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使徒の働き(77)―トロアスからミレトへの旅―
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第三次伝道旅行について学ぶ。
「トロアスからミレトへの旅」
使徒20:13~17
1.はじめに
(1)文脈の確認
①パウロは、マケドニアとアカヤを経由してエルサレムに行こうとしている。
②コリントの港であるケンクレアからエルサレムに向う船に乗ろうとした。
③しかし、パウロに対する陰謀があることを知り、計画を変更した。
④コリント→ピリピ→トロアス
⑤同行の7名は、先に船でトロアスに着いていた。
⑥パウロとルカは、先行していた7名とトロアスで合流した。
⑦パウロは、トロアスに7日間滞在し、そこの教会で奉仕をした。
⑧ユテコの転落事件があったが、彼が生き返ったので、人々は大いに慰められた。
(2)この箇所は、トロアスからミレトへの旅の航海日誌である。
①ビジネスライクな記述であるが、ルカはパウロの旅を忠実に再現している。
②重要なのは、ミレトでエペソの長老たちにメッセージが語られた点である。
(3)ルカが記録する3つの重要なメッセージ
①第一次伝道旅行:ピシデヤのアンテオケでのメッセージ(使13:16~41)
②第二次伝道旅行:アテネでのメッセージ(使17:22~31)
③第三次伝道旅行:ミレトでのメッセージ(使20:18~35)
*次回ミレトでのメッセージを取り上げるが、その前にそこに至る旅程を確
認する。
(4)アウトライン:トロアスからミレトへの旅
①トロアス→アソス
②アソス→ミテレネ
③ミテレネ→キヨス→サモス
④サモス→ミレト
結論:
(1)パウロが陸路を取った理由
(2)パウロと五旬節
(3)エペソの長老たち
トロアスからミレトへの旅から霊的教訓を学ぶ。
Ⅰ.トロアス→アソス
1.13節
Act 20:13 さて、私たちは先に船に乗り込んで、アソスに向けて出帆した。そしてアソスでパウロを船に乗せることにしていた。パウロが、自分は陸路をとるつもりで、そう決めておいたからである。
(1)パウロの同行者たちは、先に船に乗り込んでトロアスを発った。
①ルカも含まれる。
②彼らは、パウロよりも先にトロアスを出発した。
③アソスまでは、海路の方が陸路よりも時間がかかる。
(2)アソスに着くためには、レクタム岬の沖を回る必要がある。
①陸路は、約30キロの距離である。
②パウロは、単独で陸路を移動することにした。徒歩で1日の距離である。
Ⅱ.アソス→ミテレネ
1.14節
Act 20:14 こうして、パウロはアソスで私たちと落ち合い、私たちは彼を船に乗せてミテレネに着いた。
(1)パウロは、アソスで同行者たちに会い、船に乗り込んだ。
①そこからミテレネに着いた。約50キロの船旅である。
②ミテレネは、レスボス島の主要な町である。
③レスボス島は、小アジアの西部における最大の島である。
Ⅲ.ミテレネ→キヨス→サモス
1.15節a
Act 20:15a そこから出帆して、翌日キヨスの沖に達し、次の日サモスに立ち寄り、
(1)ミテレネからキヨス島の沖に達した。
①キヨス島は、ホメロス(前8世紀頃のギリシアの詩人)が誕生した地である。
(2)次の日にサモスに寄港した。
①サモスは、エペソの真西にある島である。
②サモス島は、ピタゴラスが誕生した地である。
Ⅳ.サモス→ミレト
1.15節b
Act 20:15bその翌日ミレトに着いた。
(1)ミレトは、エペソから南に約50キロ離れた所にある港町である。
①一行が乗っているような小型船は、風が凪いでいる夜間は、港に停泊する。
②エペソ港は土砂の堆積で水位が浅くなったので、水夫たちには不評であった。
2.16節
Act 20:16 それはパウロが、アジヤで時間を取られないようにと、エペソには寄港しないで行くことに決めていたからである。彼は、できれば五旬節の日にはエルサレムに着いていたい、と旅路を急いでいたのである。
(1)パウロは、エペソには寄港しなかった。
①エペソに行くと、時間が取られる。
②エペソに行くのは、危険である。
③エルサレムへの旅を急いでいた。
(2)「できれば五旬節の日にはエルサレムに着いていたい」
①五旬節は、過越の祭りから50日後に来る。
②巡礼祭をエルサレムで祝いたいというのは、ユダヤ人として当然のことである。
③祭りの時期にエルサレムに上ると、多くの友人たちと会える。
④祭りの期間に、異邦人信者からの献金を届けることは、教会の一致を示す最善
の方法である。
2.17節
Act 20:17 パウロは、ミレトからエペソに使いを送って、教会の長老たちを呼んだ。
(1)ミレトで船荷を積み降ろすのに、3日前後かかったであろう。
①その時間を利用して、パウロはエペソに使いを送って教会の長老たちを呼んだ。
②彼らが着くのに、いくら早くても2日はかかる。
③エペソからミレトに来る者たちは、大きな犠牲を払った。
結論:
1.パウロが陸路を取った理由
(1)トロアスからアソスまで、一日の道のりである。
①パウロは、船に乗らないで、陸路を取った。
(2)考えられる理由
①経済的理由
②歩くのは、運動になる。
③途中で伝道したり、信者と交わったりできる。
④最も大切な理由は、神との交わりである。
*パウロは、信者との交わりを好んだが、ひとりになる時間も楽しんだ。
*神の御心を求める必要があった。
*エルサレム教会への献金について、祈る必要があった。
2.パウロと五旬節
(1)ユダヤ人信者と律法の関係
①ルカは、パウロが五旬節までにエルサレムに着こうとしていることを非難して
いない。
②ユダヤ人信者には、律法を守る自由も、守らない自由もある。
③ユダヤ人としてエルサレムで巡礼祭を祝いたいと願うのは、当然のことである。
(2)異邦人信者は、メシアニックジューの考え方を受け入れるべきである。
①律法を救いの条件とするなら、それは間違っている。
②しかし、ユダヤ人信者には律法を守る自由も守らない自由もある。
(ILL)フルクテンバウム師、ヒル師
③律法は、異邦人信者には無関係である。
3.エペソの長老たち
(1)リーダーの呼び名
①長老(プレスビューテロス)(使20:17)
*英語ではelderである。
②監督(エピスコポス)(使20:28)
*英語ではoverseer、bishopである。
③牧する役割が与えられた者(ポイマイノウという動詞)(使20:28)
*名詞形では、牧師である。
*ヨハ21:16
Joh 21:16 イエスは再び彼に「ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛していますか」と言われた。ペテロは答えた。「はい、主よ。私があなたを愛していることは、あなたがご存じです。」イエスは彼に言われた。「わたしの羊を牧しなさい。」
(2)聖書的には、長老、監督、牧師は、同一の役職を指している。
①リーダーの役割は、信者を導き、監督し、牧することである。
(3)新約聖書が想定する教会の指導体制は、複数のリーダーによる指導である。
①特に、エペソ教会のような大教会では、複数のリーダーが必要である。
②複数のリーダーによる指導体制の回復が望まれる。
(ILL)野中郁次郎氏(一橋大学名誉教授)のベストセラー『失敗の本質』
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