使徒の働き(74)―エペソでの騒動―

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第三次伝道旅行について学ぶ。

「エペソでの騒動」
使徒19:23~41
1.はじめに
(1)使徒の働きの7区分
 ①7つの教会成長レポートで記述が区切られている。
 ②第7番目の区分:ローマに至る教会の広がり(使19:21~28:31)
 ③地図表示

 

(2)パウロは、予定よりも早くエペソを出ることになる。
 ①その理由は、予期せぬ暴動事件である。
 ②これまでの迫害は、ユダヤ人からのものが主であった。
 ③ここでは、異邦人からの迫害が起る。
  *ピリピでは、女奴隷の主人たちからの迫害があった(使16:19)。
  *異邦人からの迫害は、経済的理由によるものである。
 ④パウロの無罪性を証明するために、ルカは詳細にこの事件を記録している。
 ⑤キリスト教がローマ帝国の公認宗教であることを確認させるためでもある。

 

(3)エペソについての復習
 ①エペソは、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な港町であった。
 ②前1044年に建設された古代からある商業都市である。
 ③前4世紀以降、ギリシア風都市となった(アレキサンダー大王と後継者たち)。
 ④前2世紀の終わりに、ローマが支配する都市となった。
 ⑤大いに栄えた商業都市で、当然のことながらアジア州の首都となった。
  *パウロの時代、商業都市としては最盛期を過ぎていた。
  *カイストロス川の土砂が、港に堆積し始めた。
 ⑥ユダヤ人にも寛容だったので、多くのユダヤ人が住んでいた。
 ⑦世界の七不思議のひとつアルテミス神殿があった。
  *写真 ①と ②
  *66m×130m(127本の柱)。アテネのパルテノン神殿の4倍もある。
  *アレキサンダー大王が資金援助をした。
 ⑧アルテミスは、多数の乳房を持った豊穣の女神である。
  *写真 ③表示
 ⑨エペソは、アジアにおける偶像礼拝と売春の中心地であった。
  *地域経済も、アルテミス信仰によって潤っていた。
 ⑩こででパウロは、約3年にわたって伝道を継続し、生涯で最大の成果を上げた。
 ⑪黙2章に出て来る「七つの教会」は、この期間に設立されたものである。

 

(4)エペソでの騒動
 ①銀細工人デメテリオ(23~28節)
 ②パウロ(29~31節)
 ③ユダヤ人アレキサンデル(32~34節)
 ④町の書記役(35~41節)

 

結論:迫害と神の守り
(1)迫害が持つメッセージ
(2)神の守りが持つメッセージ

 

エペソでの騒動について学ぶ。
Ⅰ.銀細工人デメテリオ(23~27節)
1.23節
Act 19:23 そのころ、この道のことから、ただならぬ騒動が持ち上がった。
(1)パウロがエペソを出ようとする前に、暴動が起った。
 ①「ただならぬ騒動」(新改訳)、「大変な騒ぎ」(2017)、
  「no small disturbance」
 ②これは、パウロの伝道がいかに大きな影響を与えていたかを示す騒動である。

 

(2)「この道のことから」
 ①「この道のことで」(新改訳2017)。「この道」とは、キリスト教の
  ことである。
 ②イエスの弟子たちは、「この道の者」と呼ばれた。
 ③使9:2
Act 9:2
ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれるよう頼んだ。それは、この道の者であれば男でも女でも、見つけ次第縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった。
 ④エルサレム教会からエペソの教会まで、一貫した流れがある。
  *イエス・キリストに関する共通理解があった。
  *同じ信仰の共同体に属しているという認識(普遍的教会)があった。
  *使徒たちの教えを神のことばとして認識していた。
 ⑤パウロ個人にではなく、福音の影響力に対して騒動が起った。
 ⑥福音には社会を変革する力があるので、それを阻止しようとする力が働く。

 

2.24~25節a
Act 19:24 それというのは、デメテリオという銀細工人がいて、銀でアルテミス神殿の模型を作り、職人たちにかなりの収入を得させていたが、
Act 19:25a 彼が、その職人たちや、同業の者たちをも集めて、こう言ったからである。
(1)ローマ世界の異邦人が礼拝してた女神には、2種類のものがあった。
  *呼び名は、アルテミス(ギリシア語)、あるいはディアナ(ラテン語)。
 ①ひとつは、狩猟の女神である(弓を持った娘として描かれる)。
 ②もうひとつは、豊穣の女神である(多くの乳房を持った婦人として描かれる)。

 

(2)エペソで礼拝されていたのは、 ②の豊穣の女神である。
 ①エペソのアルテミスは、安産の女神だと主張する学者もいる。
 ②エペソのアルテミス礼拝は、ヨーロッパ的なものではなく、アジア的なもの。
 ③当時、アルテミス礼拝は少なくとも33箇所で行われていた。
 ④その中心が、エペソである。

 

(3)アルテミス神殿
 ①当時の世界七不思議のひとつであった。
 ②歴史上建設された建物の中で、最も美しいものの一つだと認める歴史家が多い。
  *収容人数は、約25,000人。
 ③神殿の機能
  *礼拝、不道徳な儀式、銀行(アジアの財宝が貯蔵されていた)
 ④中央に祀られているご神体は、隕石だった。
  *天から降って来た石が、聖なるものとされることはよくあった。
  *この石の形が複数の乳房を持った婦人の姿に似ていた。

 

(4)銀細工人デメテリオは、銀で女神像や神殿模型を作り、土産物としていた。
 ①しかし、その商売が傾き始めた。
 ②そこで彼は、職人たちや同業者たちを集めて、この傾向を阻止しようとした。

 

3.25b~27節
Act 19:25b 「皆さん。ご承知のように、私たちが繁盛しているのは、この仕事のおかげです。
Act 19:26
ところが、皆さんが見てもいるし聞いてもいるように、あのパウロが、手で作った物など神ではないと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説き伏せ、迷わせているのです。
Act 19:27
これでは、私たちのこの仕事も信用を失う危険があるばかりか、大女神アルテミスの神殿も顧みられなくなり、全アジヤ、全世界の拝むこの大女神のご威光も地に落ちてしまいそうです。」
(1)デメテリオの演説から、パウロのメッセージの内容とその影響力が分かる。
 ①「手で作った物など神ではない」
 ②「エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を
   説き伏せ、迷わせている」

 

(2)デメテリオの怒りは、信仰心からではなく、経済的理由から来ている。
 ①彼の演説の中には、面子を重んじるアジア文化の特徴が見られる。
 ②自分たちは、信用を失う恐れがある。
 ③大女神の威光が地に落ちる恐れがある。「the Great Mother」

 

Ⅱ.パウロ(28~31節)
1.28~29節
Act 19:28 そう聞いて、彼らは大いに怒り、「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」と叫び始めた。
Act 19:29 そして、町中が大騒ぎになり、人々はパウロの同行者であるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコを捕らえ、一団となって劇場へなだれ込んだ。
(1)大騒ぎになった理由
 ①エペソの経済自体が不景気になっていたので、人々は煽動され易かった。
 ②アルテミス神殿は、エペソ市民の誇りであった。
 ③暴動を起している者たちは、何が問題なのかも知らないで騒いでいた。
 ④パウロの同行者、マケドニア人ガイオとアリスタルコが捕らえられた。
  *アリスタルコは、テサロニケ出身である(使20:4)。

 

(2)煽動者たちは、アルカディア通りから劇場に暴徒たちを導いた。
 ①アルカディア通りと劇場の遺跡が発掘されている。
  *アジアで最大の劇場(半円形、5万人収容)

 

2.30~31節
Act 19:30 パウロは、その集団の中に入って行こうとしたが、弟子たちがそうさせなかった。
Act 19:31 アジヤ州の高官で、パウロの友人である人たちも、彼に使いを送って、劇場に入らないように頼んだ。
(1)パウロは、どこか別の所にいたので、捕らえられなかった。
 ①パウロは、同労者を救い、この機会を伝道に用いようとした。
 ②危険を察知した信者たちは、パウロが暴徒の中に入ることを許さなかった。

 

(2)「アジヤ州の高官」
 ①ギリシア語で「アジアーケイス」である。
 ②英語で、「some of the officials of the province」
 ③この職責は、町の政治と宗教を管理するために設けられていた。
 ④複数の高官たちは、パウロの友人であった。
 ⑤彼らも、パウロが劇場に入らないように懇願した。
 ⑥アジア州の高官たちが友人だという情報は、裁判資料になる。

 

Ⅲ.ユダヤ人アレキサンデル(32~34節)
1.32節
Act 19:32
ところで、集会は混乱状態に陥り、大多数の者は、なぜ集まったのかさえ知らなかったので、ある者はこのことを叫び、ほかの者は別のことを叫んでいた。
(1)「集会」
 ①「エクレシア」というギリシア語であるが、教会のことではない。
 ②民衆から「呼び出された人たち」である。
 ③暴徒たちは、騒ぐことが好きで、騒いでいる人たちである。

 

2.33~34節
Act 19:33
ユダヤ人たちがアレキサンデルという者を前に押し出したので、群衆の中のある人たちが彼を促すと、彼は手を振って、会衆に弁明しようとした。
Act 19:34 しかし、彼がユダヤ人だとわかると、みなの者がいっせいに声をあげ、「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」と二時間ばかりも叫び続けた。
(1)アレキサンデルは、ユダヤ人の指導者である。
 ①彼は、イエスを信じないユダヤ人共同体の代表として前に立った。
 ②自分たちユダヤ人は、パウロと無関係であると言おうとした。

 

(2)しかし、彼がユダヤ人だと分かると、群衆は大声で叫び続けた。
 ①キリスト教とユダヤ教の区別がついていない。
 ②反ユダヤ主義が蔓延していた。
 ③アルテミス信仰への誇りがあった。

 

Ⅳ.町の書記役(35~41節)
1.35~36節
Act 19:35
町の書記役は、群衆を押し静めてこう言った。「エペソの皆さん。エペソの町が、大女神アルテミスと天から下ったそのご神体との守護者であることを知らない者が、いったいいるでしょうか。
Act 19:36 これは否定できない事実ですから、皆さんは静かにして、軽はずみなことをしないようにしなければいけません。
(1)「町の書記役」による説得
 ①選挙で選ばれた行政官。現代の市長である。
 ②彼は、暴動を鎮めるために、4つのポイントで暴徒たちを説得しようとした。

 

(2)第1のポイント
 ①なんの心配もない。
  *エペソの町が大女神アルテミスと天から下ったそのご神体との
   守護者であることを知らない者はいない。

 

2.37~41節
Act 19:37 皆さんがここに引き連れて来たこの人たちは、宮を汚した者でもなく、私たちの女神をそしった者でもないのです。
Act 19:38
それで、もしデメテリオとその仲間の職人たちが、だれかに文句があるのなら、裁判の日があるし、地方総督たちもいることですから、互いに訴え出たらよいのです。
Act 19:39 もしあなたがたに、これ以上何か要求することがあるなら、正式の議会で決めてもらわなければいけません。
Act 19:40
きょうの事件については、正当な理由がないのですから、騒擾罪に問われる恐れがあります。その点に関しては、私たちはこの騒動の弁護はできません。」
Act 19:41 こう言って、その集まりを解散させた。
(1)第2~第4のポイント
 ②ガイオとアリスタルコスは、破壊的なことは何もしていない。
 ③デメテリオと職人仲間に不満があるなら、正式な裁判で争えばよい。
  *地方総督による裁判は、月に3度行われていた。
 ④正当な理由のない騒動は、騒擾罪に問われる危険性がある。

 

(2)この説得は、功を奏した。
 ①町の書記役による説得も、裁判資料になる。

 

結論: 迫害と神の守り
1.迫害が持つメッセージ
(1)アクラとプリスキラ夫婦の苦難
 ①ロマ16:3
Rom 16:3 キリスト・イエスにあって私の同労者であるプリスカとアクラによろしく伝えてください。
Rom 16:4
この人たちは、自分のいのちの危険を冒して私のいのちを守ってくれたのです。この人たちには、私だけでなく、異邦人のすべての教会も感謝しています。

 

(2)パウロの苦難
 ①1コリ15:32
1Co 15:32
もし、私が人間的な動機から、エペソで獣と戦ったのなら、何の益があるでしょう。もし、死者の復活がないのなら、「あすは死ぬのだ。さあ、飲み食いしようではないか」ということになるのです。
 ②2コリ1:8~10
2Co 1:8
兄弟たちよ。私たちがアジヤで会った苦しみについて、ぜひ知っておいてください。私たちは、非常に激しい、耐えられないほどの圧迫を受け、ついにいのちさえも危くなり、
2Co 1:9
ほんとうに、自分の心の中で死を覚悟しました。これは、もはや自分自身を頼まず、死者をよみがえらせてくださる神により頼む者となるためでした。
2Co 1:10
ところが神は、これほどの大きな死の危険から、私たちを救い出してくださいました。また将来も救い出してくださいます。なおも救い出してくださるという望みを、私たちはこの神に置いているのです。

 

(3)苦難は、私たちの信仰を強め、私たちを次の段階へと導く神の使いである。

 

2.神の守りが持つメッセージ
(1)神の守り
 ①パウロの友人たち
 ②アジア州の高官たち
 ③町の書記役

 

(2)神の守りを確信することは、次の目標に向って進むための力となる。
 ①ピリ1:21
Php 1:21 私にとっては、生きることはキリスト、死ぬことも益です。
  *生きることは、キリストの栄光のためである。
  *死ぬことも、キリストの栄光のためである。
(ILL)2005年グッシュ・カティフの住民たちは強制退去を命じられた。
現在、エジプト国境に近いネゲブ砂漠にハルツァを建設。
人口2,000人。18歳以下70パーセント。
10年後、人口15,000人になるという予想。

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