私たちのために書かれているのです。なぜなら、耕す者が望みを持って耕し、脱穀する者が分配を受ける望みを持って仕事をするのは、当然だからです。

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  3.異なる重り石

    (1)箴11:1

Pro 11:1 欺きの秤は【主】に忌み嫌われ、/正しい重りは主に喜ばれる。

    (2)アモ8:5

Amo 8:5
あなたがたは言っている。/「新月の祭りはいつ終わるのか。/私たちは穀物を売りたいのだが。/安息日はいつ終わるのか。/麦を売りに出したいのだが。/エパを小さくし、シェケルを重くし、/欺きの秤で欺こう。

    (3)商道徳に違反するのは、信仰が欠如しているからである。

      ①不正を働かなくても、神は必要なものを与えてくださる。

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