使徒の働き(66)―コリントでの伝道(2)―

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第二次伝道旅行について学ぶ。

「コリントでの伝道(2)」
使徒18:5~11

 

1.はじめに
(1)パウロの旅程
 ①マケドニア州でのパウロ伝道が終わった。
 ②アテネから、アカヤ州での伝道が始まった。
 ③アテネを去って、コリントに移動した。
 ④地図の表示
  *コリントの特徴:交通の要衝の町、商業都市、偶像礼拝の町、堕落した町

 

(2)コリントでの伝道の概観
 ①新しい同労者(1~4節)
 ②シラスとテモテの合流(5~8節)
 ③夜の幻(9~11節)
 ④裁判(12~18節)

 

(3)アウトライン
 ①シラスとテモテの合流(5節)
 ②ユダヤ人伝道から異邦人伝道へ(6~8節)
 ③夜の幻(9~10節)
 ④幻の結果(11節)

 

結論: コリントでの伝道(2)から学ぶ教訓

 

コリントでの伝道(2)について学ぶ。
Ⅰ.シラスとテモテの合流(5節)
1.5節
Act 18:5
そして、シラスとテモテがマケドニヤから下って来ると、パウロはみことばを教えることに専念し、イエスがキリストであることを、ユダヤ人たちにはっきりと宣言した。
(1)シラスとテモテの合流は、パウロに大きな励ましをもたらした。
 ①弱さの中に働く神の摂理
 ②勤勉さの中に働く神の摂理

 

(2)シラスは、ピリピからコリントに到着した。
 ①彼は、ピリピ教会からの献金を持って来た。
 ②ピリ4:15
Php 4:15
ピリピの人たち。あなたがたも知っているとおり、私が福音を宣べ伝え始めたころ、マケドニヤを離れて行ったときには、私の働きのために、物をやり取りしてくれた教会は、あなたがたのほかには一つもありませんでした。

 

(3)テモテは、テサロニケから到着した。
 ①良いニュース(1テサ3:6~8)
1Th 3:6
ところが、今テモテがあなたがたのところから私たちのもとに帰って来て、あなたがたの信仰と愛について良い知らせをもたらしてくれました。また、あなたがたが、いつも私たちのことを親切に考えていて、私たちがあなたがたに会いたいと思うように、あなたがたも、しきりに私たちに会いたがっていることを、知らせてくれました。
1Th 3:7 このようなわけで、兄弟たち。私たちはあらゆる苦しみと患難のうちにも、あなたがたのことでは、その信仰によって、慰めを受けました。
1Th 3:8 あなたがたが主にあって堅く立っていてくれるなら、私たちは今、生きがいがあります。
 ②携挙と再臨に関する疑問(1テサ4:13~5:11)
 ③この質問に答えて、パウロは、テサロニケ人への手紙第一を書いた。
 ④さらに、コリントにいる間にテサロニケ人への手紙第二も書いた。

 

(4)シラスとテモテが合流したので、パウロは伝道に専念することができた。
 ①2コリ11:9
2Co 11:9
あなたがたのところにいて困窮していたときも、私はだれにも負担をかけませんでした。マケドニヤから来た兄弟たちが、私の欠乏を十分に補ってくれたのです。私は、万事につけあなたがたの重荷にならないようにしましたし、今後もそうするつもりです。
 ②この伝道は、会堂を中心としたユダヤ人伝道である。
 ③メッセージの内容は、「イエスがヘブル語聖書で預言されているメシアである」。
  *メッセージの背景には、ダマスコ途上での体験がある。
 ④このメッセージは、ユダヤ人にとってはつまずき
 ⑤1コリ1:23
1Co 1:23 しかし、私たちは十字架につけられたキリストを宣べ伝えるのです。ユダヤ人にとってはつまずき、異邦人にとっては愚かでしょうが、

 

Ⅱ.ユダヤ人伝道から異邦人伝道へ(6~8節)
1.6節
Act 18:6
しかし、彼らが反抗して暴言を吐いたので、パウロは着物を振り払って、「あなたがたの血は、あなたがたの頭上にふりかかれ。私には責任がない。今から私は異邦人のほうに行く」と言った。
(1)パウロの宣教に対するユダヤ人たちの反応
 ①パウロは、これまでにも増して力強く語り始めた。
 ②ユダヤ人たちは、パウロのメッセージに反抗した。
  *これは、組織的な反抗である。
 ③彼らは、イエスの御名をののしった(冒涜した)。
  *イエスについて正しくないことを言った。
 ④1コリ12:3
1Co 12:3
ですから、私は、あなたがたに次のことを教えておきます。神の御霊によって語る者はだれも、「イエスはのろわれよ」と言わず、また、聖霊によるのでなければ、だれも、「イエスは主です」と言うことはできません。
 ⑤これは、ピシデヤのアンテオケとテサロニケで起ったことの再現である。

 

(2)パウロの応答
 ①衣のちりを振り払った。
  *自分には責任がないということを示す象徴的行為
  *サンダルのちりを払うのと同じである。
 ②「あなたがたの血は、あなたがたの頭上に降りかかれ。私には責任がない」
  *背景にエゼ3:17~19がある。
Eze 3:17
「人の子よ。わたしはあなたをイスラエルの家の見張り人とした。あなたは、わたしの口からことばを聞くとき、わたしに代わって彼らに警告を与えよ。
Eze 3:18
わたしが悪者に、『あなたは必ず死ぬ』と言うとき、もしあなたが彼に警告を与えず、悪者に悪の道から離れて生きのびるように語って、警告しないなら、その悪者は自分の不義のために死ぬ。そして、わたしは彼の血の責任をあなたに問う。
Eze 3:19
もしあなたが悪者に警告を与えても、彼がその悪を悔い改めず、その悪の道から立ち返らないなら、彼は自分の不義のために死ななければならない。しかしあなたは自分のいのちを救うことになる。
  *エゼ33:2~9も参照

 

(3)これ以降、コリントにおけるパウロの伝道は異邦人が対象になる。
 ①コリントの町におけるユダヤ人伝道が終わったという意味である。
 ②相手の方から求めて来るなら、ユダヤ人であっても対話は行われる。
 ②別の町に行けば、ユダヤ人伝道から始めるという原則が適用される。

 

2.7節
Act 18:7 そして、そこを去って、神を敬うテテオ・ユストという人の家に行った。その家は会堂の隣であった。
(1)アクラとプリスカの家から新しい家に転居した。
 ①テテオ・ユスト
 ②神を敬う異邦人で、信者になった人。
 ③名前から判断すると、ローマ市民であろう。
 ④彼の家は、会堂の隣にあった。
  *そこで集会を開くことができるほど大きな家であった。
 ⑤この家が、パウロのコリント伝道の拠点となった。

 

3.8節
Act 18:8 会堂管理者クリスポは、一家をあげて主を信じた。また、多くのコリント人も聞いて信じ、バプテスマを受けた。
(1)会堂司クリスポと家族全員の救い
 ①会堂司は、施設を管理し、礼拝の秩序を維持する役割を担った。
 ②その彼がイエスを信じたことは、会堂全体にとって衝撃的なことであった。
 ③彼は旧約聖書に精通していたので、ユダヤ人に良き伝道をしたことであろう。

 

(2)クリスポは会堂司の職を奪われる。
 ①後継者が会堂司ソステネである(18節に登場する)。

 

(3)コリント伝道の初期に信じた人たち
 ①1コリ16:15
1Co 16:15
兄弟たちよ。あなたがたに勧めます。ご承知のように、ステパナの家族は、アカヤの初穂であって、聖徒たちのために熱心に奉仕してくれました。
 ②1コリ1:14
1Co 1:14 私は、クリスポとガイオのほか、あなたがたのだれにもバプテスマを授けたことがないことを感謝しています。
  *クリスポは、会堂司である。
  *ガイオは、テテオ・ユストと同一人物であろう。
・ガイオはファーストネームである。
 ③シラスとテモテが合流する前から、パウロの伝道は実を結んでいた。

 

Ⅲ.夜の幻(9~10節)
1.9節
Act 18:9 ある夜、主は幻によってパウロに、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。
(1)「ある夜」
 ①伝道の拠点を会堂の隣に移す直前か、直後のことであろう。
 ②主は幻によってパウロに語られた。
(2)「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない」
 ①この時のパウロは、恐れを抱いていた。

 

2.10節
Act 18:10 わたしがあなたとともにいるのだ。だれもあなたを襲って、危害を加える者はない。この町には、わたしの民がたくさんいるから」と言われた。
(1)恐れなくてもよい理由が2つある。
 ①「わたしがあなたとともにいるのだ。だれもあなたを襲って、危害を加える者
はない」
  *コリントでのパウロの身の安全は保証された。
 ②「この町には、わたしの民がたくさんいるから」
  *伝道の実が豊かに実ることが約束された。

 

Ⅳ.幻の結果(11節)
1.11節
Act 18:11 そこでパウロは、一年半ここに腰を据えて、彼らの間で神のことばを教え続けた。
(1)会堂を去ってから、伝道の成果はより素晴らしいものとなった。
 ①パウロは、一年六か月の間、コリントに住んで伝道を行った。
 ②ケンクレアにも活動を広げた。
 ③ロマ16:1
Rom 16:1 ケンクレヤにある教会の執事で、私たちの姉妹であるフィベを、あなたがたに推薦します。
 ④最長は、エペソでの3年、次がコリントでの1年半。

 

結論:コリントでの伝道(2)から学ぶ教訓
1.弱さの中に働く神の摂理
(1)前回の箇所では、アクラとプリスカ夫婦との出会いがあった。
(2)この箇所には、3つの祝福がある。
 ①シラスとテモテの合流
  *同労者が伝道活動に合流した。
 ②シラスがピリピ教会からの献金をもたらした。
 ③テモテがテサロニケ教会に関する良き知らせをもたらした。

 

2.伝道の恐れからの解放
(1)幻を通した神からパウロへの語りかけは、これで4回目である。
 ①ダマスコ途上において(9:4~6)
 ②エルサレムの神殿において(22:17~18)
Act 22:17 こうして私がエルサレムに帰り、宮で祈っていますと、夢ごこちになり、
Act 22:18
主を見たのです。主は言われました。『急いで、早くエルサレムを離れなさい。人々がわたしについてのあなたのあかしを受け入れないからです。』
 ③トロアスにおいて(16:9)
 ④コリントにおいて

 

(2)神の約束のことば
 ①使18:9~10
Act 18:9 ある夜、主は幻によってパウロに、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。
Act 18:10 わたしがあなたとともにいるのだ。だれもあなたを襲って、危害を加える者はない。この町には、わたしの民がたくさんいるから」と言われた。
 ②神がともにおられる。
  *「だれもあなたを襲って、危害を加える者はない」は、パウロに与えられ
た約束である。
 ③「この町には、わたしの民がたくさんいるから」
  *パウロは、この町に信仰に入る人が多くいるとは考えなかったはずである。
  *しかし、神の視点は違う。
 ④神の選びと神の予知を信じることは、私たちを無責任にするのではない。
  *この町に神が招かれた人たちがいると確信するので、伝道するのである。

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