申命記(41)諸々の規定(1)~(2) 21:1~14

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諸々の規定の中の(1)と(2)について学ぶ。

申命記 41回

「諸々の規定(1)~(2)」

申21:1~14

(朗読は21:1~9)

1.はじめに

    (1)第2の説教:契約に基づく義務

      ③律法の解説と日常生活への適用(12:1~26:15)

    (2)「律法の解説と日常生活への適用」は、律法の各論的解説とその適用である。

      ①この箇所を12項目に分割して説明している。

      ②第11の項目:諸々の規定(21:1~25:19)

      ③諸々の規定の中には34の細かい項目がある。

      ④今回は(1)と(2)を取り上げる。

  
2.メッセージのアウトライン

    (1) 未解決の殺人事件(21:1~9)

    (2)捕虜の女との結婚(21:10~14)

  
3.結論:

    (1)未解決の殺人事件の規定から学ぶ教訓

    (2)捕虜の女との結婚の規定から学ぶ教訓

諸々の規定の中の(1)と(2)について学ぶ。

Ⅰ.未解決の殺人事件(21:1~9)

1.1~2節

Deu 21:1
あなたの神、【主】があなたに与えて所有させようとしておられる地で、刺し殺された者が野に倒れているのが見つかり、だれが殺したのか分からない場合、

Deu 21:2 あなたの長老たちとさばき人たちは出て行って、刺し殺された者から周りの町々への距離を測りなさい。

(1)これは、カナンの地に定住して以降に実施すべき規定である。

      ①モーセは、イスラエルの民がカナンの地に定住することを確信している。

②カナンの地で、刺し殺された者が野に倒れているのが見つかった。

      ③犯人は不明である。

      ④そのまま「迷宮入り事件」として放置することは許されない。

      ⑤血が流されたことについて、契約の民には共同体としての責任がある。

      ⑥約束の地は、汚れからの清めを必要としている。

    (2)地を清めるための手順が示される。

      ①「長老たちとさばき人たち」が調査を開始する。

      ②これは、中央に置かれた最高裁である(申17:8~13参照)。

      ③死体発見現場から周りの町々への距離を測り、最も近い町を割り出す。

      ④長老とさばき人たちは、近隣の町の長老たちを召喚する。

  2.3~4節

Deu 21:3
そして、刺し殺された者に最も近い町が分かれば、その町の長老たちは、まだ使役されたことも、くびきを負って引いたこともない雌の子牛を取りなさい。

Deu 21:4
その町の長老たちはその雌の子牛を、まだ耕されたことも種を蒔かれたこともない、絶えず流れる谷川へ連れて下り、その谷で雌の子牛の首を折りなさい。

    (1)町の長老たちは、長老たちとさばき人たちの前で、雌の子牛を取る。

      ①使役されたことも、くびきを負って引いたこともない子牛

        *力を消費したことがない子牛

        *この子牛は、殺人犯の身代わりとなる。

      ②その子牛を、絶えず流れる谷川に連れて下る。

        *まだ耕されたことも種を蒔かれたこともない地

        *人間の手で汚されていない地(自然のままの地)

      ③その谷で雌の子牛の首を折る。

        *子牛の血が流されるが、その血は大地に染み込む。

*その土地を耕作することはないので、血が掘り返されることはない。

*谷川の水は、長老たちの手を清めるためのものである。

  3.5節

Deu 21:5
それから、レビの子らである祭司たちが進み出なさい。あなたの神、【主】が、ご自分に仕えさせ、また【主】の御名によって祝福を宣言するために選ばれた者は彼らであり、いかなる争いも、いかなる傷害事件も彼らの判決によるからである。

(1)レビの子らである祭司たちが進み出る。

      ①祭司たちは、【主】に選ばれた者である。

      ②祭司たちの存在は、そこに神の臨在があることを示している。

      ③彼らは、【主】の御名によって祝福を宣言する者である。

      ④いかなる争いも、いかなる傷害事件も、彼らが判決を出す。

      ⑤彼らには、この儀式が律法の規定どおりに行われるか見張る義務がある。

  4.6~8節

Deu 21:6 刺し殺された者に最も近いその町の長老たちはみな、谷で首を折られた雌の子牛の上で手を洗い、

Deu 21:7 証言して言いなさい。「私たちの手はこの血を流しておらず、私たちの目はそれを見ていない。

Deu 21:8
【主】よ、あなたが贖い出された御民イスラエルをお赦しください。 咎のない者の血を流す罪を、御民イスラエルのうちに負わせないでください。」
こうして彼らは流血の咎を赦される。

    (1)流血の咎が許されるための儀式

      ①町の長老たちはみな、首を折られた雌の子牛の上で手を洗う。

        *マタ27:24

Mat 27:24
ピラトは、語ることが何の役にも立たず、かえって暴動になりそうなのを見て、水を取り、群衆の目の前で手を洗って言った。「この人の血について私には責任がない。おまえたちで始末するがよい。」

      ②それから証言する。

        *自分は殺人とは無関係であり、殺人者を見てもいない。

      ③さらに、赦しを求める祈りをする。

        *「あなたが贖い出された御民イスラエルをお赦しください」

        *「咎のない者の血を流す罪を、御民イスラエルのうちに負わせないでく

ださい」

  5.9節

Deu 21:9
このようにして、あなたは、【主】の目にかなうことを行うとき、咎のない者の血を流す罪をあなたがたの中から除き去ることができる。

(1)【主】の目にかなう方法で、流血の罪を除き去ることができる。

      ①一連の儀式は、神が命の価値を高く評価しておられることを示している。

      ②また、この地と民には、血を流した咎があることを示している。

      ③首を折られた雌の子牛は、神の怒りを取り除くためのいけにえである。

Ⅱ.捕虜の女との結婚(21:10~14)

1.10~11節

Deu 21:10 あなたが敵との戦いに出て行き、あなたの神、【主】がその敵をあなたの手に渡し、あなたがそれを捕虜として捕らえたとき、

Deu 21:11 その捕虜の中に姿の美しい女を見て、恋い慕い、自分の妻としようとする場合には、

    (1)契約の民は、戦いによって捕虜となった女と結婚することが許された。

      ①この場合の戦いは、「遠く離れている町々」との戦いである(申20:15)。

      ②【主】がその敵をイスラエルの民に渡された。

    (2)ある人が、捕虜の中の美しい女を見て、恋い慕い、妻にしたいと考えた。

      ①この人は独身であるという前提が置かれている。

      ②この美しい女は、カナン人の女ではない。

      ③申7:3~4は、カナン人の女との結婚を禁じている。

Deu 7:3 また、彼らと姻戚関係に入ってはならない。あなたの娘をその息子に嫁がせたり、その娘をあなたの息子の妻としたりしてはならない。

Deu 7:4
というのは、彼らはあなたの息子を私から引き離し、ほかの神々に仕えさせ、こうして【主】の怒りがあなたがたに向かって燃え上がって、あなたをただちに根絶やしにするからである。

      ④捕虜の女を手に入れる方法は、結婚しかなかった。

    (3)この規定の2つの目的

①これは、捕虜の女の人権を守るための規定である。

②これは、イスラエル人の兵士をレイプの罪から守るための規定である。

  *古代中近東では、捕虜の人権は無視された。

  *捕虜の女は、男の欲望を満たすために、もてあそばれた。

  2.12~13節

Deu 21:12 彼女をあなたの家の中に連れて行きなさい。彼女は頭を剃り、爪を切り、

Deu 21:13
捕虜の衣を脱ぎ、あなたの家にいて、自分の父と母のため一か月の間、泣き悲しまなければならない。その後、あなたは彼女のところに入り、彼女の夫となり、彼女はあなたの妻となる。

    (1)女のために、イスラエル人となるための精神的準備期間が設けられた。

①女は、清めの儀式を通過し、過去の生活と決別する。

        *頭を剃る。

        *爪を切る。

        *捕虜の服を脱ぐ。

      ②その男の家にいて、1ヶ月間両親のために喪に服す。

        *両親は戦死している。

*あるいは、この結婚によって肉親との関係が切れるので、喪に服す。

    (2)男にとっては、頭を冷やすための期間となった。

      ①1ヶ月後も心変わりがないなら、結婚してもよいということになる。

  3.14節

Deu 21:14
もしあなたが彼女を気に入らなくなったなら、彼女を自由に去らせなさい。決して金で売ってはならない。あなたはすでに彼女を意のままにしたのであるから、彼女を奴隷として扱ってはならない。

    (1)結婚後の心変わりへの対処

      ①「もしあなたが彼女を気に入らなくなったなら、」

        *さまざまな原因が考えられる。

        *霊的原因を見落としてはならない。

        *信仰の相違は、容易に解決するものではない。

      ②彼女を奴隷として売るのではなく、自由人として去らせる。

      ③離婚に関する詳細な規定は、申24:1~4に出て来る。

      ④離婚は、神の積極的な御心ではない。

      ⑤現実の生活でそれが起こるので、消極的御心としてそれが許可された。

結論:

  1.未解決の殺人事件の規定から学ぶ教訓

    (1)この規定は、命の尊厳について教えている。

      ①殺人は、命を創造された方に対する罪である。

    (2)神は、ひとりひとりの命に深い関心を持っておられる。

      ①それゆえ、ひとりの命は共同体全体の関心事でなければならない。

      (ILL)全体主義国家の中の少数民族の悲劇

    (3)子牛は、キリストの身代わりの死を予表している。

      ①2コリ5:15~16

2Co 5:15
キリストはすべての人のために死なれました。それは、生きている人々が、もはや自分のためにではなく、自分のために死んでよみがえった方のために生きるためです。

2Co 5:16
ですから、私たちは今後、肉にしたがって人を知ろうとはしません。かつては肉にしたがってキリストを知っていたとしても、今はもうそのような知り方はしません。

      ②キリストを信じた人は、人間観が変わる。

        *キリストを表面的に見ることがなくなる。

        *他の人たちを、外見で判断することがなくなる。

    (4)命の尊厳を教えているこの規定は、伝道の動機付けを与えてくれる。

  2.捕虜の女との結婚の規定から学ぶ教訓

    (1)神は、女性の尊厳を守られる。

      ①捕虜の女には、精神的準備期間が与えられた。

      ②捕虜の女には、契約の民の一員になる道が開かれた。

      ③捕虜の女には、【主】の律法を学び、【主】を礼拝する道が開かれた。

    (2)神は、男性が女性を虐待することを忌み嫌っておられる。

      ①戦時であっても、このことは変わらない。

      ②ましてや、平時に女性に対する虐待があってはならない。

    (3)結婚が破綻した場合、捕虜の女には自由というより良いものが与えられた。

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