使徒の働き(76)―トロアス教会の集会―

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第三次伝道旅行について学ぶ。

「トロアス教会の集会」
使徒20:7~12

 

1.はじめに
(1)文脈の確認
 ①パウロは、マケドニアとアカヤを経由してエルサレムに行こうとしている。
 ②コリントの港であるケンクレアからエルサレムに向う船に乗ろうとした。
 ③しかし、パウロに対する陰謀があることを知り、計画を変更した。
 ④コリント→ピリピ→トロアス
 ⑤同行の7名は、先に船でトロアスに着いていた。
 ⑥パウロとルカは、先行していた7名とトロアスで合流した。

 

(2)使20:6
Act 20:6 種なしパンの祝いが過ぎてから、私たちはピリピから船出し、五日かかってトロアスで彼らと落ち合い、そこに七日間滞在した。
 ①パウロは、過越の祭りをピリピで祝った。
 ②パウロは、トロアスに7日間滞在した。
 ③トロアスの教会が誰によって開拓されたかについては情報が無い。
 ④この箇所は、紀元1世紀の教会の様子を知るための助けになる。

 

(3)パウロのトロアス訪問は、3度ある。
 ①使16:8~10
  *マケドニア人の幻を見た(第二次伝道旅行)。
  *滞在は短期間であった。
 ②2コリ2:12~13
  *エペソからトロアスに着いたが、テトスと会えなかった。
  *滞在は短期間で、すぐにピリピに向った。
 ③使20:6
  *今回は、7日間滞在した(小集会は毎日開いたと思われる)。
  *7日間滞在した理由は、全体集会で説教するためであろう。

 

アウトライン:トロアス教会の集会
 ①集会の様子(7~8節)
 ②予期せぬ事故(9節)
 ③予期せぬ祝福(10~12節)

 

結論:
(1)日曜礼拝と私たち
(2)ユテコの体験と私たち

 

トロアス教会の集会から霊的教訓を学ぶ。
Ⅰ.集会の様子(7~8節)
1.7節
Act 20:7
週の初めの日に、私たちはパンを裂くために集まった。そのときパウロは、翌日出発することにしていたので、人々と語り合い、夜中まで語り続けた。
(1)「週の初めの日」
 ①パウロが7日間滞在した理由が明らかになる。
 ②週の初めの日の集会に出席するためである。
 ③これは、今で言うと、土曜日の夜の集会である。
 ④安息日は日没とともに終わった。その後に開かれる集会である。
 ⑤信者の中には奴隷たちもいた。彼らは、日没後でないと出席できない。

 

(2)「パンを裂くために集まった」
 ①当時の信者たちは、食事を持ち寄って、ともに食した。
 ②これは最高の交わりの機会であり、「アガペー」(愛餐)と呼ばれた。
  *「愛餐会」という言葉は、その名残である。
  *当時は、貧しい奴隷たちは、一日一食の生活をしていた。
 ③愛餐の最後に、聖餐式を行った。
 ④ここには、現代の教会にとってのヒントがある。

 

(3)「そのときパウロは、翌日出発することにしていたので、」
 ①パウロは先を急いでいたので、集会が終わるとすぐに出発するつもりでいた。
 ②つまり、この愛餐はお別れ会でもあった。
 ③パウロは、これが最後だとの自覚があったので、長時間教えた。
  *午後6時~午前0時までなら、6時間である。
 ④パウロは、エルサレムに顔を向けている。
  *イエスは、エルサレムで最後の晩餐を食された。
  *トロアスでの愛餐には、最後の晩餐に似た要素がある。

 

2.8節
Act 20:8 私たちが集まっていた屋上の間には、ともしびがたくさんともしてあった。
(1)集会は、屋上の間で行われていた。
 ①3階の大広間に、大ぜいの人たちが詰めかけていた。
 ②「ともしびがたくさんともしてあった」
  *これは、明かりを採るためのオリーブ油のランプである。
  *酸素を多く消費するので、部屋の中は酸欠状態になった(煙、すす)。
  *また、満席だったので、酸欠状態に拍車をかけた。

 

Ⅱ.予期せぬ事故(9節)
1.9節
Act 20:9
ユテコというひとりの青年が窓のところに腰を掛けていたが、ひどく眠けがさし、パウロの話が長く続くので、とうとう眠り込んでしまって、三階から下に落ちた。抱き起こしてみると、もう死んでいた。
(1)「ユテコというひとりの青年が窓のところに腰を掛けていた」
 ①部屋の換気をよくするために、窓を開け放していた。
 ②窓のところに座ると、新鮮な空気を吸うことができる。
 ③特等席であるが、気をつけないと危険である。
 ④「青年」は、ギリシア語で「ネアニアス」である。
  *8~14歳くらいの男子
  *と同時に、この言葉は「しもべ」とも訳せる。
 ⑤ユーツゥコス(英語でEutychus)は、典型的な奴隷の名である。
  *恐らく彼は、奴隷だったのだろう。その場合は、30代の男性である。
  *ユテコの意味は、「幸運」である。
 ⑥もし彼が奴隷なら、一日の労働を終えて、この集会に来ていたことになる。

 

(2)「ひどく眠けがさし、パウロの話が長く続くので、とうとう眠り込んで
   しまって、三階から下に落ちた」
 ①ユテコが眠り込んだ理由は何か。
  *肉体的に疲れていた(当時は、日没とともに休み、夜明けとともに起きた)。
  *部屋の環境が、眠気を誘うものであった。
  *食後であった。
  *食事の後で始まったパウロの話が長かった。
 ②ユテコは、3階から下に落ちた。
  *向かい側にいた人たちは、悲鳴を上げたことであろう。
  *集会は中断され、人々は急いで階下に降りて行った。

 

(3)「抱き起こしてみると、もう死んでいた」
 ①ユテコは、即死であった。
 ②医者のルカが証言している。
 ③それ以外の解釈は、成り立たない。

 

Ⅲ.予期せぬ祝福(10~12節)
1.10節
Act 20:10 パウロは降りて来て、彼の上に身をかがめ、彼を抱きかかえて、「心配することはない。まだいのちがあります」と言った。
(1)パウロは、多少の責任を感じたことであろう。
 ①彼もすぐに降りて来た。
 ②パウロは、ユテコの上に身をかがめ、彼を抱きかかえた。

 

(2)旧約聖書の例
 ①1列17:21~22(エリヤとツァレファテのやもめの息子)
1Ki 17:21
そして、彼は三度、その子の上に身を伏せて、【主】に祈って言った。「私の神、【主】よ。どうか、この子のいのちをこの子のうちに返してください。」
1Ki 17:22 【主】はエリヤの願いを聞かれたので、子どものいのちはその子のうちに返り、その子は生き返った。
 ②2列4:32~35(エリシャとシュネムの女の息子)
2Ki 4:32 エリシャが家に着くと、なんと、その子は死んで、寝台の上に横たわっていた。
2Ki 4:33 エリシャは中に入り、戸をしめて、ふたりだけになって、【主】に祈った。
2Ki 4:34
それから、寝台の上に上がり、その子の上に身を伏せ、自分の口を子どもの口の上に、自分の目を子どもの目の上に、自分の両手を子どもの両手の上に重ねて、子どもの上に身をかがめると、子どものからだが暖かくなってきた。
2Ki 4:35
それから彼は降りて、部屋の中をあちら、こちらと歩き回り、また、寝台の上に上がり、子どもの上に身をかがめると、子どもは七回くしゃみをして目を開いた。

 

(3)ここでは、復活のイエスがパウロを通して奇跡を行われた。
 ①パウロは、「心配することはない。まだいのちがあります」と言った。
 ②「なんぢら騷ぐな、生命はなほ内にあり」(文語訳)
 ③この奇跡によって、パウロの教えの信憑性がなお増した(使徒職の証明)。
 ④ペテロも似たような奇跡を行っている。
  *使9:36~42で、タビタを甦らせている。

 

2.11節
Act 20:11 そして、また上がって行き、パンを裂いて食べてから、明け方まで長く話し合って、それから出発した。
(1)集会が再会された。
 ①「パンを裂いて」とは、聖餐式を実行したということ。
 ②「食べてから」とは、食事をしたということ。恐らく夜食であろう。
 ③さらにパウロは、明け方まで話をした。
  *パウロには、これが最後という思いがあった。
  *人々も、聞く姿勢が正された。
 ④集会後、パウロはすぐに出発した。

 

3.12節
Act 20:12 人々は生き返った青年を家に連れて行き、ひとかたならず慰められた。
(1)ユテコは、無事に帰宅することができた。
 ①「ひとかたならず慰められた」(新改訳)
 ②「大いに慰められた」(新共同訳)
 ③パウロの教えと行いによって、慰められた。

 

結論:
1.日曜礼拝と私たち
(1)使20:7
Act 20:7
週の初めの日に、私たちはパンを裂くために集まった。そのときパウロは、翌日出発することにしていたので、人々と語り合い、夜中まで語り続けた。

 

(2)この聖句は、日曜日午前中に礼拝を行うべきだと主張する根拠とはならない。
 ①紀元1世紀の教会が、日曜日の午前中に礼拝を行っていたという証拠はない。
 ②もちろん、日曜日午前中の礼拝が悪いわけではない。
 ③新約時代には、礼拝はその会衆にとって最も相応しい日時に行うべきである。

 

(3)ここでの「週の初めの日」とは、土曜日の夜である。
 ①食事の後、パウロは説教を開始した。
 ②ユテコの事故があった。
 ③事故対応が終わってから、聖餐式を行った。
 ④その後、軽食を食べた。
 ⑤パウロの説教は、明け方まで続いた。
 ⑥その後パウロは、すぐにトロアスを出発した。

 

2.ユテコの体験と私たち
(1)人間的には、ユテコが眠り込んだことには同情の余地がある。
 ①しかし、神の評価基準はより厳しいものである。

 

(2)聖書の教え
 ①ヨナ1:5~6(リーダーの無責任さ)
Jon 1:5
水夫たちは恐れ、彼らはそれぞれ、自分の神に向かって叫び、船を軽くしようと船の積荷を海に投げ捨てた。しかし、ヨナは船底に降りて行って横になり、ぐっすり寝込んでいた。
Jon 1:6
船長が近づいて来て彼に言った。「いったいどうしたことか。寝込んだりして。起きて、あなたの神にお願いしなさい。あるいは、神が私たちに心を留めてくださって、私たちは滅びないですむかもしれない。」
 ②マタ26:40~41(神の時への鈍感さ)
Mat 26:40
それから、イエスは弟子たちのところに戻って来て、彼らの眠っているのを見つけ、ペテロに言われた。「あなたがたは、そんなに、一時間でも、わたしといっしょに目をさましていることができなかったのか。
Mat 26:41 誘惑に陥らないように、目をさまして、祈っていなさい。心は燃えていても、肉体は弱いのです。」
 ③マコ13:36~37(終末論への無関心)
Mar 13:36 主人が不意に帰って来たとき眠っているのを見られないようにしなさい。
Mar 13:37 わたしがあなたがたに話していることは、すべての人に言っているのです。目をさましていなさい。」
 ④エペ5:14(イザヤ書のいくつかの聖句をまとめたもの)
Eph 5:14
明らかにされたものはみな、光だからです。それで、こう言われています。/「眠っている人よ。目をさませ。/死者の中から起き上がれ。/そうすれば、キリストが、あなたを照らされる。」
 ⑤1テサ5:6(終わりの時をいかに生きるべきか)
1Th 5:6 ですから、ほかの人々のように眠っていないで、目をさまして、慎み深くしていましょう。

 

(3)目をさましているには、2つの意味があって、両者を切り離すことはできない。
 ①肉体的意味
 ②霊的意味

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