使徒の働き(71)―エペソでの奉仕―

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第三次伝道旅行について学ぶ。

「エペソでの奉仕」
使徒19:8~12

 

1.はじめに
(1)第三次伝道旅行が始まった。
 ①使18:23~21:17(紀元53年の春から56年の春)
 ②未信者への伝道ではなく、フォローアップが主な目的の旅である。
 ③第一次伝道旅行で立てられた諸教会(ガラテヤ地方とフルギヤ)を訪問した。
 ④第三次伝道旅行の中心地は、エペソである。
  *ルカは、自由人としてのパウロの伝道活動の集大成を記している。
  *パウロは、約3年の間エペソに留まった。
  *教会史におけるエペソ伝道の重要性を見落としてはならない。

 

(2)エペソでのパウロの奉仕(サンドイッチ形式の記述)
 ①12人の弟子たちのエピソード(1~7節)
 ②エペソでの奉仕(8~12節)
 ③スケアの7人の息子たち(13~20節)

 

(3)エペソでの奉仕(8~12節)
 ①会堂での奉仕(8~9節a)
 ②ツラノの講堂での奉仕(9b~10節)
 ③癒しと悪霊の追い出し(11~12節)

 

結論:
(1)パウロのメッセージの強調点は、神の国である。
(2)パウロの伝道の最大の拠点は、エペソである。

 

エペソでの伝道について学ぶ。
Ⅰ.会堂での奉仕(8~9節a)
1.8節
Act 19:8 それから、パウロは会堂に入って、三か月の間大胆に語り、神の国について論じて、彼らを説得しようと努めた。
(1)エペソのユダヤ人たち(会堂)は、パウロに好意的であった。
 ①エペソは国際的都市であった。
 ②ここのユダヤ人たちはコスモポリタン。他の町のユダヤ人たちよりも寛容。
  *テル・アビブのユダヤ人とエルサレムのユダヤ人は違う。
 ③第二次伝道旅行の終わりに、パウロはエペソを訪問していた(使18:19~21)。
Act 18:19 彼らがエペソに着くと、パウロはふたりをそこに残し、自分だけ会堂に入って、ユダヤ人たちと論じた。
Act 18:20 人々は、もっと長くとどまるように頼んだが、彼は聞き入れないで、
Act 18:21 「神のみこころなら、またあなたがたのところに帰って来ます」と言って別れを告げ、エペソから船出した。
 ④パウロが再びエペソに戻る前に、アポロは会堂で伝道していた(使18:24~26)。
Act 18:24 さて、アレキサンドリヤの生まれで、雄弁なアポロというユダヤ人がエペソに来た。彼は聖書に通じていた。
Act 18:25 この人は、主の道の教えを受け、霊に燃えて、イエスのことを正確に語り、また教えていたが、ただヨハネのバプテスマしか知らなかった。
Act 18:26 彼は会堂で大胆に話し始めた。それを聞いていたプリスキラとアクラは、彼を招き入れて、神の道をもっと正確に彼に説明した。

 

(2)3ヶ月間の会堂での奉仕
 ①パウロは、先ずユダヤ人に、次に異邦人に、という伝道の原則を実践した。
 ②エペソのユダヤ人たちは、アポロの時と同じように、パウロとも論じ合った。
 ③この討論は、3ヶ月も続いた。
  *迫害や裁判なしに伝道を継続できたのは、これが最長記録である。
 ④パウロのメッセージの中心は、「神の国」であった。

 

2.9節a
Act 19:9a しかし、ある者たちが心をかたくなにして聞き入れず、会衆の前で、この道をののしったので、
(1)長引く討論に飽き飽きしたユダヤ人たちが出て来た。
 ①彼らは、知的に頑なになった。
 ②さらに、信者たちを見下し、悪く言うようになった。

 

(2)「この道のことを悪く言った」
 ①会堂で3ヶ月の奉仕が続いた時点で、ユダヤ人たちは福音を拒否した。
 ②そこでパウロは、異邦人伝道に向った。
 ③教会誕生から約25年が経過しても、キリスト教は「この道」と呼ばれている。
 ④使9:1~2
Act 9:1 さてサウロは、なおも主の弟子たちに対する脅かしと殺害の意に燃えて、大祭司のところに行き、
Act 9:2
ダマスコの諸会堂あての手紙を書いてくれるよう頼んだ。それは、この道の者であれば男でも女でも、見つけ次第縛り上げてエルサレムに引いて来るためであった。
 ⑤使19:23
Act 19:23 そのころ、この道のことから、ただならぬ騒動が持ち上がった。

 

Ⅱ.ツラノの講堂での奉仕(9b~10節)
1.9節b
Act 19:9bパウロは彼らから身を引き、弟子たちをも退かせて、毎日ツラノの講堂で論じた。
(1)ツラノの講堂が新しい伝道の拠点となった。
 ①パウロとユダヤ人信者たちは、会堂を去って新しい拠点に移動した。
 ②コリントでは、テテオ・ユストの家が拠点となった(使18:7)。
Act 18:7 そして、そこを去って、神を敬うテテオ・ユストという人の家に行った。その家は会堂の隣であった。
 ③ギリシア人のツラノという人物の所有物件を借りて、そこで毎日論じた。
 ④ツラノは、巡回教師たちに講堂を貸していたと思われる。

 

(2)パウロが教えた時間は、午後である(シエスタ)。
 ①Codex Beza(Western Text)では、午前11時から午後4時と書かれている。
  *恐らくこれは、正確な伝承だと思われる。
 ②パウロは、午前中と夕刻には、労働をしたのであろう。

 

2.10節
Act 19:10 これが二年の間続いたので、アジヤに住む者はみな、ユダヤ人もギリシヤ人も主のことばを聞いた。
(1)ツラノの講堂での奉仕は、2年続いた。
 ①使20:31
Act 20:31
ですから、目をさましていなさい。私が三年の間、夜も昼も、涙とともにあなたがたひとりひとりを訓戒し続けて来たことを、思い出してください。
 ②3ヶ月+2年は、ヘブル的には3年である。
 ③アジアに住む人々はみな、福音を聞いた。

 

Ⅲ.癒しと悪霊の追い出し(11~12節)
1.11節
Act 19:11 神はパウロの手によって驚くべき奇蹟を行われた。
(1)病人の癒しは、エペソ伝道に伴った神の御業である。
 ①パウロに癒しの能力が備わっていたということではない。
 ②驚くべき力あるわざを行っているのは、神である。
 ③パウロは、自分の思い通りに癒しを行えたわけではない。
 ④2コリ12:7~8
2Co 12:7
また、その啓示があまりにもすばらしいからです。そのために私は、高ぶることのないようにと、肉体に一つのとげを与えられました。それは私が高ぶることのないように、私を打つための、サタンの使いです。
2Co 12:8 このことについては、これを私から去らせてくださるようにと、三度も主に願いました。
 ⑤1テモ5:23
1Ti 5:23 これからは水ばかり飲まないで、胃のために、また、たびたび起こる病気のためにも、少量のぶどう酒を用いなさい。
 ⑥2テモ4:20
2Ti 4:20 エラストはコリントにとどまり、トロピモは病気のためにミレトに残して来ました。

 

2.12節
Act 19:12 パウロの身に着けている手ぬぐいや前掛けをはずして病人に当てると、その病気は去り、悪霊は出て行った。
(1)彼が身に着けていた手ぬぐいや前掛けを病人たちに当てだけで、彼らは癒された。 ①使用したのは、天幕職人の手ぬぐいや前掛けである。
  *病気が、間接的方法で癒された。
 ②悪霊も出て行った。

 

(2)これらの奇跡は、パウロが語るメッセージを保証するための「しるし」であった。
 ①ペテロの奉仕に似ている(使5:15~16)。
Act 5:15
ついに、人々は病人を大通りへ運び出し、寝台や寝床の上に寝かせ、ペテロが通りかかるときには、せめてその影でも、だれかにかかるようにするほどになった。
Act 5:16
また、エルサレムの付近の町々から、大ぜいの人が、病人や、汚れた霊に苦しめられている人などを連れて集まって来たが、その全部がいやされた。
 ②手ぬぐいや前掛けに神秘的な力があったわけではない。
 ③神の力が顕著に表われたということを証明する外的証拠である。
 ④迷信や魔術が横行していたエペソでは、これらの「しるし」が必要であった。
 ⑤今日、同じことを行っても意味はない。
 ⑥万が一癒しが起ったとしても、それは神の御業ではない。

 

(3)ここで悪霊の追い出しが出て来るのは、説明を次の箇所につなげるためである。
 ①スケワの7人の息子たちのエピソード

 

結論:
1.パウロのメッセージの強調点は、神の国である。
(1)使19:8
Act 19:8 それから、パウロは会堂に入って、三か月の間大胆に語り、神の国について論じて、彼らを説得しようと努めた。
(2)推察される討論の展開
 ①ナザレのイエスは、ヘブル語聖書が預言しているユダヤ人のメシアである。
 ②この方は、十字架に架かり、墓に葬られ、3日目に復活された。
 ③ユダヤ人たちが信仰に踏み込めない最後の理由は、ではなぜ、メシア的王国が
まだ実現していないのかという疑問である。
 ④「神の国」とは、メシア的王国(千年王国)のことである。
(3)ユダヤ人にとっては、メシア的王国は最終的な希望である。
 ①使1:3
Act 1:3
イエスは苦しみを受けた後、四十日の間、彼らに現れて、神の国のことを語り、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。
 ②使1:6~7
Act 1:6 そこで、彼らは、いっしょに集まったとき、イエスにこう尋ねた。「主よ。今こそ、イスラエルのために国を再興してくださるのですか。」
Act 1:7
イエスは言われた。「いつとか、どんなときとかいうことは、あなたがたは知らなくてもよいのです。それは、父がご自分の権威をもってお定めになっています。
 ③使28:23
Act 28:23
そこで、彼らは日を定めて、さらに大ぜいでパウロの宿にやって来た。彼は朝から晩まで語り続けた。神の国のことをあかしし、また、モーセの律法と預言者たちの書によって、イエスのことについて彼らを説得しようとした。
 ④使28:30~31
Act 28:30 こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、
Act 28:31 大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。

 

2.パウロの伝道の最大の拠点は、エペソである。
(1)使19:10
Act 19:10 これが二年の間続いたので、アジヤに住む者はみな、ユダヤ人もギリシヤ人も主のことばを聞いた。
 ①2年間、毎日、パウロは聖書を教えた。
 ②その結果、アジア州の住民たちの多くが、神のことばを聞く機会に恵まれた。
  *ユダヤ人も異邦人も、福音を聞いた。

 

(2)アジア州における種々の教会の誕生
 ①コロ4:12~13
Col 4:12
あなたがたの仲間のひとり、キリスト・イエスのしもべエパフラスが、あなたがたによろしくと言っています。彼はいつも、あなたがたが完全な人となり、また神のすべてのみこころを十分に確信して立つことができるよう、あなたがたのために祈りに励んでいます。
Col 4:13 私はあかしします。彼はあなたがたのために、またラオデキヤとヒエラポリスにいる人々のために、非常に苦労しています。
  *リカス渓谷に誕生した教会(パウロから学んだ信者たちの働きであろう)
  *コロサイ、ラオデキヤ、ヒエラポリス
 ③黙2~3章に登場するそれ以外の教会は、この時期に誕生したと思われる。
  *スミルナ、ペルガモ、テアテラ、サルデス、フィラデルフィア

 

(3)私たちへの教訓
 ①奉仕の集大成の土台には、忠実な奉仕の蓄積がある。
 ②奉仕が実を結ぶためには、神に用いやすいしもべとしての成長が必要である。
  *救霊の働きを行うのは、復活のイエス・キリストである。
 ③物理的な活動量は減るが、霊的な成果は増える。
 ④弟子訓練を通して、伝道が拡大する。

 

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