ガラテヤ人への手紙(12)奴隷の子か自由の子かー比喩に基づく議論ー

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比喩に基づく議論について学ぶ。

ガラテヤ12回

「奴隷の子か自由の子か」

-比喩に基づく議論-

ガラ4:21~31

 

1.はじめに

(1)ガラテヤ人への手紙の位置づけ

①ガラテヤ地方の諸教会は、律法主義者の教えの影響を受けた。

②パウロは、律法主義者の教えに反論する必要を感じ、この書簡を書いた。

 

(2)ガラテヤ人への手紙のアウトライン

①個人的弁明:パウロの使徒職(1:1~2:21)

②教理的教え:信仰義認(3:1~4:31)

③実践的教え:キリスト者の自由(5:1~6:18)

 

(3)文脈の確認

①3~4章は、ガラテヤ人たちに対する教理的教えである。

*律法主義者たちが誇りとしていた旧約聖書を用いて彼らを論駁する。

②4章の内容

*ディスペンセーションに基づく議論(1~11節)

*感情に基づく議論(12~20節)

*比喩に基づく議論(21~31節)

③今回は、比喩に基づく議論(12~20節)を取り上げる。

*律法主義者は、アブラハムに倣って割礼を受けるべきであると教えた。

*そこでパウロは、アブラハムの家庭生活を取り上げて議論を進める。

 

2.メッセージのアウトライン

(1)歴史的事実の確認(21~23節)

(2)比喩的意味の発見(24~27節)

(3)個人的適用(28~31節)

 

3.結論

(1)字義通りの解釈と比喩的解釈

(2)神の恵みと終末論

 

比喩に基づく議論について学ぶ。

 

Ⅰ.歴史的事実の確認(21~23)

1.21節

Gal 4:21 律法の下にいたいと思う人たち、私に答えてください。あなたがたは律法の言うことを聞かないのですか。

(1)ここでの「律法」は、2つの異なった意味を持っている。

「律法」はギリシア語で「ノモス」、英語で「law」である。

②最初の「律法」という言葉は、モーセの律法である。

*ガラテヤ人たちは、律法を行って聖化を得ようとしていた。

*彼らは、その律法の下にいたいと思うほどになっていた。

③次の「律法」という言葉は、モーセの五書(あるいは旧約聖書)である。

*創世記から申命記までの五書。本来は、一巻の書である。

*特にここでは、創世記を指している。

 

(2)「あなたがたは律法の言うことを聞かないのですか」

①「あなたがたは、創世記のメッセージに耳を貸さないのですか」

②「創世記のメッセージを理解できないのですか」

 

2.22~23節

Gal 4:22 アブラハムには二人の息子がいて、一人は女奴隷から、一人は自由の女から生まれた、と書かれています。

Gal 4:23 女奴隷の子は肉によって生まれたのに対し、自由の女の子は約束によって生まれました。

(1)アブラハムには、2人の息子がいた。

①実際は、アブラハムには8人の息子がいた。

②創世25:1~2

Gen 25:1 アブラハムは、再び妻を迎えた。その名はケトラといった。

Gen 25:2 彼女はアブラハムに、ジムラン、ヨクシャン、メダン、ミディアン、イシュバク、シュアハを産んだ。

*ここでは、ケトラから生まれた6人の息子は除外されている。

 

(2)2人の息子とは、イシュマエルとイサクである。

①イシュマエルは女奴隷から生まれた。

*女奴隷とは、ハガルである。

②イサクは自由の女から生まれた。

*自由の女とは、サラである。

 

(3)イシュマエルとイサクは、対照的な方法で母の胎に宿った。

①イシュマエルは、「肉によって生まれた」

*自然の方法で、夫婦の交わりによって母の胎に宿った。

*そこには、アブラハムとサラの人間的な策略があった。

*イシュマエルは、神の約束とは無関係に誕生した。

②イサクは、「約束によって生まれた」

*人間的には、出産が不可能な夫婦から生まれた。

*神の約束によって、奇跡的に母の胎に宿った。

*「約束(promise)」の前に「the」を付ける訳がある(NASV)。

*その場合は、約束の内容がより具体化する。

*創17:19

Gen 17:19 神は仰せられた。「いや、あなたの妻サラが、あなたに男の子を産むのだ。あなたはその子をイサクと名づけなさい。わたしは彼と、わたしの契約を立て、それを彼の後の子孫のために永遠の契約とする。

*創18:10

Gen 18:10 すると、そのうちの一人が言った。「わたしは来年の今ごろ、必ずあなたのところに戻って来ます。そのとき、あなたの妻サラには男の子が生まれています。」サラは、その人のうしろの、天幕の入り口で聞いていた。

*神の約束は、必ず成就する。

Ⅱ.比喩的意味の発見( 24 27 節)

1.24a

Gal 4:24a ここには比喩的な意味があります。

(1)訳文の比較

「ここには比喩的な意味があります」(新改訳2017)

「これには、別の意味が隠されています」(新共同訳)

「さて、この物語は比喩としてみられる。」(口語訳)

「この中(うち)に譬あり」(文語訳)

「ところで、この実話は、神様が人間を助けるために開かれた二つの道を示してい

ます」(リビングバイブル)

 

2.24b~26節

Gal 4:24b この女たちは二つの契約を表しています。一方はシナイ山から出ていて、奴隷となる子を産みます。それはハガルのことです。

Gal 4:25 このハガルは、アラビアにあるシナイ山のことで、今のエルサレムに当たります。なぜなら、今のエルサレムは、彼女の子らとともに奴隷となっているからです。

Gal 4:26 しかし、上にあるエルサレムは自由の女であり、私たちの母です。

(1)パウロはアブラハムの実生活から、5つの対比を取り出す。

①2人の女の対比(ハガルとサラ)

②2人の息子の対比(イシュマエルとイサク)

③2つの契約の対比(シナイ契約とアブラハム契約)

④2つの山の対比(シナイ山とゴルゴタの丘)

⑤2つのエルサレムの対比(地上のエルサレムと天のエルサレム)

 

(2)「この女たちは二つの契約を表しています」

①ハガルは、シナイ契約の象徴である。

②シナイ契約は、シナイ山で結ばれた。

③シナイ契約は、奴隷の子を産んだ。

④地上のエルサレムは、ローマの支配下にある。

⑤そして、エルサレムの住民であるユダヤ人たちは、律法の奴隷となっている。

 

(3)ここでは、アブラハム契約への言及が省略されている。

①サラは、アブラハム契約の象徴である。

②アブラハム契約は、カルバリの丘で成就した。

③アブラハム契約は、メシアの誕生を約束している。

④そのメシアを通して、自由の子が誕生する。

⑤信仰によって義とされた人々が住む場所は、天のエルサレムである。

⑥天のエルサレムは、信者(ユダヤ人も異邦人も)にとって母である。

 

3.27節

Gal 4:27
なぜなら、こう書いてあるからです。
「子を産まない不妊の女よ、喜び歌え。
産みの苦しみを知らない女よ、喜び叫べ。
夫に捨てられた女の子どもは、
夫のある女の子どもよりも多いからだ。」

(1)イザヤ54:1の引用

①イザ54章の預言は、アッシリヤに圧迫されていた時代に与えられた。

②聖書では、神とイスラエルの民の関係が、夫婦関係にたとえられる。

③神が、妻であるエルサレムに優しく語りかける。

「子を産まない不妊の女よ」は、荒廃させられたエルサレムを指している。

「喜び歌え」は、荒廃の後に来る回復の希望を指している。

⑥エルサレムは優しい夫によって回復され、以前以上に祝福される。

「夫のある女の子どもよりも多いからだ」

⑧天の都の市民には、ユダヤ人も異邦人も含まれている。

⑨その数は、律法の下にいる者よりも多くなる。

Ⅲ.個人的適用( 28 31 節)

1.28~29節

Gal 4:28 兄弟たち、あなたがたはイサクのように約束の子どもです。

Gal 4:29 けれども、あのとき、肉によって生まれた者が、御霊によって生まれた者を迫害したように、今もそのとおりになっています。

(1)信者は、肉の努力によってではなく、神の約束によって超自然的に生まれた。

①信者は、イサクのように約束の子どもである。

 

(2)イシュマエルは、イサクを迫害した。

①創21:8~9

Gen 21:8 その子は育って乳離れした。アブラハムはイサクの乳離れの日に、盛大な宴会を催した。

Gen 21:9 サラは、エジプトの女ハガルがアブラハムに産んだ子が、イサクをからかっているのを見た。

②イシュマエルは律法主義者の象徴であり、イサクは新生した者の象徴。

③主イエスもパウロも、新生していない者たちから迫害された。

④今も、真の信者は律法主義者たちによって苦しめられている。

 

2.30節

Gal 4:30 しかし、聖書は何と言っていますか。「女奴隷とその子どもを追い出してください。女奴隷の子どもは、決して自由の女の子どもとともに相続すべきではないのです。」

(1)ガラテヤ人たちは、聖書に基づいて判断するように命じられた。

①奴隷の子どもが自由の子どもと一緒に相続することはあり得ない。

②律法と恵みが両立することは、あり得ない。

 

3.31節

Gal 4:31 こういうわけで、兄弟たち、私たちは女奴隷の子どもではなく、自由の女の子どもです。

(1)パウロの結論

①パウロとガラテヤの信者たちは、自由の女の子である。

②それゆえ、相続に与ることができる。

 

結論:

1 .字義通りの解釈と比喩的解釈

1 )ハーベスト・タイムは、字義通りの解釈を強く主張している。

①著者の意図を探ることが解釈のゴールである。

②解釈は一つ、適用は多数ある。

 

2 )ここでのパウロの議論は、いわゆる比喩的解釈とは違う。

①彼は、聖句を字義通りに解釈した後、そこに象徴的な意味を見出している。

②これは、律法と恵みを対比させるための「例話」である。

③パウロは、ヒレル学派でラビ教育を受けた。

*この学派の解釈学のルールが、タルムードの土台となっている。

*パウロは、ラビ的釈義に基づく「束縛と自由の比較」を行っている。

④現代人には難解であるが、当時のユダヤ人に対しては説得力があった。

 

2 .神の恵みと終末論

1 )救いと聖化は、律法の業によるのか、恵みと信仰によるのか。

2 )パウロの議論は、終末論に直結している。

①「アバ、父よ」と呼ぶ者だけが神の子である。

②神の子だけが、神の相続人となる。

③神の子だけが、天のエルサレムに住むようになる。

④ロマ 8 17

Rom 8:17 子どもであるなら、相続人でもあります。私たちはキリストと、栄光をともに受けるために苦難をともにしているのですから、神の相続人であり、キリストとともに共同相続人なのです。

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