申命記(50)契約の更新27:1~26

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契約の更新について学ぶ。

申命記 50回

「契約の更新」

申27:1~26(朗読27:1~10)

1.はじめに

  (1)申命記のアウトライン(宗主権契約の形式)

    ①第1の説教:歴史の回顧(1:5~4:43)

    ②第2の説教:契約に基づく義務(4:44~26:19)

    ③第3の説教:祝福と呪いの宣言(27:1~29:1)

    ④第4の説教:契約条項のまとめ(29:2~30:20)

  (2)第3の説教:祝福と呪いの宣言(27:1~29:1)

    ①契約の更新(27:1~26)

    ②祝福とのろい(28:1~68)

    ③申命記29章1節

  
2.メッセージのアウトライン

    (
1)石の上に書かれたみおしえ(27:1~10)

    (2)ゲリジム山とエバル山(27:11~26)

 

  
3.結論:歴史の転換点における契約の更新

契約の更新について学ぶ

Ⅰ.石の上に書かれたみおしえ(27:1~10)

  
1.1節

Deu 27:1 モーセとイスラエルの長老たちは、民にこう命じた。/「私が今日あなたがたに命じるすべての命令を守りなさい。

(1)ここから第3の説教が始まる。

      ①モーセが三人称で登場しているので、新しい説教が始まったと分かる。

      ②第2の説教の始まりでも、モーセは三人称で登場している(申5:1)。

      ③これまでモーセは、「契約に基づく義務」について語って来た。

      ④ここから始まる第3の説教の内容は、「契約更新の儀式」である。

      ⑤約束の地に入ってから行う「契約更新の儀式」について、指示を出す。

      ⑥さらに、契約に付随した「祝福とのろい」が宣言される。

    (2)ここでは、モーセだけでなくイスラエルの長老たちも登場している。

      ①モーセは、約束の地に入る前に死ぬ。

      ②契約更新の儀式を実行することは、長老たちの責任である。

  2.2~4節

Deu 27:2
あなたがたがヨルダン川を渡り、あなたの神、【主】が与えようとしておられる地に入る日には、大きな石を立て、それらに石灰を塗りなさい。

Deu 27:3
渡ったら、それらの上に、このみおしえのすべてのことばを書き記しなさい。それは、あなたの父祖の神、【主】が約束されたとおり、あなたの神、【主】があなたに与えようとしておられる地、乳と蜜の流れる地にあなたが入るためである。

Deu 27:4 あなたがたがヨルダン川を渡ったら、私が今日あなたがたに命じるこれらの石をエバル山に立て、それに石灰を塗りなさい。

(1)約束の地に入ってから行うべきこと

①大きな石(複数)を立て、そこに石灰を塗り、みおしえのすべてを書き記す。

      ②石に石灰を塗ることは、エジプトで行われていた習慣である。

      ③みおしえのすべてとは、申命記の内容をすべて書き記すということである。

    (2)申命記の内容を書き記す目的は、2つある。

      ①【主】は先祖たちへの約束に忠実なお方であることを記念する。

        *エバル山にこれらの石を立てる。

        *エバル山は、エルサレムの北約55キロの地点にある山である。

        *その山麓にシェケムの町がある。

        *【主】がアブラハムに初めて現れたのは、シェケムであった。

        *アブラハムはそこに最初の祭壇を築いた(創12:6~7)。

        *【主】はアブラハム契約に忠実なお方であることを記念する。

        *民が契約を守れば、アブラハム契約の中の土地の約束は成就する。

      ②民は、律法に基づいてカナンの地を統治するということを象徴している。

        *イスラエルのミッションは、カナンの地で【主】の御心を成就すること。

*【主】の義、【主】の聖、【主】の愛などをカナンの地で実現する。

  3.5~8節

Deu 27:5 そこに、あなたの神、【主】のために祭壇を、石の祭壇を築きなさい。それには鉄の道具を当ててはならない。

Deu 27:6
自然のままの石で、あなたの神、【主】の祭壇を築かなければならない。その上で、あなたの神、【主】に全焼のささげ物を献げなさい。

Deu 27:7 またそこで交わりのいけにえを献げて、それを食べ、あなたの神、【主】の前で喜び楽しみなさい。

Deu 27:8 それらの石の上に、このみおしえのことばすべてを、よく確認して書き記しなさい。」

(1)契約更新のために、全焼のささげ物を献げる。

      ①そのために石の祭壇を築く。

    (2)その祭壇は、自然のままの石を使用して築く。

      ①この方法だと、鉄器を所有している他民族に依存しなくてもよくなる。

      ②この方法は、人工的な要素を排除する(みおしえに変更を加えない)。

      ③この方法は、偶像を刻む危険性からイスラエルの民を守る。

    (3)石の祭壇の上で、全焼のささげ物はすべて焼かれる。

      ①全焼のささげ物は、イスラエルの民の全的献身を象徴している。

      ②また、【主】への全的信頼を象徴している。

    (4)次に、交わりのいけにえを献げる。

      ①これは、契約の食事をするためのものである。

      ②家族や共同体で、喜びの食事をする。

      ③これは、【主】の恵みに感謝するための食事である。

  
4.9~10節

Deu 27:9
それから、モーセとレビ人の祭司たちはイスラエル全体に告げた。「イスラエルよ、静まって聞きなさい。今日あなたは、あなたの神、【主】の民となった。

Deu 27:10 あなたの神、【主】の御声に聞き従い、私が今日あなたに命じる主の命令と掟を行いなさい。」

(1)これは、モアブの野で語られた言葉である。

      ①これと同じ内容が、シェケムでも繰り返し宣言されたはずである。

      ②これは、契約更新の言葉である。

      ③これは、イスラエルの民の再献身を促す言葉である。

Ⅱ.ゲリジム山とエバル山(27:11~26)

  
1.11~13節

Deu 27:11 その日モーセは民に命じた。

Deu 27:12
あなたがたがヨルダン川を渡ったとき、次の者たちは、民を祝福するためにゲリジム山に立たなければならない。シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフ、ベニヤミン。

Deu 27:13
また次の者たちは、のろいのためにエバル山に立たなければならない。 ルベン、ガド、アシェル、ゼブルン、ダン、ナフタリ。

    (1)エバル山(北の山)に祭壇を築いてから、祝福と呪いの儀式が始まる。

      ①ゲリジム山に6部族が立つ。

      ②エバル山に6部族が立つ。

    (2)ゲリジム山に立つ6部族(祝福のために)

      ①シメオン、レビ、ユダ、イッサカル、ヨセフ、ベニヤミン

      ②この6部族は、ヤコブの妻レアとラケルから誕生した。

    (3)エバル山に立つ6部族(のろいのために)

      ①ルベン、ガド、アシェル、ゼブルン、ダン、ナフタリ

      ②4部族(ガド、アシェル、ダン、ナフタリ)は、ヤコブのそばめビルハとジ

      ルパから誕生した。

③ルベンは、近親相姦のために長子の権利を失った。

④ゼブルンは、レアの末子である。

    (4)一般の民は、2つの山の前に集合した。

      ①ヨシ8:33

Jos 8:33
全イスラエル、その長老たち、つかさたち、さばき人たちは、寄留者もこの地で生まれた者も同様に、【主】の契約の箱を担ぐレビ人の祭司たちの前で、箱のこちら側と向こう側とに分かれ、半分はゲリジム山の前に、もう半分はエバル山の前に立った。それは【主】のしもべモーセが以前命じたように、イスラエルの民を祝福するためであった。

  
2.14節

Deu 27:14 レビ人は、イスラエルのすべての人に大声で宣言しなければならない。

(1)レビ人は、2つの山の間に立って、大声で宣言した。

      ①祭司であるレビ人たちが、そこに立って宣言した(ヨシ8:33)。

      ②申27:15~26では、のろいの宣言だけが出て来るが、理由は不明である。

      ③レビ人は、12ののろいを宣言する。

  
3.15~19節

Deu 27:15
「職人の手のわざである、【主】が忌み嫌われる彫像や鋳像を造り、これをひそかに安置する者はのろわれる。」民はみな答えて、アーメンと言いなさい。

Deu 27:16 「自分の父や母を軽んじる者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:17 「隣人との地境を移す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:18 「目の見えない人を道に迷わせる者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:19 「寄留者、孤児、やもめのさばきを曲げる者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

    (1)偶像を造るのは、第2戒違反である。

    (2)両親を軽んじるのは、第5戒違反である。

    (3)隣人との地境を移すのは、第8戒違反である。

    (4)目の見えない人は、誰が犯人かを知らないが、【主】はご存じである。

    (5)神は、社会的弱者をお守りになる。

  
4.20~23節

Deu 27:20 「父の妻と寝る者は、自分の父の恥をさらすのであるから、のろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:21 「どのような動物であれ、それと寝る者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:22 「父の娘であれ母の娘であれ、自分の姉妹と寝る者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:23 「自分の妻の母と寝る者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

(6)父の妻やそばめと寝るのは、第7戒違反である。

    (7)獣姦は隠れて行われるが、【主】はご存じである。

    (8)近親相姦(自分の姉妹と寝る)は、罪である。

    (9)近親相姦(妻の母と寝る)も、罪である。

  
5.24~26節

Deu 27:24 「ひそかに隣人を打ち殺す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:25 「賄賂を受け取り、人を打ち殺して、咎のない者の血を流す者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

Deu 27:26 「このみおしえのことばを守ろうとせず、これを実行しない者はのろわれる。」民はみな、アーメンと言いなさい。

(10)ひそかに隣人を殺すのは、第6戒違反である。

    (11)賄賂を受け取って人を殺すのも、第6戒違反である。

    (12)12番目ののろいは、総括的なものである。

      ①【主】は、イスラエルの民の全的従順を求めておられる。

      ②パウロは、この聖句をガラテヤ3章10節で引用している。

Gal 3:10
律法の行いによる人々はみな、のろいのもとにあります。「律法の書に書いてあるすべてのことを守り行わない者はみな、のろわれる」と書いてあるからです。

結論:歴史の転換点での契約更新

  1.カナン入国を目前にしたとき

    (1)【主】のみおしえへの全的従順の決意

    (2)【主】の祝福の確認

  2.リーダーシップがヨシュアに移行したとき(ヨシ24章)

    (1)ヨシ24:14~15

Jos 24:14
今、あなたがたは【主】を恐れ、誠実と真実をもって主に仕え、あなたがたの先祖たちが、あの大河の向こうやエジプトで仕えた神々を取り除き、【主】に仕えなさい。

Jos 24:15
【主】に仕えることが不満なら、あの大河の向こうにいた、あなたがたの先祖が仕えた神々でも、今あなたがたが住んでいる地のアモリ人の神々でも、あなたがたが仕えようと思うものを、今日選ぶがよい。ただし、私と私の家は【主】に仕える。」

  3.サウルが王になったとき(1サム12章)

    (1)1サム12:13~15

1Sa 12:13 今、見なさい。あなたがたが求め、選んだ王だ。見なさい。【主】はあなたがたの上に王を置かれた。

1Sa 12:14
もし、あなたがたが【主】を恐れ、主に仕え、主の御声に聞き従い、【主】の命令に逆らわず、また、あなたがたも、あなたがたを治める王も、自分たちの神、【主】の後に従うなら、それでよい。

1Sa 12:15
しかし、もし、あなたがたが【主】の御声に聞き従わず、【主】の命令に逆らうなら、【主】の手が、あなたがたとあなたがたの先祖の上に下る。

  4.ソロモンが神殿を献堂したとき

    (1)1列8章

  5.私たちへの適用(ロマ12:1)

Rom 12:1
ですから、兄弟たち、私は神のあわれみによって、あなたがたに勧めます。あなたがたのからだを、神に喜ばれる、聖なる生きたささげ物として献げなさい。それこそ、あなたがたにふさわしい礼拝です。

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