使徒の働き(70)―12人の弟子たちの救い―

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第三次伝道旅行について学ぶ。

「12人の弟子たちの救い」
使徒19:1~7

 

1.はじめに
(1)第三次伝道旅行が始まった。
 ①使18:23~21:17(紀元53年の春から56年の春)
 ②パウロは、ひとりで出かけている。
 ③未信者への伝道ではなく、フォローアップが主な目的の旅である。
 ④第一次伝道旅行で立てられた諸教会(ガラテヤ地方とフルギヤ)を訪問した。
 ⑤第三次伝道旅行の中心地は、エペソである。

 

(2)エペソでのパウロの奉仕(サンドイッチ形式の記述)
 ①12人の弟子たちのエピソード(1~7節)
 ②エペソでの奉仕(8~10節)
 ③スケアの7人の息子たち(11~20節)

 

(3)アウトライン
 ①エペソ到着(1節a)
 ②12人の弟子たちの不十分な信仰(1b~3節)
 ③パウロの教え(4~5節)
 ④聖霊降臨(6~7節)

 

結論:
(1)先駆者バプテスマのヨハネの影響は、長く続いた。
(2)異言の現象は、新しいグループが救われる際に起っている。
(3)聖霊が下る方法に一定のパターンはない。
(4)使徒の働きから教理を導き出してはならない。

 

12人の弟子たちの救いについて学ぶ。
Ⅰ.エペソ到着(1節a)
1.1節a
Act 19:1 アポロがコリントにいた間に、パウロは奥地を通ってエペソに来た。
(1)アポロは、エペソからコリントに移動した。
 ①エペソ教会からの推薦状を持ってコリント教会を訪問した。
 ②アポロは、コリント教会で大いに用いられていた。
 ③その時期に、パウロはエペソに着いた。

 

(2)パウロの旅
 ①アンテオケから徒歩で300キロメートル以上を旅しながら、エペソに着いた。
 ②エペソまでは2つのルートがあった。
  *北のルート:奥地(高地)を通るルート。道は険しいが、この方が近道。
  *南のルート:ローマが建設した道路を通るルート。
 ③パウロは、北のルートを選択した。

 

(3)エペソについての復習
 ①エペソは、アジアとヨーロッパを結ぶ重要な港であった。
 ②前1044年に建設された古代からある商業都市である。
 ③前4世紀以降、ギリシア風都市となった(アレキサンダー大王と後継者たち)。
 ④前2世紀の終わりに、ローマが支配する都市となった。
 ⑤大いに栄えた商業都市で、当然のことながらアジア州の首都となった。
  *パウロの時代、商業都市としては最盛期を過ぎていた。
  *カイストロス川の土砂が、港に堆積し始めた。
 ⑥ユダヤ人にも寛容だったので、多くのユダヤ人が住んでいた。
 ⑦世界の七不思議のひとつアルテミス神殿があった。
  *66m×130mもある巨大な神殿
  *アテネのパルテノン神殿の4倍もある。
  *アレキサンダー大王が資金援助をした。
 ⑧アルテミスは、多数の乳房を持った豊穣の女神である。
  *ここは、アジアにおける偶像礼拝と売春の中心地であった。
  *地域経済も、アルテミス信仰によって潤っていた。
 ⑨こででパウロは、約3年にわたって伝道を継続し、生涯で最大の成果を上げる。
 ⑩黙示録2章に出て来る「七つの教会」は、この期間に設立されたものである。

 

Ⅱ.幾人かの弟子たちの不十分な信仰(1b~3節)
1.1b~2節
Act 19:1b そして幾人かの弟子に出会って、
Act 19:2 「信じたとき、聖霊を受けましたか」と尋ねると、彼らは、「いいえ、聖霊の与えられることは、聞きもしませんでした」と答えた。
(1)「弟子」というのは、通常は、イエスの弟子である信者を指す。
 ①パウロは最初、彼らを信者だと思い込んでいた。
 ②しかし、交わりをしている内に、彼らの信仰が不十分であることを感じた。

 

(2)そこでパウロは質問した。
 ①「信じたとき、聖霊を受けましたか」
 ②英語訳に問題がある。
「Have ye received the Holy Ghost since ye believed?」(KJV)
「Did ye receive the Holy Spirit when ye believed?」(ASV)
 ③KJVは、信じることと聖霊を受けることを、別のこととして区別している。
 ④正しくは、信じた瞬間に私たちは聖霊を受ける。

 

(3)訳文の比較
「いいえ、聖霊の与えられることは、聞きもしませんでした」(新改訳)
「いいえ、聖霊がおられるのかどうか、聞いたこともありません」(新改訳2017)
「いいえ、聖霊があるかどうか、聞いたこともありません」(新共同訳)
「いいえ、聖霊なるものがあることさえ、聞いたことがありません」(口語訳)
「いな、我らは聖靈の有ることすら聞かず」(文語訳)
 ①彼らは、福音の内容を知らなかった。
 ②それどころか、聖霊の約束が与えられていることも知らなかった。
 ③ヨハネはメシアを「聖霊と火とのバプテスマをお授けになる」と紹介していた。
 ④彼らの理解度は、アポロ以下であった。

 

2.3節
Act 19:3 「では、どんなバプテスマを受けたのですか」と言うと、「ヨハネのバプテスマです」と答えた。
(1)訳文の比較
「では、どんなバプテスマを受けたのですか」(新改訳)
「では、だれの名によってバプテスマを受けたのか」(口語訳)
「Unto what then were ye baptized?」(KJV)
「Into what then were ye baptized?」(ASV)
 ①バプテスマの基本的意味は、一体化である。

 

(2)回答は、「ヨハネのバプテスマです」であった。
 ①彼らは、イエスの弟子ではなく、バプテスマのヨハネの弟子であった。
 ②つまり彼らは、20年前にバプテスマのヨハネから洗礼を受けたのである。
  *しかし、イエスの公生涯以降の出来事を知らなかった。
  *イエスの公生涯が始まる前に、イスラエルの地を去ったのであろう。
 ③彼らは、アクラとプリスキラ夫婦に出会う前のアポロに似ている。
  *彼らは、まだ救われていなかった。
  *彼らは、聖霊の内住を経験していなかった。
 ④ユダヤ教からキリスト教への移行期において、このような信者がいた。

 

Ⅲ.パウロの教え(4~5節)
1.4節
Act 19:4 そこで、パウロは、「ヨハネは、自分のあとに来られるイエスを信じるように人々に告げて、悔い改めのバプテスマを授けたのです」と言った。
(1)パウロは、彼らに福音を説明した。
 ①アクラとプリスキラ夫婦がアポロに説明したのと同じことが起っている。
 ②バプテスマのヨハネの役割は、メシアを迎えるための準備をしたことである。
 ③準備とは、悔い改めのバプテスマを授けることであった。

 

(2)パウロは、イエスの死、埋葬、復活、昇天、聖霊降臨について説明した。
 ①ルカは記録していないが、それは当然のことである。

 

2.5節
Act 19:5 これを聞いたその人々は、主イエスの御名によってバプテスマを受けた。
(1)彼らはパウロが語る福音を信じた。
 ①つまり、イエスの弟子となったのである。
 ②そして、信仰の結果としての水のバプテスマを受けた。
 ③信仰がなければ、水のバプテスマは無意味である。

 

(2)訳文の比較
「主イエスの御名によってバプテスマを受けた」(新改訳)
「they were baptized in the name of the Lord Jesus.」(KJV)
「they were baptized into the name of the Lord Jesus.」(ASV)
 ①バプテスマは、イエス・キリストとの一体化である。

 

Ⅳ.聖霊降臨(6~7節)
1.6節
Act 19:6 パウロが彼らの上に手を置いたとき、聖霊が彼らに臨まれ、彼らは異言を語ったり、預言をしたりした。
(1)パウロの按手によって、聖霊が彼らに下った。
 ①異言と預言が、聖霊降臨のしるしとなった。
 ②これは、彼らが真の弟子となったことをパウロに示すためのしるしである。
 ③彼らは、バプテスマのヨハネの弟子から、イエスの弟子になったのである。

 

2.7節
Act 19:7 その人々は、みなで十二人ほどであった。
(1)12という数字には象徴的意味はない。
 ①12という数字を基に、教会が霊的イスラエルであると結論付けてはならない。
 ②むしろ、12人の弟子たちは、やがて救われるユダヤ人たちの先駆けである。
 ③エゼ36:26~27
Eze 36:26
あなたがたに新しい心を与え、あなたがたのうちに新しい霊を授ける。わたしはあなたがたのからだから石の心を取り除き、あなたがたに肉の心を与える。
Eze 36:27 わたしの霊をあなたがたのうちに授け、わたしのおきてに従って歩ませ、わたしの定めを守り行わせる。

 

結論:
1.先駆者バプテスマのヨハネの影響は、長く続いた。
(1)使1:5(復活のイエスのことば)
Act 1:5 ヨハネは水でバプテスマを授けたが、もう間もなく、あなたがたは聖霊のバプテスマを受けるからです。」

 

(2)使11:16(ペテロの言葉)
Act 11:16
私はそのとき、主が、『ヨハネは水でバプテスマを授けたが、あなたがたは、聖霊によってバプテスマを授けられる』と言われたみことばを思い起こしました。

 

(3)使13:25(パウロの言葉)
Act 13:25
ヨハネは、その一生を終えようとするころ、こう言いました。『あなたがたは、私をだれと思うのですか。私はその方ではありません。ご覧なさい。その方は私のあとからおいでになります。私は、その方のくつのひもを解く値うちもありません。』

 

(4)使18:25(アポロの信仰の状態)
Act 18:25 この人は、主の道の教えを受け、霊に燃えて、イエスのことを正確に語り、また教えていたが、ただヨハネのバプテスマしか知らなかった。

 

(5)使19:3~4(エペソの弟子たちの状態)

 

2.異言の現象は、新しいグループが救われる際に起っている。
(1)使徒の働きに4回その記録が出て来る。
 ①使2章:ペンテコステの日のユダヤ人の救い
 ②使8章:サマリヤ人の救い
 ③使10章:異邦人コルネリオの救い
 ④使19章:バプテスマのヨハネの弟子たちの救い
(2)しかしこれらの現象は、普遍的真理として適用すべきものではない。
 ①ルカは、歴史上起こったことを記録しているだけである。
 ②12人は、バプテスマのヨハネの弟子グループの中から救われた人たちである。
 ③聖霊の賜物としての異言は今もあるが、すべての人が受けるわけではない。

 

3.聖霊が下る方法に一定のパターンはない。
(1)4回の出来事の記録
 ①使2章:12使徒たちの場合は、ヨハネの洗礼による悔い改め→イエスへの信仰
  →聖霊降臨の順である。
 ②使8章:イエスへの信仰→水の洗礼→使徒たちによる按手→聖霊降臨
 ③使10章:イエスへの信仰→聖霊降臨→水の洗礼
 ④使19章:ヨハネの洗礼による悔い改め→イエスへの信仰→水の洗礼
  →使徒パウロによる按手→聖霊降臨

 

4.使徒の働きから教理を導き出してはならない。
(1)使徒の働きではなく、パウロ書簡の中に、適用すべき真理がある。

 

(2)聖霊を受けていない信者は、あり得ない。
 ①ロマ8:9
Rom 8:9
けれども、もし神の御霊があなたがたのうちに住んでおられるなら、あなたがたは肉の中にではなく、御霊の中にいるのです。キリストの御霊を持たない人は、キリストのものではありません。
 ②1コリ12:13
1Co 12:13
なぜなら、私たちはみな、ユダヤ人もギリシヤ人も、奴隷も自由人も、一つのからだとなるように、一つの御霊によってバプテスマを受け、そしてすべての者が一つの御霊を飲む者とされたからです。

 

(3)体験によって聖書の教えを吟味してはならない。

 

(4)聖書の教えによって、体験を吟味する必要がある。

 

(5)神の約束は、その時体験的に分からなくても、必ず分かるようになる。

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